『PSYCHO-PASS3 FI』を観ました!
映画館に行けないので、Amazon Primeで配信された全3話構成の編集版を観ました。結論から言えば、「残念」の一言。
全く面白くなかったし、TVシリーズ第3期から劇場版にする必要性すら感じなかった、非常に残念でもったいなかった約2時間でした。
2020年3月27日鑑賞
PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR
【評価:2.2/5.0】
【一言】
『PSYCHO-PASS』とは違う。
「悪の目的」が最後まで曖昧すぎる。
監視官や執行官をバラバラに分散させる展開。
敵の作戦としては完璧だけど、アニメとしては非常に見辛いものになっていて、勿体なかった。
シビュラの扱いも弱すぎる気が……。
【Twitter140文字感想】
【サイコパス 3 FIRST INSPECTOR】
《シュビラの正義を測る敵》の不在。
明確な目的を持つ純粋たる“悪”の空白。
抗システム存在の欠落は、全能神に石を投げる『PP』の本質の闕失で残念。伏線回収は未完。
問題児の監視官2人が感情強すぎ。
チームを分散させる展開はバディ作品として致命的な悪手。 pic.twitter.com/SQShsRmYbc— ArA-1 (@1_ARA_1) March 28, 2020
【目次】
STORY&STAFF
2012年にスタートしたオリジナルTVアニメーション作品『PSYCHO-PASS サイコパス』の第三期TVシリーズ『PSYCHO-PASS サイコパス 3』で描かれたふたりの新人監視官の物語が、最新作『PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR』としてついに完結する。変わりゆく世界で真実を追い求める慎導灼、炯・ミハイル・イグナトフが辿り着く先にあるものとは—。
映画公式サイト
予告動画
監督:塩谷直義
脚本:深見真, 冲方丁
制作:Production I.G
音楽:菅野祐悟
キャスト:梶裕貴, 中村悠一 and more.
Amazon Prime Video 全3話配信
日本公開:2020年3月27日
配給:東宝映像事業部
公式サイト
映画の感想概要
本当に残念で勿体なかったです…..。
まぁ、TV第3期の時点でビミョーに思ったので、今回の劇場版/配信版の『PP3FI』も期待はしていませんでしたが、それを遥かに下回るもので、とてもガッカリ。
正直、何から書けば良いのか、迷ってしまっています……。
まず、「悪」と「目的」が曖昧すぎです。
今までは、槙島聖護や鹿矛囲桐斗のような確固たる「悪」が明確な「目的」を持って行動することで、社会システムに対して反旗を翻す物語が分かりやすく展開されていました。
同時に、「悪がいるから正義を問える」という部分もとても強かったと思うのです。
でも、この第3期と『FI』では「ビフロスト」とかいう敵の存在自体が曖昧な上に、その行動目的が語られることは少なく、理解に苦しみました。
今までは「シビュラの正義」を問う物語で、社会システムに抗い問題を提起する姿が一貫して描かれていたのが『PSYCHO-PASS』の魅力だと思います。
でも、今回は違う。
第3期と『FI』の内容が、シビュラへの打撃になるかと問われれば、否でしょう。途中までは惜しかったと思うんですけどね。
社会の構造的問題を具現化した「ビフロスト」の設定を上手く回すことができれば、きっとより良いシビュラと社会への一撃になったと思うんですけどね……。
第3期はとても”つまらない”。
第3期と『FI』は、物語が小さいからつまらなく感じたし、正直、キャラの過去とかどーでもいい。
「システムへの反抗」という大義を掲げた『PSYCHO-PASS』でありながら、今回の監視官=炯や灼はあまりにも感情的で、プライベートな部分に縛られすぎていると感じます。それに、過去に目を向けすぎでは。
「PSYCHO-PASS サイコパス 3」ノンクレジットOP
さて、『FIRST INSPECTOR』の物語。
厚生省公安局本部を舞台にしたアクション映画としては、とても見応えのある作品になっていたと思います。
でも、キャラを分断させたのは勿体ない!
敵の作戦としては、監視官や執行官らをバラバラにするのは「妙手」です。でも、120分の映画としては「悪手」だと思います。
何人ものキャラを分断すると、物語の進展も切り替わりが激しくなるので、見辛くて仕方ないです。
アクションと音楽はピカイチ!
やっぱり、この2つは『PSYCHO-PASS』の魅力です!
近未来感が満載のクールなBGMは最高に痺れます! そして、近未来でありながら格闘技やパルクールなどの肉体を使ったアクションが多い部分が格好いいです!!
映画の感想内容
悪とシビュラが不在の物語
第3期と『FIRST INSPECTOR』。
今までの『PSYCHO-PASS』と違って、この物語は「確固たる《悪》が明確な《目的》を持って行動する」という形ではありません。さらに、シビュラの存在意義そのものが失われてしまっています。
そこが、第3期と『FI』が”つまらない”と感じる一番の理由だと思うし、色々と分かりにくいと感じる原因なのではないかな、と思います。
第1期《What is the heart?》
”悪”は槙島聖護。
彼は、シビュラによる管理社会の中で、「人間らしさ」と「どう生きるべきか」を社会に問うために数々の犯罪行為を犯した免罪体質者。
第2期《What Color?》
”悪”は鹿矛囲桐斗。
移植手術によって透明人間になったことで存在を否定された彼は、「シビュラ自身の色を問う」という復讐のために事件を起こした免罪体質者。
悪がいるから、善を描ける。
不義が行われるから、正義を規定できる。
PSYCHO-PASS サイコパス 2 第2弾PV
では、第3期と『FI』はどうでしょう?
敵は? 悪は? その目的は?
敵は、1stインスペクター:梓澤廣一。
悪は、インスペクターを操るビフロスト。
じゃあ、その目的は?
ビフロストの目的は金儲け。
う~ん……ショボい。確かにその方法は人命をゲームのように扱う酷いものですけど、それは「正義の価値観」を揺るがすほどの威力は持っていないと思います。
梓澤もビミョーだなぁ。
第3期終盤で「俺が主役さ」みたいなしたり顔で事件の糸を引いているように見せたり、映画キービジュアルで大きく切り取られたり。
でも、それ以上は彼自身の「意思」があまりにも曖昧すぎて、彼がどの立ち位置にいるのかすら理解に苦しむほど。
『PSYCHO-PASS』の悪役を背負うほどの意思も思考も持ち合わせていない、薄いキャラだったのだと思います。
シビュラの存在意義
これまでは、全て「シビュラ」が中心でした。
物語の中心にはシビュラがいて、事件は全てがシビュラに収束する形で幕を閉じる構図。その中で、社会の矛盾やシステムの欠陥を指摘する構成でした。
では、第3期と『FI』はどうでしょう?
第1期は槙島聖護がシビュラの正体を暴き、
第2期で鹿矛囲桐斗が矛盾点を突きました。
劇場版では「シビュラの海外輸出」を中心に物語が展開され、結末もそれに相応のものでした。
『SS』は比較的に人間ドラマ重視でしたが、所々でしっかりとシビュラの存在や動きを視聴者・観客に伝えていました。
『PSYCHO-PASS サイコパス』Next Project
でも、第3期では忘れられた存在になっていました。
一体、何度「ドミネーター」で執行をしたでしょう?
第3期の率直な印象は「コイツら全く執行しねぇな」というもの。正直、潜在犯が肉ダルマになって破裂するグロ描写が好きだったこともあり、第3期はつまらなかったです。
それって「ドミネーターが作動していなかった」ということで、ドミネーターはシビュラの代理人みたいなものですから、つまりは「シビュラが作動していなかった」というようなものでは?
実際、第3期の中で「シビュラが判断を下した」場面は何度あったでしょう?
私の印象では、感情的な監視官2人が独断と現場の判断で勝手に決めていたようにしか思えない場面がほとんどでした。
せっかく犯罪係数という善悪判断を数値で視覚化する基準があるのに、それを使わないとか勿体なすぎるのに……。
『PSYCHO-PASS』の本質。
「正義 vs. 不義」や「善 vs. 悪」の対立もそうですが、それ以上に重要なのは「シビュラ」という全知全能な管理システムの存在だと私は思います。
逆かも。監視・管理社会のシステムを目に見える形で具現化した「シビュラ」という存在は最高に格好いいし、SFとしても秀逸だと思います。
そして、ある意味では「実体があるから反抗できる」という部分も大きかったのではないかな、なんて思ったりもしています。
その完全なシビュラに対して、石を投げるストーリーに『PSYCHO-PASS』の面白さはあると思うんです。
だから、第3期も『FI』もつまらない。だって、そもそも石を投げる相手がいないんですもん。
シビュラとラウンドロビン
この2つの存在はとても上手いと思います。
どちらも「社会の構造的問題を具現化した」という点で共通していると思うからです。これは、とてもよく出来た存在だと思います。
ちなみに、私の理解だと、「ラウンドロビンのゲームに乗っているビフロストという組織」という感じなんですけど、合ってますかね? 基本的にゴチャ混ぜというか(笑)
シビュラ・システム
監視社会や管理社会という曖昧な、しかし着実に進展している「社会の形」を上手く描き出した存在だと思います。
ジョージ・オーウェルの『1984』に登場する「ビッグブラザー」や、中国共産党のように、明確な対象が存在するだけで、物語って非常に分かりやすくなると思うんです。
その、監視や管理といった機械的な部分を一つにまとめあげた巨大なシステムが「シビュラ」で、さらに凄いのは物語の中でキャラクターとしても行動しているところ!
ラウンドロビン/ビフロスト
よく分からないけど。見た感じでは「社会を裏から操っている」ような悪の組織的な感じで描かれます。特に経済面や政治面に重きを置いていて、それをゲームという形で駆け引きしているところが面白い。
『007』の「スペクター」みたいな感じで、社会のあらゆる所に忍び込んで、工作をして、操り動かしている存在。
特に、経済格差や移民問題、ヘイトスピーチのような社会構造的な問題を具現化した存在だから凄いと思います。なかなか構造的問題は解決が難しいけど、「ひとつの組織」として扱えば楽ですしね。
そして、両者は対照的な存在。
シビュラは全知全能な神の存在。
・犯罪を抑制する
・表舞台の存在
・監視官と執行官を動かす
ラウンドロビンは人間の組織。
・犯罪を実行する
・裏側の存在
・コングレスマンとインスペクターが動く
社会構造を具現化し、さらにそれを対照的な姿で描き出そうとした部分は、とても大きな称賛に当たるし、『PSYCHO-PASS』らしいと思います。
第1期も第2期も「個人の敵」が強かったから、「組織」が登場したのは妥当で自然な流れだと思います。
だけど、そのビフロストの扱いが不味かった。
「シビュラすら感知できない存在」。
年配の爺コングレスマンがそんなような事を言っていました。その設定はとても良いと思います。(細部が薄いので違和感は抱くけどね)
けど、結局はビフロストは金儲けと権力欲しかしないし、内輪揉めで共倒れ状態だし、行動原理がよく分からないし。
「シビュラの敵」という一番大事な席が空白のままで物語が進展し、そして終幕してしまったのが何よりも残念なところ。
物語があまりにも小さい。
第3期と『FI』は総じて”つまらない”の一言。
それって、物語があまりにも「小さい」からではないのかな、と。
スケールが小さいし、
監視官の器も小さいし、
社会的なインパクトも小さい。
これもやっぱり、物語の中心にシビュラが不在だからなのではないかな、と強く思う次第であります。
まず、物語が「個人的な内容」すぎます。
現在進行系の事件を追っているのに、炯と灼の過去ばかりがクローズアップされるし。その新人監視官が幼馴染という設定からして、面倒くさい家庭のゴタゴタに巻き込まれるのは目に見えているし。
TVアニメでも、炯の妻が人質にされたり、灼のメンタルトレースなんて超能力が飛び出すし、個人の事情が色濃く出過ぎな気がします。
第1期や第2期を思い返して見ると、確かに「宜野座と征陸」とか「東金と禾生局長」とか内輪話はありましたが、深く踏み込まなかったし、過去より現在が中心で描かれていたから面白かったな、と。
それから、問題児の監視官2人。
感情的すぎると思います。
すぐに怒って人を殴ったり、メンタルトレースで意識不明になりかけたり。(見ていて腹が立つのは炯の方ですけどね)
感情は出すべきだと思います。
けど限度ってものがある。狡噛も常守も征陸も霜月も、怒ったり泣いたりしてました。けど、ちゃんと「刑事」としての信念や誇りを持った感情表現であって、コントロールできてたし、意味がありました。だから、人間臭くて好きだったのかもしれません。
社会的なインパクトも小さい。
確かに、「開国」や「都知事選」は大きなイベントでした。放送開始前は「開国政策」と聞いて驚いたし、劇場版やSSが伏線になっていると知って嬉しかったものです。
けど、いざ蓋を開けてみれば、「どうやら移民問題で揺れているらしい」程度にしか描かれないし、都知事選も「結局なに?」としか思えなかったし……。
何人もの人間が死んだり、殺されたり、エリアストレスの大幅な上昇や犯罪係数の悪化など、『PSYCHO-PASS』世界観における社会に対するダメージの描写が少なかったところが、少し物足りなく感じました。
それに、今まではTVシリーズでも劇場版や『SS』でも、社会問題をストーリーに絡めた内容が描かれていました。
第3期でも、政治・経済・移民・宗教といった内容がきちんと描かれていました。
けど、今回の『FI』では、そういった社会面が本当に弱くて、物足りなさを感じました。(TV版の伏線回収を頑張りすぎたのかな)
敵の妙手と物語の悪手
『FIRST INSPECTOR』の物語。
簡単に言えば、厚生省公安局本部のビルを使った人質立て籠もり事件で、一棟丸々を戦場にしようと頑張った感じのお話でした。
面白いと思います。
でも、その描き方が悪かった。
監視官や執行官、外務省行動課など何人ものメインキャラクターが、状況打開のために別々に行動する姿が描かれます。
これ、犯罪者側なら最高の手腕です。
強いチームを分散させることで、確実に相手の戦力を削いでいくという、セオリー通りの無難で堅実な戦い方だと思います。
でも、今回はやり過ぎました。
あまりにもバラバラ過ぎる。
120分も全員がバラバラに動くなんて。
私が観たかったのは、監視官と執行官の「チーム」や「バディ」で困難な状況を優勢へと変えていく姿。その格好良さが『PSYCHO-PASS』の刑事ドラマらしい魅力だと思っていました。
だから、それが分断されてしまっては、面白さも大幅減。
ビル籠城モノといっても、『ダイ・ハード』のジョン・マクレーンみたいに「最強の刑事が1人で解決する」という形ならなんの問題も無いんですけどねぇ……。
しかも、本作の主人公の活かし方がダメダメ。
慎導灼と炯・ミハイル・イグナトフ。
監視官の2人。
TV第3期の時点で、コンビネーションが弱く、個人での行動が多かった2人。それも当然で、監視官が執行官を引き連れて別々に捜査するのは当たり前ですから。
でも、プライベートな部分で互いに支え合っているように見えたから、映画の方ではその部分が深く掘り下げられるのかとばかり思っていました。
けど実際には、灼と炯の2人もバラバラの別行動で、結局は大して深く掘り下げられることもなく、終わってしまった感じで、とても残念です。
結局、登場人物は何人?
公安刑事課一係が6人、唐之杜分析官と霜月課長。刑事課二係と三係の数名。外務省行動課の4人。梓澤廣一とビフロスト側の数人。
これだけの人数を、120分の映画の中でバラバラに描きながら、物語を進行させようということ自体が難しいと思います。
『アベンジャーズ』みたいなヒーロー映画はまた少し別ですけどね(あれはよく出来ているし)。
アクションが格好良すぎる!
アクションと音楽はピカイチの作品!
『PSYCHO-PASS』の最大の魅力はストーリーの部分ですけど、それを描き出すアクションや音楽の部分が本当に格好いいです!
まず、アクション。
近未来が舞台で、自動化されている部分も多いけど、アクションだけは生身の人間が肉体を酷使して満身創痍になるから面白いんですよね。
外務省行動課は最高に格好いい!
狡噛の身体全体を大きく使った格闘技は、滑らかで素早い動きで本当に綺麗です。素手でもナイフでも強すぎる!! それに、宜野座さんの狙撃を毎度楽しみにしています(笑)
灼のパルクールも好き。
アニメとは思えないほど滑らかな動きで、壁や室内を自由自在に移動したり、警備ドローンと戦ったりと、今までのアニメキャラにはない動きが多くて、見入ってしまいます。
そして、音楽。
菅野祐悟さん、格好良すぎです!
アクションのシーンで、あの音楽がかかるだけで、何倍も格好良く映るから凄すぎます! 近未来感がありながら、とても響きが強いんですよね。
ただ、今回は主題歌は2曲とも微妙かも。
・Who-ya Extended「Synthetic Sympathy」
・Cö shu Nie「red strand」
EGOISTの音楽が大好きという部分も強いですし、凛として時雨の高い声も大好きでしたから。でも今回の主題歌は2曲とも、ただウルサイだけというか。(いい曲なのだと思う。)
Who-ya Extended 「Synthetic Sympathy」
Cö shu Nie – red strand (Short Edit / PSYCHO-PASS ver.)
以降、映画本編のネタバレあり
映画の感想
※ネタバレあり
前中後編の3編構成
劇場公開もされていましたが、私はAmazon Primeで観たので3部に構成されたものを観ました。1話が約45分くらいですかね。
これ、私は家のPCで観たからまだこの評価だけど、映画館で観たらもっとガッカリ感が強かったのではないかな~と心配しています。
劇場版がどういう流れだったのか、配信版がどう編集されていたのかは分かりませんが、分割したことで残念感が増したのかも。
前編『Ziggurat Capture Part 1』
これは、面白かった。
梓澤が仕掛けた公安局への攻撃と、潜在犯を逃して「皆さんは自由だ」と宗教と信仰心を操りながら煽動する姿は”真の悪役”的な怖さがありました。
陸の孤島と化した公安局ビルの中で、梓澤の計画通りの事件が進行するのはとても気持ちよかったです。
それに、小畑 vs. 唐之杜さんというハッカー対決も観られたし! ダンゴムシを扱う唐之杜さんが生き生きしていて格好良かった!
中編『Ziggurat Capture Part 2』
アクションが凄かったです!
行動課によるヘリポートでのバトルとか、嬉しそうな顔でドミネーターを取り出す霜月課長と、楽しそうに引き金を引く廿六木さんとか。
傭兵や警備ドローンとの激しいバトルもあって、アクションが冴え渡っていた45分。
ただ、その間に物語の方は一切進んでいかなかったので、つまらないと感じた点は仕方ないんですかね。
後編『Rainy day, and』
尻すぼみ感!
まず、あれだけ強い口調で自信ありげに動いていた梓澤が、急に慌てだして逃げ出すという、小者感丸出しで最悪。もっと堂々として欲しかった。
それに、慎導灼の過去編も雑。
もっと簡単に分かりやすく伝えれば済むことじゃない。
ラストの結末も、「ラウンドロビン」の真実は驚いたけど、やっぱり梓澤関係の展開は好きになれないです。
シビュラとラウンドロビン
この関係が明かされた時には、驚きました!
まさか、今回も全てがシビュラの手の上で転がされていたとは、やられました……。
そういう意味では、最初に「今回はシビュラが不在」と批判しましたが、鏡写しの、兄弟的な存在が主役だったと言うこともできるんですね。
ラウンドロビン。
併設型自動デバック診断修復サブシステム「ラウンドロビン」
つまり、シビュラが社会を構築する中で、不完全な部分やバグを取り除く役割を担っていたのが「ラウンドロビン」であったわけですか。
シビュラに気づかれていないわけではなく、黙認されていた、というかシビュラの目的通りに動いていたということですか。
だから、下っ端の狐には詳細を教えずに犯罪行為を行うことで、社会全体の色相を保ったまま、バグ修復を行っていたという形なのですね。
最後で、「ラウンドロビン」のチェス駒のようなロゴと、「シビュラ」の脳のようなロゴが合体して球体になった演出は、とても素晴らしいものだったと思います!
慎導灼と梓澤廣一
この2人、最初から最後までよく分からなかったなぁ。
魅力的かと言われれば、一切の魅力はないし、かといって強いわけでもないし。ビミョーだったなぁ。
慎導灼。
メンタルトレースで犯罪を捜査する監視官。
メンタルトレースの部分についても文句は色々とありますけど、ここでは無視。物語としては「自身の過去と対峙する」というよくある形。
でも、なんだかなぁ。
結局、彼の過去って何?
「免罪体質者」ということ、「シビュラの正体を知っていた」ということ。でも、なんで正体を知っていたの? 父親が見せたから? その父親は何なの? 父親はコングレスマンだった。 なぜ灼にシビュラを見せたの? 素晴らしさを教えるため? ならどうして記憶を封印したの?
なんか、深そうなくせして、その詳細が全く明かされないから、薄っぺらい物語になってしまっていると思うしかなかったなぁ。
そして、梓澤廣一。
1stインスペクターとして暗躍する彼。
『FI』の前半では、悪役っぽく振る舞っていて、容姿もダンディなおじさんだから格好良かったです。けど、中盤~後半にかけて劣勢に転じてからは酷かったな……。
今までの悪役って、槙島聖護も、鹿矛囲桐斗も、なんならニコラス・ウォンも、皆んな最後まで堂々としていたんですけどね……。
彼の行動目的は理解できる。
至って凡庸で平凡な彼が、シビュラの一員になれれば、それは特別な存在として認定されるに等しいことですから。でも、それは叶わず。最後に暴れている姿は観たくなかったな……。
回収されぬ伏線
今回は、伏線回収編というか、ワイダニット内容だと思っていたので、それらがほぼ未解決のまま終わってしまったのは本当に残念でした。
「え、結局なんだったの?」ってね。
聞きたいことは山程。
◆ なんで常守朱は逮捕されたの?
◆ 炯・ミハイル・イグナトフの過去は?
◆灼の父親の死亡事件の真相
◆ 六合塚さんは何で狙われたの?
◆ 外務省行動課の真の目的は?
◆ 法斑静とは何者なの?
◆ 霜月課長、可愛いすぎない?
︙
特に、常守朱の収監理由が明かされなかったところには、強い違和感と抗議の念しかありません。多分、第3期を通して一番気になっていたのは、彼女のことだもん。
でも、最後に狡噛慎也が、白馬の王子様よろしく迎えに来たシーンが格好良かったので、全然良いんですけどね!!!(笑)
劇場公開版には、配信版にはないエンドクレジット後の映像があったらしいですね。その内容は知らないですが、ぜひ続きでしっかりとお願いしたいです。
『PP3 FI』の感想でした!
かなり、残念。でも、もし次の機会があるならば、ぜひ物凄い内容になるのであろうと、ワクワク楽しみにしています!
あと、私が書いた『PSYCHO-PASS』関連の記事です。
もし興味あれば、読んでいただけると嬉しいです!
最後まで読んでくださり、
本当にありがとうございました!!
やっぱりつまらないと思いましたか、私もです。3期シリーズは全部通して、思ってたのと違った感じでショックでした。今まではわかりやすくて考えさせられる内容だったのに、わかりにくくて面白みがない最悪の3期でしたね。この記事の内容が的を射た感想で共感します。
>大竹夕季さん
コメントありがとうございます!
ですよね、第3期の劇的な結末を期待していたら、以外とそうでもないという…。
でも最新作『劇場版 PSYCHO-PASS PROVIDENCE』の制作発表がされたのでそちらに期待大です!
>ななし さん
そうですね…全部「シュビラ」になっていますね。お恥ずかしい限りです。
訂正・書き換えをさせていただきました。
シビュラじゃないですかね。