展覧会「MANGA都市TOKYO」:現実と虚構の《東京》を介して日本サブカルと都市の関係性を探る。

 こんにちは!
 お元気ですか?

 先日、Netflixの新しいアニメCMが公開されましたが……素晴らしすぎる✨ ダイスケリチャードのデザインが可愛くて、感情的な譜の歌声が素敵だし、ビートを刻む歌詞に合わせたアニメシーンの展開が見事すぎて感動…!!!

 さて、展覧会の感想。
 今年、2020年に最も楽しみにしていたと言っても過言ではない、日本のサブカルを体系的に展示する「MANGA都市TOKYO」展です! とても良い展覧会でした!

国立新美術館「MANGA都市TOKYO」画像
「MANGA都市TOKYO」@国立新美術館にて

2020年8月24日鑑賞

MANGA都市TOKYO

国立新美術館「MANGA都市TOKYO」画像
©MANGA都市TOKYO

展覧会と記事の概要

一言コメント
  • 日本のマンガ・アニメ・ゲーム・特撮が首都東京をどう描き、現実に作用したのかを体系的に展示する展覧会。
  • 数多くの作品を引用しながら《現実》と《虚構》の関係性を考えることができる素晴らしい展覧会!
  • 『AKIRA』,『エヴァ』,『ラブライブ!』,『君の名は。』,『ゴジラ』…など日本サブカルを代表する有名作品が並んでいて興奮!

展覧会のあらまし

日本のマンガ・アニメ・ゲーム・特撮作品は、都市〈東京〉の特徴や変化を、鏡のように映しだしてきました。本展は、そのさまざまな描写を、多数の原画や模型、映像などでたどります。現実の都市の特徴がいかにフィクションに影響を与えてきたのか。またそれらフィクションやそのキャラクターが、現実の都市にいかなるイメージを重層的に付与し、作用をおよぼしてきたのか。本展は、日本のマンガ・アニメ・ゲーム・特撮の展示であると同時に、そこに映し出され、さらには人々の記憶の中で重ね合わされた、〈東京〉を展示します。「聖地巡礼」など、アニメやゲームが観光資源として注目される中、その意味や可能性に光を当てます。
日本博HP

『MANGA都市TOKYO』展 PR映像

会場:国立新美術館
会期:2020年8月12日~11月3日
主催:文化庁、日本芸術文化振興会、国立新美術館
公式HP:こちら
作品リスト:こちら *PDF

展覧会の感想


 今年、最も期待していたサブカル展覧会です!
 2015年【ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム】展のアップデート版にして、国家の威信を懸けた仏パリで開催された【MANGA⇔TOKYO】展(2018)の凱旋展示です。

 とにかく、凄いんですよ!

国立新美術館「MANGA都市TOKYO」画像
「MANGA都市TOKYO」展のポスター @乃木坂駅




 まず、ラインナップが凄い!
 展示されるのは、マンガ・アニメ・ゲーム・特撮。展覧会の協賛企業と協力企業は以下の通り。

【協賛】
秋田書店/ アニプレックス/ 一般財団法人パピエ/ KADOKAWA/ ガンホー・オンライン・エンターテイメント/ キングレコード/ クリプトン・フューチャー・メディア/ コアミックス/ 講談社 / コナミデジタルエンタテインメント/ コミックス・ウェーブ・フィルム/ コルク/ 集英社/ 小学館/ SHORT PEACE 製作委員会/ スタジオ地図/ セガグループ/ ソニー・インタラクティブエンタテインメント/ タイトー/ 東宝/ ニトロプラス/ 白泉社/ プロダクション・アイジー/ ポリフォニー・デジタル (50 音順)

【協力】
石森プロ/ NHK エンタープライズ/ カラー/ キネマ旬報社/ コミックマーケット準備会/ サンライズ/ 創通/ JR東日本リテールネット/ ジェンコ/ シンエイ動画/ スクウェア・エニックス/ 東映アニメーション/ トムス・エンタテインメント/ 手塚プロダクション/ ナデシコプロ/ 日本アニメーション/ 二瓶総合法律事務所/ バンダイナムコアーツ/ フジテレビジョン/ ヘッドギア/ ワーナー ブラザース ジャパン/ 株式会社わたせせいぞう(50 音順)

 凄くないですか!?
 日本のサブカルを牽引する企業や制作会社、サブカル関係会社…etc.が一堂に会した形です。こんな機会はもう二度とないかもしれませんよ。もう、この企業ラインナップと作品一覧を見るだけで感無量!(笑)



 さて、この展覧会。
 舞台となるのは巨大首都・東京。
 数多くのサブカル作品の舞台や題材になってきた東京と、作品それぞれがいかなる関係性を築いてきたのかを、作品と資料から解き明かす展示です。

 リアルとフィクション、現実と虚構。
 この2つの関係性を考える展覧会になっています。
 【MANGA⇔TOKYO】という名がよく表しています。

 私は、色々な作品を視聴したり、街を歩く中で、両者の関係をゆる~く考えてたりしました。「現実・虚構」って対立軸として扱われることが多いけど、むしろ逆に融合していると思っています。敵対的相違ではなくて、影響を与え合う相互作用を及ぼす位置にいると思うんです。

 「現実→虚構」という方向では、京都を舞台にした『けいおん!』など京アニ作品や、新海誠監督の描く東京の街並みなど、様々に影響を見ることができます。
 「現実←虚構」という向きも、『ガルパン』の大洗町は商店街をあげて聖地巡礼を推奨しているし、『花咲くいろは』の舞台・金沢湯涌温泉では、作中の架空のお祭りを開催してもう7年目。

 こういった、“リアル”と”フィクション”の関係性を、様々な作品をもとに体系的に考察する展覧会になっており、示唆に富んだ素晴らしい展覧会でした! 単純の面白かったし、勉強になったり、考えるヒントをくれたりしました。

国立新美術館「MANGA都市TOKYO」画像
聖地巡礼で盛り上がる『ラブライブ!』のスタンドパネル




 展示されていた資料。
 サブカル文化を扱う上で、何を展示するかは大きな課題だと思います。
 今回は、予告やPVなど映像資料、アニメ制作の原画や動画、マンガの原画などでした。一部複製を含むものの、これだけの貴重な資料を、ひとつの展覧会で見ることができるというのは、やはり素晴らしい展覧会です。(展示資料の詳細は作品リスト[PDF]に記載あります。)

 また、この展覧会の目玉である「1/1,000 巨大東京都市模型」。
 確かに凄かった! 東京のランドマークがしっかり見えるし、細かい作りで面白かったです!

国立新美術館「MANGA都市TOKYO」画像
手前の高層ビル群が、新宿周辺。





 この展覧会、国家の威信を掛けています。
 主催は文化庁や国立美術館などで、かつ政府の日本文化発信プロジェクト「日本博」の一環であることなど、国家をあげての展覧会というところが、もう感動モノ!

 この展覧会は、凱旋展示です。
 日仏友好160周年にあたる2018年、フランスで日本文化の総合芸術企画「ジャポニズム2018が開催されました。これがヤバいんですよ! 能楽、禅、武道、縄文、琳派、ジャポニズム、映画、現代美術…等々、古今の日本文化の展覧会や企画が半年以上に渡り、パリ各地で開催されました。規模も内容も過去最大級で、大盛況のうちに閉幕したのです(数字でみる「ジャポニズム2018」)。
 この祭典の企画の1つが、本展のもとである「MANGA⇔TOKYO」展です。現地レポートを読むと、写真付きで様子が分かります。そして、とても行きたくなります! なので、今回こうして東京で見られて本当に良かった!!

「ジャポニスム2018」を通じて、縄文の考古の美から現代日本の最新技術を駆使したアートまで、多様な日本文化の花をフランス全土で一気に開花させます。
内閣総理大臣・安倍晋三


 会場内には「コンビニ」や「電車の車両」の1/1スケール模型を作り上げてしまうなど、面白い展示もありました。そういった街の様子そのものをパリへ持っていったところが凄いですよね。

国立新美術館「MANGA都市TOKYO」画像
会場内に再現されていた鉄道車両




 さらに、この展覧会は2015年に国立新美術館で開催された「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム」展公式HPのアップデート版でもあります。
 2015年の展覧会にも行きましたが、最高でした!!! 作品リストを見ると分かりますが、作品数が桁違い!! 作品と現実の関係、作品同士の関係などを知ることができる素晴らしい展覧会でした!
 この展覧会が大好きだったので、今回の「MANGA都市TOKYO」にも大いに期待していたわけです。

【展示会】ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム展from1989 - メモスト
展示会『ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム展from1989』の感想レビューです。 <こちらから見る、そちらの世界>


 今回の展覧会は、会場構成が好きではなかったです。
 会場図を見れば分かりますが、会場の中央に巨大な都市模型を置き、その周囲の壁に原画等の資料を置くという形でした。……う~ん、つまらない!

 一方で、2015年の「ニッポンのマンガ*~」展が素晴らしかった!
 ”サブカルを展示している感”が凄くて、会場内に足を踏み入れた瞬間からワクワクがこみ上げてきたのを今でも覚えています。あの展覧会は記憶に残る良いものでした。(東京会場とは少し違うけど、兵庫会場ので雰囲気が伝われば……)


 マンガ装丁やアニメビジュアル等のデザインを手掛ける草野剛デザイン事務所が、2020・2015どちらの展示も手掛けています。(以下HPで東京会場の様子が見れます)


 なお、今回の展覧会の会場内の様子は、内覧会レポートを見れば分かります!

MANGA都市TOKYO プレス内覧会

「東京」テーマにカルチャー集結

展示作品の紹介と感想

 展示内容を紹介しながら、感想を書いたりしていきます。
 各セクションのテキストはフィクションと東京の関係を考える上で素晴らしかったので全文をメモりました!(笑) 素晴らしい文章なので、ぜひ読んでください! 一部の解説で「良いなぁ」と思った文章とかをメモしてありますが、ところどころなので、整ったものにならない部分もあります。

 あと、作品に関してはマンガ・アニメ・ゲーム・特撮をそれぞれ【M】【A】【G】【T】と表記します。(特撮はローマ字読み 笑)

はじめに

 展覧会の入り口部分。
 展覧会の射程が示されていました。文章が長かったので、特に気に入った部分をちょこっとスクラップしました。

単に東京の特定の風景が背景に描かれるにとどまらない、場所とフィクションとの相互関係が、そこに立ち現れてきました。
それらの作品が、いかに東京という都市の特徴や変化を映し出してきたのか。
逆に、現実の東京が、いかにフィクションの成立基盤となってきたのか。
さらに、それらフィクションやキャラクターが、現実の東京にいかなるイメージを重層的に付与し、作用をおよぼしてきたのか。

MANGA都市TOKYO展

ごあいさつ

 主催者の挨拶。
 こちらも、ところどころ抜書きしました。

日本のポップカルチャー[…]一つの文化として総合的な展覧会を行うには、まだまだ課題が多く、容易なことではありません。[…]
様々なキャラクター達が虚構の東京の中に生きて活躍し、作品には実在する東京の歴史や時代の空気や鏡のゆに映し出され、虚構と現実が絶妙にかけあわされて作られています。そして[…]東京が虚構の世界の影響を受けて、実際に都市が変化しているという事実[…]
MANGA都市TOKYO展

ナビゲーターの紹介

国立新美術館「MANGA都市TOKYO」画像

 今回の展覧会を案内してくれるナビゲーターの「ヨリコ」と「ヴィッピー」の紹介と、立体パネルが設置してありました。

 イラストを手掛けたのは、アニメーターの吉成曜さん!
 GAINAXやTRIGGERで『天元突破グレンラガン』や『パンスト』に参加したり、監督として『リトルウィッチアカデミア』を制作されたりしています。



 展覧会のキービジュアルなどで、綾波レイ・月野うさぎ・初音ミクなどのコスプレをしている姿がめっちゃ可愛くて好き!!!!

イントロダクション

 展覧会のイントロ。
 まず、東京の概要を示すようにサブカル作品の映像と現実とをモニターに映した解説が。そしてなんと言っても目玉展示なのが《1/1000巨大東京都市模型》ですね!

イントロダクション紹介作品・動画リスト

東京の概要

 多分、章タイトルは付いていなかったと思うので、勝手に「東京の概要」と付けました。
 以下の内容から、東京の全体像を説明していました。

  • 東京23区
  • 東京の鉄道網
  • 東京の幹線道路網
  • 河と橋

展示作品は以下。

【A】機動警察パトレイバー2 the Movie
【G】ガンスリンガー ストラトス2
【G】ガンスリンガー ストラトス3
【G】グランツーリスモ6
【G】グランツーリスモSPORT
【G】電車でGO!FINAL
【G】東京23区制服Wars


 東京の地図は普段から目にしているつもりでも、こうしてジャンルごとに改めて見ると面白い都市だなぁと最初っから感慨深く見ていました(笑)
 それから、サブカル作品の数としては少ないですが、首都高を疾走するレースゲームや鉄道運転ゲームなどなので、他の展示以上にリアルさを感じました!

 そして、胸に刺さったのが次に紹介されていた言葉。

仏のロラン・バルトは、東京の中心は〈空虚〉、あるいは〈神聖なる無〉であると、評しました
MANGA都市TOKYO展

 東京の中心に鎮座する「皇居」を指したものです。
 路線図とかを見ればわかりますが、皇居の周りを囲むお濠がその形を浮かび上がらせて、しかも当然、皇居の中に道路は通っておらず、地下鉄も走っていないという不可思議な場所。外国人目線で見ると特に面白い場所なのかもしれません!

1/1000巨大東京都市模型

 展覧会の大目玉!
 展覧会場のド真ん中にド~ンと大きな模型が置いてあって、その迫力は確かにすごかったです!

展示室内に入ると、1/1000 の縮尺で再現された、幅約 17 メートル、長さ約 22 メートルの巨大な東京の都市模型が現れます。そしてこの巨大な都市模型を囲みながら、東京を舞台とするマンガ・アニメ・ゲーム・特撮作品の展示が展開されます。現実の都市風景に、さまざまな物語の場面やキャラクターの記憶が重ねられて醸成される、〈東京〉 の複合的なリアリティを来場者が体感できる構造となっています。
展覧会HP

展示作品は、以下。

【A】AKIRA
【A】ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序
【A】言の葉の庭
【A】3月のライオン
【A】残響のテロル
【A】秒速5センチメートル
【A】ラブライブ!
【A】機動警察パトレイバー2 the Movie
【G】STEINS; GATE
【T】ゴジラ(1954)
【T】シン・ゴジラ
【その他】実物大ユニコーンガンダム立像


 確かにスケール感はすごかったのですが、色が灰色一色でつまらなかったです…。せめて、大きな観光名所くらいは着色して欲しかったです。あと、大きすぎて全体像を見れなかったので、陸橋みたいなので上から俯瞰できる構成にすると、なお良かったかなと思います。

セクション1:破壊と復興の反復

日本のマンガ・アニメ・ゲーム・特撮には、東京の大規模な破壊や、破壊を経て復興した新たな東京のイメージを描いた作品は、数多く現れてきました。歴史的にみても、東京は、幾度も大地震や大火に見舞われ、そのたびに復興を繰り返してきました。そして近い将来、高確率で再び大災害に見舞われると、宿命のごとく謳われています。現実の都市の歴史や未来像が、人々のリアリティの感覚を形成し、フィクションの重要な基盤となってきた──そのような、都市とフィクションとの関係が、浮かび上がります。
MANGA都市TOKYO

セクション1紹介作品・動画リスト

フィクションの中の東京の破壊、および破壊者

ゴジラ映画と東京

都市に破壊をもたらす怪獣の、国際的に知られる代名詞となりました。

東京が世界的な大都市として発展する過程で、ゴジラはたびたび現れ、その都度、新しいランドマークや開発地帯などを破壊していきました
MANGA都市TOKYO展

 1954年のゴジラ第1作から、2016年の『シン・ゴジラ』まで数々のゴジラ作品を取り上げ、東京の地図と重ねながらその破壊をマッピングしていました。
 やっぱり、《破壊》にきちんと意味があるのが素晴らしいです。海外のゴジラとかアニメ版とかもありますが、特撮映画の良さには勝てない気がします。

「ゴジラ」 | 予告編 | ゴジラ 第1作目

『AKIRA』の「ネオ東京」──崇高な都市破壊スペクタクル

崇高さを帯びた都市破壊の描写は[…]被災と復興を反復させてきた東京の歴史をなぞるものとなっています
MANGA都市TOKYO展

 この2020年において『AKIRA』は当然取り上げられるべきだと思います! 予想外だったのは「都市破壊」の方にフォーカスされている点でした。「ネオ東京」そのものとか都市工事とかがメインかと思っていたので。でも、あの破壊シーンは「崇高」という表現が最適ですよ!

「AKIRA 4Kリマスターセット」

『エヴァンゲリオン』の「第3新東京」──ビルが”生える”都市風景

使徒の襲来時にはビルは地下へ。何もない時は日常が描かれる。

さながら東京の歴史を早回しにしたような構成
MANGA都市TOKYO展

 『エヴァ』の「第3新東京市」は今でいう箱根にあるのでどう扱うかと思いきや、その辺はあまり気にしない感じなんですね(笑) 都市のレイアウトやタイムラインなど貴重な資料があって最高でした!
 「ビルが生える風景」は、以下の動画で! 映画主題歌を歌う宇多田ヒカルさんのアニメMVです。

Utada Hikaru「Beautiful World」

東京の災害史とフィクション

  江戸時代から現代までに東京を襲った災害に関するフィクションを集めたゾーン。原画や複製原画、絵コンテなどの資料が盛りだくさんでした!

 今敏監督の『千年女優』と荒俣宏原作の『帝都物語』の映画は、どちらも長い東京・日本の歴史を一気に駆け抜けるような作品になっていて、とても良く出来た作品です!

東京大空襲

【A】千年女優
【A】人狼 JIN-ROH

関東大震災と帝都復興

【T】帝都物語

『帝都物語』予告編

江戸の大火と大地震

【A】火要鎮
【M】陽だまりの樹(手塚治虫)

火要鎮 PV

セクション2:東京の日常Ⅰ──プレ東京としての江戸

都市的なスケールの破壊と復興という、巨視的な事象から視点を街中へ降ろすと、そこには常に、市井の人々の日常生活がありました。この展示ではここから、時代ごとに区切りながら、東京における日常生活を描写した作品群を通して、人々の生活の場としての東京と、その変遷を見てゆきます。まずは現在の東京の地にはじめて行政府が移され、日本の中心的都市としての発展を画することとなった、江戸時代(1603─1867年)に焦点を合わせます。戦国の世が終わり、17世紀初頭に徳川幕府が政治の拠点として築いた町は、経済的な発展とともに豊かな都市文化を生み出しました。商人や職人など市井の人々がその担い手となり、とりわけ浮世絵に代表される大衆メディアがめざましく発展しました。浮世絵は当時の庶民の最先端の娯楽であり、役者や遊女、美人と評判の小町娘、各地の名所などが描かれました。浮世絵が伝えた江戸の人々の暮らしぶりは、今なおフィクションにインスピレーションを与え続けています。
MANGA都市TOKYO展


 ということで、セクション2は幅広い範囲を3つに分けています。

 まず、「江戸」がテーマ。
 解説では「戦国の後の経済的発展と豊かなる都市文化」として紹介されていました。それにしても【プレ東京】という認識はなるほどなぁと新しい視点でした。今まで江戸と東京は日本史的な捉え方しかしていなかったこともあり、明治維新を転機として別々のものとして無意識的に捉えていたので、また一つ視野が広がりました。

セクション2紹介作品・動画リスト

江戸の暮らしと文化

町民の日常

【M】竹光侍(松本大洋・永福一成)
【M】鼻紙写楽(一ノ関圭)
【M】百日紅(杉浦日向子)

遊郭と遊女

【M】さくらん(安野モヨコ)
【M】二つ枕(杉浦日向子)

武士の生活

【M】竹光侍(松本大洋・永福一成)
【M】陽だまりの樹(手塚治虫)

江戸の街の空間

江戸の街並み

【M】竹光侍(松本大洋・永福一成)
【M】佐武と市捕物控(石ノ森章太郎)

河と橋の街

近代化以降、東京の街並みは江戸時代の面影を塗りつぶすように造り変えられていきます。そうした中、数百年変わらずに保たれている数少ない一つの要素は、縦横に走る河川があります
MANGA都市TOKYO展

【G】がんばれゴエモン 2
【M】百日紅(杉浦日向子)
【A】百日紅 ~Miss HOKUSAI~

 「河と橋」は以下のアニメ映画『百日紅』の予告編にも登場します。浮世絵とかの印象もあるので、橋は賑わいの中心というイメージが強いです(日本橋だけ?)。

映画『百日紅 ~Miss HOKUSAI~』予告編

セクション2:東京の日常Ⅱ──近代化の幕開けからポストモダン都市まで

300年近く続いた太平の世も、”黒船”と呼ばれた外国船の来航をきっかけに、突如終わりを迎えました。そこから20世紀末にいたる150年間、東京と名を変えた日本の首都は、激動に次ぐ激動をくぐり抜けることになります。西側列強からの強い外圧にさらされた日本は、19世紀後半から、急激な近代化に舵を切りました。そして第二次世界大戦での敗戦を経て、20世紀後半にはめざましい経済発展を遂げます。この間、都市としての姿も、そこで人々が営む日常生活も、めまぐるしく変化することになりました。日本では、そのような都市や生活者の変化の過程が、独自の発展を遂げたマンガ・アニメ・ゲーム・特撮によって、とりわけ20世紀後半以降、多角的かつ多様に映し出されてきました。
MANGA都市TOKYO展


 セクション2の2部目。
 江戸時代の開国から世界大戦、経済成長などの変化をサブカルがいかに描き出してきたのかを展示します。
 ちなみに、明治維新で江戸から東京へと変わったわけですが、外国人には「東京」がなかなか定着しなかったそう。当時の通商条約などはすべて「江戸」の名前で結んだので、外国からくる人にとってはしばらく「江戸」だったのだとか。

イントロダクション紹介作品・動画リスト

西洋の移植による近代の幕開け

【M】るろうに剣心 ―明治剣客浪漫譚―(和月伸宏)
【M】『坊っちゃん』の時代(関川夏央・谷口ジロー)

女性の社会進出と花開く大正文化

和洋折衷なスタイルが女学生を中心に流行
MANGA都市TOKYO展

【G】サクラ大戦
【M】はいからさんが通る(大和和紀)
【A】はいからさんが通る
【A】劇場版 はいからさんが通る 前編 ~紅緒、花の17 歳~
【M】フイチン再見!(村上もとか)

『劇場版 はいからさんが通る 前編 ~紅緒、花の17歳~』予告

戦後の壊滅と戦後復興

下町はもっとも早くに爆撃を受け、焼け野原となった地域で、戦前・戦後で街の姿を大きく変えることに
MANGA都市TOKYO展

【M】寺島町奇譚(滝田ゆう)
【M】愛と炎(巴里夫)
【M】三丁目の夕日(西岸良平)

高度経済成長の光と影

【M】フーテン(永島慎二)
【M】あしたのジョー(高森朝雄・ちばてつや)

東京一極集中と過密都市の貌

【M】あしたのジョー(高森朝雄・ちばてつや)
【A】ルパン三世(PART2)

ルパン三世 PART2 第1話「ルパン三世颯爽登場」

バブルとメディア都市

【M】To-y(上條淳士)
【M】Love so Special(桜沢エリカ)
【M】ラブリー!(桜沢エリカ)
【M】東京エデン(わたせせいぞう)
【A】シティーハンター

セクション2:東京の日常Ⅲ──世紀末から現在まで

20世紀末以降、日本は経済的な低迷期に入りました。マンガ・アニメ・ゲーム・特撮の作中でも、東京をきらびやかな大都市として演出するよりも、通勤に使う駅のホームや、スーパーからの家路といった微視的な風景に、ささやかな美しさを見出したり、そこに差す微妙な影を浮かび上がらせたりするような表現が深化し、展開されるようになりました。そして、東京の首都としての中心性に代わって、都内の個々の街区の場所性に根ざした物語やキャラクターが、多く見受けられるようになりました。ここで紹介する作品には、東京の生活の「今」が、克明に描き出されています。
MANGA都市TOKYO展


 セクション2の3部目。
 本節は現在につながる節として、取り上げ得られている作品は親近感あったり、納得できるラインナップで最高でした!

イントロダクション紹介作品・動画リスト

色あせる東京

【M】ソラニン(浅野いにお)
【M】3 月のライオン(羽海野チカ)
【A】3月のライオン
【A】おおかみこどもの雨と雪

TVアニメ「3月のライオン」PV

日常の風景に見出される美しさ

【A】君の名は。
【A】秒速5センチメートル
【A】言の葉の庭
【A】時をかける少女

 ここに新海誠作品が3つも入っていることがさすがだな、と。やっぱり、日常や風景の美しさの代名詞的な感じなんですね。(中でも特に好きな『言の葉』のPVをペタリ↓)

『言の葉の庭』 予告篇

終わりなき日常の小さな幸福

<今日よりも豊かで進んだ明日>へと向かう、20世紀的な未来像に代わって、今と大きく変わらぬ日々が繰り返されていくという未来の方がリアリティを持つようになると、その日常を新たな視点で描写したり、そこに小さな幸福の断片を見出したりしていくような表現が発達するようになりました。そのような潮流の一端が「日常」という言葉で見出されたりもしました。
MANGA都市TOKYO展

 いまよく見られる「日常」という言葉が、このあたりの時代背景に由来しているということを知れたのはとても勉強になりました!

【M】花のズボラ飯(原作:久住昌之 漫画:水沢悦子)
【M】孤独のグルメ(久住昌之・谷口ジロー)
【M】くーねるまるた(高尾じんぐ)
【M】34 歳無職さん(いけだたかし)

東京のダーティリアリズム

これまであまり目を向けられなかった東京の周縁部に新たな光を当てる作品
MANGA都市TOKYO展

【M】リバーズ・エッジ(岡崎京子)
【M】ひとり暮らしのOL を描きました(黒川依)
【A】東京ゴッドファーザーズ
【A】機動警察パトレイバー the Movie

都市の中の新たな共同体のかたち

都市における新旧さまざまな家族や家庭のあり方、そして形成にいたる物語が見受けられるようになりました
MANGA都市TOKYO展

【A】映画クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶ ブリブリ3 分ポッキリ大進撃
【A】おおかみこどもの雨と雪
【A】輪るピングドラム
【A】言の葉の庭

輪るピングドラム 第1駅「運命のベルが鳴る」

多様なサブカルチャーの台頭

日本の停滞にともない、その中心たる<東京>の特権性が衰弱すると、相対的に、都内の個々の街区の個性やサブカルチャーが、物語を生起させる舞台装置として多用されるようになりました
MANGA都市TOKYO展

 「東京」としての特異性が低下したから、個々の街がクローズアップされるようになったり、周辺部が舞台になったりする、という視点は今までなかったので興味深かったです!

渋谷

【M】8-エイト-(上條淳士)
【M】とんかつDJ アゲ太郎(原案:イーピャオ 漫画:小山ゆうじろう)
【G】すばらしきこのせかい -Final Remix-
【G】JSRF ジェットセットラジオフューチャー

秋葉原

【M】げんしけん(木尾士目)
【G】STEINS; GATE

『STEINS;GATE』オープニングムービー

新宿・歌舞伎町

【M】新宿スワン(和久井健)
【G】龍が如く 極2

『龍が如く 極2』最新ゲームトレイラー

セクション2:東京タワーと東京都庁

マンガ・アニメ・ゲーム・特撮・の作中で東京のシンボルマークとして頻用されてきた建築物があるとすれば、それは東京タワーと新宿の東京都庁舎になります。[…]とりわけ特撮においては、東京に侵攻した怪獣と一緒に東京タワーが映し出されるのいは一種の定番になりました
MANGA都市TOKYO展


 セクション2の番外編的な立ち位置。
 この「東京タワー」と「都庁」の象徴性はもの凄いと思います。今だに怪獣映画とかカタストロフ的作品では東京タワーが破壊されている気がします。東京スカイツリーでも、NTTドコモ代々木ビルでもなく、東京タワーなんですから。
 『残響のテロル』で爆破テロの現場を都庁にしたのも、その犯人が◯◯◯なところも、これを踏まえると凄いです。

 また、国会議事堂が破壊されることも。でも、その場合は「東京」ではなくて「日本国を破壊する」というシンボルとして用いられていると思います。

【M】X(CLAMP)
【A】魔法使いサリー
【A】美少女戦士セーラームーン
【A】カードキャプターさくら
【A】残響のテロル
【G】セブンスドラゴン2020
【T】モスラ(1961 年)
【T】ゴジラVSキングギドラ

「残響のテロル」PV

セクション3:キャラクター vs. 都市

この展示ではこれまで、さまざまな作品を通して、フィクションの中に投射された東京を見てきました。この最後のセクションでは、逆に、フィクションのキャラクターが現実の都市空間に召喚されたり、作用をおよぼしたりする事例に目を転じます。キャラクターたちは、その知名度や魅力によって、さまざまな商品の販売促進をはじめ、企業や公共機関、自治体などの広報マスコットやアバターを務めています。さらに、特定の場所と関連付けられることにより、観光資源として力を発揮する事例も現れています
MANGA都市TOKYO展


 最終セクション。
 個人的にはここが一番期待していたのですが、思ったより薄めでちょっと拍子抜け。とはいえ、展示の内容も面白かったし、驚きの内容ではありました。

セクション3紹介作品・動画リスト

公共空間に現れるキャラクター

コンビニに現れるキャラクター

国立新美術館「MANGA都市TOKYO」画像

コンビニもまた、都市空間にマンガやアニメ、ゲームのキャラクターが現れる舞台になっています
MANGA都市TOKYO展

 「コンビニが2次元とつながるポート」だという考えは面白いなぁと。ただ、これを特筆するほどのものなのかなぁとも。海外で展示するにあたって、日本らしいものを取り上げたのかしら?

【他】初音ミク

Google Chrome : Hatsune Miku (初音ミク)

「キャラクター」と日本の都市空間

マンガやアニメのキャラクター以外に、日本の街中は、国際的に見ても特徴的な形でさまざまな「キャラクター」によって彩られてきました
MANGA都市TOKYO展

企業マスコット / イラスト / 招き猫や信楽焼の狸 など

 企業マスコットや招き猫まで….。
 でも確かに、各地の自治体が「ゆるきゃら」と作っていたり、何でもかんでも擬人化してキャラ化する日本においては、そもそも「キャラクター」の存在が大きいのも頷けます! 「八百万の神」とか「妖怪」とか至るところがキャラだらけかも!

公共交通機関に現れるキャラクター

都市の中でもとりわけ公共的性格が強い空間において、現実の人々に混じってマンガやアニメのキャラクターが行き交うという、拡張現実のごとき光景を生み出しています
MANGA都市TOKYO展

【A】新幹線変形ロボ シンカリオン
【他】ラッピングや特別塗装など

 ここでは『シンカリオン』でしたけど、鳥取では空港が『名探偵コナン』仕様だし、箱根では『エヴァ』の装飾を街全体で行っていたし。改めて指摘されると、日本の街って凄いですね。電車の中で露出度高い女の子の萌キャラの広告とか普通に出しているますし。

新幹線変形ロボ シンカリオン 923ドクターイエロー 特別PV

新たな聖地巡礼とモニュメント

ある作品のファンが、作品の舞台となった場所へ赴き、同じ構図で写真を撮り、キャラクターと同じ空間を共有しようとする。それは「巡礼者」にとってフィクションの世界への旅であるとともに、フィクションが現実の場所に作用する媒介にもなりえます。
MANGA都市TOKYO展

こちら葛飾区亀有公園前派出所

連載の過程で街に実在する建物や店などが作中で描かれるようになっていくという、フィクションと都市との類い稀な相関関係が紡がれる
MANGA都市TOKYO展

君の名は。

(国立新美術館の新海誠展では、)作中の場面を一部再現した展示も行われました。現実の場所が、作品とのつながりを積極的に活用する形
MANGA都市TOKYO展

「君の名は。」予告

「機動戦士ガンダム」シリーズ

第1話|機動戦士ガンダム

コミックマーケット

 特にこれといって目新しい解説がなかったのでメモもとっていませんでした。同人誌文化と最大の同人誌即売会としての紹介がメインでした。

「ラブライブ!」シリーズ

積極的な促進や活用を行う事例
MANGA都市TOKYO展


 この、電車の車両をまるごと再現したり、窓に外の映像を流すことでさも移動しているように見せるアイデアは凄いと思います!
 けど、さすがにこのラブライバーの格好はどうなんだろう…? リアルな姿を知らないけど、海外の人にこれを見せて良いものなのか…。

TVアニメ「ラブライブ!」PV1

資料編

 資料編として、2つ紹介されていました。

「MANGA都市TOKYO」展中間報告書

 まず1つ目、中間報告書。
 報告書はPDFで公開されています。

 今回の「MANGA都市TOKYO」展に加えて、フランスで開催された「MANGA⇔TOKYO」展、また大英博物館での「The Citi Exhibition Manga」展に関する内容も含まれています。

 60ページ近いので私もまだ全部は読めていませんが、写真を見るだけでも海外の様子がわかって面白いです! また、研究者のコメントを読めるのは勉強になります。

国立新美術館「MANGA都市TOKYO」画像

日本全国のマンガ・アニメ・ゲーム・特撮の図書館・ミュージアム

マンガ、アニメ、ゲーム、特撮といった日本のポップカルチャーを扱う展覧会の数は近年急増しているが、一方でその準備や運営、展示手法などについては、この分野独自の課題が多い。特に公立美術館において展覧会を行うにあたっては、その情報や準備のノウハウの共有や人材の育成が不可欠であろう。[…] このマップで示されるように、マンガ・アニメ・ゲーム・特撮などの分野の関連施設が日本全国の幅広い地域に設置されていることがわかる。
MANGA都市TOKYO展

 全国のサブカル系の展示施設など。
 詳細は、上の報告書の最後にデータが載っているのでそちらを参照するのが良いかと思います。


 ということで、展覧会の感想でした!
 今回は、お土産にパンフレット?ガイドブック?を買いました。これで、国立新美術館のサブカル系展示の冊子が2つ揃って、良い参考文献を手に入れたと喜んでいるところです(笑)

国立新美術館「MANGA都市TOKYO」画像

読んでくださり、
ありがとうございます!
これからもよろしくお願いします!

0

コメントを残す