【過去記事について】お知らせ&お願い

「2020年」を書き残す。

 こんにちは。
 お元気ですか?

 2021年、明けましてこんにちは。
 皆さん、2020年は大変お世話になりました。
 本年もどうぞよろしくお願いします。


 「2020年を書き残したい」と年末から暇をみつけては書き加えていたら、いつのまにか年を越えてしまいました。長いですが、読んでいただけたら嬉しいです。

「TOKYO2020」オリンピックロゴ画像

はじめに

 改めましてこんにちは。
 皆さん、いかがお過ごしでしょうか?

 2020年です。
 色々とあった一年間でした。
 長かったような、あっという間だったような。

 誰もがなんらかの苦難を経験しただろうし、たくさん我慢したし、情報に迷いながら手探りで歩んだ一年だったことと思います。
 一方で、今までにないくらい自分自身をゆっくり見つめ直したし、こんなにも自分以外の人のことを想うことはなかったのではないでしょうか。



 私にとっても一言では収まらない一年でした。
 ものすごく悲しいことがありました。けど、嬉しいこともありました。色々なことを考えたし、たくさん書いたし、喋ったし、見たし、読んだし。

 自分の持つ属性───年齢、性別、所属、居住地、家族、友人、恋人、好きなこと、嫌いなこと、得意なこと、苦手なこと……が複雑に絡み合っているし、どれも大切だと改めて思いました。

 本当にたくさんの人に助けられました。
 色々と手伝ってくれたり、気にかけてくれたり、話を聞いてくれたり、LINEやTwitterやメールやブログのコメントなどでメッセージをくれたり。本当にありがとうございました。

 一方で、私も色々な人を手伝いました。
 まぁ、「Zoomの使い方」とか「PCの便利機能の伝授」とかがメインな気もしますけど(笑) それでも自分の力が相手のためになるというのは、とても良いですね。



 さて、そんな2020年。
 やっぱりこれは、書き残しておくべきだと思いました。

 どう書くか悩むし、書けないこともありますが、「何があったか一年か」と「何を考えた一年か」くらいは大まかに記しておこうと思います。

「TOKYO2020」の看板

2020年はどんな年だった?

 まずは、2020年がどんな年だったのか。
 というか、正確には「何があったのか」を整理します。

 後から思い返そうとすると「新型コロナ」くらいしか残らない気がするので、ある程度ピックアップしながら残しておこうと思います。

Year in Search 2020 検索で振り返る

 まず導入として、3分間の動画を。
 検索世界最大手「Google」が毎年公開しているムービーです。単純に私が好きということもあるし、とても良くできた映像だと思います!

【Google】Year in Search 2020
※ぜひ視聴してほしい動画です!


 また、Googleが公開した2020年の検索結果ランキングは、以下だそう。やっぱり上位5件はなるほどと思います。

1. 新型コロナウイルス感染症
2. 大統領選挙
3. 緊急事態宣言
4. 鬼滅の刃
5. あつまれ どうぶつの森
6. シャープ マスク
7. 台風10号
8. Go To
9. ユニクロ マスク
10. Zoom
Google Japan Blogより


 ちなみに、全世界版はこんな感じ。

1. Coronavirus
2. Election results
3. Kobe Bryant
4. Zoom
5. IPL
6. India vs New Zealand
7. Coronavirus update
8. Coronavirus symptoms
9. Joe Biden
10. Google Classroom
Google Trend

「今年の漢字」と「流行語大賞」

 日本の社会を振り返るということで、この2つがわかりやすいかな~と思いました。

今年の漢字

2020年の「今年の漢字」は、

「密」

でした。

 選定理由は下記の通りです。

・新型コロナウイルス感染症が日本を含め世界的に流行し、年初から現在に至るまで日々の活動が制約された一年。多くの方が「密」という漢字一字を意識し続けた。

・大切な人との関係が「密」接になり、人とのつながりの大切さを再認識する機会になったという声も。

・政界、芸能界でも秘「密」が多かった一年。
日本漢字能力検定協会

新語・流行語大賞

 年間大賞とトップテンです。

年間大賞:3密
トップ10:愛の不時着
トップ10:あつ森(あつまれ どうぶつの森)
トップ10:アベノマスク
トップ10:アマビエ
トップ10:オンライン◯◯
トップ10:鬼滅の刃
トップ10:Go To キャンペーン
トップ10:ソロキャンプ
トップ10:フワちゃん
自由国民社

社会の出来事

読売「読者が選ぶ10大ニュース」

 読売新聞の「読者が選ぶ10大ニュース」を引用します。

【国内ニュース】
1位:感染拡大 緊急事態宣言
2位:東京五輪・パラ 1年延期
3位:菅首相誕生 新内閣発足
4位:安倍首相 辞任表明
5位:志村けんさんら死去
6位:「鬼滅」最速100億円
7位:全小中高 休校要請
8位:甲子園 春夏中止
9位:藤井聡太七段 最年少タイトル
10位:九州豪雨 死者77人
読売新聞

【国外ニュース】
1位:新大統領 バイデン氏
2位:WHO パンデミック宣言
3位:黒人男性死亡 抗議拡大
4位:英国がEU離脱
5位:香港「国安法」施行
6位:トランプ氏が感染
7位:米、WHO脱退
8位:ヘンリー英王子 公務引退
9位:マラドーナさん死去
10位:核兵器禁止条約 発効へ
読売新聞

月別の出来事

 月別に出来事をまとめます。
 読売新聞「2020年日本の出来事」と「2020年海外の出来事」、ニッポンドットコム「Japan Timeline」などを参照しました。

 ◯=国内ニュース
 ●=海外ニュース

1月

●3日:米、イラン革命防衛隊司令官を殺害
●8日:イランがウクライナ旅客機を撃墜
●11日:台湾総統選で蔡英文氏が再選
◯14日:武漢帰国者に新型コロナ感染者確認
◯17日:「チバニアン」地質時代名に
◯28日:政府が武漢にチャーター機を派遣
◯30日:不法出国容疑でゴーン被告に逮捕状
●31日:英国がEUを離脱

2月

◯3日:D.プリンセス号が横浜停泊
●5日:米トランプ大統領、弾劾裁判で無罪
●9日:韓国『パラサイト』アカデミー4冠
◯13日:国内初の新型コロナ死亡者確認
●16日:豪州政府、森林火災の鎮火を宣言
◯17日:東京マラソンの中止発表
◯28日:新型コロナで全国小中高に休校要請
●29日:米とタリバン、和平合意に署名

3月

◯4日:福島県双葉町で避難指示の一部が解除
◯5日:中国・習近平主席の国賓来日を延期へ
●11日:WHO、パンデミックを宣言
◯13日:改正新型インフル対策特措法成立
◯14日:山手線「高輪ゲートウェイ駅」開業
◯24日:東京オリ・パラの延期決定
◯29日:志村けんが新型コロナで死去

4月

◯1日:アベノマスク配布を決定
●5日:英ジョンソン首相、新型コロナで入院
◯7日:コロナ感染拡大、緊急事態宣言発令
◯10日:東京都で休業要請
◯16日:全国民に一律10万円給付

5月

◯13日:六ケ所村の核燃料再処理工場が基準適合判断
●17日:イスラエルで新政権発足。
●25日:警官による黒人男性暴行死
◯27日:京アニ放火殺人事件で男を逮捕
●29日:米トランプ大統領、WHO脱退表明
●30日:米国で民間初の有人宇宙船打ち上げ

6月

◯2日:「あおり運転罪」創設
◯2日:「東京アラート」発令
◯5日:横田めぐみさんの父・滋さん死去
●15日:中印両軍がカシミールで衝突
●16日:北朝鮮、南北共同連絡事務所を爆破
◯23日:スパコン「富岳」が計算速度世界一
●30日:香港の国家安全維持法が施行

7月

◯1日:レジ袋有料化スタート
◯4日:九州豪雨、死者77人
◯5日:東京都知事選で小池百合子が再選
●13日:南シナ海巡り米中対立が激化
●14日:英、5Gで中国ファーウェイ排除
◯16日:藤井聡太七段が最年少タイトル
◯22日:Go toキャンペーン開始
●24日:米中、相互に総領事館を閉鎖

8月

◯1日:関東甲信・東海で梅雨明け
●4日:レバノン首都で大規模爆発
●4日:韓国、元徴用工訴訟で資産差押え
●6日:モーリシャス沖で船舶座礁、重油流出
●10日:米厚生長官が訪台。閣僚は6年ぶり
●19日:米民主党の副大統領候補にハリス氏
◯28日:安倍首相、持病悪化から辞任表明

9月

◯6日:台風10号、九州で豪雨被害
◯9日:ドコモ口座不正で被害相次ぐ
◯12日:大坂なおみが全米オープン優勝
◯15日:野党の合流新党「立憲民主党」結党
●15日:イスラエルがUAE、バーレーンと国交樹立合意
◯16日:菅首相誕生、新内閣が発足
●19日:米、国連の対イラン制裁復活を宣言
●22日:北朝鮮兵士、韓国人船員を射殺
●27日:係争地ナゴルノカラバフで大規模戦闘

10月

◯1日:東証システム障害で売買終日停止
◯1日:菅首相、学術会議候補6人の任命拒否
●2日:米トランプ大統領、新型コロナに感染
●9日:ノーベル平和賞に国連の世界食糧計画
◯11日:中国公船、尖閣領海に57時間侵入
●20日:米、Googleを反トラスト法違反で提訴
●24日:核兵器禁止条約の発効決定
◯26日:『鬼滅の刃』国内最速興行収入100億円突破
◯27日:携帯料金引下げ、総務省が改革案

11月

◯1日:大阪都構想、住民投票で反対多数
●3日:米大統領選、バイデン氏が当選確実
◯8日:立皇嗣の礼
◯15日:日中韓などRCEPに署名

12月

◯3日:NTTドコモ、割安料金プランを発表
◯6日:はやぶさ2、小惑星粒子入りのカプセル回収
◯15日:第3次補正予算案通過、歳出総額約176兆円に
◯18日:ファイザー、厚労省にワクチン薬事承認を申請
◯安倍前首相「桜を見る会」会費補填で秘書を略式起訴

報道各社のまとめ動画

 新聞社やTV局などが、5分~10分ほどで「2020年」をまとめた動画をアップしていたので、いくつか掲載しておきます。
 個人的には朝日新聞・フジ系列・テレ東の3つが良かったです。

【朝日新聞】2020年を映像で振り返る

【フジ】総集編 コロナ禍の1年を振り返る

【MBS】映像で振り返る『新型コロナと政治の2020年』

【テレ東】2020年の国際ニュース

【BBC】2020年を振り返る



 もし時間があるなら、Netflixの「さらば! 2020年」が面白かったのでおすすめです。1時間くらいで、ブラックジョークたっぷりに2020年を振り返っているので。

Death to 2020 | Official Trailer | Netflix

新型コロナの状況

 Covid-19、新型コロナウイルスの状況です。
 リアルタイムに更新されるオープンデータの埋め込みです。


 まず、日本テレビ 報道局のサイバー戦略部が公開しているデータのグラフです。ブログに掲載できるのが有り難い!。

【国内版】



【世界版】




 また、東京都のデータも。
 都の新型コロナ対策サイトより。

コロナ禍の2020年をどう過ごしていたのか?


 標題の通り、2020年をどう過ごしていたのか、また新型コロナについてどう考えていたのか、私自身のテキストなどをもとにまとめておきます

 私も、もう2020年の上旬のころなんてあまり覚えていないですが、幸いなことにブログやツイートなどのテキストを残していました。他にも、個人的なメールやLINEのやり取り、写真、GPSの移動履歴、メモ、カレンダー、PC内のファイル、検索履歴や閲覧履歴……等々のデータが残っています。

 今思うと、もっとキチンと記録を残しておけば良かったと思いました。毎日ツイートするとか、日記を書くとか……。





【2月3日】
 私が書いたテキストで、最初にコロナに触れていたのは、2月3日に書いた記事の冒頭挨拶でした。

 どうやら、巷では新型コロナウイルスなるものが流行しているそうですね。確かに言われてみると、マスクの人の姿が心なしか増えた気がしなくもないです。どうぞ、体調に気をつけてお過ごしくださいませ!

2020年2月3日・ブログより

 これを読むと、2月当時はまだまだ軽く考えていたことがよく分かります。
 世情的には、2月3日に「ダイヤモンド・プリンセス号が横浜入港」ですから、まだまだ他人事として捉えていた頃でしょう。



【2月16日】
 2020年への期待感が溢れ出ているのは、2月16日のブログ記事に書いた文章です。

 さて、2020年です!
 日本では「東京オリンピック」という大きな”祝祭”が待っています。[…]
 世界に目を向ければ、英国のEU離脱や、アメリカ大統領選挙、韓国総選挙、香港立法議会選などの政治イベントが連続。東京五輪やドバイ万博も控えています。
 「祝祭と災害は繰り返す」と言われましたが、2020年は、素敵な1年間になれば良いな~と思っています![…] 皆様にとっても、素敵な1年間になることを願っています!

2020年2月16日・ブログより

 新型コロナと直接関係があるわけではないですが、この時点ではまだ「東京オリンピック」の開催を疑っていなかったことがよく分かります。



【2月29日】
 展覧会に関する記述ですが、2月中旬の状況から一変しているのが分かります。

 新型コロナウイルス肺炎の流行が収まらず、自粛ムードが高まり、イベントや展覧会が中止になる悲しい残念な状況が続いていますね。
 人命と健康が最優先なのは当然のことです。それでも、声を大にして言いたいです。
 「”不要不急”というものは無い!!」と。
 結局は、個々人の価値観の比較と対立の問題だし、それが”生業”の人もいるし、それが”生きがい”の人もいるし。
 イベントの萎縮や自粛は悲しいけど、いつまでも応援していたいです!

2020年2月29日・ブログより

 今、2020年末に読むと狂った文章ですけど、当時の自分の正直な気持ちだったと思います。その心は、次のような訳。

新型コロナウイルス。
事態の重要性や緊急性は理解してる。
でも、正しい知識なく「反対!自粛!我慢!」を叫ぶのは泣きたくなる。
イベント全部が危険じゃないし、主催者が悪いわけじゃないし、都内全域が汚染されてるのでもない。
ただ、「感染の可能性」という危険性は考えなきゃダメ。

2020年2月27日・ツイートより

 全てを頭ごなしに否定したり、状況を理解せずに非難するのには怒りが湧くし、逆に呆れます。
 結局は個人の価値観と尺度の問題だし、その対立と調整の問題であり、優先順位と取捨選択の問題ですから。

2020年2月29日・ブログより

 こういうことですね。要するに映画とか展覧会とかイベントとか、いわゆる「芸術」が全部【不要不急】にされたのに腹が立ったのです。そりゃ興味ない人からすれば。
 けど、(これも価値観の話だから書きたくないけど、)展覧会がNGで、宴会もギャンブルも満員電車もOKだというのはやっぱりなぁ……。
 未知の脅威に対して幅広く規制をかけるのは当然だと思います。けど、あまりに偏ってやいませんか?



【3月2日】
 2月末の時点ではまだ展覧会を観に行くくらいの余裕はあったようです。それも3月に入るとまた状況が動いたようです。

新型コロナウイルスが社会的に大きな影響を出して、イベントが中止になり、外出は自粛になり、とても悲しいですが、私は元気です!

2020年3月2日・ブログより

 ここで「外出は自粛」と言っているように、本格的に出歩くことを慎むことが当たり前になったということですかね。



【3月7日】
 家族で埼玉県の秩父と長瀞に行った時です。

埼玉県は長瀞町です!
都心に行くのが駄目なら、田舎に行けばいいじゃない!

2020年3月7日・ブログより

 この頃は外出自粛と同時に「都心ではなく公園とか屋外で過ごそう」みたいな雰囲気が高まっていたと思います。とにかく「東京ヤバい」みたいな風潮が強かったです。



【4月11日、16日】
 4月7日に「緊急事態宣言」が発令されました。

 新型コロナウイルスの感染拡大防止の影響で、なかなか外出が難しくなっている今日この頃。でも、お家の中で出来る”楽しいこと”も沢山あるので、嬉しい限りです。

2020年4月11日・ブログより

 私は外出自粛が板についてきました(笑)
 最初は絶望のどん底でしたが、映画館・美術館/博物館・図書館あたりが軒並み休館になった頃には諦めがつきました。

2020年4月16日・ブログより

 社会がいっせいに止まると、むしろ自分の時間を楽しむ余裕が生まれたようです。「何も出来ない」ではなくて、出来ることを探すようになったというか、普段できないことをしたというか。



【4月24日】
 緊急事態宣言下の自粛期間中、「お家時間」を過ごすために、アートもマンガも教育コンテンツも、色々なものが無料でネット上に公開されました。

 色々なイベントや企画、映画などが公開延期や中止になってとても残念で寂しい一方で、様々なコンテンツが無料公開されているので、色々と活用して楽しませて頂いていおります!

2020年4月24日・ブログより

 こういうものは非常にありがたかったし、勉強にもなったし、充実した自粛生活を送る上でとても大切なものでした。



【5月4日】
 まだまだ緊急事態宣言下。
 気分転換だって、とても大切。




【5月29日】
 5月25日に東京都などで緊急事態宣言が解除されました。

 ようやく緊急事態宣言が解除されましたね!
 我が家にもようやく”アベノマスク”が届きました。夏もマスクをする必要があるとかで、絶望に打ちひしがれています。(マスク苦手なんですよ……)

2020年5月29日・ブログより

 緊急事態宣言が解除されて喜ぶ一方、話題になっていた「アベノマスク」が遅れに遅れて届いたのがこの頃でした。



【6月3日】
 緊急事態宣言が解除され、6月に入ります。社会の動きも少しづつ元の状況に戻り始めたかのように思えた頃です。

 6月になりました。
 緊急事態宣言は解除されたとはいえ、まだまだ油断できない日々が続きます。[…]
 美術館・博物館・映画館なども再開し始めました。本当に嬉しい限りです! とはいえ、もう少し様子を見る日々が続きそうです。

2020年6月3日・ブログより




【8月9日】
 しばらく期間が空きます。この間、私自身が忙しかったり、特にどこも出かけなかったり、ブログ新設に向けて記事更新がストップしていたりしたので。
 で、8月に出掛けた時の記事です。

 今年、2020年の夏は「特別な夏」ですね。
 新型コロナウイルスの影響で、都民は都外への旅行について自粛することになり、感染への注意も払いながら行動する必要のある、難しい時期です。

2020年8月9日・ブログより




【8月15日】
 春先に公開予定だった映画が公開延期となり、ようやく公開されました。映画が公開できるくらいに経済活動が元に戻ってきているということですね。

8月15日に観た『Fate/sn HF3』の感想をようやく執筆しました! 3月公開予定から大幅に延期しての、待ちに待った夏封切り。

2020年9月3日・ブログより




【9月19~20日】
 9月15日に「Go Toトラベル」に東京が追加される方針が出されました。ある意味、”政府のお墨付き”がついた訳です。

 依然として新型コロナの脅威は去りませんが、政府のGoToキャンペーンに東京が追加されたり、旅行・食事・催事に対象が拡大されたりと、消費喚起と経済再起の動きが加速していますね。
 さて、9月下旬の4連休のうち、9月19~20日に友達と東京は檜原村へ宿泊旅行に行って来ました!

2020年10月8日・ブログより

 とはいえ、やっぱりまだどうなるか不明ということもあり、友達との予定決めの中で次のように提案しました。これをすんなり受け入れてくれるんだから、素晴らしい友達たちです。

「2, 3人なら都外でもOKだろうけど、この人数だと都内か隣接自治体あたりが無難なのかな~と。例えば、奥多摩とか檜原とか、秩父とか飯能とか。」




【11月4日】
 大統領選も新型コロナが大きく影響しました。

 さて、2020年の合衆国大統領選挙。
 ”候補”が候補だし、Covid-19の状況もあって結果がいつ出るか分かりませんが、注視するに越したことはないですね。

2020年11月4日・ブログより




【12月7日】
 新型コロナの第3波が到来し、東京でも全国でも感染者数がうなぎのぼりに増加する状態。でも、秋くらいから私のコロナ言及も減ったし、当たり前になりつつあるのがよく分かります。

 気がつけばもう師走。
 ちょっと前に2020年が始まったかと思えば、いつの間にか年末に向けてカウントダウンがスタートし、お店にはクリスマス商品とお正月飾りが並び始めました(ちょっと早くない?)。

2020年12月7日・ブログより

2020年を振り返る

 特に脈絡なく、振り返ります。
 この「2020年」を忘れないように、色々と考えたことを脈絡なく書いていきます。

誰もが漠然とした不安の中を過ごした。

未曾有の感染災害に個人も社会も動揺した。

 未知のウイルスが中国・武漢で発生して、日本に入ってきた。
 当初は対岸の火事だったニュースが、日を追うごとに日本にも大きな影響があると分かり始め、けどどこか他人事感が拭いきれなかった最初の頃。

 そんな認識もすぐに変わり、クラスターやロックダウンなど耳慣れない横文字が報道で踊り始め、さらに行政や政府による自粛要請や緊急事態宣言の発出などがなされます。毎日ニュースでは感染者と死亡者が読み上げられ、日本経済は目に見えて減速。
 まるで3.11東日本大震災の時のような、あるいは戦時下を思わせるような、そんな状況に陥りました。

 先のことが分からない漠然とした不安の中で、手探りで進んでいきます。自分の行動が正しいかも政府が正しいかもハッキリしない時期もありました。
 心無いデマと転売によって店頭からトイレットペーパーが消え、マスクの値段の需要が供給を上回って値段は10倍以上にも跳ね上がりました。

新型コロナ・マスクと消毒液の画像
贈り物をしたらお礼にもらった消毒液とマスク。
マスクが本当に手に入らなくて、お礼にお菓子をもらうより有り難かったのが、このお礼の品でした。




今日よりも悪い明日、そして街は死んだ。

 社会は完全にストップ。
 最初に、行政が運営する公共機関───図書館や美術館などが休館になりました。その後、緊急事態宣言に加えて飲食店に休業要請が出されるなどして、街は閑散としました。

 「街が死んだ」という表現は時々使いますが、まさにその状況に陥りました。

 やはり人間は「今日よりも素晴らしい明日」を求めるし、少なくとも「今日と同じ明日が続く」ということを信じて、ここまで社会を発展させてきたと思います。
 でも、新型コロナはどんどん悪くなるばかり。発表される感染者数や経済統計や社会指標はすべて悪化し、休業要などは延長され、いつまで続くか分からない自粛の中には暗い閉塞感が漂っていました。

渋谷区の新型コロナ対策を訴える看板
渋谷駅前にて




物理的な社会的距離は、心理的な距離も生む。

 さらにこの新型コロナが厳しかったのは、「人との距離をとる」ことが必要だったこと。社会的距離とかソーシャルディスタンスとか言われましたが、物理的に近づくことが難しいという感染症だからこその辛さもありました。

 さらには人と会えないだけでこんなにも精神的にダメージを受けるとは思わなかったし、学校も会社も娯楽も全部がダメとなると、本当に何も出来ないなって。

新型コロナとソーシャルディスタンス


 一方でテクノロジーは素晴らしいもので、オンライン化やリモート体制を整えてこの危機を乗り越えようとしました。
 Zoom, Google, Microsoftなどビデオ会議ツールを提供する各社は制限時間を撤廃したし、日本社会も重い腰をようやく上げ始めました。




すべてが悪いことだけではないと気づく。

 悪いことばかりでもなかったです。
 ステイホームの「お家時間」は有効に活用することができたし、新しい趣味を見つけたり、新しい仕事を生み出したり、芸術が作られたりしました。
 世界各地で医療従事者やエッセンシャルワーカーへの感謝の言葉が届けられ、各国首脳がリーダーシップをもって団結を訴え、日本でも寄付やチャリティーが浸透しました。
 困難や危機を前にして乗り越えようとする人類の強さを誰もが実感した一年でもあったと思います。

 地球にとっても良かったことが。
 国連によると、コロナ禍で社会経済活動が停滞したことで、全世界の二酸化炭素排出量が前年比7%減になったそう。騒音が減少し、観光客が激減したことでベネツィアでは運河が綺麗になり、インドでは海ガメの産卵数が増えたという報道も。

コロナ禍を過ごして思ったこと。

自粛生活に考えていたこと。

 2020年にやってきた「自粛期間」。
 政府や自治体から「外出の自粛を要請」され、レジャー施設も店舗も休業となり街からは人が消え、活動を停止したかのようでした。

 まだまだ皆んな手探りの状態だったので、何が出来るわけでもなく、家に籠もって過ごしたり、気晴らしに外を散歩をするくらい。

  今までの普通の生活の中にぽっかり穴が空いたように、突然「何もできない時間」が立ち会わられました。2020年末の今でも記憶が薄れてきているし、数年経った後に思い返しても信じられないだろうなぁと。



 今まで、私はずっと家の中で過ごすのは得意だと思っていました。それは事実です。けど、それは自分の意思でそうする場合のことだと気付きました。
 外部から「外出するな」と行動を制限される形での自宅待機はとても辛いものだと痛感しました。

 でも、悪いことばかりではなかったです。



 色々と考えることができました。
 自粛期間の前は、楽しいことを”外側”に求めていたし、自分のことが最優先だったし、それが当たり前でした。
 けど、自粛で外出せず、自分以外の人とも会えなくなると、自然と思考は”内側”を向くものなんですね。

 自分の生活を振り返ったし、過去のことを思い返したし、今までになく人と繋がりたいと思ったし。「日常」がどれだけ大切なのか気が付きました。



 このへんの話は、こちらの記事でも書いています。

花と蜂コロナとブログとワタシ

人との繋がりがこんなにも大切だとは思わなかった。

人間はコミュニティに生きる社会的動物。

 人と繋がるのって大切だと気が付きました。
 本当に、人と喋るのは大事だし、喋らなくてもメッセージのやり取りとかするだけでも気持ちが全然違いますね。

 そもそも、今までは「私はひとりでも大丈夫!」とずっと思っていました。まぁそれはあながち間違えていないんですけど、外圧で自粛を求められる状況ではまた違います。



 外出自粛になり色々とリモート体制になると、驚くほど出歩かなくなるし、本当に人と喋らなくなります。こんなことになるんだなぁ…と。

 もう、こういう状況になると、むしろ誰かと喋りたくなるものなんですね。
 Zoomとかビデオ会議であっても相手の顔を見ながら喋ったり話せるのはとても楽しかったしリフレッシュになったし、むしろアレがないと精神的にまいってしまったかも。

 あと、LINEとかSNSでの会話も。
 コロナ禍で色々と変わったけど、相変わらず普通の会話が出来たり、バカみたいなやり取りができるのは本当に気楽なものだなぁとつくづく実感しました。



誰もが自分以外の”誰か”を想った。

 すごくたくさん人のことを想った年でもありました。
 自分のことについてもだし、家族のこともだし、自分の周りの人のこと、あるいは間接的に繋がっている人のこと、もしくは全く知らない人のことも。

 「人と繋がりたい」という気持ちが強くなったのもそうだし、コロナ禍で誰とも合わなくなったり、もしくはビデオ会議とかSNSとかで可視化された面もあるし、「人を介して感染する病気」ということもあるだろうし。

 コロナ禍の世界はかなりトゲトゲしているけど、一人ひとりはとても優しいと分かったし、案外捨てたものでもないですね。



 「何かやることがある」のも必要です。
 私は【ブログ】があったのが大きかったです。

 自粛中は自分のことに目を向ける時間があったおかげで、そのことをブログ記事にすることができるし、今まで書けなかった記事や溜まっていた内容を書くことができました。
 また、今までとは違う日常になったり、私にとって大きな出来事があってどうしたら良いか分からなくなった時、”何かすること”があるのは本当に大切だと分かりました。
 広告とか収益を目的にしているんじゃなくて、ただ趣味として好きなこととしてやっていたことも大きかったと思います。

 また、ブログにコメントをいただけて本当に嬉しかったし、閲覧数が増えることは間接的に誰かと繋がっているようで安心できました。

社会のデジタル化と都市の変容

社会と生活のデジタル化・オンライン化

社会はなにもかもデジタル化した。

 2020年、なんでもかんでもデジタル化しました。

 緊急事態宣言が発令され、また行政長からテレワークの推奨などが要請された結果、4月の全国企業のテレワーク実施率は27.9%、東京都に限定すると導入率は62.7%、テレワークを実施した社員は平均約5割(49.1%)にのぼったそうです。また経団連がバーチャル株主総会の開催を提言し、政府が動いたり。

 大学の授業はオンライン体制に移行。さらには一部の小学校などでも休校期間中にビデオ会議やオンライン課題管理システムなどを導入して授業が続けられました(これは本当に一部だけど)。
 「Zoom飲み会」という言葉が生まれたし、ライブもコンサートも無観客&ネット配信という形に。大学4年生の就活はオンライン面接、壊滅的な観光業界ではオンラインツアーを企画する旅行会社も。お葬式や結婚式をオンラインで執り行うなんてこともありました。

 さらには、日本政府や日本社会の「非オンライン」な状態が顕になりました。マイナンバーカードは2020年9月時点で19.4%と普及せず、キャッシュレス決済がようやく浸透し始めたところ。10万円給付は遅延。保健所や厚労省のコロナ報告は手書き&ファックス。
 そんな中、9月に誕生した菅義偉内閣では河野規制改革担当と平井デジタル改革担当の特命担当大臣を設置して、「デジタル庁」の立ち上げ準備や「ハンコ廃止」などに取り組みました。

【BBC】結婚式も学校もビジネスも 2020年に人々をつないだビデオ会議





重い腰をあげたデジタル化、なんとかなるもの。

 やってみて分かるのは、「案外なんとかなる」というもの。
 もちろんデジタル化できない仕事や社会の仕組みもありますけど、なんとかなりますね。

 デジタル化の良いところも色々あります。
 ビデオ会議では移動時間などが不要ですし、インフォーマルな服装での参加も許容されるように。画面のスクショと撮れたり、PCでメモや議事録を取るのが楽だったり。オンライン飲み会はダラダラやらずに100円のジュースで乗り切れます(笑)

 今までは紙媒体だった配布物・連絡・資料などもデジタル化。
 何が嬉しいって、手元に記録が残るし、メールや文書は検索できるのが非常に有り難いです。



 渋谷区では、街そのものをデジタル化。
 渋谷区やKDDIなどが構築した配信プラットフォーム「バーチャル渋谷」が5月にオープンしました。
 ミュージシャンのライブなどを経て、10月にはハロウィンの、12月にはクリスマスのイベントが開催され、許容オーバーするほどの大盛況だったそう。

 私もダイブして見ましたが、渋谷駅前の様子がよく再現されています。
 ただし、やっぱり現実の渋谷のほうが「情報量」が桁違いですね。特にビルの看板や広告とか人混みとか、そういう情報をデジタル上に再現するのは難しいのだと思いました。

渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト




 ミュージシャンのライブもオンライン。

 会場に観客を入れてのライブが開催できなくなり、無観客で開催した上でネットで配信を行うアーティストが大勢いました。また、ゲーム「フォートナイト」上で米津玄師がライブしたことが話題になったりも。

 私もとあるアーティストのライブというか配信を見ました。実際に会場でのライブに参加したことは一度もないので分からないですけど、「空気」とか「音響」とかそういう部分がなかったり、「熱狂」とか配信できない部分が大きすぎるとも思いました。
 あと、無観客の中でも盛り上げてテンションを上げなくてはならないので、アーティスト側の技術も必要だなって。

米津玄師がパーティーロイヤルに登場




 芸術の展覧会もオンラインに。

 アーティストがSNSやウェブ上に作品をアップしたり、オンライン上で展覧会を開催することも普通になりました。また、展覧会や美術館そのものをデジタルアーカイブしたり、学芸員による解説動画が公開されたりしました。
 そういうのも良いし有り難いけど、やっぱり作品はリアルな会場で観たいと改めて思ったのも2020年の大きな収穫でした。

my.matterport.com


 また、アートの中でも最近増えてきた「体験型の作品・展示」は軒並み休止になりました。
 やっぱり、それを楽しみにしていた身としては残念だし、制作したアーティストにとっても本来の内容とは違うものになってしまうのは望まないことだろうと思います。

新型コロナで体験型展示も休止に
PLAY! MUSEUM「tupera tuperaのかおてん」にて。

生活のリアル経済と、仮想上のデジタル経済

 都市封鎖や緊急事態宣言によって世界中の経済が壊滅状態になりました。企業は休業となり、失業者が増加。非正規労働者の生活が困窮したり、自殺者が増加したりしました。リアルな経済や実感は最悪と呼べるものに。

 対して、各国が大規模な経済援助や介入を行ったことで、マネーフローに大量の余剰資金が貯まります。その行き先として投資が活発となり、世界各国の株価指数は急上昇。さらに仮想通貨の価値も上昇し、ビットコインは約3万円代に。

by 株価チャート「ストチャ」


 実態経済と仮想上での乖離が鮮明となり、今後の世界経済の先行きが気になるばかりです。

都市の過去と未来と考える。

都市は大きいところも小さいところも変化した。

 都市の様相が様変わりしました。
 そして、その意味合いも大きく変化。

 リモートワークが可能と分かり、都内企業の中にはオフィス縮小を検討するところも増えました。また人が出歩かなくなった街では経営難から飲食店などが閉鎖し空きテナントが増加。心なしか街頭広告や看板も減った気がします。
 代わりに台頭したのは「宅配/デリバリー・サービス」です。街なかにはUber Eatsや出前館などのロゴを付けた自転車が走り、宅配専門の店舗も次々オープンしました。

 3密を避けるために換気を整え、電車は一部の窓を開けて走行。東京の飲食店や施設では都が発行する「感染防止徹底宣言」の虹ポスターが入り口に掲示されました。行列ができるところでは足元に待機位置がマーキングされるように。
 映画館や劇場ではひと席おきでの座席販売となり、スタジアや競技場では定員の数割に抑える対策がとられました。飲食店では透明なアクリルボードが卓上に置かれ、施設窓口には飛沫防止シートが垂れ下がる光景が当たり前に。
 さらに細かいところでは、会計時のやり取りはキャッシュトレイを介して行われたり、エレベーターのボタンを指の背で押す習慣がついたり。

「3密」を避けることを呼びかけるポスター
「3密」を避けることを呼びかけるポスター




「フィジカル」と「リアル」が制限されるようになる。

 会計時にお金を払ったりポイントカードを見せたりする時に、定員さんが「トレーにて失礼します」というようになるなんて、こんなの今まででは考えられなかったこと。
 また、映画でもライブでも「同じ場所で同じ体験を大勢と共有する」ことの価値がとても大きかったですが、それもすべて制限される形になりました。

 今までは「フィジカル=身体性」あるいは「リアルタイムでの対面」が重視されていた人間の体験や社会的な慣習が全部制限されました。
 飲食も、映画も演劇も、体験型アートも、旅行や海水浴も、花火や初詣も、結婚式や葬式も、卒業式や忘年会も、部活動やサークル活動も、スポーツの試合も、学校の授業も会社の仕事も、客への接客も、TV番組やドラマの撮影も。(制限されなかったのは国会くらい 笑)

 日本人はハグとか握手みたいな習慣はないですけど、「同じ場所で顔を合わせて同じ体験を共有する」ことが重要な国民性ですから、なかなか難しいものです。

 ただ、これらは【制限】こそされたものの【否定】されたわけではなく、むしろ一部は改めてその重要性を考え直したり意味を捉え直したりしたこともありました。



コロナと都市をアートから考えた。

 そういった中で、色々と考えるものです。
 さらに、2020年に観に行った展覧会や、新しく制作された現代美術などでは、まさに「コロナと都市」という関係を考える内容が多かったです。

 やはり、アート作品は反応速度が凄いし、単なる報道とは異なるインパクトもあり、色々と考えせてくれる、素晴らしいものだと思います。



 以下は、「都市」や「東京」を考える展覧会だったり、「コロナと都市」を主題にした展覧会だったりするものの感想です。

 どれも素晴らしい作品が出品されていたし、何より展覧会のテキストとか作品のコンセプト文とかがとてもよくで、一読の価値ありです!

国立新美術館「MANGA都市TOKYO」画像展覧会「MANGA都市TOKYO」:現実と虚構の《東京》を介して日本サブカルと都市の関係性を探る。TOKYO2021美術展「un/real engine 慰霊のエンジニアリング」写真美術展「TOKYO 2021─慰霊のエンジニアリング」【災害の国】:負のエネルギーの直撃を受けた社会の強さと芸術の力TOKYO2021美術展「un/real engine 慰霊のエンジニアリング」写真美術展「TOKYO 2021─慰霊のエンジニアリング」【祝祭の国】:日出る国の栄光と刷新の瓦礫の山が示す光と影Chim↑Pom個展「May, 2020, Tokyo / A Drunk Pandemic」画像Chim↑Pom個展「May, 2020, Tokyo / A Drunk Pandemic」:感染症が蔓延する都市の姿を題材にしたアート。企画展「危機の中の都市 COVID-19と東京2050(β)」画像企画展「危機の中の都市 COVID-19と東京2050(β)」:東大工学部社会基盤学科の学生が考える”都市とコロナの未来”。「1964年東京オリンピックと都市の交通」展の写真展示「1964年東京オリンピックと都市の交通 ─ 今にいきるオリンピック・レガシー」:五輪が牽引した東京の開発の記録。

公衆衛生体制と監視社会の進展

マスクと手指消毒と検温のwithコロナ

 全国民が「マスク」を着用し、
 建物に入る時には「手指消毒」を欠かさず、
 「体温測定」のボーダーラインは37.5℃。

 こんなSF映画に登場する「潔癖の公衆衛生ディストピア」みたいな社会になるなんて誰も想像していなかったですよ。

新型コロナ対策の検温とアルコール消毒
国立新美術館にて。



「マスク」が外交カードになる時。

 ほぼ全国民が「マスク」を一年間を通して付けているなんて、誰が思っていたでしょうか。マスクが外交カードになるなんて前代未聞でしょう。
 皆んながマスクをし、人によっては医療用マスクを日常的につけたり。さらには小売店からマスクが消え、生産が中国から日本国内に回帰する事態にまで発展します。

 まるでパンデミック映画ですよ。
 でも、ニュース映像とか見ていてもあまり違和感ないのは、もともと日本人がマスクをつける習慣があったからですかね。



「匂いのない季節」が過ぎていく。

 マスク仕方がない措置です。
 国民が協力できるなら、やりましょう。
 けど、嫌なことや困りごとも。



 まず、手指消毒。
 あれはベタベタするんですよね……。しかも映画館とか美術館とかでは、消毒後すぐにチケット受け渡しだから、アルコールでチケットが濡れるのが本当に嫌です。かといって乾くのを待つのも申し訳ないし、入場券の端っこを触る始末。

 あと、好きな芸能人と握手したあとに「もう絶対に手を洗わない!!」と思った矢先に会場から出る時にアルコール消毒をするとかになったらやりきれないです。



 それから、マスク。
 「匂い」が分からないの嬉しくない。

 春の花粉は良いとして、梅雨の雨のジメジメ感はなくなるし、夏は本来なら色々な匂いが薫ってくるはずなのに汗の臭いしかしないし。
 有名な俳句「五月待つ 花橘の 香をかげば 昔の人の 袖の香ぞする」の哀愁に思いを馳せられないなんて日本人として悲しい…(笑)

 10月に雅叙園に行きました。
 綺麗でした。で、周囲に誰もいなかったのマスクをずらして鼻を出したら、木造建築の畳や木材のいい匂いが! やはり嗅覚が制限されるって困りますね。

雅叙園の百段階段
雅叙園にて。

公衆衛生と監視社会と自由主義の衰弱


 マスクや手指消毒、検温の話もそうだし。
 なんだか、社会全体がSFに登場するユートピア、あるいはディストピアに近づいているような気がしなくもありません。


Apple×Googleの接触確認アプリ

 6月19日、日本の接触確認アプリ「COCOA」試行版がリリースされました。

 これは、新型コロナの世界的流行という地球規模の感染災害を前にして、「Apple」と「Google」という2つの巨大ライバル企業が人々を救うために技術協力をすると4月に発表があった、ヒーロー映画さながらの胸アツ展開の成果物です。

 厚労省によるこのアプリは、スマホのGPSによる位置情報の測定と、Bluetoothによる接触の確認で、プライバシーを保護しつつ「15分以上至近距離にいた場合、濃厚接触者と計測」するというもの。(12月28日時点で2,254万件のダウンロードだそう)



 日本では任意かつ匿名性が担保されています。
 一方で、豪州など西側諸国でも個人の特定までを行う手法が取られていたり、中国や韓国ではより強権的にスマホや信用スコアなどを用いて行動履歴の確認や感染者の移動制限を課したりしてたことは多く報道されました。

 また、ハンガーや中東など独裁国家では新型コロナを理由に監視体制を強化したり、反政府的な人物を逮捕するなど権威強化を図りました。中東の国(どこか忘れた)では移動記録を流用したとかでGoogleらからデータ提供を断られるという報道があった気がします。



日本の排他社会と市民警察の跋扈

 コロナ感染者が地元で村八分にされたり、会社や学校でイジメられたり、さらには何も関係ないのにネット上で炎上したりリンチされたりする社会。

 あるいは「生活必需品が供給不足になる」とか「コロナは嘘」とか「お湯を飲むとコロナ対策になる」いうアホみたいなデマやフェイクニュースが拡散されてしまったり。

 悪意を持って行動している心無い人が一部にいたとしても、大多数が正義感や良いことをしているという意識で、善意で行動しているから余計にタチが悪いとう状況。
 市民警察とか自警団の名を借りて他人を攻撃したり、店舗を廃業に追い込んだりするという話も度々耳にするのだから、恐ろしい社会になりました。



ゆるく優しい監視社会が生まれつつある。

 こうやって監視社会が確立されるんだなぁと。
 今までは「監視カメラ」や「人工知能」や「ネットのプライバシー」とかの話がメインで、国家の陰謀や秘密組織の企みや権力者の横暴を批判する風潮が強かった気がします。

 けど新型コロナ禍の世界が全く違う。
 「あなたのため」という名目でゆっくりと行動が制限されたり、大勢の人が自ら進んで行動記録確認アプリをダウンロードしたり。一般人がみずから非倫理的な行動をする人を批判して罰し、自己規制を強め監視する市民警察になったり。

 要するに、国家政府が強権的に監視体制を構築するのではなくて、市民自らがその方向に向いている気がします。(もちろん、中国みたいな国家もありますけどね)



 さらに「政府が個人の行動履歴を記録する」ということが受け入れられました。それだけに留まらず「体温・体調・持病」などバイオメディカル的な側面までも行政が確認することに異を唱える声は小さかったと思います。

 ワクチンとかもそうでしょうか。
 国の方針で接種は「医療従事者・高齢者・基礎疾患患者を優先させる」ということになりました。これだって言い換えれば実験台になるようなものとも受け取れるし。けど社会全体に効果のある集団免疫を獲得するには必要なことだったり。
 個人では拒否する権利があっても、国民として拒否することが難しかったり。



 結局は、価値のトレードオフ。
 「感染者の情報を把握する・あなた個人の情報を差し出す」こと、ワクチンの「効果・副作用」を天秤にかけた時、どちらが前者の方が社会的にも個人的にもメリットがあるかを判断された結果でしょう。

 社会的にメリットがあれば、個人の権利を制限することも躊躇わないし、批判も抵抗もされないのかもしれません。



 問題は、このあとの未来。

 監視や管理が可能と分かり、しかもそれが人間の生死に関わる医療分野であっても危機的状況では大きな反発は起こらないと判明しました。
 じゃあ、果たして新型コロナが収まったところで、この体制もすべてゼロに戻るでしょうか? やはり、一度できるとわかったら後戻りは難しいのが人間じゃないかなぁと。

 あるいは、今回を教訓に、台湾のように民主的な指導者と優秀なブレーンの下で、効果的かつ安全な対応が可能となるよう準備する方向に進むのが一番でしょうか。



自由を標榜する世界が国境を閉ざす。

 ついでに、もう一つ。
 全世界の国々が「国境を閉鎖する」というのも、過去に類を見ないものすごい事態だと思います。

 1854年、極東の島国が長らく続いた鎖国体制を転換して開国。1989年、東西冷戦の象徴とされたベルリンの壁が崩壊。また欧州(EU)では「シェンゲン協定」によって域内の移動自由化政策が取られました。
 やはり、各国との関係を構築したり、国境を開放するのは資本主義的な世界を構築する上で必要なことだし、象徴的なことだと思います。

 一方で、2002年にはイスラエルが分離壁を建設。2015年の欧州難民危機ではドイツなどが国境を閉鎖。2017年には米国トランプ大統領がメキシコとの間に国境壁の建設を表明しました。この時、これら各国はめちゃくちゃ非難されました。

 で、今回2020年の新型コロナ。
 各国が国内での移動制限はもちろん、他国からの入国制限を一時的に課しました。最初は中国の武漢など一部地域だったものが、またたく間に全世界規模に拡大しました。飛行機は軒並み運休。世界経済全体がストップしました。

 こんな映画みたいなことが現実に起こるなんて、信じられないし、想像を超えます。



 あと、言論規制もついでに。

 新型コロナのファクトチェックをすると同時に、米国大統領選ではTwitterやFacebookが投稿制限をしたり、内容をチェックして「信頼できない情報」とラベルを付けたりする措置をとりました。
 言論の自由とか表現の自由とかを標榜するアメリカで、その価値観を背負う2つの大きなSNSがこうして規制という方向に動いたのは驚きでした。

 今回は私企業が独自の判断で行ったものですけど、これもやっぱり「できる」ということが判明したのはとても重要なことだと思いました。

素晴らしい作品に出会い、色々なことを考えた。

 新型コロナ禍。
 かつてない世界規模の危機を前に、アートとかTV番組とかで、様々な素晴らしいコンテンツが生まれたと思うし、目にすることができました。


 NetflixのCMがとても良かったので掲載します。

【Netflix】再生のはじまり

コロナ禍で制作された作品

 人間と芸術というものは本当に強いもので、このコロナ禍でも多数の作品が制作されたし、いましか作れない作品もとても多かったです。
 私だって全部を見れたわけではないですけど。遠隔体制で撮影された映像作品とか、人が消えた街の様子を記録した写真や音声、コロナ禍を歌った音楽、日常を描いた漫画、チャリティー公演……などなど。

 6月に開催された展覧会の挨拶文です。
 まさにその通りだと思います。

2020年は、ウイルス感染症の世界的な大流行で幕を開け、先の見えない不安が社会に蔓延している。[…] 新たな時代の危機が今、新たな芸術を萌芽させている。
高橋洋介




 Netflixのオリジナル作品。
 わかりやすいものとして、2つの短編シリーズを挙げます。

 『Homemade』と『SOCIAL DISTANCE』
 どちらも映像作品としてとても良いし、日常の記録という意味でも大切なものだと思います。世界規模で同じ状況だからこそ作れる新しい芸術だろうな、と。

 『Homemade』は都市封鎖《ロックダウン》された中で、映画監督や映像作家が自宅隔離中に作成した短編映画・映像作品をオムニバス形式にまとめたもの。

『Homemade/ホームメード』予告編


 『SOCIAL DISTANCE』は、コロナ禍で物理的な距離をとることを強いられた人々の様子を描く短編のアンソロジー・シリーズです。

SOCIAL DISTANCE | Official Trailer

専門家の話をいろいろと聞いたり読んだり。

 専門家の話をいろいろと聞いたり読んだりしました。
 色々なTVとかドキュメンタリーとか新聞記事とかを見たけど、ほぼ番組名や紙面名を忘れてしまったのが残念。メモとか記録をとっておけば良かった……。
 基本的に、見ていてたドキュメンタリーは「NHK」か「テレ東」か「Netflix」のどれか。(こういう時、サブスクは視聴履歴が残るので良いですね)

 中でも印象に残っているもの、というか私が好きな人が出演しているものを。完全に好みですけどね(笑)



 NHK「緊急対談 パンデミックが変える世界 〜海外の知性が語る展望〜」

 4月に放送された番組。
 国際政治学者イアン・ブレマー、歴史人類学者ユヴァル・ノア・ハラリ、経済学者ジャック・アタリの3人が展望を語るもの。
 3人も口をそろえて「経済と民主主義の危機」と警告しつつも、同時に「乗り越えられる」と団結と信頼を促すのが印象的でした。

「緊急対談 パンデミックが変える世界 〜海外の知性が語る展望〜」 - ETV特集
パンデミックとなった新型肺炎。都市の封鎖や大量死が連日報じられている今、人類は大きなチャレンジを突きつけられている。世界…


 ここに登場したユヴァル・ノア・ハラリの寄稿記事。
 『サピエンス全史』とか『ホモ・デウス』の著者で、やっぱり視点が違って興味深いし面白いです。4月時点で、読んで良かった文章です。

『サピエンス全史』のユヴァル・ノア・ハラリ氏、 “新型コロナウィルス”についてTIME誌に緊急寄稿!|Web河出
 著作累計が2,000万部を突破した世界的歴史学者・哲学者のユヴァル・ノア・ハラリ氏は、2020年3月15日付アメリカT…




 NHK「ズームバック×オチアイ」

 メディアアーティストの落合陽一がコロナ禍で「半歩先の未来」を考えるシリーズ番組。落合さんの自宅からリモート番組という形から面白いし、内容もとても勉強になります。

 その中で、台湾の新型コロナ対策を率いたIT担当閣僚オードリー・タンとの特別インタビューがあり、非常に興味深かったです。
 動画はないですが、文字起こしされた記事がありました。

【0461】落合陽一&オードリータン対談番組:まとめてみた|坂本宗隆
すでに再放送もされていたそうで、見た方も多いかもしれない、NHKさんで放送されていた落合陽一さんとオードリータンさんの対…




 テレ東 WBS「コロナに思う」

 各界の著名人や専門家らにインタビューしたシリーズ企画です。下手なワイドショーで下手な芸能人の意見を聞くのとは雲泥の差です。特に現場で働く医師の言葉はとても重かったのを覚えてます。

 個人的に良かったり印象に残っている方を何人か挙げます。本庶佑(京大特別教授)、鎌田賽(医師)、中山由紀子(医師)、ヤマザキマリ(漫画家)、綾戸智恵(ジャズシンガー)、隈研吾(建築家)、ジャレド・ダイアモンド(人類学者)、海部陽介(人類学者)、若田光一(宇宙飛行士)、アラン・グリザード(医師)、原田マハ(作家)、YOSHIKI(アーティスト)、住吉健一(新宿区長)。

 いくつか引用させていただきます。

芸術文化は決して「不要不急」のものではなく、私たちが人間らしい感性と暮らしを維持するために、今だからこそ必要なものなのです。
[…]私たち人類は何万年もの間、アートを忘れたことは一度たりともありません。アートは人間の証明であり、人間の強さの証です。このコロナ危機を乗り越えて、私たちはきっとアートを次の世代に伝えていく。そう信じています。
原田マハ

エンターテインメントはどの時代にもなくならない。それは衣食住と同じ必要なものである。そこは自信を持って言えると思います。
YOSHIKI

この現象と冷静に向き合っていくためには、とにかくテレビやネットもいいのですけれども、良い映画を見るようにしたりとか、良い本を読むようにしたりとか、とにかく生きていく前向きな力を養うための、この精神力を鍛える、これが何よりも大事ではないかと、今は思っております。皆さんもどうぞご自愛しつつ、たくさん良い映画や良い本を読むようになさってください。
ヤマザキマリ


 テキストが公開されているので、リンク先から読めます!!
 話者のテキスト一覧は以下。


 Youtubeの方にもいくつか公開されてます。

コロナに思う♯1 本庶佑 京都大学特別教授

フィクションで社会と未来を考える。

 2020年は「フィクション」の力も大きかったです。
 これは個人的なものではありますけど、とても大切なことだと思います。



 まず一番は、フジテレビの「世界SF作家会議」。

 これは、いとうせいこう、大森望、新井素子、冲方丁、藤井太洋、小川哲という日本を代表するSF作家がオンラインで会談し、『三体』の著者・劉慈欣が出演した企画です。
 いわば、未来を考える”スペシャリスト”たちが「アフターコロナ」の未来像をざっくばらんに雑談するもので、色々と示唆的で面白かったです。

(※動画はYoutubeリスト形式で、計8本です)




 そして、湯浅政明『日本沈没2020』
 小松左京の原作をもとにリメイクしたアニメ。
 原作よりかなり悲惨だしぶっ飛んだ内容でもあったけど、「災害と日本」という点からはこの「2020」が冠された作品はとても意味があるものだと思います。
 もちろん新型コロナを意図して作ったものではないけれど、私はとても好きな作品でした。

『日本沈没2020』予告編




 あとは吉成曜『BNA ビー・エヌ・エー』
 獣人社会で差別や多様性の話を描きます。これも新型コロナ禍の前に制作されたものでしょうが、差別抗議デモとかが広がった2020年を映すようでした。

TVアニメ『BNA ビー・エヌ・エー』第1弾PV


 『BNA』のプロデューサーのツイートです。

あまりに不平等なコロナ対応

 日本のコロナ対応を見ると、本当に不平等というか、納得できないことがとても多かったです。まぁこれは私の愚痴みたいなものです。

 そりゃ、誰もに平等な政策や施策を実施するのは難しいことくらい理解できます。けど、対応が悪いというか、あまりに的外れというか、態度が悪いというか……。


憤りを通り越して呆れかえる政治家の行動

 まず何よりも、政治家の行動ですよ。

 国民に「お花見の自粛を」と言っておきいながら安倍首相夫人が花見をしていたり、「5人以上での会食の自粛を要請」しておきながら、菅義偉総理が8人でステーキを食べるなんて、そんなバカな話がありますか。総理以外だって似たような話がゴロゴロ出てくるじゃないですか。

 「いやいやマスクして感染対策してたから」と言われたって、そんな子供みたいな言い訳が通じますか。一般の市民は感染対策をしていたとしても会食を我慢しているというのに。
 そりゃ支持率もガタ落ちするし、不信感だって高まるし、身内からも批判が出るのは当然ですよ。



頑張っている若者がバカを見るのは泣けてくる。

 じゃあ、感染しなければ良いのか?
 結果論としてはそれで良いけど、不公平感は拭えませんよ。

 救命最前線基地の医療現場でクラスターが発生したら病院の名前が報道され、学校で何人か感染者が出れば学校名や部活名が公表され、高齢者施設などもそうでした。
 さらに、3月には「屋形船」が名指しされるも誤情報、次はパチンコ店が標的になり、さらに「夜の街関連」なんて大雑把なくくりで関係ない店舗まで大打撃。
 一方で、感染者が出た飲食店はほぼ公表されないし、社員が飲み会で感染した会社も非公表。どう考えても守るべき相手を間違えていたと思います。

 百歩譲って感染者が出た病院や学校名が公表されることに納得するとします。そうならないために、小中高校の先生はすでに多い業務の中で消毒作業をし、大学では構内封鎖してオンライン体制に移行しました。
 そうやって努力している中で、秋の自民党総裁選を前にした党大会や支援者懇談会や街頭演説に人がゴミみたいに集まっているのを見ると、本当に泣きたくなります。



 2020年、小学校も中学校も高校も大学も全部休校になって、クラブ活動もサークルも停止、大会やイベントは中止。
 そもそも、この小中高校の一斉休校も科学的根拠があるわけではなく、専門家の意見もなく安倍首相の政治判断による独断で、文科省は寝耳に水だったらしいですね、そんなクソみたいな判断で学校を止めるなよ……。

 若者は本当によくやっていると思います。
 「若者」の定義は置いておくとして、年齢別の陽性者数データをみると12月29日時点では20~40代が圧倒的に多いと分かります。対して、死亡者数データでは12月21日時点で70~80代が最多になっています。

 自分自身は大して重症化しないにも関わらず、きちんと要請を守って外出自粛したり、ステイホームをしたり。よくキチンと我慢していると、もっと褒めるべきだと思いますよ。

 それに対して、「Go To トラベル」とかいって政府は旅行を推奨する施策を打ち出すんですから。まぁこれは観光業支援という名目なので理解できます。
 けど、その街頭インタビューで70代とか80代のお婆さんが「人が少ないと思ったけど京都は混んでるのねぇ」なんて呑気に答えているのを見ると、殴りたくなる。一体、誰のためにこれだけ我慢しているのかを胸に手を当てて考えるべき。



 もちろん、こういうのは一部の人ですよ。

 けど、若者の一部が外出したら「渋谷はこんなに混んでます!」と批判され、高齢者が「バスツアーに参加するの♪」と話すのがお咎めなしというのは、やっぱり不公平だと思いますよ。
 旅行するほど余裕のある高齢者は、出掛けるんじゃなくて、家で「高級おせち十人前」とか頼んで経済を回してくれれば良いんですよ。

 あと、私自身もかなり都内へ展覧会を観に行っているので人のことを言えない面はあります。まぁ、一人の時は昼食抜き&夕食は自宅だし、誰かと行く時も2人です。



医療従事者への扱いが酷すぎる。

 あと、医療現場や医療従事者への対応も酷いと思う。

 米国トランプ大統領が「我が国はこのウイルスのために戦争状態にある」と言うように、戦争の最前線基地で働いているのが医療関係者で、そんな彼らに対して支援が少ないと思います。

 コロナに感染するリスクが一番高い現場なのに給料は減額され、ボーナスはカット。人手不足を補うために夜勤や休日出勤をして、疲労困憊の中でも帰宅することを躊躇ってホテルで生活したり。さらには保育園への登校を拒否されたり、誹謗中傷を浴びせられたり。

 本当に日本は悪い国。医師とか看護師とか技師とか薬剤師とか清掃員とか医療従事者の「正義感と使命感」を搾取するだけというのが本当によくない。



 「Go To」とかもそう。医療従事者は「他人に移す」とか「自分が感染すると病院がもたない」とか考えて旅行もせず、外食も控えている。本当に神経を尖らせてギリギリの日々を過ごしているのだと思います。そんな中、「旅行に行きましょう!」とかどう考えてもズレてる。

 GoToの予算だって国民の税金なわけで、その恩恵を医療従事者だけが享受できないというのはどう考えても不平等。しかもGoToで感染者が増えたらそのしわ寄せは医療現場に行くわけで。

先に紹介したWBS「コロナに思う」より。
コロナに思う♯5 医師、中山由紀子氏




 医療崩壊の危険だってそう。
 今の時点でも医療従事者は過大は負担を強いられているのに、その状況がさも「大丈夫」であるかのように言うのは違うと思うし、さらに医療現場は崩壊したらどうなることか……。

 コロナ感染拡大の草創期から「集団免疫」を求める声がありました。でもそれは一定数の死者を容認するわけで、果たしてそのメリットが大きいのかどうか….。
 今ですら通常医療が逼迫している状態。本来であれば集中治療室に入るはずだった患者の代わりに、コロナ感染者が治療を受けていたり。一般外来や救急外来なども停止してコロナ対応にあたっていたり。そんな状況で、これ以上の負担が増えたら本当に大変なことになると思います。

 Go Toとかに予算を大幅に割くのではなくて、欧米を見習ってまずは医療体制を盤石にすることが必要だったのじゃないかなぁと思います。




 医療の話が出たので、バンクシーの作品を。
 美術手帖の解説も貼っておきます。

バンクシーはなぜ「医療従事者への感謝」を風刺画に仕立てたのか? パンデミックの表現とストリートの作法
バンクシーが5月7日に発表した新作《Game Changer》。看護師の人形を手にした子供を描いたこの作品は、新型コロナ…
 
 
 
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格差が鮮明に可視化された一年。

 格差が可視化されました。

 今まで多かったのは「富裕層と貧困層」という構図ですけど、コロナ禍では「中産階級と貧困層」とか「中産階級の中でも」とかの区切りが顕になったと思います。


格差と人種差別が表面化する

 アメリカで言われたのは、「黒人のコロナ死亡率が高い」という話。黒人の死亡率は白人の2倍以上とも、6倍以上とも報道されました。

 これは、まず高額な医療費を支払うことが難しいという貧困からくる問題が上げられます。また、ブルーカラー職など人と接触したり感染リスクが高い職場にいること、貧困ゆえにファストフードなどを食べることで基礎疾患を持っている割合が高いこと。家族や親族が多かったり、集合住宅で暮らしていたり、衛生環境がよくない場所にいたり…と原因は様々に語られます。

 こういう人種差別的な側面がより鮮明に浮き彫りになったことで、「BLM運動」がより大きく広がったりもしました。(この運動も一行で語れることではないけど)
 表面化したのもあるし、日本で大きく報道されたことで色々なところで言及されたというのも格差の認識が強くなった理由のひとつだと思います。



日本における格差

 この格差は日本も同じ。
 「テレワーク体制に移行できるホワイトカラー」と「肉体労働などで社会を支えるブルーカラー」とでは新型コロナ対策や緊急事態宣言の意味が違っただろうし、「予算が固定的な公務員」と「柔軟に動かせる私企業」とでも状況は違ったはずです。
 企業の経営状況が厳しくなる中、最初に雇用契約を切られるのは外国人労働者で、次が非正規雇用で女性が多く、またアルバイトが無くなった大学生も退学せざるをえない状況に追い込まれたり。

 あるいは、教育。
 一斉休校となった中、自宅にPCや安定したネット回線があるか、通信量を気にせず動画を視聴できるか、そもそも両親がデジタル機器を使えるか、公立校と私立校とではまた出来ることが違うはずです。
 今までも家庭の経済状況によって塾に通ったりバイトで学習時間が減ったりと差がありましたが、公教育はある程度同じレベルが保障されていたと思います。しかしコロナ禍ではその最低限の公教育のラインもズレて、学習に差が生じています。

 もしくは住む地域とか。
 都市部と地方部では医療体制が違うし、田舎で感染したら村八分にされるし。ウーバーイーツの営業範囲は都市部ほど広いし、大都市の自治体は予算があるから休業協力金を多く支給できるし。
 一方で、リモートで働けると分かると感染リスクの低い地方に引っ越す人が増加したり、都市部の地価が下落したりと、今までとは違う社会の動きになったりもしました。



 特に日本社会は今まで、「格差がある」と認識していても、なかなか表面化しなかったり取り上げられませんでしたけど、この新型コロナで大きく可視化されたと思います。

政治に揺れた2020年。

 2020年は、政治も色々と動きがありました。
 ここはあまり詳しくないので、簡単に触れる程度にします。

国内の政治トピック

安倍政権の頂点と終焉、その後継

 なんと言っても「安倍政権」ですね。
 2012年に政権交代してから約7年8カ月と憲政史上最長となった矢先、8月28日に安倍首相は持病の悪化から辞任を発表。

 安倍政権では色々と事件も多かったです。
 2020年に限っても、今だに「桜を見る会・モリカケ問題」が尾を引き、公文書改ざんや厚労省統計不正などが1月国会で追及されました。また賛否は別にして「#検察庁法改正案に抗議します」が国民の間で大きく広がりました。

 個人的には、安倍首相は良かったと思います。
 やっぱり長期政権の強さがあったし、外交面での成果はとても大きいと思います。トランプ大統領に「シンゾウはすぐに、日本の歴史上、最高の首相と評価されるべきだろう。特別な男だ!」と言わせるんだから、凄いです(笑)
 もちろん国内的には秘密保護法とか集団的自衛権容認とか残業代ゼロ法案とか、国民の支持を得られなかったり、政治家や官僚の不祥事が続出したのも事実です。



 安倍首相の後任には官房長官として政権を支えてきた、”令和おじさん”こと菅義偉が総理大臣に選出。
 最初こそ「コロナ禍に相応しい」ともてはやされましたが、後手に回るコロナ対応や影響力や発信力のない記者会見などを受けて支持率は急落。

 私は菅さんじゃない方が良いと言ってました。

自民党総裁選の立会演説会を見た。
やっぱり話すと政治家の違いがでるなーと思う。菅さんは喋るの不得意というか、他2人より弱い。大きな政治ビジョンを描くのが苦手かも。
その点、岸田さんと石破さんはアウトラインが見えるし、石破は内容がすごく具体的。岸田は真面目で誠実そう。

2020年9月9日・ツイートより




大阪都構想と東京都知事選挙

 あと、日本国内の政治だと……。

 「大阪都構想」の賛否を問う投票。
 市民を文字通り二分する争いとなり、維新の会・自民党・公明党・共産党など各政党の支持意見とか都構想の詳細な内容をめぐって大きな議論になりました。
 「都」に権限を集中させるとか、二重行政を解消するとか、大阪市はデメリットしかないとか、細かい行政サービスを提供するとか……色々な言説が飛び交いました。
 最終的な結果も僅差で「否定」に決まりましたね。

 「東京都知事選挙」も。
 2019年の時点では東京五輪の日程を加味した選挙戦が意識されていましたが、その様相は一変しました。コロナ対応で小池都知事のメディア露出が高まるとともに、的確な対策と強いメッセージを打ち出した結果、得票率59.7%で小池百合子の勝利となりました。

国外の政治トピック

 国外は私も詳しくないんですよね…..。

 まずは、米国大統領選挙。
 最終的には共和党のドナルド・トランプと、民主党のジョー・バイデンの対決という構図になりました。最後まで米国を二分したし、民主党の中でも左派との間で確執は埋まりきらなかった勢力構図でした。

 そして、新型コロナ対応をめぐる評価、さらには先鋭化した人種差別問題に加え、暴徒化したデモへの「法と秩序」の対応などなど争点は色々ありました。選挙戦も新型コロナの感染が拡大する中で異例のものに。テレビ討論では終始相手を罵倒し、拡大した郵便投票を声高に非難するトランプ大統領という構図。
 最終的に、バイデン候補が勝利。トランプ大統領は抵抗しましたけど、一気に発言力も求心力も低下したし、メディア露出も激減しましたね。

【米大統領選2020】 波乱万丈の選挙戦もついに終わり 3年間を3分で振り返る




 あとは、6月に「香港国家安全維持法」が成立しました。
 民主化を掲げてデモ運動などを展開してきた香港の若者や運動家が苦境に追い込まれ、中国政府の攻勢が強まりました。

 デモの扇動や外国勢力との結託、国家転覆など様々な容疑で活動家らが逮捕され、有罪・実刑判決が下りました。
 報道でも指摘されていたように、内容が曖昧だから解釈しだいでなんでも罪に問えるし、過去の発言や行動にまで効力が及ぶと判明した点が、中国政府に有利な内容になっているそうです。



 それから、英国のEU離脱。
 2020年の1月末に離脱が決定し、12月30日に貿易協定に合意、そして12月31日をもって完全に離脱が完了しました。

 2020年に特段の動きがあったわけではないですが、大きな混乱を巻き起こしての離脱決定だっただけに、土壇場で決着がついたことは良かったです。
 自国第一主義の風潮が強まり、またコロナ禍によって各国の連携が重要と改めて確認された今後、英国とEUがどんな関係を紡ぐのかは注目だと思います。

政治家の演説が素晴らしかったと思う。

 各国の政治家とか報道官とかの演説に素晴らしいものが多かったと思います。
 これに関しても、私は日本で報道されたものしかしらないというバイアスがかかっているとか思いますけどね。

 忘れてしまったものもありますが、覚えているものをいくつか掲載させていただきます。



【独・メルケル首相(3月18日)】

 本当に全ての市民の皆さんが、ご自身の課題と捉えてくだされば、この課題は必ずや克服できると私は固く信じています。
ですから申し上げます。事態は深刻です。皆さんも深刻に捉えていただきたい。ドイツ統一、いや、第二次世界大戦以来、我が国における社会全体の結束した行動が、ここまで試された試練はありませんでした。
 […] 日常生活における制約が、今すでにいかに厳しいものであるかは私も承知しています。[…] 私たちの生活や民主主義に対する認識にとりいかに重大な介入であるかを承知しています。[…] 次の点はしかしぜひお伝えしたい。こうした制約は、渡航や移動の自由が苦難の末に勝ち取られた権利であるという経験をしてきた私のような人間にとり、絶対的な必要性がなければ正当化し得ないものなのです。民主主義においては、決して安易に決めてはならず、決めるのであればあくまでも一時的なものにとどめるべきです。しかし今は、命を救うためには避けられないことなのです。
ドイツ外務省




【英・ジョンソン首相(4月27日)】
 ジョンソン首相がコロナに感染し、退院した時のメッセージです。

 一週間たって、今日、退院することができた。NHSが私の命を救った。異論は認めない。どれだけ恩義を感じているか、言葉を見つけるのは難しい。
 でもその前に、イギリスのすべての人に感謝したい。皆さんの努力と犠牲についてだ。[…] ソーシャル・ディスタンスのルールに従うのがどれほど難しいか痛いほどわかる。
 私は感謝している。全国津々浦々の何千万もの人々が正しいことをしているからだ。数えきれない人が自己隔離という困難な体験をしている。忠実に、我慢強く。自分だけでなく他の人のことを思いやりながら。イースター・サンデーのこの日、皆さんの取り組みには意義があり、毎日の結果につながっていると私が心から信じていることをわかっていただきたい。
翻訳:tarafuku10 の作業場




【米・バイデン次期大統領(11月24日)】
 バイデン次期大統領の選挙戦勝利演説です。

 今や選挙戦は終わった。人々の意志は何か。私たちの使命は何か。私は、米国民が私たちに、品位と公正の力を導くことを求めたと信じている。私たちの時代の大きな戦いのなかで、科学と希望の力を導くことを求めた。ウイルスを制御し、繁栄を築き、あなたたちの家族の健康を守るために戦う。
 この国の人種的平等を達成し、構造的な人種差別を根絶するために戦う。環境を守るために戦う。品位を回復し、民主主義を守り、この国のすべての人に公正な機会を与えるために戦う。
 私たちの仕事は新型コロナを制御することから始まる。ウイルスを制御下に置くまでは、経済を修復し、活力を取り戻すことはできない。孫をこの手に抱いたり、誕生日や結婚式、卒業、あらゆる人生で最も貴重な瞬間を味わうことはできない。
 […] 心を込め、しっかりとした足取りで、米国とお互いを信じ、国への愛と正義への渇望を持って、私たちが目指す国を作り上げよう。国は団結し、強くなり、そして癒やされる。
 […] 米国に神のご加護を。神が私たちを守ってくださいますように。ありがとう。
サイト




【WHO(12月14日)】
 サンタクロースに関する声明。こういうユーモアがとても大切だと思います。

「サンタクロースはお年寄りなので、心配するお気持ちはわかりますが、新型コロナウイルスに対する免疫があるんです」
「サンタさんと少し話したんですが、サンタさん夫妻はとても元気です。いま非常に忙しくしているそうです」
朝日新聞

科学の素晴らしさを感じた1年。

 コロナに翻弄された年でしたが、その中でも「科学」の素晴らしさがより大切になったというか、その重要性を大きく感じた年でした。

 前に政治の話をしたので、メルケル首相の発言を引用します。
 クリスマスを前に、首相が感情を顕にした演説は世界の注目になりました。

 私は啓蒙の力を信じている。今日のヨーロッパが、まさにここに、このようにあるのは、啓蒙と科学的知見への信仰のおかげなのだ。科学的知見とは実在するのであって、人はもっとそれを大切にするべきだ。私は東ドイツで物理学を志した。しかし私が旧連邦共和国(=西ドイツ)出身だったならば、その選択はしなかったかもしれない。東ドイツで物理学を志したのは、私には確信があったからだ。人は多くのことを無力化することができるが、重力を無力化することはできない。光速も無力化することはできない。そして他のあらゆるファクトも無力化することはできない、という確信が。そして、それはまた今日の事態においても引き続き当てはまるのだ
Newsweekjapan



新型コロナと科学

 新型コロナウイルスが世界的脅威となる中、改めて科学の大切さを思い知った年だったと思います。

 まず、世界中で研究が進みました。
 新型コロナ関連の論文数は12月16日時点で6万件を超え、これは過去を見ても異様な状態だといいます。さらに迅速な研究を後押しすべく「査読なしの論文」がオンラインで無料で公開されるなど、従来の学術雑誌ではあり得なかった状況になっています。
 今までは学術雑誌がその権威を盾に高額な価格で雑誌の購読契約を大学などと結ぶという形でしたが、その旧体制までもが新型コロナに関しては変化しているのです。

 また、研究スピードを加速させたのが世界規模での「協力・共同」と「オープンソース」です。
 インフルエンザ用に開発されたゲノム情報共有プラットフォーム「GISAID」に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のゲノム配列が共有されたことで研究が飛躍的に進展し、ワクチン開発にも寄与したといわれます。

 世界中の研究者が共通の敵について研究するという状況、そしてインターネットによって論文が無料公開され、《敵》の情報が共有されるという形がまるで映画みたいだとちょっと興奮します。



 日本では、2020年から試験運用が始まったスーパーコンピューター「富岳」が大活躍しました。

 性能テストで世界一を獲得した富岳。
 新型コロナ禍において、会話やくしゃみ等による飛沫の拡散シミュレーションやマスク・換気の効果などを計算して社会的な役割を果たしました。

 今後はその汎用性ある計算処理能力を民間企業にも開放されるということで、医薬品開発や災害対応などへの期待が高まっています。
 民主党政権時代の事業仕分けの雪辱を果たすことができて、嬉しい限りです。



宇宙探索で人類は大きく進展した。

 地上では旧約聖書のような大災害が猛威を振るう中、星空に目を向けると、素晴らしい科学の成果が次々と発表されました。
 中でも「宇宙探査」と「宇宙進出」という観点から、人類が躍進した一年だったと思います。



5月18日。
 日本の航空自衛隊に「宇宙作戦隊」が創設されました。
 ミッションは年々増加するスペースデブリ(宇宙ゴミ)の監視などが人工衛星を破壊しないよう状況監視を行うことと、各国で軍事開発が進む衛星攻撃ミサイル兵器などへの対応です。



5月30日。
 米国の民間宇宙開発企業「スペースX」による宇宙船「クルードラゴン」が、宇宙飛行士2人を乗せての打ち上げ《デモ2》に成功、さらにISSとのドッキングにも成功しました。
 切り離されたロケット機体を再利用することでコスト低減を実現し、商業利用への道をまた一歩進んだことになります。
 2011年にNASAがスペースシャトルを中止して以降、宇宙飛行士はロシアのソユーズ宇宙船で移動していたので、米国内からの打ち上げは9年ぶり。




7月、火星探査機の打ち上げラッシュ。
 地球と火星の惑星軌道の関係から、2つの距離が近づくタイミングで探査機の打ち上げが複数行われました。

 まず、7月20日にアラブ首長国連邦の火星探査機「HOPE」が日本の種子島宇宙センターからの打ち上げに成功。これはアラブ諸国では初です。
 次に、7月23日には中国初となる火星探査機「天問1号」が、続く7月30日にはNASAの火星探査車「Perseverance」が、どちらも打ち上げに成功しています。



11月16日。
 スペースXの宇宙船クルードラゴンによる初ミッション《クルー1》において、日本の野口聡一ら4人の宇宙飛行士が搭乗するロケットは無事に打ち上げ成功。
 4人はISSへ到着し、長期滞在クルーとして実験や研究を行います。

 5月の成功に続き、民間による宇宙進出が大きく印象付けられました。



12月1日、14日。
 中国の月面探査機「嫦娥」が12月1日に月面着陸し、月のサンプルを採取した後に14日に帰還しました。

 月からのサンプル採取は米国のアポロ計画やソ連のルナ計画から数えて実に44年ぶりということで、科学的成果も期待されます。



12月10日。
 NASAはアポロ計画以降途絶えていた月面有人探査を再始動させる「アルテミス計画」において、月を調査する宇宙飛行士18人からなる「アルテミス・チーム」を発表しました。

 単に月面有人探査の再開というだけでも嬉しいですが、ここで成功した暁には火星での有人探査を視野に入れた計画になっているということが、より興味をそそります。



12月6日。
 我らが日本はJAXAの小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」のサンプルを入れたカプセルを地球へと投下し、カプセルは無事に地球に帰還し、回収されました。

 初代はやぶさによって日本のお家芸となったサンプルリターンに成功し、日本の技術力の高さを改めて世界に示しました。




科学の危機も同時に起きた。

 科学の偉大さが大きく取り上げられる一方で、その科学が軽視されたことも。


 例えば、新型コロナ関連。

 中国では、2019年12月に武漢において「未知の肺炎が広がっている」と指摘し、世界への警鐘をいち早く鳴らした李文亮医師が「デマを流布した」として当局に逮捕されました。彼はその後、新型コロナに感染して死亡しています。

 また、米国のトランプ大統領やブラジルのボルソナロ大統領など、「新型コロナは軽い風邪」とか「マスクは効果なし」とか科学的根拠を否定する言動をする政府首脳もいました。



 日本国内に目を向けてみると、菅首相が「日本学術会議」の構成委員の任命を拒否したという話題が大きく報道されました。

 これに関しては、「科学が否定された」というよりは、”既得権益の打破”を狙う菅首相の標的になった部分がある気もします。

日本学術会議の画像

日常の貴さと、日本の尊さ。

日本はみんな頑張っている。

 何だかんだ書きましたけど、日本人は頑張っていると思います。

 謙遜の文化があるからか自画自賛をしないタイプの国民性だからか、危機感の共有と気持ちの緩みを防ぐためか、日本はあまり自国の新型コロナ対応を褒めませんよね。(中国はあんなに豪語しているのに 笑)

 でも、実際に新型コロナの陽性者数・感染者数や死亡者数を見ても世界的に少ないといえる状況だし、都市封鎖のように強制的な私権の制限をせずとも国民一人ひとりの自粛と対策で感染者数を抑え込めています。

 日本人やアジア人が抗体を持っているとか、そもそも日本人の生活習慣が感染症に強い社会を築いていたとか言われますが、どうであれ大切なのは結果です。
 自分のことだけでなく、「相手のことを思いやる」ことができる国民性で、明確な正義の意識などがなくとも「社会を守るための行動」をとれるのは凄いと思います。



 本当にみんな頑張っていると思います。

 医療従事者もエッセンシャルワーカーも治安維持組織も過酷な最前線の現場で働いているし、観光業界も飲食業界も製造業もサービス業も夜の街も休業要請や消費激減の中で身を削って協力しているし、報道ではなかなか取り上げられない中小企業や零細企業, 大企業の関連企業や下請け企業, 自営業者などサプライチェーン全体へのインパクトが大きかったコロナ禍を耐え抜いているし。”不要不急”とみなされた芸術関連業は新しい意味を見いだして表現につなげていました。政治家も真面目な先生はいるだろうし、官僚は公務員は朝令暮改の指示に疲労困憊しながらも対応していました。

 国民は外出自粛を守り、娯楽を慎み、収入が減った家計を支え、また寄付文化が乏しかった日本でクラウドファンディングが大きく広がりました。マスク着用や手洗いうがいを徹底し、アルコール消毒を欠かさず、大人数での食事を避け、帰省も宴会も中止。子持ち家庭では在宅ワークと子育てを両立し、児童/生徒は突然の休校を受け入れ、学生はほぼすべての授業がオンラインに変わっても抗議が起きず、高齢者や基礎疾患を持つ人はより一層の注意を払って生活し、人々はたくさんのストレスに耐え、楽しみを我慢し、風評被害に対処してきました。

 上から目線な書き方で本当に申し訳ないし、まだまだ書き残したことも多いと思いますけど、もっと褒めても良いと思います。



 ついでなので、2020年に大流行した『鬼滅の刃』の主人公・竈門炭治郎のセリフを引用しておきますね。

竈門炭治郎
竈門炭治郎

頑張れ炭治郎 頑張れ!
俺は今までよくやってきた!! 俺はできる奴だ!!
そして今日も!! これからも!! 折れていても!!
俺が挫けることは絶対に無い!!

「日」の”とうとさ”を知る。

 私は「今年の漢字」は

「日」

で応募しました。

 なかなか良いチョイスだと思ったんですけど、外れましたね。「災」とか「禍」とかもあるかと思ったら、「密」なんですね。



日常がいかに貴いものだったか。

 「日常」がいかに貴いものか思い知らされました。

 これまでの「旧日常」がいきなり「非日常」に変わり、そして打ち出されたのは「新日常」というエヴァシリーズみたいな展開になったのが2020年でした。

 今までのように国内外への旅行が行けなくなったり大人数で騒ぐのが難しくなったりしたことはもちろん、気軽に外食できなくなったり、友達や家族や親戚と会うのが難しくなったり、買い物が制限されたり。スポーツが出来なかったり、学校に通えなかったり。
 握手ができない、ハグができない、年中マスク生活、年中行事も中止になったり縮小したり。ずっと家の中にいて、今まで普通にできていたことが出来なくなる日々が続いています。

 人生の中で大切な瞬間も奪われました。
 出産の分娩室には母親しか入れなかったり、入学式や卒業式が簡素化したり中止になったり,2021年には成人式が中止になったり、憧れの結婚式は中止か縮小、病院にいる家族の見舞いができず、葬式に人を呼んで別れることができない、そんな状況。
 「ゆりかごから墓場まで」とはイギリスの福祉政策の標語。ジョンソン首相を治療した国民保健サービス (NHS)に代表されますが、新型コロナも同じく最初から最後まで影響を及ぼしました。



 「大切なものは失ってはじめて分かる」というのは誰の格言だか知らないですけど、まさにそういうことだと身に沁みて思ったし感じました。

 普段何気なく過ごしているから「日常」と呼ぶわけで、それが当たり前だったし、まさかそれが壊れるとは夢にも思わなかったけれども、現にこうして「日常」が崩れ去ったわけです。

 そうすると、今までの「日常」の価値がいかに貴いものだったのかに気付きます。そういうことを学んだ、というか五感で感じた2020年でした。

「夜間外出」の自粛を要請する張り紙
「夜間外出」の自粛を要請する張り紙




日本がいかに尊いものだったか。

 「日本」がいかに尊いか実感しました。

 日本人の他人を思いやる心とか気遣いとかは本当い素晴らしい文化だと思うし、国のために祈る文化があるのも誇り感謝すべきことだと思います。



 2020年に流行ったもののひとつに「アマビエ」がありました。
 「疫病が蔓延した時にその姿を描き写して人に見せる」と疫病退散の効果があると言い伝えられる妖怪で、Twitterなどネット上にはアマビエを描いたイラストがたくさん投稿されました。

 例えトレンドに乗っかったのだとしても、こうして同じ価値観を共有できるのは良いことだし、過去の伝承や妖怪譚が現代に蘇るところとかも驚くべきことで、どちらも日本人らしいなぁと思います。

「アマビエ」のお守り
神社でいただいたアマビエのカード




 日本各地の神社や寺院では「コロナ終息」や「疫病退散」を祈願する儀式が行われたり、神楽が奉納されたりしました。
 神社や寺院の大小に関係なく祈願の儀式が執り行われたり、毎朝のお祈りの中で国民や氏子の安全と健康を祈る祝詞を奏上したり。

 こうして毎日国民の安寧を祈る文化が続いているということは、同じ日本人として有り難い誇らしいです。それに危機の中では科学だけでなく信仰の力が大切なのだと思い起こさせてくれます。

 そりゃ「それが役割だから」といわれればそうだし、「キリスト教の教会でも祈ってるでしょ」といわれればそうなんですけどね。



 なんかナショナリズム色が濃くて、嫌な人は嫌でしょう。
 けど、やっぱり危機の中にあっては民族意識とか自身が所属する集団への帰属意識とかは大切だと思います。

 特に新型コロナによって各国が国境を封鎖して閉鎖的な環境に置かれました。グローバリズムが停滞を余儀なくされた中、首相や国王など政治指導者は「”自国民”へのお願い」をしなくてはならない中においては、国民の精神的な繋がりが大切になる(多民族国家であればなおされ)のではないかなぁと。

 一方で、全人類が共通の危機に直面した、という観点からコスモポリタニズム的な動きになるかと思いきや、そうでもないですね。



 あるいは、「東京オリンピック競技大会」。
 2020年開催予定の大会は2021年へと開催延期となり、「TOKYO2020」という名称は引き続き使われることになりました。

 2020年11月16日の菅首相の発言です。

来年の夏、人類がウイルスに打ち勝った証として、また東日本大震災から復興した姿を世界に発信する復興オリンピック・パラリンピックとして東京大会の開催を実現するべく、安全・安心な大会を実現する
菅義偉


 これまでは「日本の復興」を象徴する大会だったものが、全世界の希望の大会へと変わりました。ある意味ではこれがコスモポリタニズム的な祝祭になるのかもしれません。

「TOKYO2020」オリンピックロゴ画像

おわりに

 ということで、長々と書き残して。
 きっと、まだまだ足りない部分も多いかとは思いますが、それなりの分量で色々なことを書けたと思います。

 でも、やっぱりこの「2020年」はとても大きな年として記憶しておくべきだし、どうにか記録しておきたい年でもありました。

 今回は社会全般とか世界全体について書いたので、そのうち、私の個人的な話とか内情とかを書きたいと思っています。



 そして、未来に期待したいですね。

 この一年間で数年、数十年分ともいわれる変化が起きました。生活スタイルはデジタルに大きく移行し、イノベーションが数多く生まれました。

 このあと、2021年、さらにその先にどんな社会が待っているのか、これは少なくとも悪いものではないでしょうから、期待に胸が高まります!



 この記事の構想や内容を考えている時、TVかラジオか店内BGMか何かで、ある曲を耳にしました。本当にこの2020年という時に相応しいなと思って、ブログの最後に掲載させていただこうと思っていました。

 中島みゆき「時代」

今はこんなに悲しくて
涙もかれ果てて
もう二度と笑顔には
なれそうもないけど

そんな時代もあったねと
いつか話せる日が来るわ
あんな時代もあったねと
きっと笑って話せるわ
だから今日はくよくよしないで
今日の風に吹かれましょう

まわるまわるよ時代はまわる
喜び悲しみ繰り返し

歌手/作詞/作曲:中島みゆき


 最後に、この記事について。
 読んでくださった方は「ちょっと長いな」と思われたことでしょう。私もそう思います(笑)

 文字数はおよそ3万8千文字ほど。
 まぁ、かなり好き勝手に書き散らかしましたね(笑)

 ちなみに、この記事の文章をテキストマイニングにかけて単語の頻出度やスコアごとに表示すると以下のようになります。
 まさに「2020年」を一枚の画像で見事にあらわしている感じがしますね。書いていた内容もそれなりに重点を抑えていたということでしょう!

テキストマイニング結果







 読んでくださり、本当にありがとうございました!

 2021年という年が、日が、時間が、皆さんにとってより良く素敵なものになるよう、心の底から願っています。

 どうぞ、本年もよろしくお願いいたします。

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