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【美術展】『ぼくらが日本を継いでいく』───日本の美は時代を取り入れ進化する。

2018年1月13日

ぼくらが日本を継いでいく─琳派・若冲・アニメ─

@新宿高島屋

 

一言

日本美の象徴として、伝承と模倣で時代の“新しさ”を取り入れてきた『琳派』。

現代にも響く美意識・技・誇りを『琳音』として描く。

懐かしさを覚えるキャラ達と、日本画とのコラボは綺麗で美しいけど、「描き加えただけで、創造性に欠ける」と違和感も覚えました。

 

 

 

展覧会概要

あいさつ

 

 日本美の象徴ともいわれる琳派、そして傑出した個性の絵師、伊藤若沖。
 国内のみならず海外にも広く知られて人気の高いこれらの美術作品は、後世のクリエイターをも魅了し、創造の源泉となり続けてきました。

 ここにご紹介する現代の日本画には、漫画・アニメなど、画像や映像を通して親しまれているキャラクターたちが、琳派や若沖など江戸時代以来の名画の一場面を借り、あるいはモチーフの一部に成り代わって登場します。
 意表を衝くマッチングの妙、そして背景も主役もすべて手描きによって写し取った、絵師の筆技も見どころです。

 世界に発信され多くの人々に愛される古今のジャパニーズアート、その融合をお楽しみください。

(主催者「あいさつ」より・一部改変)

 

 

 

「琳音」とは

 

 京都の美術館の館長、呉服メーカーであり日本が工房でもある豊和堂のアートディレクター、友禅絵師が現代を描く日本画の制作プロジェクト、それが「琳音」です。

 何世紀にもわたって受け継がれてきた日本の絵師たちの仕事は、時代によって主題も形式も様々に変わりますが、その根幹には一筋に貫くものがあります。
 民族のアイデンティティともいうべき美意識、磨き抜いた技をふるう誇り──それらは現代に生きる私達の中にも脈々と流れ、響き渡っています。

 こうしたコンセプトから、日本の装飾美術を代表する琳派の一文字をとって「琳音」という名がつけられました。

 RINne Associe

(展示解説パネルより・一部改変)

 

 

 


 

 

 

全体的な感想

※「琳派」についてほとんど知らない私が語っているので、間違いがあったら申し訳ありません。

 ずっと気になっていた美術展で、今回ようやく行くことが出来ました!
 思っていたよりも展示作品数が多く、どれも綺麗でした!!

 昔から我が国の「美」を描いてきた日本画と、アニメや漫画のキャラクターをゆうごうさせる今回の企画、取り組み、プロジェクト。このアイデアは私自身が大好きなものだし、発想は必然ですらあるのかもしれないと思いました。

 400年前に生まれた「琳派」は時代の流れとともに受け継がれ、模倣され、描く画家たちの理想と“美”を反映しながら今日まで続いています。その過程で「その時代の素晴らしいもの」を取り入れ、消化して、進化していたものです。

 だから、現代で高く評価され、大きな人気を誇るアニメや漫画などのキャラクターもまた取り込む対象になるのは当然だと感じました。

 そして今回の美術展で展示された作品の数々。もちろん綺麗でしたが、求めているものと違いましたし、これを「琳派の流れを汲む美術」とするのは不適当だと感じました。

 前述のように、どの分野の芸術作品でも、主題やテーマを継承し、影響を受けながらも、新しいモノを取り込んで噛み砕いて、オリジナルな新しい作品を生み出すものです。言うなれば、「オリジナルと二次創作の中間」というところでしょうか。

 一方で、今回展示されていた作品の多くは「描き足し」「合成」という印象を受けました。つまり、オリジナルな創作では無かったんです。
 背景は名作と名高い日本画を用いて、そこに主役として有名なキャラクターを配置する。またキャラの格好(特に初音ミク)は既存の版権絵とまったく同じで、コピペであるかのようでした。

 もちろん、琳派の有名な絵師の筆使いを再現した点を評価したりすべきなのでしょうがそもそも本物を観たことがないので評価のしようがありません(スイマセン)。

 また、背景に有名な日本画を用いたことで万人が楽しめる絵画になり、また美術展になったというのは確かだと思います。

 なんだかダラダラとよく分からない感想を書きました。
 プロジェクトの根本に多少の疑問は感じるものの、やはり知っているキャラクターが登場すれば嬉しいし、懐かしい気持ちで胸がいっぱいになりました!!

 

 

 



 

 

 

作品感想

 ※何点かピックアップ(?)して書いて終わりにしています。
 ※展示場の冒頭部分は写真撮影OKでした。

 

初音ミク × 桜に小禽
 元:酒井抱一「桜に小禽」

 会場の一番最初に展示されていた絵画作品です。白黒の墨画の中に佇む水色がかった初音ミクの姿がとても綺麗でした。ライトが当たっていたのでなおさら、浮かび上がって、輝いているように見えました!

 斜めの角度で申し訳ないんですが、酒井抱一によるオリジナル版も展示してありました。

Dollfie Dream®「初音ミク」
 若冲 葡萄模様着物

 背景に映っている先ほどの「初音ミク × 桜に小禽」の中でミクが着ている着物です。立体にするとまた印象が変わります。 髪の色と同色の模様で涼しげです。

 この着物、我々人間サイズも展示してありました。

火の鳥 × 松島
 元:尾形光琳「松島図屏風」

 大きくそそり立つ岸壁と、荒れ狂う波を眼下にして優雅に飛ぶ手塚治虫の「火の鳥」。金色をした背景に劣らないほどの輝くを放つ火の鳥がとても美しかったです。

 

火の鳥 × 旭日蓬莱山

 「蓬莱山」とは海の彼方にあり、不老不死の神仙が住まう理想郷だそう。神々しい輝きと、死んでも炎の中から生き返る不死性を持った火の鳥にピッタリのモチーフだと思いました。

初音ミク × 燕子花
 元:尾形光琳「燕子花図屏風」

 琳派の代表作とも言える作品です。緑青と群青で彩られた燕子花と、ブルーグリーンのミクの髪が同系色でマッチしています!
 ただ、色は良くても絵のタッチが違うというか、「燕子花」と「ミク」の細かさが違うから、合成みたいに思えてしまいました…………。

ジャングル大帝 ユニコ × 双犬
 元:俵屋宗達「双犬図」

 二匹の犬がじゃれ合っている様子。最初「あれ?レオって犬じゃなくて猫だよな…..」って思いましたが、よく考えたらユニコも犬じゃないですね(笑)

鉄腕アトム × 富士山

 「鉄腕アトム」と「富士山」のコラボと言ったら、日本を代表するアニメと、日本の象徴のコラボじゃないですか! 私が両者に共通して感じたのは“力強さ”でした。

鉄腕アトム × 月に葛
 元:鈴木其一「月に葛図」

 先ほどとは大きく雰囲気が変わって、今度のアトムはなんだか可愛いです(笑) でも確かに、漫画でも「子供としてのアトム」と「ヒーローとしてのアトム」の2つが込められていましたよね。

リラックマ  × 月波
 元:神坂雪佳『百々世草』の「月波」

リラックマ × 雪中竹
 元:神坂雪佳『百々世草』の「雪中竹」

リラックマ × 朝顔
 元:神坂雪佳『百々世草』の「朝顔」

リラックマ × 花舟
 元:神坂雪佳『百々世草』の「花舟」

リラックマ × 軒端の梅
  元:神坂雪佳『百々世草』の「軒端の梅」

リラックマ × 磯馴松
  元:神坂雪佳『百々世草』の「磯馴松」

 「リラックマ」が続きました。もちろんここで挙げた以外の作品もあったので、随分と多いという印象を受けました。(まぁ私は別にリラックマが好きな訳ではないので、少し残念でしたが。)

 私が評価したいのは、リラックマという同じキャラを何回も用いるに当たって、同じ『百々世草』という本から絵を選んでいるという点です。統一性があっていいと思いました。

 ただ、リラックマがこの主題にあっていたかというと、そうでもないです。なんか、非現実的と感じてしまったというか…….。絵調と合っていないし、無駄に可愛すぎるし、色味も濃すぎるような気がしました。

初音ミク × 若冲鶏
 元:伊藤若沖

 この絵は本当に美しかったです!
 まず、ミクの輝かしい青色の髪の塗り方が本当に綺麗! そして、鶏の尾羽とミクの髪の毛が見事にマッチしていて、とても印象的でした。

ユニコ × 箒
 元:伊藤若沖「仔犬に箒図」

 「可愛らしいなぁ~」というのが第一印象でした。このユニコの眠そうな表情とか最高じゃないですか!? 箒が柔らかそうなのもまた、良いのかもしれません。

文豪ストレイドッグス 中島敦 × 葡萄
 元:伊藤若沖「葡萄図」

 現代アニメが来ました。中島敦の他に太宰治と芥川龍之介のコラボ日本画も飾ってありました。どのキャラも派手な色使いをしてないから、墨で描かれた日本画にも大きな違和感なく溶け込んでいたように感じました。

ブラック・ジャック × 富士烏
 元:伊藤若沖「富士烏図」

 この絵もすごく良かったです。真っ黒な服を纏ったブラック・ジャックを烏と合わせているんだと思います。マントを風になびかせながら、一人孤独に荒野を歩く彼の姿は、漫画の内容そのものに重なると感じました。
 (烏の寂しげな鳴き声が聞こえてきそう………)

火の鳥 × 旭日に波濤
 元:酒井鶯浦「旭日に波濤鶺鴒図」

 鶺鴒《セキレイ》は日本神話の「国生み」でイザナギとイザナミにやり方を教えたことで知られている鳥で、結婚式などでも目にするかと思います。
 そんな鶺鴒のつがいの上を飛ぶのは、華麗に羽ばたく火の鳥です。旭日も相まって、とても素晴らしい絵だと感じました。

リボンの騎士 × 東下り
 元:鈴木守一「業平東下り図」

 おわかりの通り、『伊勢物語』に登場する在原業平の東下りを描いた絵のリボンの騎士ver.です。考えてみると、馬に乗ったキャラクターってあまりいないのかな~なんて。

 

 

 



 

 

 

  感想は以上になります。
 いつも、美術展に行った時はお土産にポストカードを買うと決めているんですが、今回はこの2枚を買いました!

 あ、あと書き忘れたというか、タイミングが無かったので最後に載せますが、新宿高島屋さんの入り口に、大きな火の鳥のオブジェが飾ってありました。

 

 

 

ということで、
 最後まで読んでくださり、
 本当にありがとうございました!!

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