※ネタバレなし。
※画像は予告映像のキャプチャです。
2019年3月15日鑑賞
キャプテン・マーベル
Captain Marvel
【評価:4.3/5.0】
【一言】
『アベンジャーズ/エンドゲーム』公開目前の本作。
MCUのフェーズ1作品に並ぶほど、物語的にも内容的にも素晴らしい作品に仕上がっていて、ファン大歓喜の傑作に!
MCUから切り分けつつも、見事に物語を重ねてきた!
【Twitter140文字感想】
【 #キャプテンマーベル 】
「Avengers」誕生前。
MCU前日譚として完璧!フェーズ1作品群に肩を並べる傑作!
世界観が繋がる“あの”感覚が再び!★希望★アイデンティティ★勇気★
記憶喪失の彼女が、誰もが待ち焦がれる“ヒーロー”として立ち上がる姿が格好良い!“記憶”を活かした物語も秀逸! pic.twitter.com/QCNCye1Jyt
— ArA-1 (@1_ARA_1) 2019年3月15日
感想
感想外観
今回観たのは、アメコミMARVELの最新作『キャプテン・マーベル』!
4月に『アベンジャーズ/エンドゲーム』という大作上映を控えた上での本作。公開日3月15日の前日には『アベ4』の最新予告の公開され、世間の感心が全部そっちに持っていかれているのが悲しい……。
そんな『キャプテン・マーベル(CM)』鑑賞に当たり、上映前に映画館スタッフさんが「アベンジャーズ終焉へと向かう最後の作品となります。ごゆっくりお楽しみくださいませ」と挨拶したのが嬉しすぎました!!
「アベンジャーズ/エンドゲーム」最新予告
映画を観ていて、最初から最後まで鑑賞して、エンドロールを眺めながら最初に頭に浮かんだのは「これ、フェーズ1作品に並ぶ程の傑作では!?」という感想!
とにかく物語が面白くて、「キャプテン・マーベル」というヒーローを描く映画作品としてまとまっていた点が素晴らしかったです!
高評価の理由は、「MCUから切り離した」点だと思います!
本作の舞台は『アベンジャーズ』誕生前の時代なので、他のMCU作品から切り離された物語が展開されます。
そのおかげで、「ヒーロー誕生」という『アイアンマン1』や『キャプテン・アメリカ1』を観た時のような新鮮な興奮が蘇ってきました!
近年稀に見る、「理想的なヒーロー映画」と言っても過言ではないでしょう。
宣伝では「サスペンス・アクション」と売っていますが、その通りの内容。「私は誰?」という記憶喪失の主人公をめぐる物語は、一寸先の展開も分からずドキドキ。
しかし煌々と明るい希望と勇気の力が行先を照らす様子は、「やっぱりMARVELヒーローだ!」と心底嬉しくなります。
MCUの前日譚的な作品として、もちろん「MCU」を構成する作品ですから、他の作品を観ていれば分かるファン大歓喜の様々な設定やアイテム等のクロスオーバーはやっぱり最高ですね!
若い頃のフューリーやコールソンに会えただけでも嬉しいです!
本作が扱う社会的テーマを挙げるとすれば、やはり「女性の活躍」でしょう。
男性ばかりのヒーロー社会に颯爽と登場した女性ヒーローで、「MARVEL」の名を冠しているんだから凄い!
そして、「私は誰?」というアイデンティティを探す物語でもある!!
フェーズ1に戻ったような興奮!!
超面白かったです!!
この感想の裏には、「最近のMCUは面白くない」という私の個人的な感想が根底にあると思います。
『スパイダーマン:ホームカミング』が象徴的ですが、「スパイダーマン」の映画を観に行ったはずなのに「アイアンマン」が活躍していたのが『SM: HC』でした。
そんな感じで、最近のMCU作品は世界観が壮大になって複雑に絡まり合ったことで、物語に深みが増したその反面、「ヒーロー単体」で楽しめる作品が激減していたと思います。
しかし、本作は違う!
「アベンジャーズ」誕生前と位置づけられる本作では、アイアンマンもスパイディも本編に関わりようがありません。他のMCU作品から隔絶されたために、主人公の物語展開を思う存分に楽しむことが出来るんです。
これって、『アイアンマン』、『ハルク』、『ソー』、『キャプテン・アメリカ』に代表されるフェイズ1作品群と同じではないでしょうか??
他のヒーローに干渉されることなく、主人公の活躍と「ヒーローになるまで」の物語を100%楽しむことが出来る、その忘れかけていた面白さを本作は取り戻していました!
無駄や蛇足(という言い方は失礼か?)を抜きにして、「キャプテン・マーベル」だけの、彼女だけの物語を楽しむことが出来る。
これこそ求めていたヒーロー映画だし、再び観ることの出来た興奮が最高でした!!
「MCU」という壮大な世界観の前日譚
散々「MCU作品から隔絶された」と書いたので誤解されると困りますが、本作はMCUを構成する作品群の中でも素晴らしい立ち位置だと思います!
これもまた、フェーズ1作品に似た懐かしさと嬉しさと興奮を覚えるポイントでした! 作品シリーズ全体を俯瞰する上での「前日譚」と位置づけてもいいのではないでしょうか!?
確かに、他のヒーローは登場しません。
でも、思い出してください、「フェーズ1で何が凄かったのか?」を。
あくまで私個人の感想ですが、フェーズ1を構成する作品群の素晴らしいのは、S.H.I.E.L.D. のフューリー長官とコールソン捜査官というキーパーソンを要石に、各作品が徐々に繋がっていくことではなかったでしょうか?
明確にキャラクターがクロスオーバーすることは決してないけど、「あれ、この情報って…?」とか「うおぉぉぉ、アレじゃん!」と情報や設定が繋がっていくところが最大の魅力だと思っています。
この素晴らしさが、本作で蘇ってきます。
本作『キャプテン・マーベル』で主役の1人は若き日のフューリーで、彼を軸にMCUとしてのクロスオーバーはしっかりと行われます。
それも、想像以上に。
アメコミの懐の広さと、MARVELの世界観の深さを改めてまじまじと実感することになったし、ここまでの作品を観てきたからこその興奮がありました!
やっぱり、ファン心をくすぐる内容を観た時に感じるこの感覚は、やめられませんね!!
理想的ヒーロー映画が眼前に広がる!
「理想的なヒーロー映画」ってなんでしょう?
・アクションが凄いこと?
・主人公が格好いいこと?
・ヴィランを爽快に倒すこと?
いいえ。
私が思う(アメコミ)ヒーロー映画は、
◆希望の光を忘れないこと。
◆アイデンティティを見つけること。
◆勇気がパワーになること。
だと思います。
『スパイダーマン』は街を守る希望を決して諦めず、『ハルク』は自身が何者かを見つけ、『キャプテン・アメリカ』は勇気を体現したようなキャラクター。
この◆3つが、本作に見事に組み込まれていて、素晴らしかったです!
記憶喪失の主人公・ヴァースが対話を通じて自分自身の正体を探る「アイデンティティ」の物語であり、彼女の胸には希望を象徴するように星が輝き、敵(など)に立ち向かう様子は勇気のパワーそのもの。
ネタバレなので詳しくは書かないものの、理想のヒーロー像が描き出されていました!(少しキャプテン・アメリカに似ているけど、それがまた嬉しい!)
誰もが待ち望んでいたヒーロー映画で、その主人公は誰もが憧れるキャラクター。
映画の中にはもちろんバトルもアクションもコメディもあるけれど、やっぱり誰もが惹かれるのは、この「理想的なヒーロー」という部分だと思いました!
Marvel Studios’ Captain Marvel | Special Film Clip
完璧な物語は”ヒーロー映画じゃない”みたい!?
物語がめっちゃ良かったです!
最近のアメコミ映画は「地球の危機を脅かす敵襲来 → ヒーローがすぐ対処」と、活躍するものの、「007か!」とツッコみたくなるほどワンパターン化している感が否めない部分もあります。
しかし、本作は全く違う!
ヒーロー作品として、それ以前に”映画”として完璧な物語脚本が繰り広げられます! そして、鍵となる「記憶」にもしっかりフォーカスされていた点がGOOD!
「サスペンス・アクション」と宣伝されていましたね。
まさにその通りの内容で、久々に広報がちゃんと仕事をした気すらします(笑) いい意味で期待を裏切ったというか、予想以上に面白い物語でした!
自分が何者なのかも分からない主人公が、記憶を取り戻し、過去を取り戻していく過程はスパイ映画『ボーン・シリーズ』のようなスリスと意外性があって面白かったです!
それに、断片しかわからないとモヤモヤするし、結末がわかれば驚けるし、この点に関しても、これまでのMCU映画とは少し違う内容が楽しめたと思います!
下手なサスペンス映画なんかより、このヒーロー映画の方がずっとサスペンスしていたりして(笑)
「記憶」の扱い方が上手!
記憶喪失の主人公ヴァースと、何も知らない観客と重ね合わせることで、「少しずつ明かされる記憶」の断片や忘却のベールが剥がれた時の驚きや嬉しさはの”共感度”が凄いように思います!
「ヒーロー映画じゃないみたい」に関してもう1つ。
伝記映画みたいというか、社会派ドラマみたいというか。
これは完全に作り方の問題と主人公のバックグラウンド設定によるものなのでしょうが、ヒーローとしてのヴァースの他に、悩める女性として、格好いい戦闘機パイロットとして、親友と日々を過ごす女子として─────色々な顔が描かれます。
これまでのヒーロー達もそうですが、表の顔と裏の顔が描かれる中、ヴァースは「記憶喪失」というピースが1つ多いために、よりその印象が強いのかもしれないと感じました。
『ブラパン』に続く、社会派映画に!
『ブラックパンサー』が黒人初のヒーローとして、さらにはアフリカ諸国の鉱物資源等の搾取問題、部族間闘争の問題、風習や慣習についてなど、様々な問題を描いたことで評価され、アカデミー作品賞にノミネートされたほど。
そして、本作『キャプテン・マーベル』も社会の問題について扱う映画だったと捉えるのは、考え過ぎでしょうか?
やはり、一番印象的なのは「女性の活躍」でしょう。
舞台は1955年の米国。
米軍パイロットとしてのヴァースに対して周囲の男性兵士が「出しゃばるな!」と言葉を投げているシーンがありましたが、そんな社会の中で頑張る彼女の姿は、「女性の活躍」としていいと思います。
最近何かと話題になった『ドリーム』も1950後~が舞台だし、流行っているんですかね。
あとはそうですね、本編内容のネタバレにならない部分では、軍隊の隠蔽基質とか、そんな感じでしょうか。
アクションの凄さはもはや当然!
本作でMCU作品通算21作目となる本作。
マーベル映画の映像表現の凄さと、アクションの凄さはこれまで散々スクリーンで観てきたので、折り紙付きですね!
キャプテン・マーベルが持つ能力は、「フォトンブラスト」という念力というかビームというかなパワーです。
予告映像とかでも描かれていますが、あのモヤモヤ漂うエネルギーの様子というのは、何度観ても綺麗です! そして、まるで地球の磁場のように、しっかり方向や動きをもってい描写されているところがまた凄い!
「キャプテン・マーベル」これがフォトンブラストよ
戦闘機や宇宙船が登場し、それらが繰り広げるチェイスも見もの!
『スター・ウォーズ』に登場するミレニアム・ファルコンのように、右へ左へ舵を切り、旋回も宙返りもお手の物なシーンの疾走感が最高です!
以降、映画本編のネタバレあり
映画の感想
※ネタバレあり
MCUシリーズの前日譚!
「ネタバレ」と断って書く最初の感想はやっぱり、MCUシリーズのネタや設定や物語のクロスオーバーですよね!
あれだけ「他作品と隔絶されているから良い」とか書いておきながら、まことに面目ない……(笑)
まず、オープニングから最高じゃないですか!
「MARVEL」のロゴが登場するのはお決まりですが、そこに映るのは巨匠スタン・リーの姿。カメオ出演のシーンや撮影の合間の風景と思しき彼の姿がこれでもかと詰め込まれていて、この時点で大興奮!
さらに、画面には「THANK YOU STAN」というメッセージが!!
紆余曲折を経てヴァースがC-53惑星=地球に到着してから出会ったのが、若きニック・フューリー捜査官と彼の部下で新人のコールソン!
登場するのは100%分かっていたけれど、こうして2人揃ってスクリーンに映る姿を観られるのはとても嬉しいです!
さらにその直後、電車の中で繰り広げられるスクラル人とのバトルでは、まさかのスタン・リーさんが!!! もう劇中では観られないとばかり思っていたので、衝撃でした。
物語が進展するにつれて、様々なこと、特に登場人物について色々と分かってきましたね。
まず、エンジンを開発していたのが、クリー星人の「マー・ベル」であったことが判明。「マー・ベル大尉=キャプテン・マーベル」という名前に繋がった訳ですね。
さらに、ロナンも登場!
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』でヴィランとして登場し死亡した彼が、クリー星のアキューザーとして重々しい存在感を放っています!
そして、物語の後半で明かされる超衝撃的な事実。
ヴァースにパワーを与えた”コア”の正体が、MCUシリーズの核ともいえる「四次元キューブ」であることが判明します!
これには本当に驚きました!
まさか登場するとは思っていなかったし、「サノスに奪われた」から存在そのものを記憶から失っていました(笑) 衝撃的で驚愕の展開、最高でした!
で、物語は終盤。
ダンバースがフューリーに返したポケベルは『インフィニティ・ウォー』のラストで登場した超重要アイテム! さらには、フューリーが眼帯の理由も明らかになりますね!
さらに、「宇宙には他にも脅威が潜んでいるはずだ」と危機感を話すフューリーがたちあげたヒーロー達の特別部隊の名前は《アベンジャーズ》。
ずっとこの名前はただ単に「復讐者たち」という意味かと思っていましたが、ダンバースの本名「キャロル・アベンジャーズ・ダンバース」から名付けていたとは!(ここでテーマ曲が流れるのがまた最高!)
そしてエンディング後。
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウィー』の最後に繋がるシーンが描かれ、お決まりの
「キャプテン・マーベルは『アベンジャーズ/エンドゲーム』で帰ってくる」
という文言で締められました。
めっちゃ長くなりましたが、物語に上手く埋め込むようにMCU前日譚としての設定や情報を見事に描き出していて、本当に素晴らしいと思いました!
「記憶」にフォーカスした完璧な物語!
何から書いていけばいいのかわからないほど、予想は裏切るし、敵は味方になるし、仲間は悪役だったりと、とにかく大混雑の素晴らしい物語でした!
”どんでん返し”とは少し違うけど、二転三転する物語は面白いし、「記憶」というテーマにフォーカスしていた点が見事だったと思います!
観客とヴァースを重ねることで、失った「記憶」を断片的に描き出しながら物語を進めていくというのは、常套手段ですが、やっぱり面白いしドキドキしちゃいますよね!
仲間だと思っていた人たちが記憶の真実では敵だったり、忘却のベールが段々と剥がれていくことで隠された秘密が明らかになったり。
こういう構成は、まさにサスペンス映画の定石ですが、アメコミだからなのか、とても面白く感じました!
まぁまさか、自分を指導してくれた敬愛するコラスが実は悪い奴だったというのは、ダンバースにとっても観客にとっても驚きでしたよ。
記憶改ざんを行ったのか、映画冒頭で見せられたシーンと、彼女が思い出した本物の記憶との違いとか、そういう演出が本当に秀逸だったと思います!
物語の手のひらの変えようも凄まじかったです(笑)
最初はさも凶悪な星人であるかのようにスクラル人を描いておきながら、最終的にはタロスら家族を描いた上で、その立場を逆転させてしまうんですから。
こうなると、擬態する彼らの能力が最初は気持ち悪く感じるのに、一旦仲間だと認識してからは面白く感じるし、彼らの外見も気味悪さが引いていくから面白いですね!
キャプテン・マーベルの活躍に惚れ惚れ!
今回の映画のメインが「謎解き」だったためか、ヒーローとしてのキャプテン・マーベルの活躍は最後に少し描かれただけでしたね。
しかし、それでもめっちゃ強いし格好いい!(本格的な活躍は『アベンジャーズ/エンドゲーム』で観られるんですよね!?)
まず、コスチュームを決めるシーンが良いですね!
マリアの娘とともに、新しいコスチュームを決める場面。どのヒーローも格好は大切ですが、彼女の場合は「米空軍」にインスピレーションを受けたわけですね!
やっぱり見応えあるのはマー・ベルが研究室として使っていたクリー星の戦艦におけるバトルでしょう!!
スプリーム・インテリジェンスの思考支配(?)から逃れたダンバースは、遂に自身の持つ力を制御して徹底的に戦っていきます。
フォトンブラストのおかげで遠距離攻撃できるので、スターフォース隊員との戦闘も圧倒的に有利でした。しかし、それでもちゃんと見せ場を作るからこそアメコミ作品は素晴らしいと思います!!
戦いという意味では、まだキャプテン・マーベルになる前、スクラル人の拘束から逃れるため、戦艦内で何人もの追手と戦った場面。
手を拘束されているというハンデ状態でありながら、次々と追手を薙ぎ払っていく姿は、やっぱり格好いいですよね!
マーベル独特の”ノリ”も最高!
シリアス(?)な物語や、危機的な状況の中でもユーモアを忘れない作風だからこそ、マーベル作品は本当に面白いと常に思います。
そして、その”ノリ”は本作でも健在ですね!
やっぱり一番印象に深いのは、可愛い「グース」ちゃんでしょう!
可愛い猫ちゃんだけど、その正体はフラーケンという生物!
フューリーが猫を可愛がるシーンはとにかく最高!
あれは字幕が秀逸ですよね、「~でちゅね」と赤ちゃん言葉で翻訳したところに凄さを感じますよ!
しかしその正体はフラーケン。
タロスやコラス達が怖がっていた時は「こんな猫がか?」と笑っていたものの、口から触手を出してキューブや敵を飲み込んだシーンには驚きました(笑)
Marvel Studios’ Captain Marvel | Goose the Cat LIVE!
だいたい、フューリー自身が”ノリ”の化身のような存在ですよ。
だって目の前でエイリアンが死んでいるのに動じないし、相変わらずグースを可愛がるし、ジョークを忘れないし。
あの強面の彼がこんなにも面白いというのが、やっぱり最高ですよ!
今回の『キャプテン・マーベル』は本当に素晴らしい作品でした!
そして、いよいよ、次作『アベンジャーズ/エンドゲーム』への期待が猛烈に高まってきました! とにかく最高に楽しみです!!
最後まで読んでくださり、
本当にありがとうございました!!