2015年2月21日
『米軍史上最大、160人を射殺した、ひとりの優しい父親。』
【評価:4.9/5】
【STORY】
若い頃にカウボーイに憧れていたクリス・カイルは入隊し母国アメリカを守ることを決意する。 幼い頃からの射撃の腕で第一回派遣から正確に任務をこなしていく。 仲間からは「伝説」と呼ばれ、敵には懸賞金を掛けられる。 仲間を守るためとして2回、3回と戦地に赴くたびに心からは人間味が減っていくカイル。
アメリカ軍公式記録では最多の160人以上を射殺した男の伝記。
【感想】
★周りの音も気にせずに、まばたきさえ惜しく、一瞬空気が凍るような静かな興奮と、戦場や感情の激しい興奮が押し寄せて来ました。 これは自分にとって今までで最高クラスの戦争映画でした。
主軸にあるはっきりと伝えたい事と、見え隠れしながら鑑賞者に感じ取ってほしいのであろう本当に伝えたい事。しっかりと両方を感じ取ってほしいです。
★詳しくは下で書いていきますが戦争映画でここまで心を動かされたのは久しぶりです。本当に感動しました。 映画の最初で観客を一瞬にして集中させて映画に引き込み、中盤にかけてゆっくりと、しかし確実に外と内の変化を描き、エンドロールを含むラストと約5分で感動と思考、余韻の底に落とし入れられました。
●巨匠クリント・イーストウッドが描く戦争映画。仲間を守るために戦い、戦場で伝説と呼ばれる米軍兵士。一方で本国に残す家族との生活や心の変化に苦しむ父親。2つの大きすぎるものに挟まれて揺らぐ1人の男を描いた作品ですが誰が見てもここから感じるものは大きいと思います。
○映画の冒頭部分。ここでイーストウッドは一瞬にして観客をスクリーンに全感覚を集中させます。無駄に説明を入れずに滑らかに観客の注意を集めます。 実話伝記だと主人公の語りや回想で入る事が多いのでこれは凄く良かったです。 集中させてから…
●序盤〜中盤、終盤にかけてカイルの戦場での戦いと、心の中のストレスとの戦いが戦場と本国とを行ったり来たりして描かれます。 仲間を守りたいという思いと家族との葛藤が絶妙に映し出されます。
伝説と呼ばれる狙撃手になるに連れて人間らしさが欠けていくカイルを心配する妻。戦地へ派遣されていくごとに溜まるストレスからのPTSD。
除隊して段々と戻る人間味。
ただ、自伝を原作にしているわけですから仕方がないと思いますがイーストウッド作品にしては少し足りない気がしました。
伝説と呼ばれる狙撃手になるに連れて人間らしさが欠けていくカイルを心配する妻。戦地へ派遣されていくごとに溜まるストレスからのPTSD。
除隊して段々と戻る人間味。
ただ、自伝を原作にしているわけですから仕方がないと思いますがイーストウッド作品にしては少し足りない気がしました。
●エンドロールを含めたラストの約5分間。ここで感動が頂点に達しました。 というか2時間分の溜まっていた感情が一気に溢れ出しました。
歴史に残るような素晴らしいラストでした!! この手法はもう他の映画で使ってほしくないです。
歴史に残るような素晴らしいラストでした!! この手法はもう他の映画で使ってほしくないです。
●戦闘シーンがとてもリアルでした。
スナイプシーンでは観ているこっちも息を潜めて、瞬きをしないで必死にスクリーンを見入っていました。相手を撃つかどうかの葛藤が描かれているシーンはドキドキしっぱなしです。
一方で市街地での戦闘シーンもたくさん含まれていました。スナイパーとして歩兵の掩護をしたり、先頭に立って突入したり、敵と撃ち合ったり。 普段観ているアクション映画と違って(言い方が変ですが)品のある戦闘シーンでした。
心情部分が苦手な人でもこの戦闘シーンを観るだけでも「凄い!」と思えるはずです。
例えが悪いですが途中で「Call of Duty」というゲームを彷彿させるシーンが意外と多いです。
スナイプシーンでは観ているこっちも息を潜めて、瞬きをしないで必死にスクリーンを見入っていました。相手を撃つかどうかの葛藤が描かれているシーンはドキドキしっぱなしです。
一方で市街地での戦闘シーンもたくさん含まれていました。スナイパーとして歩兵の掩護をしたり、先頭に立って突入したり、敵と撃ち合ったり。 普段観ているアクション映画と違って(言い方が変ですが)品のある戦闘シーンでした。
心情部分が苦手な人でもこの戦闘シーンを観るだけでも「凄い!」と思えるはずです。
例えが悪いですが途中で「Call of Duty」というゲームを彷彿させるシーンが意外と多いです。
○“守るために奪う”そんな重い仕事が描かれる今作。 それを支えるのは冒頭で出てきた父の教え。「何も知らない弱い羊か、弱者を襲うために力を振るう狼か、守る立場として力を持つ番犬か。 お前は番犬になれ。」と。これがカイルの信条として最後まで残るのです。
自分が守るために相手の命を奪う。しかしその相手にも守りたいものや、戦う理由がある。本人たちは自分の前しか見えていないが、観客にはさり気なく映し出しているところが流石だと思います。
自分が守るために相手の命を奪う。しかしその相手にも守りたいものや、戦う理由がある。本人たちは自分の前しか見えていないが、観客にはさり気なく映し出しているところが流石だと思います。
○アメリカでの軍、兵士の問題がしっかりと入っています。祖国を守るという忠誠心や英雄になるための入隊、本国では報道されない現実。帰還兵のPTSDと残される家族。これからこの問題をどうしていくかが大きな課題ではないですかね?
○素晴らしい映画の一方で、世論やネット上にもありますがここまで英雄化して映画化するのは自分もどうかと思いました。 もう少し1兵士として描いても良かったんではないでしょうかね?
○主演のブラッドリー・クーパーは今回役作りに相当励んだようです。筋肉はムキムキ、クーパーとカイルの写真を並べるとそっくりです。 ここまでするのには相当な想いがあったらしいです。
スナイプシーンでの演技は完璧でした。集中が痛いほどに伝わってきます。
スナイプシーンでの演技は完璧でした。集中が痛いほどに伝わってきます。
●実話を基にした映画です。是非、軽くでも予習をしていくことをオススメします。Wikipediaで該略の部分だけ読んでみてください。 自分はここを読んで知ったうえで観たためにラスト5分がより一層素晴らしいものになりましたから。
HP