2017年11月10日
新海誠展
──「ほしのこえ」から「君の名は。」まで──
@国立新美術館
【一言】
『ほしのこえ』から『君の名は。』まで新海監督の作品回顧展。
美しい映像・鮮やかな文字・細かな資料が、国立新美術館の広い会場と白い壁を埋めている。
ただ、パネル展示等の静止画で見るよりも、映画という映像作品で観た方が美しいと感じた。
作品を「観る」から「知る」へ。
【目次】
作品展概要
アニメーション監督・新海誠のデビュー15周年を記念し、「新海誠展 ―『ほしのこえ』から『君の名は。』まで―」を開催します。
新海誠の作品は“ 美しく壮大な世界ですれちがう男女の物語”を描くことで人間の本質に迫ります。人と人が出会い、そしてすれちがい、揺れ動く心模様を、完成度の高い物語に結晶させ、登場人物やその世界を鮮やかに描き出す作品群は、世代や国境を超えて多くの人々を引きつけています。
本展は貴重な制作資料である絵コンテや作画、設定資料や映像などの展示を通じて、そうした新海誠の15年の軌跡を振り返り、「ほしのこえ」から「君の名は。」までを完全網羅し、新海誠のアニメーション作品の魅力に迫ります。
本展がアニメーション監督・新海誠とその作品の魅力に触れ、さらなる理解を深めていただく機会となれば幸いです。
(公式サイトより・一部改変)
新海誠監督紹介
アニメーション映画の新海誠監督。
美麗な映像と、繊細な物語、淡い内容が本当に素晴らしいと思います。
そのほとんどの作業を1人で手掛けたデビュー作「ほしのこえ」から、集団制作に挑み初長編作品にして毎日映画コンクール・アニメーション映画賞を受賞した「雲のむこう、約束の場所」、単館上映ながら異例のロングランとなり、今なお熱狂的に語り継がれる「秒速5センチメートル」、本格ジュブナイルファンタジーに挑んだ「星を追う子ども」、デジタル時代の映像文学と言うべき「言の葉の庭」、そして記録的な大ヒットとなった最新作「君の名は。」
(公式サイトより)
新海監督作品紹介
監督の作品に隠れるテーマは『距離』。
心の距離、時間的な距離、物理的な距離、社会的な距離、想いの距離……..………。
この“距離”が監督の作品全てに込められています。物語の展開や登場人物たちの言動・心情等によって丁寧に描かれており、気がつくと「あぁ、距離の物語だ….」と分かります…………そんな気がします。
美しい映像・背景は監督作品の作品の魅力の1つでしょう。
駅やビル、看板や掲示板、水や雨や花びら………..作品の背景を彩る美麗な背景は、そのどれもが日常生活における、至って普通の風景がとても丁寧に描かれている。
物語を彩り飾る役目もあるのでしょうが、背景がリアルだから、その物語に現実感を与えているようにように感じます。
そして、見せ方が上手い!!!
淡く・切なく・哀しい物語は、主人公たちの感情が伝わってくるようで、見ているとギュッと胸を締め付けれたり、切なすぎて息苦しくなるほど。
そして、その登場人物たちの感情が込められたモノローグがとても素敵で、優しくてまた切なくて。
以降は、『新海誠展』の具体的な展示内容などに触れています。
ネタバレありです!!
作品展感想
本展は、作品番号はついているものの、絵コンテや設定資料など作品番号があまり意味をなさないような展示なので、ブログの感想では作品番号を省きます。
全体的な感想
「ほしのこえ」から「君の名は。」までの6作品に関する膨大な資料展示をを追いながら、新海監督の映像表現の変化や作品づくりに対する想いを知る本展。
国立新美術館の展示会場はとにかく広いです。沢山の来場者数を予想してか、とてもゆとりのある空間になっていて、いい雰囲気でした。
展示室の壁は真っ白な白色なので、展示されている作品や美術ボードなどが映えるとともに、どこか「白紙の背景」という印象を受けました。
(CINRA.NETより)
展示資料の、絵コンテに書かれた台詞は、その時点でもう既に監督独特のモノローグ調的な美しさを持っていてるように感じました。
美術背景パネルは、とても細密で鮮やかで綺麗な風景写真のようでした。
映像展示は展示会場に“動き”と“色”と“音”を添えていました。
そして、神木隆之介さんの音声解説から、新海監督のメッセージからも作品愛が伝わってきました。
(CINRA.NETより)
正直、本展では初披露という展示品も数多いものの、一方で既に出版されている絵コンテ集や設定画集などを見れば、それで資料としたは事足りる部分も多いです。
しかし、「紙ベースの資料」としてではなく、是非に「展示品としての作品」として観てほしいです。
会場の雰囲気や、展示の仕方、音や照明、もちろん初披露の品も含めて、作品展という形で観る価値はあると思います。
本展、本当に広くて、展示作品も多くて随分とゆっくり観てしまいました。
2時間半では物足りないという感じです。(閉館時間なので2時間半で我慢しましたが…………あと1時間欲しい!)
作品数が多いという点と、音声ガイドを聞いていたという点、映像展示が多いという点が理由でしょうねぇ〜。
(ナタリーより)
音声ガイドについて。
今回は『君の名は。』で主人公を演じた神木隆之介さん。声の仕事としては配役は良かったと思います。
ただ、人物としては微妙でした。というのも、神木さんは自他共に認める新海ファンで、音声解説の合間に自分の意見や愛情を挟み込んでくるんです。
作品展の音声ガイド・音声解説は展示物の解説や、鑑賞者に疑問を投げかけても、自身の感情を語っては駄目だと思います。
1章
「ほしのこえ」
新海誠は、監督・脚本・絵コンテ・作画・美術など、そのほとんどを一人で制作した本作で2002年に商業デビュー。本作品は、宇宙と地上に離れた主人公たちの心のつながりと孤独を、完成度の高い映像で表現している。
当時、25分のフルデジタルアニメーションを、非常に高いクオリティながらひとりで制作したことは観客に強い衝撃を与えた。それはまたパソコンやインターネットが急速に普及した、2002年当時の時代性を象徴する出来事だったとも言えるだろう。(公式サイトより)
予告動画
新海誠監督がたった一人で作り上げ、小さな下北沢のトリウッドで上映された際のポスター。
当時はまだ新海監督を知らなかったので、始まりの第一歩であるこのポスターを見られたのは嬉しかったです。
絵コンテの展示。
一人で制作したということは、この絵コンテも、その先も全部一人で制作したということはですよね、凄いです。
監督独特の人物の雰囲気、監督手書きのキャラクターデザインが見られました!
小さな指示書きが沢山で、中にはアイスの箱の商品名指定まで。細かくて美しい背景の理由の1つを見た気がしました。
また、台詞も書いてありました。この台詞が、この絵コンテの時点で監督のモノローグ調的な美しさを持っているように感じました。
(新海誠展公式サイトより)
背景美術と場面カットがパネルとして展示されていました。
映像の画質の関係からか、引き伸ばし印刷をしたからなのか、「凄く綺麗!」というよりも「ちょっと汚くなっちゃったな」という残念な印象に。
単館上映で40数名の劇場なのに、連日満員で特別上映が繰り返されるほどに人気だった『ほしのこえ』。
そんな話題の作品の特集記事や、監督へのインタビュー記事、DVDや書籍など当時の資料が展示してありました。
雑誌アニメージュの中で監督が
「携帯をテーマにしたお話が作りたかった」
と言っていました。
音声ガイドでは、新海監督がこの作品を制作した理由について
「最初の作品で宇宙を舞台にしたのは、子供の頃からの宇宙への憧れや、他の星に行きたいという想い」
からだと紹介がありました。
神木さんは「私たちは、たぶん、宇宙と地上にひきさかれる恋人の、最初の世代だ。」という台詞に対して
「これほどロマンチックで悲しい台詞はありませんよね」
と。
本作制作当時のパソコンが再現されていました。
こんなにスペックの低そうな機械で、あんなにスペックの高い作品を作ったのですね。
(ナタリーより)
「2章 雲のむこう、約束の場所」からの感想は、以下の『続きを読む』をクリックしてください。
2章
雲のむこう、約束の場所
日本が南北に分断されたもうひとつの戦後の世界を舞台に、SF的要素を盛り込んだ物語の中で交錯する登場人物たちの姿を描いた長編アニメーション。
新海誠にとって初の長編劇場アニメーション制作であり、集団制作に挑んだ本作は、その後の新海誠のアニメーション制作につながる多くの出会いを生み出すこととなった。また本作品は、その年の名だたるアニメーション作品を押さえ、「第59回毎日映画コンクールアニメーション映画賞」を受賞した。(公式サイトより)
予告動画
監督初の長編。
監督曰く、
「とにかくなんとか完成に漕ぎ着けて、それが精一杯だった」
そう。
絵コンテの展示。
『ほしのこえ』の絵コンテは指示書きが手書きだったのに対して、こちらはワープロ文字だったのが残念でした。
手書きの温かさというか、伝えたいことがこもっている感じが無くなってしまっていた気がして残念です。
キャラクターの設定画。
新海監督のキャラの雰囲気を残しつつも、どこか柔らかくて丸い印象のキャラデザに変わりました。
作画&場面カット。
基本的には登場人物の顔が大きく映っている場面の作画が展示されていました。
思ったのは、最近のアニメの作画に比べて、線が細いというか、弱いというか。そんな印象でした。
(MANTANWEBより)
映像作品展示として、パイロット版が流されていました。
これはホームページ上で公開されたもので、3分程度の短いものです。映画本編とちがい、サユリが再開に向かって自ら行動していきます。
本編のシーンを展示している液晶画面。
音声ガイドで神木さんの好きなシーンは「廃駅からサユリが落ちそうになるのを助ける場面」だそう。
また、電車関連のシーンが多いことについて
「電車のシーンは監督の思春期などの想い出がいっぱい詰まっている」
とのこと。
長編と言うことで、後まで続く美術背景チームが設立されました。
ただ、本作の雲の描写は、ほぼ全て新海監督が手を加えているそう。
(AV Watchより)
そしてなんと、映画に登場する飛行機「ヴェラシーラ」の1/2再現モデルが展示!
広く青い空を背景に、天井から吊り下げられています。
(ナタリーより)
ただ、立体にすると微妙ですね。映像とした観ていると綺麗なんですがねぇ〜。
また、ヴェラシーラの設定画なども展示してありましたが、宮崎駿作品の飛空艇に似ていました(笑)
新海誠展Twitter ↓
11日の開幕に向けて着々と展示の準備が進んでいます。展示室の高い壁に、あの白い塔が現れました。この青空に浮かぶのはもちろん、、、、お楽しみに!#新海誠展 #雲のむこう約束の場所 pic.twitter.com/g9RmARpLFm
— 新海誠展 公式アカウント (@Shinkai_ten) 2017年11月7日
新海監督の言葉
何かを見つけたいのだけど見つからなくて、その答えのガイドのようなものがとりあえず欲しくて、そのために色々な作品を観たり、聴いたりするようなところってありますよね。
だから現時点で僕が見えている答えなり励ましなりを作品に込めたかったし、ラストのセリフにもその思いを込めました。
3章
秒速5センチメートル
「桜花抄」「コスモナウト」「秒速5センチメートル」という3つの短編で紡がれる、少年少女の儚く切ない物語。
新海監督にとって3作目となる本作ではそれ以前の作品に見られるSF的な要素は陰を潜め、現代の日本が舞台となり、現実に起こりえる出来事だけで構成されている。
人と人との関係やそれぞれの思いが、時の流れとともに移ろいゆく様を美しい映像で表現し、公開されると大きな話題となり単館上映ながらも異例のロングランとなった。(公式サイトより)
予告動画
秒速5センチメートル。
監督曰く、
「『自分の絵はどんな絵か?』と聞かれたら、この作品の絵だと思う」
という作品だそう。
3話構成の本作、本展でも3部に分けて展示してありました。
第一話 桜花抄
絵コンテ。
絵コンテの時点から既に美しいです。特に、水溜りに映る桜の木の場面、数色の鉛筆による絵コンテなのに、本当に綺麗でした。
(MANTANWEBより)
展示してある場面カットはどれも本当に綺麗でした。
会場を見渡したときに、白い背景にピンク色の桜が本当に綺麗に映えるんですよ。
美術背景の制作工程として、この場面カットの制作が紹介されていました。
50枚にも及ぶレイヤーを重ね合わせていると聞いて、本当に驚きました!(背景なので人物は除かれます)
(AV Watchより)
それから、展示の仕方として良かったのが3種類を並べて展示する方法。
・ロケハン写真
・美術背景
・場面カット
要するに、現実の実際の風景と、映画とでどう変わったか、どう同じなのかが比較して見られます。もう、本当に写真通りに実際の風景に即した背景で、綺麗でした………。
(AV Watchより)
音声ガイドの中で、監督の発言の紹介が。
「人生には悲しい事もあるんだけど、登場人物を美しい風景の中に置くことで、『あなたも美しさの一部です』と肯定したいという思い。
だそうです。
第二話 コスモナウト
第二話の展示に入る前に、丁度休憩室の前なんですよ。なので、音声ガイドでもちょこっとリラックスタイム。
クイズが出題されました!
Q.猫好きの監督が飼っていた猫の名前はどれ?
1:チョビ
2:ミミ
3:ミカコ
4:サユリ
第二話は種子島のサーフィン女子と言うことで、第一話と違い、どこか激しい(?)イメージが。
展示してあった作画で目を引いたのは、やはり「ロケット打ち上げ」の縦に長いカット。このシーン、大好き!!
(MANTANWEBより)
新海監督の言葉
風景は、辛いとき、苦しいとき、一番身近な“救い”になってくれると思うんですよね。俯瞰で見れば、人は楽しい風景に包まれていて、大きな世界と繋がっている。
第三話 秒速5センチメートル
パネルの解説によれば、3話は11分20秒と短いが、音に合わせて大量の場面を見せているので、1,2話と同等のカット数。
驚きましたけど、最後の怒涛の場面カット早切り替えは凄いし、それ故に密度も濃い印象ですしね。
最後に映像展示として山崎まさよしさんの主題歌『One more time,One more chance』が流れる本編のラスト部分が液晶画面にて上映されていました。
このシーン、本当に大好きなんですが、最後の踏切場面での台詞が無かったのが残念!(まぁ主題歌に焦点を当てた展示なので仕方ないですが)
主題歌
4章
星を追う子ども
「日本の伝統的なアニメーション制作の方法で完成させる」ことを目指して制作された本作は、「秒速5センチメートル」から一転し、地下世界アガルタを舞台に展開される冒険ファンタジーとなった。
デジタルで制作してきた新海は、本作ではあえてアナログの手描きでコンテとイメージボードに取り組み、ビジュアル面でも「物語を語るための器」として、より親しみやすい絵柄を目指し、世界名作劇場など既存の日本アニメ作品を彷彿とさせるものとなっている。(公式サイトより)
予告動画
この作品を監督は
「観た人に、単純に楽しかったと思ってもらえる作品にしたい」
と言っていました。
女性や子供に届いた一方で、従来のファンからは賛否両論だった本作。
映画のイメージボード。
元々映画自体が「ジブリっぽい」とは感じていましたが、このイメージボードはよりジブリっぽいです(笑)
新海監督のはかなり絵的で、丹治匠さんの(下の画像)は凄く淡くて綺麗でした。
(新海誠展公式サイトより)
コンセプトアートは作品の内容がファンタジーと言うことで、かなり“それっぽく”見えました。
本当に、ファンタジー映画やゲームのコンセプトアートそのままです。
キャラ設定画。
普通のTVアニメのキャラ設定画みたいだと思いました。これまでの新海作品3つは、笑う表情の設定や絵コンテがほとんど展示されていなかったので、意外というか、イメージと違うというか。
そして、映画のなかで重要なアイテムとなる「鉱石ラジオ」の再現模型が展示してありました。
正直、安っぽすぎて残念です。一番重要な鉱石の部分がプラスチックのようで…………。
(アニメイトタイムズより)
「前進するキャラクターたち」というタイトルのつけられた解説展示。冒頭の文が良かったです。
走るアスナ、星空を求めるシュン、馬を駆るシン、崖を下りるモリサキ。 それぞれ「喪失」を抱えた彼らは、正しい道も分からないまま、とにかく必死に進んでいく。
真っ白な壁に、イゾクの絵がありました。
背景が白だから、黒いイゾクは目立つんですよ。本当に奇妙で。
(ナタリーより)
最後の映像展示は熊木杏里さんの歌う主題歌『Hello Goodbye & Hello』のアニメ版ミュージックビデオが。
この歌も、本当にいい歌ですよね。
別章
新海誠を育んだもの
新海誠監督自身にスポットライトを当てた展示でした。
まず大きくて長い「新海誠の歩みと時代の変遷]という年表。
作品の取り組み状況や世に出た新技術の紹介などで、いかに時代を渡って最先端の映像美を描く監督になったのかを解説。
(ファミ通.comより)
新海監督を育んだ、書籍も展示されていました。
(ナタリーより)
新海誠Twitter ↓
明日から国立新美術館で開催される「新海誠展」、今日は神木くんと一緒に会見などさせていただいています。展示にはまさかのこんなものまで!MZ-2000と絵本『すてきな三にんぐみ』、その奥には『イース2エターナル』のオープニング!自分の原点なんです。嬉しいなあ。 pic.twitter.com/Ckl2XyPqyT
— 新海誠 (@shinkaimakoto) 2017年11月10日
『アナザーワーク』として紹介されていたのは、本展の章になっている6作品以外の短編やCM作品など。
(アニメイトタイムズより)
・彼女と彼女の猫
本編動画(約5分)
・NHKみんなのうた「笑顔」
・信濃毎日新聞CM
本編動画(20秒)
・猫の集会
・大成建設CM ボスポラス海峡トンネル
・大成建設CM スリランカ高速道路
・だれかのまなざし
・クロスロード
本編動画(120秒)
・大成建設CM ベトナム・ノイバイ空港
本編動画(30秒)
・サントリー×君の名は。
また、「世界に広がる新海誠」として各国の受賞記録や、海外版のポスター、書籍やDVDパッケージなどが展示!
(ファミ通.comより)
5章
言の葉の庭
万葉集の一篇から始まる『言の葉の庭』は、古典の題材をモチーフとしながら、愛に至る以前の孤独「孤悲」という普遍的なテーマを、現代の東京を舞台に鮮やかに描き出している。
デジタルデバイスの進化や視聴環境の変化なども鑑み、高精細な絵づくりにこだわり、様々な雨の描写や、匂い立つようなみずみずしい草木、すべてのシーンでこだわり抜かれた光の表現など、新海誠の真骨頂であるきわめて美しい映像を存分に味わうことができる。(公式サイトより)
予告動画
まずこの5章に入って驚くのは雨の音。
このブースには入ると、どうやら自動的に音声ガイドが流れて、雨音がなるように設定されているようです。
なかなか粋な演出!!
これまでと違う展示が姿を表します、企画書です。
前作『星を追う子ども』で賛否両論を得て、観客が観たいものを知った監督が書き上げた企画書です。
絵コンテから感じたのは、これまでの作品と違ってデジタルな雰囲気が漂ってきたということ。
でも、それはより素晴らしい作品を生み出すための進歩です。
「雨の映像表現」という題の解説パネル。
雨の種類の多さ、心情と天候を連動させた映像の難しさと素晴らしさを解説。
そして、5つの液晶に映し出された雨のシーンが、本当に綺麗すぎました!!
(CINRA.NETより)
映像展示として、秦基博さんの主題歌『Rain』が流れるラストシーンが再生されていました。
このシーン、物語の1番の盛り上がりどころで感動どころ、しかもこの音楽の入れ方!
「言の葉の庭」イメージソング
最後に、劇中でタカオがデザインしていたユキノ先生の靴の実物が展示されています。
見た目、お洒落重視の靴ですね。
新海誠作品PRスタッフTwitter ↓
ちなみに、現在開催中のことば館での『新海誠展-「ほしのこえ」から「君の名は。」まで』では、「言の葉の庭」のタカオデザインの靴は、この写真のようにラストシーンをイメージした作り込みの展示を行っております!ぜひ実際に目で見てみてくださいね~ pic.twitter.com/YyTQmoDL4N
— 新海誠作品PRスタッフ (@shinkai_works) 2017年7月9日
6章
君の名は。
新海誠の最新作である本作は、出会うはずのないふたりの男女が夢の中で“入れ替る”という、不思議な出来事を巡る物語。
美しい映像とエモーショナルな音楽で展開され、新海誠の魅力が随所に盛り込まれた集大成でありながらも、新たな要素により、映像・ストーリー・キャラクター・音楽、どれを取ってもまさにひとつの到達点ともいうべき作品となっている。
結果として国内動員数1900万人を突破し、世界中でも大ヒットを記録。社会現象にまで拡がった。(公式サイトより)
予告動画
大ヒットした『君の名は。』
展示してある企画書によれば、原案時点ではタイトルは「夢と知りせば(仮)──男女とりかえばや物語」だったそう。
(アニメイトタイムズより)
やはり、キャラクター設定画などを見ていて思うのは、これまでの作品と違って、人物が完全に「アニメキャラ」になってしまったなぁ〜という残念感。
そして、本作はこれまでの作品以上に登場人物が多いので、そういう意味でも展示が絞りきれず、グチャグチャだったかもなぁ〜と。
(MANTANWEBより)
オープニング3D構造再現モデル
映画のオープニングで新宿にいる滝から、糸守にいる三葉まで一気に飛んでいくシーンがあります。
それを3D模型で再現! 大きなな台座に、複数枚のガラス板にレイヤーを貼り付けて、3Dに。
これは面白い展示!
(CINRA.NETより)
(AV Watchより)
三葉が踊る巫女の舞。
とても滑らかな映像で、3DCGかなぁ〜なんて思っていたら、実写映像を重ね合わせるという方法だったんですねぇ〜!
絵コンテ展示で面白かったのは、スマホの画面で、フリック入力の場面を描きたいというカットに、実物の写真を貼り付けていた事。
「こういうのもありなんだなぁ〜」と驚きました。
音声解説で、実際に主人公を演じた神木さんは
「新海作品は些細なニュアンスが大切」
だから難しいと言っていました。
RADWIMPSが担当した劇伴と主題歌。
映像と音楽をリンクさせるため、同時進行的な制作方法が取られました。
主題歌『前前前世』
主題歌『スパークル』
そしてキーアイテムの「組紐」。
資料として使われた組紐組台の実物が展示されていました。
また、ムスビについても解説がありました。
(アニメイトタイムズより)
最後は、大きなスクリーンで本編映像を観て、大人になった2人が出るラストシーン前後の絵コンテや資料で終わりです。
(CINRA.NETより)
別章
6つのテーマで読み解く新海誠
まず最初にお断りしておきます。この「別章」というのは私が勝手に付けました。ブログの見た目上、付けました。
6つのテーマで読み解く新海誠
各項目の下の文章は、展示パネルからです。
・ディスプレーに映し出されるもの
言葉を重視する監督ならでは。
・列車というモーション/エモーション空間
列車の運動と人間の感情の連動を意識的に描き続けてきた。
・すれ違いと対面
人と人との距離感が、「すれ違い」という具体的なシーンを通して表現される。
・場所をつなぐ空間としての階段
階段とは「上」と「下」の場所をつなぐ経路
・雨宿りする男女のための場所
天象とは風景の構成要素であると同時に、心象を映し出すメタファー。
・カタワレ時の奇跡
新海作品では、夕方の日没直前までの時間帯が重要なシーンに選ばれることが多い。夕やみ迫るこの時間のことを、古来より日本では黄昏時と言い表してきた。
クロージングムービー
横長のスクリーンを区切ったり、1つにしたりして、これまでの作品の名台詞と名場面を集め、対称に映したり、正反対に映したりする映像作品。
とても素敵な映像でした!
(ナタリーより)
フォトスポット
写真を撮れるスペースです。
まず、『君の名は。』の劇中で滝くんが足を止めた飛騨の写真展示(風のパネル展示)
それから、『言の葉の庭』の世界に入れる、4K画質のAR写真撮影スポット。
あとは、スタンプ台もここにありました!!
今回の『新海誠展』、なんとプレミアム内覧会で観てきました!!!
ダメもとで応募してみたら当選しました。心の底から喜びました!!
作品展開催の一日前に、1000組2000名限定で行われたプレミアム内覧会。一般の方よりも一足先に鑑賞出来るという嬉しさと、人数が少ない中でゆっくりと鑑賞出来るというのが本当に素晴らしかったです!!
私は、美術展に行った時のお土産はポストカードと決めています。
今回は、この『秒速5センチメートル』のものを買いました!!
最後まで読んでくださり、
本当にありがとうございました!!