※ネタバレなし。
※画像は予告映像のキャプチャです。
2018年4月23日鑑賞
アマデウス
(原題:Amadeus)
【評価:4.4/5.0】
【一言】
華麗な音楽とオペラが響く、モーツァルトの伝記は、物語に引き込まれるように面白かった!
いや、「モーツァルトの物語」というよりは、彼を殺したと言われる「サリエリの物語」と言ったほうが正しいかも。
とにかく、生涯、音楽、衣装、物語と色々な要素が面白かった!
ストーリー
オーストリアの音楽家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの生涯を、その知人でありライバルであり、晩年には彼を殺したと告白したアントニオ・サリエリの回想という形で描く伝記映画。
予告動画
感想
感想外観
モーツァルトの最期は色々な噂や陰謀論で知っていましたが、その一生についてはあまり詳しく知りませんでした。
このタイミングで観たのは、オススメされたという理由と、ゲーム1作、アニメ1作で登場したからです(笑)
映画を観てまず一番印象的だったのは、「音楽」です。
BGMとして流れるモーツァルトの名曲や、クラシカルな音楽(音楽に疎いので詳しくは分からない)、後はオペラなど、鮮やかな音楽が本当に印象的でした。
「映画館で観たら/聴いたら素晴らしいだろうなぁ〜」と思いましたよ。
そして物語。
モーツァルトの伝記的な作品ではありますが、個人的にはサリエリの物語だと強い印象を受けました。
それでいて『Amadeus』なんて題名つけるのは、作中での「天才と凡庸」という言葉が浮かんできます。
映像がとても良かったです。
当時の宮廷のキラびやかな豪華さや、貴族の着る服&カツラなど舞台をそのまま持ってきたような映像が良かったです。
モーツァルトの謎の死については幾つか説があるし、陰謀論まであります。真相は分かりませんが、本作で描かれた最期、特に死ぬ直前が、個人的に好きです。
あと、今までサリエリなる人物はほとんど知らなかったのですが、本作で見知って、かなり好みの人物でした。
本作を見ていて、回想という構成や天才と凡人の2人主人公などが大河ドラマみたいだと感じました。
音楽が印象的
音楽家が主人公の映画だからか、とにかく演奏される楽曲、背景で響く音楽、公演されたオペラや戯曲などが本当に印象的でした!
音楽やクラッシック(?)には疎いので、細かい部分や専門的な部分は全く分かりませんが、聴いていて盛り上がりました。
アマデウスLIVE 公演予告映像
まず、やはりサリエリやモーツァルト自身が作曲した楽曲。自ら演奏するシーンが何度もあって、やはりそれが音楽家を主人公とした映画の見所だなぁ〜と。
それから、凄いと思った、特に印象的だったのはBGMとして背景で流れる音楽です。
賑やかな宮廷を思わせる音楽から、激しさや重厚感溢れる音楽まで、しっかり場面に合った音楽が流れます。
近年の映画、ここ最近の映画の軽い曲調と違って、荘厳なクラッシック音楽はやはり力があるように感じました。
また、CMやTV番組でよく聞くモーツァルトの曲が普通にBGMとして使われていて、「あぁ、彼の映画だったな」と。
後はオペラシーンなども印象的でした。
「音楽」とは少し違う気もしますが、女性歌手の歌う甲高い歌声は綺麗でした。
誰の物語?
モーツァルトの生涯を描いた伝記的な映画です。でも、私はそうではなく、この物語を語ったサリエリの話だと感じました。
物語の形式は、モーツァルトを殺したとサリエリが告白し、回想しながら語るというもの。その中でサリエルの感情や気持ちが丁寧に描写されています。
一方のモーツァルトは、淡々と神童から出世、そして没落と死を追っているだけのような気がして、どうも「モーツァルトの物語」とは思えませんでした。
私には、宮廷に能力を認められた音楽家アントニオ・サリエリが、突如現れたモーツァルトという天才によって人生を狂わされるような物語に感じました。
もちろん、描き方がそうだから、こういう物語に感じるんだという事は理解できますが、かなりサリエリに共感や応援したい部分もあったので、「サリエリの物語」という印象が強いです。
アントニオ・サリエリ
本作の語り部であるアントニオ・サリエリ。
彼については、「モーツァルトを殺した犯人とされる一人」程度にしか知らなかったのですが、本作でその他の面を知る事が出来ました!
まず、モーツァルトに嫉妬心を抱いていたこと。
冒頭、自身の曲とモーツァルトの曲を弾き、聞き手の神父は後者しか知らなかったという事に悲しむシーンがあります。
素人の私から見れば、サリエリにも音楽の力はあるように思えますが、それでも天才は違うわけです。
上の感想と重なりますが、「サリエリの物語」と言っても過言でない内容でありながら、やはりタイトルはモーツァルトの名が冠されるんですね。
あとは、本作の描き方の問題かもしれませんが、「正直」だと感じました。
モーツァルトの才能と、自身の敗北を認めたり。良い作品・素晴らしいものにはしっかりと評価を下すのが、とても好感でした。
映像・美術・衣装
映像もまた印象的でした。
あまりこの時代の宮廷や貴族を描いた作品を観ていないという事もあって、凄いと思いました。
装飾のいっぱい付いた服とか、真っ白なカツラ、女性のドレスなど、世界史の資料集に登場するような衣装で、とても新鮮(?)に感じました。
また、宮廷内や私宅内の装飾、オペラの舞台の飾りなど、これまた歴史ドキュメンタリーで見るような内装でした。
映像に関してはなかなか表現しづらいのですが、全然古臭くないというか、とても明るく綺麗な印象でした。
かなり、好みのタイプだったと思います。
モーツァルトの最期
モーツァルトの最期については色々な説が唱えられていますよね。自然死、他殺、権力者による抹殺など陰謀論めいた説まで色々。
まぁ、個人的には陰謀論が面白いから調べたりしたわけですが(笑)
今回、初めてその最期の1つの説を映像化したものを観たわけですが、1番好きです。
友情……とまでは言えないけれど、2人の音楽家が絡む最期からその死まで、非常に優しく勢いのある最期だったから、好きなのかもしれません。
以降、映画本編のネタバレあり
ネタバレあらすじ&感想
序盤
雪の降る夜、「モーツァルト!」と叫びながら彼の殺害を告白して許しを乞う白髪の男性。彼はナイフで自殺を試みる。
瀕死の状態から助けられ回復したサリエリという名の老人は、神父の前でピアノを弾きながら、「欧州一の音楽家」だった過去の栄光を思い出す。
そして、モーツァルトの名を口にし、彼を殺した事を告白する。
彼はモーツァルトの思い出を回想する。
幼い頃から教皇の前で演奏したりと才能あったモーツァルトに嫉妬を抱いていたサリエル。
しかしサリエリの父は音楽に関心を示さなかった。ところが、父が死んだことで彼はウィーンへ。ヨーゼフ2世の元で宮廷作曲家に。
徳の高い音楽家になるべく、無料で教えたりと若い音楽家を育てる事に力を注ぎ、充実した生活を送っていた。
前半
しかし、それはモーツァルトの登場により砕かれた。
女と遊び回りながら、皇帝の前で音楽を奏でる若造の彼にサリエリは憤りを覚える。それでも、彼の音楽は素晴らしいものだと認めざるをえない。
モーツァルトの噂を聞きつけたヨーゼフ2世は、彼をにドイツ語のオペラを書くよう命じるため、ウィーンに呼び寄せることに。
モーツァルトは6歳の時、ヨーゼフ2世に会っていた。転んだ彼を起こしたヨーゼフ2世の妹であるアントワネットに、モーツァルトは「僕と結婚しよう」と言ったと笑い話をする。
そして、帰り際、サリエリがこの日の為に作曲した『歓迎の曲』を「ただの繰り返し」と称したモーツァルトは、彼の曲を勝手に変更して演奏してしまう。
ヨーゼフ2世の命によりモーツァルトが作ったオペラは、ドイツ語で舞台をハーレムにした異例のものだった。
しかも、サリエリが好意を抱いていたオペラ歌手の女性を主役に抜擢したのだった。
そして、観客の拍手喝采を得て、ヨーゼフ2世も称賛を送る。
モーツァルトへの嫉妬が溜まるサリエリは、神にモーツァルトをザルツブルクへ返すよう祈る。
中盤
ヨーゼフ2世はモーツァルトを姪の音楽教師に任命しようと提案する。難色を示すサリエリだったが、宮廷の審査を設けることで合意した。
しかしモーツァルトは自分の音楽が値踏みされるということに怒りを感じ、帰ってしまう。
後日、彼の妻がモーツァルトの譜面を持ってサリエリの元を訪れた。審査してほしいと直々に頼む妻に対し、サリエリは譜面を預かるという。
オリジナルの譜面だと聞いたサリエリは譜面を見る。そこに書かれていた音符一つ変えるだけで崩れるその完成された音楽に、彼は仰天と称賛の念を感じざるをえなかった。
その反応を見て、モーツァルトの妻は宮廷音楽家に任命してもらえるよう頼む。
サリエリは、今晩もう一度来るようにいう。見返りとして性的関係になる事を強いようとした。
夜、彼女はやってきた。
しかしサリエリは、彼女を追い返したのだった。
結局、宮廷音楽家は凡庸以下の才能とサリエリが称した人物に決まった。サリエリの元を訪れたモーツァルトは、文無し貧乏だから金を貸してほしいと頼む、
彼は、欧州中を驚かせる曲を書いていると打ち明ける。
サリエリは、金持ちの生徒を紹介すると言ってモーツァルトに教えたのは、犬を何匹も飼っている家族。
音楽を弾くたびに吠える犬たちに、モーツァルトは嫌気がさしてしまう。
後半
金銭的困窮な中、モーツァルトの父親が訪ねてくる。モーツァルトは金銭の心配は無いと嘘をつくが、父親は一緒にザルツブルクへ帰るよう言う。
一方、モーツァルトにパーティーで笑い者にされたサリエリは、メイドを派遣する形で彼の様子を探る。
そこでサリエリはモーツァルトが「フィガロの結婚」という戯曲をオペラにしようとしていると知り、宮廷に教える。
ヨーゼフ2世自ら国内上演を禁止したその題材に宮廷の劇場監督らはその内容と政治的影響から中止を勧告する。
しかし、出だしを聞いたヨーゼフ2世は期待を込めて許可をだし、モーツァルトはリハーサルを始めた。
禁止していたバレエの挿入も特別に許可され、モーツァルトはオペラを完成させた。
サリエリも、その素晴らしさには敗北を認めざるをえなかった。
しかし、終盤になってヨーゼフ2世は大きな“あくび”をひとつ。長すぎるその劇に、退屈してしまったのだ。その結果、オペラの評価もあまり上がらなかった。
そんな中、モーツァルトの父親が死去。
彼はそれを受け、不吉で暗いオペラの新作を書き上げた。墓から蘇る騎士の登場するその作品は、父親を重ね合わせ、自らを非難させる内容だった。
そのオペラを観たサリエリは、亡き父親が未だにモーツァルトを支配していると気がついた。
そこで彼は、神を打ちのめす方法を思いつく。真っ黒な衣装に身を包んだサリエリは、モーツァルトの元を訪れると、身元も詳細も隠して「鎮魂歌《レクイエム》」を依頼した。
彼の計画は単純だった。レクイエムを依頼して彼を殺し、その葬儀に自分の書いた荘厳なレクイエムを鳴らし、自らの名誉を高めるというものだった。
問題は、どうやって殺すかということであった。
モーツァルトはウィーン中の嫌われ者へ成り下がっていた。借金を返さず、酒ばかり飲む彼に依頼や推薦が舞い込んでくる事はなかった。
ようやく引き受けた大衆オペラはお金にならないと妻が反対する。一方のサリエリは再び黒い衣装には身を包むと、レクイエムの催促をする。
モーツァルトは、レクイエムの完成に2週間の猶予をとった。
それでも遊び呆けるモーツァルトに、母親の助言で妻は家を出て静養に行ってしまった。
終盤
大衆オペラを書いたモーツァルト。しかし上演の途中で彼は倒れてしまう。
居合わせたサリエリは倒れたモーツァルトを彼の家へ運ぶと、レクイエムを注文した黒衣装の男画やってきたように見せかけ、制作を急がせる。
何も知らないモーツァルトは、サリエリに制作を手伝うよう頼み、ベットに横たわりながらレクイエムの作曲を続けた。
弱々しい最後の力を振り絞って、モーツァルトとサリエリは2人朝まで作曲を続けた。
そして、モーツァルトは「あなたに嫌われてると思った。赦してくれ」と赦しを請いながら休息を取ると言って眠りに入った。
お昼、妻のコンスタンツェが帰宅。部屋にいたサリエリに不審の目を向け、帰るよう頼む。
そして、ベットにいるモーツァルトに駆け寄ると、「会いたかった」と泣きつく。
そして彼女は散らばったレクイエムの譜面を見ると、「この曲が主人を病気にさせた」と言って棚にしまった。
サリエリと妻コンスタンツェのやり取りの間、モーツァルトはひっそりと息を引き取った。
雨の中行われた葬儀。
モーツァルトは立派な墓に納められる事なく、幾人かの死体とともに無造作に墓穴にほうられた。
そしてサリエリの回想は終わった。
モーツァルトを殺した呵責に苛まれ続けた彼は、天才と凡庸の差を嘆きながら、神父の前から去るのだった。
エンドクレジット。
最後まで読んでくださり、
本当にありがとうございました!!