※ネタバレなし。
※画像は予告映像のキャプチャです。
2018年8月17日鑑賞
ペンギン・ハイウェイ
(penguin highway)
【評価:4.4/5.0】
【一言】
《不思議》と《素敵》に満ち溢れた“夏の冒険”!
何層も重なる謎と、それを解く少年の周りの物語が、次々と好奇心を煽り立てて本当に楽しかった!
可愛いペンギン、不思議なお姉さん、そして少年と登場キャラも最高!
【Twitter140文字感想】
【 #ペンギンハイウェイ 】
街に現れたペンギンの謎に挑む少年
の、ひと夏の青春冒険ファンタジー🐧少年の目に映る謎と不思議に満ちた世界と、日常を彩る好奇心。
彼を見ていて、深い懐かしさと純粋なワクワクを感じた!物語は魅力的に鮮やかで、ペンギンは愛らしく、登場人物が皆んな大好き! pic.twitter.com/RUUkDtSo3g
— ArA-1 (@1_ARA_1) 2018年8月17日
感想
感想外観
『ペンギン・ハイウェイ』は夏公開の映画の中でも特に期待していた作品です!
アニメーションとして凄そうだし、キャストも豪華。なにより、CMや予告では内容が全く分からなくて……。
そして、もちろん面白かったです!
『四畳半神話大系』や『夜は短し歩けよ乙女』と同様に、森見登美彦さん独特の語り方が大好きです!
森見登美彦『ペンギン・ハイウェイ』テレビCM
本作はストーリーが最高に素晴らしかったです!
好奇心くすぐる「物語」と、先が気になる「謎解き」。そこに小さな「恋」や、コミカルな「笑い」を入れてあり、とにかく物語に引き込まれました!
こんなにもワクワクするアニメ映画って久しぶりです!
良い意味で「子供が主役」だったからこそ、物語のワクワク感が出ていたのだと思います。
まだまだ“世界”について知らない子供だからこそ、その目に映る“世界”は不思議に満ちていて、好奇心が掻き立てられ、摩訶不思議にファンタジックな物語が描き出せるのだと感じました。
「童心に帰る」と言いますが、まさにそのワクワク感でした!
謎を追いかける楽しさとか、日常に現れた不思議な事の面白さとか、大人への憧れとか。 街を探検するのが楽しかったり、友達と走り回ってるだけで面白かったり。
(観ないと伝わらないかもですが、)なんか、とてもキラキラした作品でした!
登場するキャラが完璧です!
ペンギンは猛列に可愛いペンギン、ちょっと愛らしい主人公の少年、好感度高い不思議なお姉さん。個人的には、主人公が困ったときに謎解きのヒントをくれるお父さんが一番好きでした。
また、本作は蒼井優さんや西島秀俊さんなど「声優」より「俳優」を多用していてちょっと楽しみでしたが、とっても良かったです!
アニメーションは完璧でしたね!
日常の世界がとても鮮やかで細かく描かれており、特に服装とか表情の変化が綺麗でした!
予告にもある、コーラがペンギンに変わるシーンが見事なまでに滑らかで素晴らしかったです!
柔らかさと明るさに満ちた、夏にピッタリのアニメです!
宇多田ヒカル「Good Night」トレーラー
本作『ペンギン・ハイウェイ』のパンフレットが素晴らしかったです!
本編には主人公がノートに書いた沢山のメモが登場します。その重要性は監督自信がインタビューで語っています。
しかし、劇中では一瞬しか映らないのでその中身をしっかりと読むことはできません。ところが、このパンフレットにはそのメモが全て掲載されているんです!
完璧な物語
観ている人の心を見事に掴み、ワクワクを植え付けていく最高のストーリーでした!
ペンギンが出現するという“ありえない”「謎」から始まり、その謎は何層にも重なり「好奇心」を連れてきます。
好奇心は主人公と観客を「謎解き」に導き、謎解きの過程と解答が気になってストーリーに釘付けです。
さらに「謎解き」以外にも、小さくほんのり良い香りのする「恋」や、コミカルなでコメディカルな動きや発言にはフフッ/クスッと笑ってしまいます。
観る人を惹き付ける要素を全て持ち合わせた完璧なストーリーだったと思います!
あとは、森見登美彦さんが前面に出ていて嬉しかったです!
私が読んだ/見たことある森見登美彦さんの作品は『四畳半神話大系』と『夜は短し歩けよ乙女』だけなので大きな事は言えないですが……。
「〜だ、〜である」という口調の主人公によるモノローグが本作でもあり、それを聞いただけで嬉しくなりました!
「子供が主役」だからこそ
主人公が純粋な小学生だったからこそ、ここまでワクワクするお話が描けたのかな
ぁ〜と思います。
研究熱心で学ぶことに喜びを感じている主人公。でもそんな彼にとっても、この世界は広くて、知らないことだらけで、不思議と謎に満ちているんだろうと思います。
そんな純粋な彼が主人公だからこそ、好奇心がくすぐられるような、ファンタジックな物語が描き出せているのだと感じました。
高校生でも、中学生でもなく、世界への興味が色褪せない小学生だから、ここまで鮮やかに勢いのあるワクワクした物語になったのだと思います。
「大人が見る」からこそ
どうやら夏は“不思議”に出会う季節のようです。
そして、懐かしさもワクワクを感じるのが本作です。
『君の名は。』も『ジブリ作品』も、夏が舞台のアニメってどこか不思議な冒険が待っていますよね。 夏休みという時間がたっぷりある時期、子供が“不思議”に触れる良い機会なのかもしれません。
そんな本作を観ていると、自分自身の子供時代が懐かしくなるというか、童心に帰った気持ちになります。
目の前に現れた理解不能な謎を追いかける楽しさとか、日常に出現した摩訶不思議は出来事への好奇心とか。
大人に憧れたり、色々な図鑑を見たり。調べて、聞いて、実験したり。夢中になって何かに取り組んだり。
ただ走り回るだけで楽しかったし、住んでる街を探検するのが楽しかったり。
大人になれば、世界から不思議は駆逐されるし、住んでる街は小さく感じ、夢中になって「好き」に熱中する事も少なくなる。
だから、主人公たちを観ていると、「何だか良いなぁ〜」と思います
登場するキャラと俳優
登場するキャラクターが大好きです!
まずは本作の真の主人公とも言うべき、ペンギンさんたち!
ふっくら丸いフォルム、白黒の身体、クリッとした目、よちよち歩き。
とにかく可愛くて愛らしくて、序盤からメロメロでした!
それから主人公のアオヤマ少年。
とても大人びた小学生だから、逆に子供っぽい様子を見せるギャップが最高です!
冷静に物事を分析したり、ノートに細かく書き込んだりする彼の性格、私好みというか、親近感が湧くというか。
歯医者に務める不思議なお姉さん。
演じたのは蒼井優さん。アニメのキャラクターというより、現実の「大人の女性」というような雰囲気が出ていて、とても役と合っていました!
私も、お姉さんの「おっぱい」、良いと思います!
そして、私が一番好きだったのはアオヤマ少年のお父さん。
アオヤマ君が謎解きに向かうとき、その考え方やヒントをほんの少しだけ教えます。 少し難しく優しく教えるお父さんに、とても好感を覚えました。
鮮やかで滑らかなアニメ最高!
何でしょう、「久々に良いアニメーションを見たなぁ〜」と素人の私でも分かるような心地よさがありました。
背景がきっちりと描かれていたので、柔らかい輪郭で描かれたキャラクターが優しく、とても温かみがあるように感じました。
キャラクターに関しては服とかバックがとても丁寧かつ現代風に描かれていたのが印象的でした。
予告や、CMでも流れた、「コーラ缶がペンギンに変わる」シーン。
この変身の仕方というか描き方が本当に滑らかで凄かったです。
今回の監督は石田祐康さん。
自主制作短編『フミコの告白』が大きな話題となり、ノイタミナの『ポレットのイス』を手掛けた監督です。
どちらの短編も勢いとスピード感に溢れた作品で、それは本作『ペンギン・ハイウェイ』にも活かされていました!
フミコの告白
ポレットのイス
ネタバレあり感想
以降、映画本編のネタバレあり
ネタバレあらすじ&感想
序盤
小学4年生のアオヤマ君は、研究熱心で日々の事をノートに記録している。大人になるまでに知識を沢山知り、立派な大人になる事を目指している。
そんな少年は、通う歯科医院のお姉さんに好意を抱いていた。お姉さん自身も、お姉さんのおっぱいも。
ある日の登校時、空き地に何やら生き物が。
アオヤマ君が双眼鏡で確認すると、それは何匹ものペンギンだった。
ペンギン達は揃って街中を移動していった。
タイトルバック。
オープニングで描かれるのは、1匹のペンギンが街中を進み、山の中に入っていく様子。
前半
南極に住み、市街地には居るはずのないペンギンの謎に興味を持ったアオヤマ君は、その謎をノートに書き留める。
・本物のペンギンなのか?
・どこから来たのか?
そして、友達のウチダ君とペンギンの謎を解くことにした。
そんな中、クラスの威張りっ子スズキ君が「ペンギンなんか面白くない」といってウチダ君を突き飛ばしてしまう。
その日の夕方、歯科医院でスズキ君に会ったアオヤマ君は、嘘をついてスズキ君を泣かせてしまう。
お姉さんからお説教を受けるも、聞き流すアオヤマ君だった。
夜、「研究室」と呼んでいる自室でペンギンについて調べていたアオヤマ君は、海から上がったペンギンが必ず通る道の事を『ペンギン・ハイウェイ』と呼ぶと図鑑で知った。
そして、彼はペンギンの謎を解くプロジェクト名を『ペンギン・ハイウェイ』と名付けた。
翌日、ウチダ君と聞き込みをして情報を集めたアオヤマ君は、そこから自身の仮設を考え始める。
そして、日が落ちた後、カフェでお姉さんとチェスをしながら謎について話し合っていた。
別の日、ウチダ君とペンギンを探しているもなかなか見つからず、もう一つの進行中の「プロジェクト・アマゾン」に切り替える。
川の水源を探るこのプロジェクトの最中、2人は「銀と月があり、それを見ると病気になる」という噂のある山の前に出て、引き返すことに。
するとスズキ君と取り巻きの2人が現れた。
歯科医院での仕返しとして自動販売機にアオヤマ君を縛り付けて逃げたスズキ君達。
縛り付けられたアオヤマ君を見つけたお姉さんが彼を助け、話の流れでお姉さんはある事をする。
お姉さんが「見ててごらん」と言い、コーラの缶を空中に放ると、なんと缶がペンギンに変わった。そして「この謎を解いてごらん」とアオヤマ君に言うのだった。
翌日、実験で昨日の不思議な現象を確かめるため、アオヤマ君とお姉さんは再びコーラ缶やその他色々な物を投げてみる。
しかし、ペンギンは現れなかった。
中盤
ある日、ウチダ君が告げたのは「ペンギンを飼っている」という事だった。駐車場で発見したペンギンをマンションの屋上に隠していた。
ところが、そのペンギンはご飯を一度も食べないという。気になった2人は水族館に連れて行こうと電車に乗る。
しかし、電車で数駅進むと、ペンギンの様子がおかしくなってきた。体調が悪そうになり、下車して外に出すと、ペンギンは溶けるように消えてしまった。
「街から離れると消える」という仮説をアオヤマ君は立てる。
夜、カフェでチェスをさすアオヤマ君とお姉さん。お姉さんの怖いものの話になり、『鏡の国のアリス』に登場する怪物やコウモリが苦手だと言う。
店のブレーカーが落ちて真っ暗になった店内で、急にチェス盤が揺れたかと思うと、駒がコウモリに変わった。
翌日、アオヤマ君はある仮説を検証する為に再び実験をする。
それは、「ペンギンは光の中で現れる」という仮説をだった。
そして、日光がさす中で投げられた缶は、見事にペンギンに姿を変えたのだった。これで、仮説は証明された。
仮説が証明され、その祝賀パーティーを開くことに。お姉さんの家に上がったアオヤマ君は、床で寝転ぶお姉さんの姿に、何か湧き上がる感情を感じていた。
お姉さんが以前に住んでいた「海辺の街」の話になり、海を見たことがないアオヤマ君を連れて行くと約束した。
別の日、クラス内でもアオヤマ君と争うほどに頭がよく、チェスが上手なハマモトさんに連れ出されたアオヤマ君とウチダ君は、森の奥に引かれていく。
そこで見たのは、草原の中心に浮かぶ謎の物体だった。ハマモトさんはそれを〈海〉と呼んでおり、3人で研究する事にした。
ハマモトさんは、どうやらアオヤマ君に好意を抱いているらしかった。
夏休みのある日、3人は夏祭りに出かけ、ハマモトさんの父親と会い、挨拶を交わした。
しばらくしたある日、スズキ君達が〈海〉のある草原にやってきた。秘密だったはずの場所が知られた事に怒り悲しむハマモトさん。
そんな彼女に構わず、スズキ君はアオヤマ君は飛びかかる。そこに助太刀に入ったのはお姉さんだった。
帰り道、アオヤマ君とお姉さん、ウチダ君は森の中で何かを探す研究員達に出会った。アオヤマ君は、なにか嫌な雰囲気を感じ、「何も見ていない」と嘘をついた。
後半
街では奇妙な事が次々と起こり、謎のモンスターまで出現していた。
そんな中、ウチダ君は一人「プロジェクト・アマゾン」を続けており、この街の川が一周繋がっているという事を突き止める。
奇妙な事が続く中、お姉さんはアオヤマ君に「海辺の街に連れて行ってあげる」といい、2人は電車に乗る。
しかし、街から離れたらお姉さんの体調が急変し、顔色もみるみる悪くなっていった。ペンギンと同じく、街から離れる事が出来ないのかもしれない。
謎が重なり、難しくなり、解決の糸口が見つからず悩むアオヤマ君は、お父さんに助けを求める。
すると、お父さんは「分かってることを書き出してみなさい。それでも駄目なら、一旦忘れてみる。すると“エウレカ”が降りてくる」とヒントを与えた。
夏休みが終わり、学校が始まった日。
スズキ君達が変な生き物を学校に持ってきた。すると職員室に呼び出され、大学の研究員から協力依頼が来た。
教室から連れ出されるスズキ君らに対し、ハマモトさんは「あの場所の事は誰にも言わないで」と念を押す。
台風が近づいてきた日、アオヤマ君は風邪で寝込んでしまう。
数日間学校を休み、登校する途中で遂に「エウレカ」と呟く。
教室で一心にノートに書き込むアオヤマ君。するとクラスの一人がテレビをつけ、ニュースが。
ニュースでは3人が〈海〉と呼んでる物体が膨張し、避難指示が発令されたという。さらに、ハマモトさんのお父さんら研究チームが行方不明になってしまったというのだ。
ハマモトさんと一緒に教室を抜け出したアオヤマ君は、お父さんを救うと約束する。そこにウチダ君やスズキ君も合流し、森へ向かって駆け出す。
アオヤマ君は追ってくる大人を上手く撒き、お姉さんの元へ向かう。そして、ペンギン、〈海〉、お姉さんの関係を全て話し、この事件を終わらせることを決意する。
終盤
時空を歪める〈海〉は存在してはならない物であり、ペンギン達は世界を修復するためにいる。そして、そのペンギンを出現させるお姉さんは、人間ではない。
その事を伝え、世界を修復する為、お姉さんは大量のペンギンを生み出し、アオヤマ君と共に〈海〉の中へ向かう。
〈海〉の中に入った2人は研究チームを発見し、元の世界に戻ってくる。ペンギン達は〈海〉を食べて世界の修復を目指す。
街が騒ぎになっているそんな中、アオヤマ君とお姉さんはカフェにいた。そこで最後の会話を済ませると、お姉さんは消えていったのだった。
エンドロール。
最後まで読んでくださり、
本当にありがとうございました!!