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【映画】屍者の帝国

 

※ネタバレなし。

※画像は予告映像のキャプチャです。

2015年10月2日

 

屍者の帝国

 

 

 

【評価:4.5/5.0】

 


【一言】

さすが“ノイタミナムービー”。内容も描写も表現も最高!
「魂と言葉を巡る物語」。
内容がかなり濃くて難しく面白かった!(ここまで頭をフル回転させたのは久しぶり笑)


【目次】

 

 


 

 

ストーリー

「Project Itoh」による伊藤計劃作品の映像化プロジェクト1作目であり、「PSYCHO-PASS サイコパス」に続くノイタミナムービー第二弾。

 19世紀末。死体に疑似霊素を入れる「死者復活技術」の発達により死者は労働力として利用され、戦力として各国が技術を争っていた。
ロンドンの医学生ジョン・H・ワトソンは他界した親友のフライデーの身体を使って屍者化実験をし、成功。

 その実力から英国政府機関でスパイとして働くことになる。
 彼の任務はフランケンシュタイン博士が100年前に確立した「死者復活技術」の完成形への設計図を示した彼の手稿を奪取すること。

 政府のため、そしてフライデーのたった21㌘の魂を取り戻すために手稿を巡りイギリス、アフガニスタン、ロシア…と様々な国をまたぎ、敵と戦いながらも「魂」の真相に近づいていく…。

予告動画

 

 


 

 

作品データメモ

監督:牧原亮太郎
制作:WIT STUDIO
主題歌:EGOIST「Door」
上映時間:120分
日本公開:2015年10月2日
出演:細谷佳正,村瀬歩, 花澤香菜 and more.
公式サイト

 

 

 


 

 

Project Itoh

 32歳という若さで病没した作家『伊藤計劃』。
 「Project Itoh」と名付けられたこのプロジェクトによって彼の処女作=「ハーモニー」、遺作=「虐殺器官」、冒頭30ページのみを遺しこの世を去った伊藤に変わって盟友 である円城塔が書き継いだ「屍者の帝国」の3作品が映像化。 

「Project Itoh」とはこのプロジェクトの名前であるとともに“伊藤計劃”の名前でもある。

夭折の作家、伊藤計劃―。

僕達は、彼が計劃した世界を生きる。

『計劃〈Project〉は止まらない』

 

 

『ハーモニー』感想

 

『虐殺器官』感想

 

 

 

 


 

 

感想

感想外観

 さすが“ノイタミナムービー”!!
 こんなにも濃くて、厚くて、難しい内容は久しぶりです!
 難しすぎて所々理解に苦しみながらも120分、じっくりと楽しませてもらいました!

 この作品1つを観るために相当の知識量が必要だと思いました。
 まずは哲学。そして世界史、科学、文学……。ただでさえ濃い内容なのにそこに様々な情報を練り込んでいるからより複雑で面白くなるんですよね!

 そして“ノイタミナ”の特徴の1つであるのがアニメーションの表現だと思います。
 予告編からも想像出来ますが今作も凄まじいですよ!

 キャラクターが良いです!
 魅力的ですし、それ以上に遊び心?みたいなものがあって。(下の項目で詳しく書きます!)

 ただ、後半の展開が難しすぎというか、飛躍しすぎというか…。
 でも、このクオリティの作品があと2作品も公開されるんですよね!「虐殺器官」、「ハーモニー」が楽しみです!

 

 

 

 

 

”思考”を求めるアニメ

 濃くて、深くて、厚くて、複雑で…。
 このストーリーの充実度は“ノイタミナ・ブランド”ですね。(勝手に作りました笑)
 ストーリーがとにかく面白いから120分集中できるし、難しいから少しでも気を抜かすと置いていかれます。

 普通の映画つまり邦画、洋画、アニメーションなどはとりあえず見ていれば楽しめるし、理解できますよね。
 でも、今作はただ見ているだけだと全く理解できません。『見る』に『考える』を加えて観る事で初めて理解し、楽しむことが出来ると思います。
 思考することで初めて楽しむことができる作品。かなり大人な気分で楽しめますよ(笑)

 

 

 

 

 

登場人物

 登場するキャラクターが凄いです!

 何が凄いって過去に出版された文学上の人物、歴史上の人物の名前を使っているんです!しかも、作品の世界観に馴染見ながらも各キャラクターの原作の個性をしっかりと残している。

 見終わったあとに調べたくなりますよ。(Wikipediaがおすすめかもしれません笑)

 主人公である『ジョン・H・ワトソン』は言わなくてもわかりますよね?シャーロック・ホームズの相棒です。

 作品の主軸にもなる手稿を残したのは『 ヴィクター・フランケンシュタイン博士』。

 
『エイブラハム・ヴァン・ヘルシング』は文学「ドラキュラ」に登場、ドラキュラハンターとして名高いはずです。

 屍者である「フライデー」の認識番号は『Noble_Savage_007』。

 ここでは4人しか挙げませんでしたが登場人物のほとんどが実在した人物か、有名なキャラクターです。各キャラの原作作品での立ち位置などもしっかりと練りこまれているのが凄いと思います。

 

 

 

 

濃密な情報量

 かなりの情報が詰め込まれており、相当の知識がないと映画を観ただけで完璧には理解が出来ないと思います。

 自分も滅多にないことなのですが鑑賞中に全て理解しきれず、1/2〜1/3が若干、消化不良であるという状態でした。
 でも、鑑賞後にパンフレットを読んだり、ネットで調べるなどしてかなりスッキリしました。

  上のキャラクターの説明?の部分だけでも幅広い知識が必要だとわかりますよね?
 登場人物に関して言えば文学、歴史、映画…。各キャラだけでなく、そのキャラの背景や前後関係も知識としてあれば良かったと思いましたから。
 
 そして、やっぱり哲学ですかね?
 もちろん皆さんは『魂の重さが21㌘』というのは知っていますよね?
 死んだ瞬間に21㌘だけ軽くなる(一応、)実験に基づいて言われているものです。

 いいですか?何度も言うようにとにかく盛り沢山です!
 でも、このたくさんの知識が作品を数十倍面白くしているんです!
 もし観る方がいたら、鑑賞前でも、鑑賞後でもいいのでパンフレットを見たり、調べたりして見てください!本当に楽しめますから!

 とても参考になった用語集サイト

 

 

 

 

丁寧な映像

 「PSYCHO-PASS サイコパス」などでもそうでしたが“ノイタミナ”のあの描写は今作も健在!
 今作で楽しみにしていたもののうちこの映像に対する期待が5割ほどでしたから(笑)
 死体の解剖や屍者を倒すときに飛び散る血は略化することなくキッチリと描いているし、そもそも屍者が見事に描かれていました。

 屍者について言えば主人公らはいくつかの国や地域を旅して行くわけですがそこにいる屍者はそれぞれ特徴があり、本当に死体から造ったと感じさせます。
 イギリスの屍者、ロシアの屍者、◯◯の屍者…。それぞれの国の顔の特徴などを見事に掴んでいると思いました。

 また、歩いたり、闘ったりするシーンでの屍者の動きがとても良かったです!
 あとは、とある国の風景がどことなく浮世絵に似ていて「良いな!」と思いました。
 あとは、機械がとても精巧に描かれていました! 大量に並び、回転する歯車、絡み合う配線などが綺麗でした。

 

 

 

 

 

内容と構成

 前半〜中盤までのストーリー展開が最高に素晴らしかったです!

 一方で後半は難しすぎたのか、詰め込みすぎたのか「あれ?」という印象でした。 それまで哲学色の強いストーリーだったのに急にファンタジーが入ったような気がしたのが残念でした。
 また、表現がどことなくアニメの「ギルティクラウン」に似ているな〜とも思いましたね。

 この作品の最後(エンドロール後)に感激しました!
 こういう作品、大好きですよ!このワンシーンを見逃すのはもったいなさ過ぎです。
 個人的な解釈だとしてもとある登場人物についてピタリと全てのパーツが当てはまるような気がして気持ちよかったです!
(ただ、クレジットを注意してみているとどんなシーンかわかっちゃうんですけどね笑)

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 最後まで読んでくださり、
 本当にありがとうございました!!

 

 


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