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【映画】『ザ・スクエア 思いやりの聖域』───傍観の映像は嫌悪に満ちた社会風刺を。

※ネタバレなし。
※画像は予告映像のキャプチャです。

2018年5月7日鑑賞

ザ・スクエア 思いやりの聖域
(原題:The Square

 

 

【評価:3.7/5.0】

 


【一言】

……難しい…。
表面上は“分かる”けど、その中身が“理解”出来ない「現代アート」を映画にブチ込んだよう。
(良い意味で)中途半端さが見事だけど、不快さと嫌悪感のような後味の悪さが気になった。

傍観と社会風刺の融合が見事だった。

 


【Twitter140文字感想】

 

 

ストーリー

 現代美術を展示する美術館のキュレーターが次に仕掛けるのは、「ザ・スクエア」というインスタレーション。

 しかしその作品のPRで問題が発生し、主人公の日常にもささやかな問題が次々に発生していく。

予告動画

 

 


 

 

目次&メモを表示

 

【目次】

 

 


 

 

作品データメモ

監督:リューベン・オストルンド
制作:Plattform Produktion
キャスト:クレス・バング,エリザベス・モス and more.
上映時間:151分
日本公開:2018年4月28日
配給:トランスフォーマー
公式サイト

 

 

 


 

 

 

感想

 

感想外観

 

 「非常に面倒くさい、難しい映画」というのが第一印象です。
 映像を観て、物語を追っている映画の中で、表面上の内容は分かります。でも、それが何を意味してメッセージとなっているのか理解する事が出来ませんでした。

 1つには「中途半端さ」があると思います。
 ただ、本作の場合、それは良い意味での「中途半端さ」です。途切れ途切れで、下手すると脈略も曖昧な本作は、それが見事でありました。

 映画を構成するどのシーンも結末が描かれず、曖昧にはぐらかされるから、逆にそれが色々な意味を含み、考えさせられるように思いました。

 映画全体が細切れのシーンを寄せ集めたよう。
 上に書いたように、一人の男性を主人公にして、“結末”の無いシーンが繋がっている本作。飛び飛びの物語は、その間を補完するのが大変。
 さらに、詳しく多くを語らないから、鑑賞者自らが“その先”を補わなくては駄目なわけです。

 第一印象としては、「現代アートみたい」だなと。
 (少なくとも私にとって)現代アートはとても難しくハードルが高いです。造形ある作品を見てその外面的な形等を認識して楽しめますが、解説パネルを読んでも作者が伝えたい事がイマイチよく分からないというような感覚でした。

 映画を観ていて感じたのは、不快感、違和感、嫌悪感、不信感など。負のイメージの感情が湧いてきました。

 まず、映画が非常に無機質的な雰囲気です。そこに、マイナスの内容が描かれるから、結果的に嫌悪感とかに繋がるのだと思います。

 映画を見ている間ずっと、「傍観」しているような感覚がしていました。主人公からも物語からも一歩引いた場所から眺めているような、追っているような。
 だから、映像が映す出す社会風刺がとても鮮明に浮かび上がってきました。 

 

 

 

 

難しい映画

 

 もう全体的な感想の部分で散々書いているので繰り返しになりますが、難しかったです。

 まずそもそも、テーマや主軸がはっきりと理解出来なかったから難しく感じるんでしょが、だって分からないんだもん……。

 物語を追ってくにしても、描かれるストーリーの展開に関しては、少なくとも表面上として分かっています(つもりです)。
 でも、その物語の主題やメッセージといった内容が何なのかが微妙に分からないんです。

 「難しさ」の性質が、「理解の及ばない」という難しさだから、余計に大変に感じるんだろうと思いました。

 

 

 

 

 

中途半端な映像作品

 

 誤解を解くためにも、何度も書きますが、決して否定的な意味での「中途半端」ではありません。むしろ、肯定的と言っても過言ではないかもです。

 と言うのも、ハッキリせず、途切れ途切れなシーンが組み合わさる感じが、何とも言えない独特な雰囲気を出していたし、それが個人的には好きでした!

 「もうちょっとで続きが分かる!」って所でプツッとカットが切り替わり、シーンが変わります。
 “脈絡”というものが若干薄くなりかけているような映画でしたが、それが少しだけ心地良さのようなモノを醸してる気がしました。

 そして、各シーンの引き際がとてもサッパリしているというか、躊躇なくスパッと切れるから、その間を考えるという意味で、色々と頭を働かせました。

 

 

 

 

傍観的視点と社会風刺

 

  映画を観ていて思ったのは、「傍観感」が凄いという事。
 もちろん映画にも多くの種類があって、主人公に感情移入する作品や、第三者として事件を追ったりと描き方は様々です。

 でも、本作で感じたのはそのどれでも無くて、強い「傍観」でした。

 観客である自分は、TVのドキュメンタリーを見ているような、本当に蚊帳の外という感じで、ただただ流れる映像を目で見てるだけというか。

 その感覚が少し違和感めいたものを感じさせました。

 そして、社会風刺。
 傍観的な視点だから、描かれているものがハッキリそれ単体で映ります。舞台は福祉国家として有名なスウェーデン。でも、画面に映るのは物乞いをする人々。

 本作のテーマでもある「ザ・スクエア」もその根幹は平等と友愛ですが、その扱いやPRはまったく真逆の物に。

 これらは、主人公に移入する事なく、傍観者としての立場だったから、より鮮明に映ったのだと思います。

 

 

 

 

 

マイナスな感情と印象

 

 映画を観ていて、プラスの感情が湧いてきませんでした。
 不快感とか嫌悪感、不信感とか違和感のようなものをずっと感じながら観ていました。

 まず映画全体が「正の雰囲気」で作られているとはお世辞にも言えないなと。どちらかというと、映像自体は正負のない、非常に無機質で淡々としている印象でした。

 でも、主人公らの行動などがマイナス的な物が多くて、しかもそれは他人を傷つけるような内容も多く、それがマイナスイメージな感情の原因かと。

 あとは、本作は主人公に感情移入するような作品でなく、どこか一人の傍観者として観ている感覚だったので、マイナスイメージという部分も外側から観ているだけのような感じでした。

 

 

 

 

 

現代アート…?

 

 なんかもう、言っている事が同じなんですけど、本作は難しくて意味わからないんですよ。
 そんな所が、どこか「現代アート」に似ていると思いました。

 現代アートって、身近な物を題材にしていたり、社会への風刺を含んでいたりとメッセージ性に富んでいます。
 でも、それが理解出来るかというと、そうでもないんですよね……。

 表面的に、外見上ではどんな作品か見て分かるのですが、作品の解説を読んでも何を表現したいのかがイマイチよく分からない……。

 本作もそんな感じでした。
 何を描いているかは分かるし、大雑把な物語も見ていれば分かります。でも、本作を通じて何を伝えたいのかが理解出来ませんでした……。

 あとは、そもそも本作の舞台が現代美術を展示する美術館で、「ザ・スクエア」という現代アートが主役(?)です。

 だから、登場人物たちの台詞も自ずと美術用語を使ったりと、難しくなるんですよね………。

 

 

 

 

 

ネタバレあり感想

 

ネタバレを表示

 

 1番印象に残っているのは、夕食会でのパフォーマンスですかね。猿?チンパンジー?の真似を最初は面白がるけど、次第に異様な雰囲気になっていく様子は怖かったです……。

 あと、題名にもなっている作品『ザ・スクエア』があまり登場しなくて、少し残念でした。

 主人公と女性記者がセックスした後のシーン。コンドームを巡るやり取りが意味分からなかったです……。

 

 

 

 


 

 

 

以降、映画本編のネタバレあり

 

 

 

 


 

 

 

ネタバレあらすじ&感想

 

序盤

 

 美術館のチーフ・キュレーターであるクリスティアンに、記者のアンがインタビューする場面から始まる。

 クリスティアンが働くX-王立美術館では、次の展覧会用に、「ザ・スクエア」という四角い枠のインスタレーション作品が設置されていた。

 タイトルバック

 

 

 

 

 

前半

 

 ある朝、通勤途中のクリスティアンは女性の助けを求める叫び声を聞き、他の通行人と一緒に彼女を追ってきた男を止める。

 しかし、彼はただ走っているだけで、かくまった女にクリスティアンは財布とスマホ、祖父の形見のボタンを盗られてしまう。

 そして勤務する美術館に到着すると、次の展覧会の目玉である「ザ・スクエア」の広報方法を巡ってPR会社と打ち合わせが入っていた。

 PRの方法で意見が別れるも、若い担当者のいるPR会社に一任する方向で話が進んだ。

 打ち合わせの後、クリスティアンは今朝の出来事を話す。そして部下の黒人に頼みスマホのGPS情報を用いて場所を特定し、監視して置くように命じる。

 夕方、次の展覧会に関する内覧が開かれ、寄付への感謝と目玉展示の「ザ・スクエア」に関する解説を済ませたクリスティアンは、再び自室へ。

 スマホのGPSを見張ってた黒人と、取り返す方法を考える2人。アパートまで特定出来ていたから、脅迫状を全ての郵便受けに入れる事に。

 脅迫状を書き、いざアパートの前に到着した2人だったが、どちらがポストに入れるかで揉める。黒人が強く拒否した結果、クリスティアンは自分で入れる事に。

 脅迫状を配り終わり、逃げ帰るように車を出発させた時、何かを轢いてしまう。

 

 

 

 

 

中盤

 

 ハンバーガー屋に寄ったクリスティアンは、そこにいた物乞いに押され、サンドウィッチを奢る事に。

 一方、芸術家のジュリアンを迎えての美術討論会では、精神疾患を持つ男性が野次を次々に飛ばし、討論会どころでは無かった。

 クリスティアンの方は、脅迫状の効果があったのか、指定したコンビニにスマホと財布が戻ってきて、嬉しさを浮かべる。(形見のボタンは彼の思い違いだった)

 そして、美術館でパーティー。隣接する王宮にも入り込み、誰もが浮かれ気分で騒いでいた。
 クリスティアンはそこでアンと会い、その後、彼女の自宅でセックスをする事になった。
 行為後、しきりに使用済みのコンドームを手渡すよう要求するアンに不信感を抱くクリスティアンであった。

 アン宅からの帰り、コンビニから電話が入る。
 クリスティアン宛に小包が届いたという事で、中身を確認してもらうと、それは彼への脅迫だった。

 部下の黒人に取りに行かせると、そこで待っていたのは10歳程度の少年だった。彼が主張するに、「スマホと財布を盗んだ」と犯人を糾弾する脅迫状により、親から泥棒と思われてしまったという。

 美術館の方では、「ザ・スクエア」のPR方法が決まった。SNSを使って爆発的に動画を拡散させるため、金髪少女の物乞いを登用して、過激な内容にするという。

 

 

 

 

 

 

後半

 

 美術館の展示にある問題が発生。砂利の山のアート作品が、清掃員によって片付けられ、形を変えてしまったのだ。クリスティアンはこっそりと修復する事を決める。

 その時、アンが訪ねて来た。
 セックスした夜の事を持ち出し、クリスティアンの恋愛観などを問い詰めてきた。

 クリスティアンの元に娘達が訪ねてきた。
 彼は2人の娘を展覧会に招待し、買い物をして帰宅。
 そんな時、YouTubeから連絡が入る。それは美術館が投稿したPR動画が30万回も再生されているていうのだ。

 急いで内容を確認し、美術館に向かうクリスティアン。動画の内容は、金髪の物乞い少女が「ザ・スクエア」の中で爆発するという、過激で挑発的なものだった。
 非難の嵐となったPR動画の責任を取るため、役員会はクリスティアンの処罰を話し合った。

 その夜。
 展覧会の披露夕食会でパフォーマンスに呼んだのは、オレグという役者。見事なチンパンジーの演技だったが、それは次第に過激さを増し、会場にいた人は沈黙となる。
 最後には、一人の女性を襲おうとして、来場者らに力づくで取り押さえられた。

 その夜、脅迫状を送った男の子がクリスティアンの自宅まで来ていた。階段から突き落とす形で無理やり追い返すクリスティアンだったが、耳の中には男の子の「助けて」という叫び声が残っていた。

 罪悪感に駆られた彼は、小包の中に入っていたメモ用紙をゴミ箱から探し当てると、謝罪の電話をする。しかし繋がらず、彼はビデオメッセージを録画する事に。

 

 

 

 

 

終盤

 

 炎上したPR動画を巡る記者会見が開かれ、クリスティアンは責任をとって辞任する事に。

 娘2人のうち、姉のチアリーダー大会を見に行ったクリスティアンは、その帰り道、男の子のアパートを尋ねる。
 しかし男の子もその家族も引っ越した後で、所在は不明となっていた。

 エンドクレジット。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 最後まで読んでくださり、
 本当にありがとうございました!!

 


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