※ネタバレなし。
※画像は予告映像のキャプチャです。
2019年1月4日鑑賞
ラブライブ!サンシャイン!!The School Idol Movie Over the Rainbow
【評価:3.7/5.0】
【一言】
驚くほど丁寧で美しい作画、アニメーションは綺麗で滑らか!
ミュージカル&ライブは圧巻の凄さ!
前劇場版と“全く同じ”物語は詰め込みすぎ。
しかし、説得力ある内容と感情変化の豊かさはさすが、花田十輝さん。
【Twitter140文字感想】
【 #ラブライブ ! サンシャイン!! The School Idol Movie Over the Rainbow】
3年生が卒業し、6人になったAqours。
──新しいAqoursってなんだろう?豪華圧巻の劇的なライブシーン必見!
丁寧&精緻な作画と舞台演出が秀逸!物語は新規性無い踏襲で詰込み過ぎ。
しかし、感情変化の段取りが見事! pic.twitter.com/7TfD2bVWln— ArA-1 (@1_ARA_1) 2019年1月4日
映画の感想
※ネタバレなし
感想外観
『ラブライブ!サンシャイン!!』の劇場版です!
『サンシャイン』はTVアニメの方は散々な内容で非常に残念だったと個人的な感想を持っていました。
期待と不安が混じりつつ観た劇場版は、ある意味では不安が的中し、しかし期待を超える作品でした!
ラブライブ!サンシャイン!! TVシリーズスペシャルPV
まず挙げるべきは、ライブシーンとミュージカルシーンのアニメーションです!
TVアニメ版でも第1作目『ラブライブ!』から圧倒的な滑らかさと、見事なカメラワークや舞台演出で圧巻のライブを映し出してきましたが、本劇場版はその頂点!
抜群の豪華さと滑らかな映像で、素晴らしいシーンに仕上がっていました!
アニメーションも本当に丁寧。
「凄く良く動く」んですが、その動き方が尋常じゃないというか。キャラクターがとても活き活きとしています!
滑らかで精緻な作画も素晴らしいです!
それに、瞳の輝きとか、髪の毛の感じとか、そういう細かい部分がもても綺麗。
物語に関しては、一長一短。
全体的な内容は前作『劇場版ラブライブ!』と大きく変わらず。「Aqours」の存続問題や、海外でのハプニングなど。
これを「踏襲」と評価するか、「新規性なし」と判断するかは難しいところです。
一方で、物語が持つ《説得力》が強かったです。
これは、「さすが、花田十輝さん!」と拍手したくなるような見事さでした。 とは言いつつ、全体を俯瞰すると、詰め込みすぎ感は否めません。描くエピソードが多すぎです…。
「歌」に関して。
あくまで個人的な印象ですけど、あまりキャッチーなメロディとかフレーズの音楽が無かった気がします。
これは個人的に大好きな部分なのですが、μ’sもAqoursも私服が可愛い! 皆んなお洒落な姿で本当に大好きです!
圧巻のライブシーン!
“やっぱり”、素晴らしい!>
ライブシーンは『ラブライブ!』というコンテンツの中でも重要な要素の1つで、劇場版へとメディアが大きく進化したことでより、良いものになっていました!
Aqours 2ndSingle 「恋になりたいAQUARIUM」
綺麗な衣装に華やかな歌。
楽曲の世界観に合わせた衣装や舞台の設定はまさにプロモーションビデオさながらの力の入れよう。
それに、ライブ曲やミュージカル歌などはかなり長い尺での使用。まるまる1曲分を流したりして、本当に豪華でした。
そして、凄いのは映像!
滑らかに動く点が最もその魅力を発揮していたのは、「カメラワーク」。縦横無尽に動き回るカメラワークは、躍動感があり、ライブシーンの完成度をより一層高めていました!
また、スポットライトやスモーク、紙吹雪などの舞台演出も、これでもかと豪華に飾りあげ、また多用していて素敵なステージになっていました!
Aqours 3rdSingle「HAPPY PARTY TRAIN」
『ラブライブ!』と劇場版、そして『〜サンシャイン!!』とシリーズが重なっていますが、その中でも一番のライブが見られました!
圧倒的なアニメーションと作画!
私みたいな素人でも、「すごく綺麗」と見て分かるくらいに圧倒的なアニメーションと、その作画でした!
まず、上からの続きでライブシーン。
本作はシリーズを通じて、ダンスを3DCGで作り上げられたモーションによって描いているため非常に滑らかな動き方が展開されます。
そして驚いたのは、手描きアニメーション部分との結合。非常にシームレスに繋がる映像によって、シーン全体のクオリティが相当高かったです。
Aqours 1stSingle「君のこころは輝いてるかい?」
アニメーションと作画もめっちゃ凄かった!
「ヌルヌル動く」という表現は少し違いますが、仕草や素振り、動作がこれでもかとなめらかに描かれていました。
ここでもやっぱり、動作を見て頭に浮かぶのは「シームレス」という言葉でしょう。
それらを描く作画もまた圧倒的。
動作の丁寧さや精緻さ、線の細かさなどは本当に凄いです。
「シームレス」を実現しているのは、この美しい作画の仕事です。
あとは、TV版とかでも印象的ですけど、「目の輝き」とかはアニメーションとしてとても綺麗でした。それに、背景───特に海外の場面は本当に綺麗でした!
同じ展開を踏む物語
本作『劇場版サンシャイン!!』の内容は『劇場版ラブライブ!』の物語と非常に酷似していると、私の目は映りました。
果たしてこれを「踏襲/オマージュ」と評価するか、「新規性のない繰り返し」と非難するか、その判断は難しいです。
そもそも、TVアニメ版もそうでした。そして、私自身はその「全く同じ物語」というのが大嫌いでした。
学校が廃校の危機になり、「ラブライブ!」を目指すけど1度は坐せつ。しかし諦めず優勝を掴み、3年生は卒業。
こんな流れは『ラブライブ!』も『サンシャイン!』も同じで、あざといというか、鬱陶しいというか。
今回の、本作の劇場版でも似たような感じが。
ネタバレを避けつつ……例えば、「海外に行く」という部分。
TV版では出来ないスケールの大きさを売りにしたいのか、単純に舞台を変えたいのか。しかし、わざわざ日本を飛び出す物語を2回も繰り返す必要はないと感じました。
他にも、何点も似てる部分があるのですが、ここでは伏せておきます。
私は、「新規性なし」という評価をします。
詰め込みの物語、しかし説得力は抜群
まず、物語は詰め込みすぎです!
色々と描かなきゃ駄目なのは分かります。しかし、「Aqoursの存続」というただでさえ厄介な課題がある中で、何人ものエピソードを入れるのは駄目。
ストーリーを詰め込みすぎで、その結果として展開も急になり、全体の一貫性すら曖昧になってしまっていました。
詰め込みすぎた結果、「どうしてこうなった?」と前後の物語の繋がりが非常に曖昧になってしまいました。
しかし、説得力は凄かったです。
これは脚本を手掛けた花田十輝さんのお陰でしょう!
個人的なイメージ、花田さんの脚本作品は名作が多い気がします(TVアニメ版『サンシャイン!!』は残念だったけど………)
限られた時間の中で「感情の変化の段取り」を描くのが上手のなのだと思います。
“きっかけ”の前後で大きく動き、感情の動きの背中を押すような“きっかけ”による変化が如実に描かれるから、分かりやすいし説得力があるように感じました。
とは言いつつ、全体的にハイテンションというか、常に前向きな部分は若干気になりました。
それが彼女たちのトレードマークという部分はあるのでしょうが、「大事な決断」に対する表情が明るすぎるような気はしました。
本作では「決してなくならない、胸の中に残ってる。」というメッセージが到るところで語られて、非常に印象的でした。
こうして、一貫したメッセージが様々な登場人物に対して用いられるという点は、とても良いと思いました!(ネタバレになるので、詳細は下で。)
歌、そして衣装
まず、歌。
アイドルアニメ作品なので、これは外せませんが、どうも「違うなぁ〜」と。
1作目『ラブライブ!』にあったような「キャッチーさ」が薄くなっているような気がしました。
もちろん、ミュージカル調の曲では内容や歌詞が重要なので仕方ないです。でも、その他の曲はパンチが弱いというか、印象に残らないというか。
曲の全体がやはりハイテンション気味で、緩急が少ないのかなぁ〜とも。耳に残るメロディや歌詞が少なかったと感じました。
μ’s 3rdシングル「夏色えがおで1,2,Jump!」
一方で、衣装は大好き!
TVアニメ版でもそうですが、μ’sもAqoursの皆んなも、服装が本当に可愛いです!
私服は日常感ありながらそれぞれの個性が出てるし、練習服もしっかりお洒落を考えてるし。 何気に、「ラブライブ!」の中でもお気に入りの部分なんですよ。
来場者特典&フォトセッション
“やっぱり”、 映画館は“ラブライバー”で混んでました(笑)
来場者特典はキャラクター達のメッセージが入ったパスポート風のカードでした!
う~ん……個人的には『ラブライブ!』の方の特典メッセージボードの方が好きかもです。
あと、「スクフェス」等のゲーム内における限定キャラダウンロードコードが。
人によって違うらしく、私は「黒澤ダイヤ」でした!────ちなみに、私の推しは「渡辺曜」なので。それに、スクフェスも未プレイですし。
(友達にコードを教えて、代わりに画像を送ってもらいました! ありがとうございます!)
それから、映画の序盤で「フォトセッション」がありました!
スクリーンを撮影してもOKな特別な時間。どうやら上映回によって違うのか、私の時は「高海千歌」でした。
これは、『響けユーフォニアム』の劇場版で初めて体験しました。なかなか、上手い方法だと思います!!
以降、映画本編のネタバレあり
映画の感想
※ネタバレあり
ストーリーの類似点
内容が本当に似ていました!
ちょっとこれには驚いたし、「嘘だろw」と笑っちゃいそうになりました(笑)
まず、時間と設定が同じですよね。
「ラブライブ」に優勝した後、3年生が卒業する/したというタイミング。ここで物語の核となるのが「μ’s/Aqoursの存続をどうするか」という部分。そういう根底的な部分がそもそも同じ。
一番印象的なのは、「海外に行き、ライブ場所を自分達で探す」という部分。
ストーリーを知った時から海外に行く点が同じなのにはガッカリしましたが、まさか「ライブの舞台を探す」という部分まで同じとは。
それに、メンバーが迷子になったり、ご飯を食べたりと似ている部分は多かったです。
あとは、ライバルのスクールアイドルに相談するという点も。本作では「Saint Snow」に意見を求めました。
他にも、バックグラウンドが謎な新キャラ(前作ではシンガー、本作では渡辺月)が登場したり。
「Aqours」と「Saint Snow」
終盤で描かれた、2つのスクールアイドルのライブ。
北海道で、たった2人きりで行われたSaint Snowのライブは、キレッキレの音楽とダンスが本当に格好良かったし、舞台演出も圧巻で、本当に素晴らしいステージでした!
AqoursとSaint Snow、このシーンに限って比べると、私は“ラブライブ決勝”はSaint Snowに軍配を上げたいと思います!(まぁ、そう感じるように仕込まれているのでしょうが。)
また、この2つのアイドルの物語として、TVアニメの延長線のような内容となっていたので、その分深みが増していました!
特に、花丸の訴えは本当に強くて優しくて、心に響きました。
花丸と理亞の2人、彼女たちの間にある共通意識の大きさが凄くて、そのエネルギーが強くて、物語への影響(?)がデカイ! TVアニメの方でも、このエピソードは印象的でしたし!
混み合った物語
感想のところで、「詰め込み過ぎ」と書きましたが、まさにそんな感じ。
廃校の件が一段落したと思いきや、まさかの「分校&統合問題」という課題が発生。3年生は卒業したクセに物語に絡んでくるし、鞠莉には縁談の話が持ち上がっていて驚愕。なぜがイタリアに逃げるし、Aqoursも追いかけるし……。同時並行的に、曜のいとこが登場し、Saint Snowの2人の“けじめ”も一緒に語られるし───。
本当に内容が多すぎ。
まぁ、逆に考えると「90分でよくまとめた」と評価すべきなのかもしれません。
恐らく、完結編としての位置づけたる劇場版ということで、残っている物語の“わだかまり”を解消して、次に繋げたかったのでしょう。
個人的には、「鞠莉の縁談」はカットしてもいいかなぁと。
で、「Aqours」と「Saint Snow」の物語の焦点を絞って構成したら良かったと思いました。
海外の旅
前作『劇場版ラブライブ!』でもそうでしたが、海外旅行(?)の内容は本当によく出来ています! 前作ではNYの風景や名物が惜しみなく注ぎ込まれていて、嬉しかったです!
そして、本作『劇場版サンシャイン!!』ではイタリアへ!
水の都ヴェネツィアを観光し、サンタ・マリア大聖堂へ行ったり。『ローマの休日』のように「真実の口」を見てジェラートを食べ、トレヴィの泉を観光したり。そしてライブはスペイン広場。
イタリアの町並みはどこも細かいですが、本当に綺麗な背景で描かれていて凄かったです!
個人的に、イタリアは一度行ってみたい国なので、楽しそうに彼女たちが観光している姿を見ると、余計にワクワクしてきました。
あと、天野こずえさんの『ARIA』という作品を見てから、ヴェネツィアが猛烈に好きになったので、まさか劇場でその姿を見ることになるとは!
「Aqours」の物語
最後にAqoursの物語の感想も書いておきます。
「決してなくならない、胸の中に残ってる。」というメッセージは、本当によく耳にしました。
まず、大きな部分では「浦の星女学院」の学校が無くなるという部分。
バス停や校舎は物理的に無くなるけど、心の中に残っているというメッセージを言ったのは、千歌でした。
また、鞠莉も母親に向かって「Aqoursとして活動したことは私の中にある」と言い、「くだらない」と吐き捨てられたスクールアイドルの輝きを認めさせていました。
「Saint Snow」では、姉が去った中で悩む理亞に対して、姉の聖良が諭していました。
こうして、一貫したメッセージが様々な登場人物に対して用いられるという点は、とても良いと思いました!
ラスト、「みんなで作り上げる」という『ラブライブ!』から続く光景が見られたことは嬉しかったです!
また、エンドロール後の映像では、女子3人が声だけではあったものの登場。こうして「物語が繋がっていく」というのもまた、このシリーズに共通することだと思います!
最後まで読んでくださり、
本当にありがとうございました!!