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【個展】『雛譚・雛菜雛子展 ーH美学に反する處女の王国ー』:悪夢のような乙女の世界。

2018年10月27日訪問・感想&レポ
※人によっては不快に感じるかもしれません。

雛譚・雛菜雛子展 ーH美学に反する處女の王国ー

 

 
【一言】

ヴァニラ画廊にて。
ピンク色の作品が並ぶ展示会場内は一見すると「乙女チック」。
しかし描かれた内容は悪夢のようなダークなメルヘン。

可愛いメルヘンとグロテスクな隠喩が非常に惹かれる。

 
【Twitter140文字感想】

 

 

 

 

概要&作品紹介

 

概要説明

世界的ブームとなった原宿カワイイ文化に代表されるポップ&キュートな「少女」の世界。雛菜雛子はそれと一線を画し、少女の内側に潜んだ暗黒面、自慰的な死、ナルシシズムなど、儚げな闇の世界を「癒し」として描いてきました。
まぶしすぎる光だけでは成しえない、暗くよどんだ闇に身を浸すことでしか得られない癒し。その闇を必要とする人々に作品を届けるのが、雛菜雛子の背負った宿命です。
この独自の作風は国内だけでなく、アメリカのカルチャー誌「VICE」が運営するフェミニズム特化サイト「Broadly.」やファッション誌「GLAMOUR」のドイツ版で取り上げられるなど、海外からも他に類のない女性作家として注目されています。

(公式HPより)

会場:ヴァニラ画廊
会期:2018年10月23日~10月28日
料金:無料
公式サイト:こちら

 

 

 

 

全体感想

 

 「ヴァニラ画廊」で実施なので“それ相応”の内容でしたし、それを期待して行ったわけですが、やはりセンセーショナルな作品が多かったです。
 衝撃的というか、「こういう世界が描けるって凄いな」と。

(Twitterより)

 Twitterの感想が上手く書けた気がします。

ピンクの悪夢。
残忍なメルヘン。
優しいグロテスク。
生死を抱くプリンセス。

 対極にあるような2つがかき混ぜられて、混ぜ合わせられたような世界観やモティーフが描かれた絵画は非常に印象的で、「可愛さ」と「違和感」のようなものが混在する内容だたと感じました。

《「可愛い絵画」の中に描かれる、性器の隠喩やセクシャルな寓意》

 これもまたTwitterからですが、私は性器を始め性的な内容を用いた作品に大きな魅力を感じるので、個人的な好み(?)にピッタリでした。
 別に「エロいのが好き」というよりは、むしろ生々しさやグロテスクさを残していたり、生体的というかバイオチックな部分が強調されているように感じるのでとても惹かれます。

 そんな雛菜雛子氏の作品は至るところに“そういったモティーフ”が描きこまれている(と個人的に感じた)ので、とても興味深く観ることが出来ました。

 雛菜雛子氏の作品は平面や立体ともに「ヒエロニムス・ボス」の作品に似ている面白さがあると感じました!

 ボスはルネサンス期に活躍したネーデルラント(ベルギー)の画家で、私が特に大好きな画家です!
 その面白さは、1点の作品に様々な魑魅魍魎や天使, 悪魔, 妖精などを描き込み、さらに沢山の宗教的・政治的モティーフを加えた上で、ユーモアある画面に仕上げていながらも、色々なメッセージが読み取れる点だと思います。
映画『謎の天才画家 ヒエロニムス・ボス』予告

 そして、雛菜雛子氏の作品もメルヘンチックでありながら現実離れした化物的な存在を描きこんだり、おとぎ話の登場するような様々なモティーフを盛り込んだりと似ている部分が沢山ある気がしました。
 ただ、「メッセージ」という点では感じ取れる部分が少なく、そこは大きな違いかなぁと。

 個展が開催された部屋はとても狭く、学校の教室の1/4くらい。
 その空間に作品が並べられており、ほとんどの作品はピンク色を基調としているので、入り口から全体をみると乙女チックな雰囲気が漂っていました。

 しかし、会場内に入って作品を実際に見ると描かれているものが見えてくるわけで、最初に感じた「乙女チックな雰囲気」とは全く違う、「ダークな空気」が感じられました。

 それから、作家の雛菜雛子氏が在廊していました。
 特に会話したわけではないですが、所謂「カワイイ・ファッション」(ファッションには詳しくないですが…)の格好で、凄かったです。

 

 

 

 

展示の紹介

 

 展示内容の紹介ですが、あまり紹介できないです。
 メモをちゃんと取っていなかったのと、ネットで画像を探せなかったので…..。掲載している画像は基本的に雛菜雛子氏のTwitterやInstagramからです。

 

作品名:供養

(Twitterより)

 題名は「供養」で、見るとお膳やキュウリで作った馬が描かれています。

 しかし、やはり印象的なのは少女なのか人形なのか、“女の子”です。
 腕をリボンで柵に繋がれ、題名から察するに死んでいるんですかね。しかも、お腹が裂けて中から綿のようなものが溢れ出ています。形状的に、女性器のメタファーだと私は思いました。

 

 

 

連作:パルピリオン。パルピリオン。捕まえて。
作品名:ママゴト

(Twitterより)

 『パピルリオン。パピルリオン。捕まえて。』は連作のタイトルでした。
 そもそも「パピルリオン」って一体何なんでしょう? シリーズの作品を観ていると最後に『パピルリオン 捕まった』というような題名の作品でウサギが捕まっていたので、ウサギの名前でしょうか?

 この作品も、ウサギの持つ少女にはちゃんと性器が描きこまれているし、脇のママゴトのテーブルから溢れた赤い液体がドレスを汚している描写とか思わせぶりですね…。

 

 

 

作品名:mement

 この作品は特に「ヒエロニムス・ボス」に似ていると感じました。
 様々なモティーフ──流れる真珠、ベッドの黒犬、人面の亀….が描かれているし。中心の少女のドレスの裾は膣のように感じるし、背後のハートは天使の羽根か子宮のイメージか……。

 それから、少女のドレスが階層に分かれた塔のような構造になっています。
 これを観て思い出したのは、「ピーテル・ブリューゲル」の『バベルの塔』です。ブリューゲルもボスを継ぐ画家です。

 

 

 

作品名:ドールハウス

(Twitterより)

 比較的大きなドールハウスの中に、小さな絵画が並べられています。
 並べられている部屋と描かれた絵の内容が少し被っているようで良いと思いました。

 抜けた歯にリボンを結んだ絵が台所にあったり、血のついたコットンのようなものが洗面所に置かれていたり。

 

 

 

作品名:Virgin Mary

(Twitterより)

 作品『Virgin Mary』は脚が沢山生えている立体作品の方です。
 題名は『処女マリア』や『聖母マリア』という意味です。

 この脚が沢山生えている感じ、好きです。
 そして、上の画像にもある1つ目の別作品がありますが、『Virgin Mary』の脚が取れて目が生えたように感じられて、少し不気味でした。

 

 


 

 展示内容の紹介は以上です!

 同じ期間に、ヴァニラ画廊のもう一つの展示室では、球体関節人形作家「周(あまね)」氏の個展も開催されていました。

 

 

 


 

 

 

 最後まで読んでくださり、
 本当にありがとうございました!!

 

 


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