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【アニメ映画】『バースデー・ワンダーランド』:忘失したワクワクを胸の中に取り戻すファンタジー!

※ネタバレなし。
※画像は予告映像のキャプチャです。

2019年5月8日鑑賞

バースデー・ワンダーランド

©柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会

©柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会

 

【評価:4.3/5.0】

 
【一言】

冒険と不思議に胸膨らませる子供たちへ
好奇心とファンタジーを忘れた大人へ
王道が描く素敵なファンタジー物語!
ともすれば忘れそうな夢の冒険!
けど、物足りなさも強く感じた。

 
【Twitter140文字感想】

 

 


 

 

【目次】

 

 

ストーリー&メモを表示

 

STORY&STAFF

 

誕生日の前日、自分に自信がない小学生の少女アカネの前に、謎めいた大錬金術師ヒポクラテスとその弟子ピポが現れる。自分たちの世界を救ってほしいと必死で訴える2人に無理やり連れて行かれたのは、骨董屋の地下室の扉から繋がるワンダーランドだった。不思議な動物や人が住むそのカラフルな世界は、色が消えてしまう危機に陥っていた。ワンダーランドを守る救世主にされてしまったアカネは大冒険を繰り広げ、やがて人生を変える決断を迫られる。
映画.com

 

監督:原恵一
原作:柏葉幸子「地下室からのふしぎな旅」
脚本:丸尾みほ
制作:SIGNAL.MD
音楽:富貴晴美
キャスト:松岡茉優, 杏 and more.
上映時間:115分
日本公開:2019年4月26日
配給:ワーナー・ブラザース映画
公式サイト

 

 

 


 

 

 

感想

 

映画の感想外観

 

 『バースデー・ワンダーランド』!
 原恵一監督の作品はあまり知らないです。『クレヨンしんちゃん』が苦手なのでねぇ……北斎の娘・お栄を描いた『百日紅』は観ましたが素晴らしかったです!

 milletの歌う挿入歌があまりにも素敵すぎて、「映画館で観たい!」とこうして鑑賞した感じです。

©柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会

©柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会

 見事なファンタジー作品!!
 「誕生日の前日に地下室からワンダーランドへいく」なんて始まりからワクワク全開!

 描かれる世界はファンタジーそのもの、物語も王道を支えるもので非常に良かったです!(ちょっと『はてしない物語』に似ていると思いました。)

 「色が失われる」という危機。
 「色」を押す作品なのですが、その部分がイマイチ《鮮やか》だとは感じられませんでした。

 ワンダーランドの描写も特出した部分もなかったかなぁと。
 想像力が落ちたのか、私の目が曇ったのか……。

 作品は全体的には児童向き。
 最近のアニメは「児童向き」か「大人向け」か混ざることも多いですが、本作は前者だと感じました。

 しかし、メインターゲットは子供でも、大人が十二分に楽しめるむしろ大人の方が胸に響くかも)作品でした!

©柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会

©柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会

 キャラクターがとっても魅力的!
 自分に自身がない小学生のアカネは、【子供】の目線を代弁するような“主人公”たる登場人物。

 一方、アカネの叔母・チィはどんな事にも好奇心を向ける純粋な心を持ち、【大人】が無くしたモノを代行しているよう!

©柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会

©柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会

 音楽がめちゃくちゃ印象的。
 印象的だけど、ファンタジーには合わない雰囲気なのはワザとなのだろうか……? milletの挿入歌は最高だけと、若干の残念さも。

 キャラデザはロシア人イラストレーターの「イリヤ・クブシノブ」。元々好きな絵師さんで、独特なタッチがお気に入り!

milet「Wonderland」MUSIC VIDEO

 

 

 

 

素敵なファンタジー!

  

 「誕生の前日に地下室から迎えが現れ、そのまま不思議の国《ワンダーランド》を訪れ、救世の少女として冒険が始まる」

 この唐突で突拍子もない物語の幕開けから、冒険と成長を過ごしていく、胸が踊るようなファンタジーの王道たる物語です!

アカネとヒポクラテス本編シーン

 目の前に広がる世界は、空想と創造そのもの!
 ファンタジーの王道を進むような物語が、世界の確固たる骨組みとなり、素敵な世界の裾のを目一杯に広げていました!

 まさに「ワクワク」を届けるそのもの。
 子供の頭が許容する範疇の中で、その創造の枠の最大範囲をはみ出さないような、でも心に抱くファンタジー的なイメージを全てアニメ映像化していたようで、胸の奥から湧き上がるワクワク&トキメキが凄かったです!

©柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会

©柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会

 ともすれば、フッと忘れてしまいそうな「冒険」

 素晴らしく濃密な時間を過ごしたワンダーランドの思い出が、とっても儚くも感じられて、その絶妙な距離感とかあやふやさが好きでした!

 『はてしない物語』=『ネバーエンディング・ストーリー』に似ている物語だと思いました。だから「王道」という印象を受けたのかもしれません。

 詳細はネタバレになるので避けますが、
・現実世界の青少年がワンダーランドへ行く
・ワンダーランドが大きな危機に瀕している
・青少年が世界を救う鍵となる存在である
こういう点が非常に似ていると感じました。

 でも別に、「パクリ」とは思わないし、最近の「異世界転生」作品に抱く嫌悪感もなかったです。普通に面白いし、王道のファンタジーとして十二分に楽しめました!

 

 

 

 

ワンダーランドの描写と《色》、映像

 

 この作品で一番の装飾は「色」だと思います。
 ワンダーランドという架空を描くさいに重要だし、物語の中でも「色」がキーポイントになっていることは内容紹介や予告動画で分かります。

 けど、その肝心な「色」があまり綺麗じゃなかったと感じました。

 「カラフル」であることに間違いはないです。
 しかし、その「カラフル」が普通というか、【感度するような繊細さ】【脳裏に焼き付くようなビビット感】が全くありませんでした。

 着色が至って普通のアニメと同じで、登場人物も背景も特段目を引くようなシーンが少なかった印象でした。キービジュアル等を観ると鮮やかなので期待していたのですが……。

 理由の1つは「普通」なのかなぁと。
 現実世界と対して変わらない動植物や人間生活が描かれ、それに対応するように色も普通の色が塗られています。

 ファンタジー映画であり、しかも「アニメ」なのだから、ちょっと強調したり装飾したりという着色にしても良かったのかと感じました。

©柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会

©柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会

 もしかしたら、映像に「力」がなかったのかも。
 「ファンタジー映画」という作品でありながら、映像から漂う”不思議な雰囲気”とか”弾ける冒険感”とかがほとんど感じられませんでした。

 例えば、昨年2018年に公開された『ペンギン・ハイウェイ』は冒険のワクワクが飛び跳ねる水飛沫のように溢れていました。また『さよならの朝に約束の花をかざろう』では澄んだ透明な空気感と運命が映像に表れていました。

 そういう点が、本作では弱かった/無かったのかな、と強く感じました。

 

 

 

 

 

子供のための、大人へのアニメ

 

 「本作のターゲットは?」と聞かれたら「児童」と答えるのが正解だと思います。
 映画を観ていての感覚的な部分でもそうだし、根拠としては原作が児童小説だったという点でしょうか。(───児童というより”子供”かな?)

 でも、この作品は大人が十分に「ワクワク」できる資質を備えているんですよ! というか、物語の見せ方&キャラ設定が本当に素晴らしいです!

羊とケイトウの花畑本編シーン

 まずは「児童向き」の部分から。
 上でもちょっと書きましたが、子供の頭の中に広がるファンタジー世界をそのまま映像化したように感じられた点が大きいです。(と、大人の私が書いています 笑)

 詰め込みすぎいない、とでも言う感じでしょうか。
 物語も王道のファンタジー冒険&英雄譚だし、世界の描写もフワッとした感じでした。

 それこそ、「ファンタジーの入門編」ってな感じでしょうか?
 物語と世界は提示したから、あとは皆んなの頭で考えて創造していけるような、そんな感じでした。
 例えば、劇中でワンダーランドの地図が提示されますが、詳細は語られません。そういう部分から創造を膨らませられる、そんな感じでしょうか!!

 そして「大人へ」
 《ファンタジーのワクワク感》を忘れていませんか?

 好奇心とか”不思議”への探究心とか、ワクワクとかドキドキとか、面白いモノを求める心とか、ワンダーランドの存在とか……そういう《子供心》を忘れた大人への作品でもあると強く感じました!

 次で詳しく書きますが、主人公・アカネの叔母・チィの存在が本当に大きいです。彼女を観ていると、輝きを失っていた《子供心》がもう一度煌めきだしそうです!

 

 

 

 

「子供」と「大人」をキャラが導く!

 

 何度も登場しますが、本作の主人公は小学生のアカネで、彼女の叔母がサブ主役という立場になるのだと思います。

 この2人が、子供のハートも大人のハートもガッチリ掴んでいて、本当に魅力的だし、いい仕事をしていますよ!

 アカネは、小学生の目線を代弁するかのよう。

 自分に自信がない彼女は、新しいことを避けるように、どこか後ろ向きな性格の少女。けれど、ワンダーランドの世界に触れる中で、段々と前向きに、そして”勇敢”になっていきます。(その他はネタバレなので伏せます)

 なんだか、今の小学生みたいだなぁと。
 原作は1988年に発表されたものですが、原作そのままなのか、脚本で変えたのか、現代の子供を映しているみたいで、そんなアカネが変わっていく姿は、そのまま子どもたちの目を通して感じられるものがあるのではないかと強く思いました。

 チィは、《子供心》を忘れた我々の代行者!
 彼女は世界中を旅行して収集した品物で骨董品店を開き、ワンダーランドに行っても目を輝かせながら不思議と冒険の世界をワクワク楽しんでる、そんなキャラクター。(まさにアカネと正反対)。

 ”楽しむこと”を忘れてしまったような、空想の世界とは別れを告げた我々・大人の中に残る子供心が形になったかのように、遊びはしゃぐ彼女を見ていると、自然と楽しくなってくるし、羨ましくも感じてきます。

 きっと、彼女の魅力に惹かれるし、忘却の彼方にあった《子供心》が顔を出すのではないでしょうか!

 
 
 
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冒険と成長の物語

 

 最初にも書いたように、全体のラインは王道な物語といって問題ない印象でした。

 それでも、やっぱりいい部分はあるし、この作品ならではの雰囲気とか空気感もしっかりありました!

 一番に記憶に残るのは「成長」でしょうね。
 ワンダーランドを冒険する中で、アカネは心を大きく成長させていきます。

 こういうのは、やっぱり王道の展開ですね。
 でも、そうと分かっていても期待して楽しんじゃうからこそ王道だし、「この主人公がどんな過程を通って成長という結果に辿り着くのか」という部分は個々の作品で違うオリジナルな部分ですから、そこは楽しめました!

 結構、「え~」と思っていた部分が、最後に「おっ!」となった部分とかは、やはり王道だけど好きでした!

©柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会

©柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会

 現実世界とワンダーランドの距離感が良かったです!
 ワンダーランドの住人は「もう一つの世界=我々の現実世界」があることを知っています。それ故の、他の作品にはない絶妙な距離感が素晴らしかったです!

 あっちの世界と、こっちの世界の「繋がり」とでも言うべきなのか、「運命」という言葉を使うべきなのか……。

 

 

 

 

印象的な音楽&キャラクター!

 

 音楽が印象的でした。
 手掛けるのは、2018年の大河ドラマ『西郷どん』を手掛けたことで記憶に新しい富貴晴美さん。

 「印象的」というのは正しい表現ですが、否定的な意味です。
 というのも、なんだかファンタジー世界観に合致していないという気がしたんです。結構「これは場違いでは?」と感じるシーンも多々ありました。

 まぁ、監督の指示もあるでしょうしね。原監督とタッグを組んだ『百日紅』ではめちゃくちゃいい音楽だった記憶があるんですがね~。

 milletの挿入歌「Wonderland」は完璧!
 本当に素晴らし歌です!

 それから、キャラクター!
 手掛けるのは、日本をリスペクトするロシア人イラストレーターの「イリヤ・クブシノブ」さん!

 キャラの「瞳」がとても印象的で、キャラの容姿も含め、日本人でありながら、どこか異国情緒が溢れる、ファンタジー作品にピッタリの起用だったと思います!

 この方、個人的に大好きなんです!
 東京で開催された個展に行こうかと思ったものの、日程が合わずに泣く泣く断念したほど!

©柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会

©柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会

 

 

 

 


 

 

 

 

 せっかくなので、キャラデザ等を手掛けられたイリヤ・クブシノブさんの『バースデー・ワンダーランド(BW)』に関係するイラストを紹介します!

 

カウントダウンイラスト

 

 
 
 
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設定イラスト

 

 
 
 
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”BW”イラスト

 

 
 
 
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以降、映画本編のネタバレあり

 

 

 


 

 

 

映画の感想
※ネタバレあり

 

ビックリしたこと、スゴかったこと

 

 子供向けと侮るなかれ!
 やっぱり王道めいた部分は強かったけれど、「お~」と思う内容が結構あったので驚きでした (とは言いつつ、何となく予想はしてましたが……)

 まずは「失踪した王子」について。
 病気だの行方不明だの言われていた王子が、実は王室魔術師に金属人形にされていたという事実は驚きでした。しかも、ずっと大切にしていた金属人形が偽物だったのだからなおさらビックリ!

 ここまででも十分ですが、さらに畳み掛けます!
 まさかの、”悪党”かと思っていたザングが王子その人だったという衝撃的な展開に! ドロボが口を滑らした時には心底ドキッとしたものです。

 でも、予見出来ていた部分もありました。
 ヴァン・ダインの法則ではないですが、こういう作品は「登場人物は既に全員出ている」という暗黙の了解みたいな部分がある気がします。もちろん確証はなかったですが、うすうす感じていた部分はありました。

©柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会

©柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会

 それから、「緑の風の女神」ですよ!
 彼女って、アカネのお母さんですよね!?

 ケイトウ村の村長宅の壁の地図に描かれた姫の顔を見た時、「口元のホクロ」が気になりました。絵の雰囲気も相まって、「これってアカネのお母さん?」という疑惑が浮かんできます。さらに、物語終盤でアカネが受け取った絨毯の柄にどうも見覚えがある気がしてモヤモヤ。

 そしたら、最後の最後でアカネ宅の絨毯が2枚映され、お母さんの思わせぶりな表情もアップされ、確信に至りました! 後で気がつきましたが、お母さんの名前は「ミドリ」さんなんですよね。(もしかして「ミドリの風邪の女神」とかだったりして 笑)

©柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会

©柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会

 とにかくこの2点は本当に驚いた点でした!
 王道っちゃそうですが、特に後者に関しては映画の序盤から伏線が仕掛けられていたわけで、また最初から観たくなりました!

 

 

 

 

アカネとチィの冒険 ①

 

 ワンダーランドでの冒険!
 実は、結構ヒポクラテスさんが活躍すると思っていたんですよね。予告編とか見ても、役柄的にも案内人的な立ち位置なので。でも実際に蓋を開けてみたら「ハエの時間の方が長い」というような状態でしたね(笑)

 それでも存在感はスゴかったですけど(笑)

 アカネとチィおワンダーランド大冒険!
 「移動」という展開で様々な土地を訪ねて、色々な景色を見て、たくさんの不思議な生き物と出逢って、何人もの人々とお話をした2人+ピポ。その旅程が本当に可愛くて、楽しくて最高でした!

 まずワンダーランドへ行くまでが冒険!
 そもそも、アカネが手形に嵌り、ヒポクラテスさんたちが登場したところから、チィの目はキラキラ輝きだし、”別世界”にっついてもすんなり納得するし! いざ床下物置へ入っていく場面でも、あわてんぼうでとにかくよく動くチィの性格が存分に顕れていました!
 空間の狭間を進む中、綺麗な蜘蛛の巣を歩くシーンが不気味だけど綺麗で良かったです!

©柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会

©柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会

 ワンダーランドに入ってからも!
 さっそくザングのテツネズミが襲い、鳥の卵を守るために身体をはるチィ(さすが)! モフモフの羊たちもたくさんで、出だし早々に胸が高鳴ります!

 そして、村のケイトウで染めた編み物を届け、さらに王子を救うために「サカサトンガリの町」を目指す旅へ!

 石炭で動く自動車にワクワクしていたら、すぐに大きな砂嵐が。
 かなりの時間を消費していそうでドキドキしたものの、野宿を嫌がるアカネに「これが旅の醍醐味」と生き生きしているチィが大好きでした!

 夜は、満天の星空を見上げるチィ。彼女は、「旅」や「自然」の楽しみ方をわかっている、素晴らしいキャラクターです!

 

 

 

 

アカネとチィの冒険 ②

 

 車を修理してその先へ!
 またたく間に気温が下がってくる中、モフモフの防寒着をきるアカネとチィ、ピポは可愛かったですね~。ヒポクラテスさんは照れているから可愛かったです(笑)

 雪山の宿で弾をとるもザングらと遭遇、ヒポクラテスさんはハエに姿を変えられてしまいます。

 ここからがチィの本領発揮というか(笑)
 この事態にも動じずに車を運転して旅を楽しむ! 危険な岩山を越えるときはヒヤヒヤしたし、四季の変化で移ろう車窓が本当に綺麗でした!

 そして、目玉シーンの1つであろう「湖」に到着!

 抜け道を走った先、大ジャンプした向こうで着地した大きな蓮の葉っぱ。これだけでも”THE ファンタジー”!

 さらに、花の蜜を塗って水中に潜るという最高の場面が幕を開けます!
 水中にいる魚が、日本の錦鯉や金魚だったのには少し違和感を覚えましたが、カラフルで楽しいシーンだったので良かったです!

©柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会

©柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会

 そして、車は走り、サカサトンガリの町へ。
 門番のネコさんたちがメチャクチャ可愛くて、その仕草が愛らしくて、笑いをこらえるチィの気持ちがメチャクチャ伝わりました(笑)

 ここでも相変わらず、軒を連ねるお店に目を奪われるチィが最高だし、カイロとかで商品交換しているのとか、本当に見ていて楽しかったです!

 

 

 

 

 

王子と勇気と「時なし雨の井戸」

 

 王子は「怖かった」んですね。
 儀式に失敗した後の「死」よりも、周囲の期待や代々重なるプレッシャーがあまりにも大きかったんだと思います。

 「逃げ出したかった」というのが一番なんじゃないかな、と。

ザン・グとドロポ本編シーン

 そんな彼に、アカネが寄り添います。
 「ワクワクしたり、トキメいたり、皆んな忘れちゃってる。だから手伝う」

 ずっと自信がなく後ろ向きだったアカネが、冒険をして、世界を見たことでその素晴らしさに気が付き、自然と前のめりになった瞬間。
 そんな彼女の勇気が、王子の胸にも届いたんだと思います、というかそう思いたい!

 言葉に力があるわけでも、勇気を振りかざす英雄でもないけれど、誰かが「そばに居てくれる」だけで大きな力になるのだと思いました!

 そして、「時なし雨の井戸」でのシズクキリの儀式。
 儀式に失敗した時の絶望感と「死」が間近に迫ったときの緊張がスゴかったです。中でも、アカネの訴えに対して「お前たちの世界には何一つ残酷なことなどないというのか!」という貴族の言葉が強く耳に残っています。

 井戸に落ちるアカネと王子。
 まさか、魔法使いの策略だったとは(笑) でも確かに、王子の立派な振る舞いと勇気には敬意を表します!

 ここで、milleiの挿入歌「millet」が流れます!
 いい歌なのですが、使い方がぶつ切りな感じがして残念でした。

©柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会

©柏葉幸子・講談社/2019「バースデー・ワンダーランド」製作委員会

 

 

 

 

 

世界、そして物語の終わりへ。

 

 ワンダーランドの中のアカネ。
 それでも、現実世界へのメッセージが強く印象に残りました。

 まず、雪山の宿でお爺さんと話したこと。
 二つの世界は「蒸気機関の発達」で変わった話。現実世界は成長と発展にすがる中、ワンダーランドの方はのんびりが続いた世界。
 忙しい現実世界とワンダーランドの不思議な空気感の対比が、この時点で鮮明に映りました。

 そしてアカネの「ワクワクしたり、トキメいたり、皆んな忘れちゃってる」という台詞。これって、気が付かないうちに忘れてしまう大切な【宝物】だから、本当に悲しいですよね……。

 最後、貴族の「お前たちの世界には何一つ残酷なことなどないというのか!」という叫び。 ハッと気がつくようなアカネの姿が印象的だったし、優しいワンダーランドの住人が口にしたからこそ、大きな力を持ったように感じます。これは深く胸に刻まれました。

 最後、ヒポクラテスとピポとの分かれ。
 「え、勇気って道具のお陰なの?」と思っていたら、やっぱりあの錨ネックレスの効果はとっくに切れていたんですね!

 振り返らずに、ワンダーランドを後にする。
 どこか「千と千尋の神隠し」を連想しましたが、その後の日常に戻ったアカネとチィが一言もワンダーランドのことを喋らなかったのが、すごく不思議で印象深かったです。

 

 

 


 

 

 

 ということで、『バースデー・ワンダーランド』の感想でした!
 実は、原恵一監督の作品は北斎の娘・お栄を描いた『百日紅』だけ鑑賞。は

 この『百日紅』も杏が主役で、音楽も富貴晴美さん。近年の北斎ブームやお栄研究も相まって、本当に面白い作品でした! アニメだからこその表現が素晴らしかったです!

『百日紅 ~Miss HOKUSAI~』予告編

 

 

 最後まで読んでくださり、
 本当にありがとうございました!!

 

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