※ネタバレなし。
2017年11月17日
フランケンシュタイン (1931年)
(原題:Frankenstein)
【評価:2.9/5.0】
【一言】
約1時間という時間は内容的に薄く短く感じたが、省略を上手に使うことでまとめ上げていた。
フランケンシュタイン博士の創った“怪物”の見た目・演技が素晴らしく不気味。
見事に生理的な不快感を誘うものになっている。
映像としての残酷性ではなく、「忌むべきもの」という意味での恐怖映画だと思う。
【目次】
ストーリー
優秀な科学者であるヘンリー・フランケンシュタイン博士は、その好奇心と向学心から生命の真実を見出したいという望みに囚われる。
そして、助手のフリッツと共に墓場から死体を掘り返しては繋ぎ合わせる。そして、“それ”に命が宿り、恐ろしい“怪物”が生まれてしまう。
予告動画
作品データメモ
監督: ジェイムズ・ホエール
原作:メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』
キャスト: コリン・クライヴ,ボリス・カーロフ and more.
上映時間:71分
米国公開:1931年5月21日
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ
感想
演出と雰囲気
白黒だから雰囲気があるとの、音声に混じってノイズが聞こえてくるのがめちゃくちゃ「The ホラー」って感じがします。
昔の映画だから当たり前ですが、近年のCGやVFXを多用したデジタルな映像ではなく、特殊装飾や炎・光・雷・効果音などアナログな手段で演出を手掛けているから、余計に怖さや異様な雰囲気が伝わって来ました。
台詞と雰囲気
台詞が少なく、映像と効果音で映画を創り上げている印象でした。特に、日常部分を描いた場面では会話が多く、ホラー部分では会話が少ないという差があると感じました。
字幕で観ると、会話の量によって字幕量も変わり、その影響で画面から得る印象も大きく変わるのだと思いました。
やっぱり、暗い雰囲気の怖い場面で白い文字が表示されると、少なからず怖さが消えてしまうのかもしれません。
演技・・・博士
フランケンシュタイン博士の演技がとても良いです。実験に打ち込んでいる時は堂々と明確な意志を持ち、好奇心に満ちた視線と口調でで指示をしたり、作業をしたり。
博士は「死体から生命を創る」という行為を「生命の解明」という崇高な目的と考えているから、それを否定された時の目つきが本当に怖かったです。
また、時折口走る、狂気に寄った発言が良いですねぇ〜〜。
演技・・・怪物
カーロフ演じるこの怪物は本当に有名ですよね。その名声に相応しい演技でした!
「人間」でもない、「ゾンビ」とも違うなんとも異様な動きが良かったです。どこか「赤ん坊」のような印象だったから、余計に嫌悪感が増したのかもしれません。
ついでに、メイクについても。メイクはまず頭の形が一番ではないでしょうか? 「四角い頭」という人間の常識から外れた形が、意識しなくても違和感を覚えさせるのかなぁ〜と。
内容と時間
約70分という時間は短く感じました。
原作小説を読んだあとだからかもしれませんが、登場人物の心理描写や場面説明が少なく感じましたた。淡々と物語を追っているという印象でしたね。
でも、逆に上手い省略の仕方だとも思いました。短い時間の中で、観客が頭の中で補える部分は省略されており良かったと思います。
The フランケン
世間一般に広まった「残酷なフランケンシュタインの怪物」というイメージの基を観ることが出来てよかったです。
まず、「フランケンシュタイン」と「怪物」が同一のものであるという勘違いが多いですよね。
また、原作では怪物を創ったのは「ヴィクター・フランケンシュタイン」でしたが、今作では「ヘンリー・フランケンシュタイン」となっており、少々混乱しました。
あとは、やはり原作との差異が目立ちました。
私は原作のほうが内容的に好きでした。
感想ツイート
M.シェリー『フランケンシュタイン』
好奇心と向学心を抱く若きヴィクター・フランケンシュタインの半生と、彼が創造した“怪物”の物語。
醜さと残酷さに満ちた「恐怖小説」ではなく、罪の意識・懺悔・憂い・慰めの言葉に溢れた「回想録」。
“怪物”が人の言葉や感情を手に入れ、苦悩する姿が印象的。 pic.twitter.com/pb1gU6PqT2
— ArA-1 (@1_ARA_1) 2017年11月16日
以降、映画本編のネタバレあり
ネタバレあり感想
序盤
「心臓の弱い方は今のうちにおやめください」というナレーター(?)の語りで始まりました。
白黒で時々乱れる映像がめっちゃ雰囲気あります(笑
キャストが最初に映されるけど、その部分にて「The Monster・・・?」とキャストが隠されていました。
モンスターを役ではなく、怪物そのものとして扱っているようで、とても良かったです。
墓場での葬式のシーン。
なるほど、材料となる死体を掘り起こすために遺族がいなくなるのを待ってから、掘り返すわけですね。
次に行ったのは処刑所ですかね?
柱から吊るされた人の死体があり、それを落としました。
新鮮な死体を求めているのは、「脳」を探すためなのですか。
大学での脳の講義。
正常な人間と、犯罪者の脳では差があると言っていますが、現代ではそれは否定されていますね。
まさか……………助手が持って帰ったのが「異常者の脳」ということは、怪物が産まれた原因はこの過程????
前半
ヘンリーの婚約者、エリザベスとの会話。
原作を読んでいてもそうでしたが、エリザベスはとても美しい!!
そして、何よりも心配を第一にする姿が原作と同じだ。
ヘンリーが電気に関する研究を進めていることとともに、生物を創造する妄想を抱いていると言うことが教授の口から。
検体の死体が欲しいと言って、あげなかったら大学を辞めるのか……。
「死んだ人間をもう一度創造するなんて狂ってる」
背中が曲がった姿で有名な助手の名前はフリッツ。
『フランケンシュタイン』の映画で印象的な、山にあるヘンリーの実験室が。
そして、取り付けているのは雷を引き寄せる為の金属柱ですね。
縫ったあとのある、包帯を巻いた死体を披露。彼の台詞「この手で、この手で作った」というのが印象的。
電気が満ちて、嵐の状態もいい感じに。
…………がしかし、彼を心配した人たちが来て決まった……。
「お前は狂ってるしまったのか?」
「狂っただと?……今に分かるさ」
という会話をしたときのヘンリーの顔と目が怖い!!
部屋に電気が満ち、死体を覆っていた布を取っていよいよ実験!!
その電気の描き方がとても綺麗でした!
「アメリカ映画ベスト100」に選ばれた『It’s alive! It’s alive!』が!
そして「神よ、私は真実を発見した!」………まさに狂気。
そうか、これは生命への探求なのか。
そして、遂に死体の寄せ集めから創った“怪物”が起き上がり、動いて、命令に従った!!
本当に不気味な特殊メイク。生理的な気持ち悪さを感じます。
また、動きがとても気味悪い……。
中盤
フリッツが持ってきた火を怖がった“怪物”が暴れた!
鎖で繋ぐもフリッツがいじめるから、どんどん凶暴になって。最終的にフリッツを殺してしまった………(のか?)
なんとか“怪物”を薬で眠らせたけど………。
ヘンリーとエリザベスの結婚式。
フランケンシュタイン家も街も大賑わいで、浮かれ気分。
それでも、エリザベスはなにか不安を感じて、胸騒ぎが。
小さな女の子のマリア。
「あなたは誰? 私はマリア。一緒に遊びましょう」と言ってお花を渡したりと優しい心を掛けてあげる姿が本当に美しい!!
“怪物”だけれども、喜びや優しさを感じれるんだ!
……………………いやいや、ちょっと優しい気分になったと思ったら、女の子池に投げ込むなんて!(でも、悪気はないよな………)
花嫁姿の綺麗なエリザベス。
その背後にそっと忍び寄る“怪物”。このシーン、本当に怖いです。
気が付かないっていう恐ろしさがある。
後半
溺死したマリアを連れてきた木こり(?)の男性。
街では犯人探しの機運が高まり、ヘンリーは怪物を殺すことを決意。
大規模な捜索隊を組織して、ナントしても“怪物”を捉えろ!!
捜索隊は着々と“怪物”に追いついて。
そしてヘンリーと“怪物”の一騎打ち。あっけなく倒れたヘンリーだが、街の人ひどは猟犬を離して後を追う!
“怪物”が逃げ込んだのは、彼が産まれた山の上の風車。
最後、風車小屋を燃やして“怪物”を退治。
瀕死のヘンリーも回復に向かい、「フランケンシュタイン家の為に乾杯」でThe END.
最後まで読んでくださり、
本当にありがとうございました!!
いやいや、ちょっと優しい気分になったと思ったら、女の子池に投げ込むなんて!(でも、悪気はないよな………)
このシーンをほとんどの人が誤解していて、他のコメントなどにフランケンシュタイン(の怪物)がとても残酷だと書いてあります。
しかし、少し前のシーンを注目してください。女の子は木の葉を水に浮かべて遊んでいますね。
(知能の低い)フランケンは少女も木の葉の舟のように水の上に浮かぶと思って、少女を喜ばせるために好意から湖に投げ込みます。そうすれば少女もお舟と一緒に水の上で楽しく遊べるかと思ったのです。
それほどフランケンは優しい心の持ち主だった。
私はこう考えますが、いかがでしょうか。