【過去記事について】お知らせ&お願い

社会情勢と芸術作品から振り返る2019年:「日本の祝祭・社会の分断・SF世界の現実化」の世界

 

 こんにちは!
 いつも読んでくださってありがとうございます!
 先日も、リアルの友達から「一読者として応援している」とメッセージを頂いて、嬉しいやら、恥ずかしいやらで、ニヤニヤでした(笑)

 さて、今回は、去りし2019年の総括的な感想です。
 まぁ、ダラダラと雑感を書いていく形にはなりますが、読んで頂ければとても嬉しいです!(本当は、もう2ヶ月ほど早く投稿したかったんですけどね……まぁ、仕方ないです 笑)

 今回は、装飾を少なめにして、文章メインにしました。ダラダラと長文を書いていますけど私としては書きたいことを上手くまとめられたように思えるので、書いていてとても楽しかったです!
 ぜひ、読んでいただけたら、とても嬉しいです!

「AKIRA ART OF WALL」@渋谷PARCO

「AKIRA ART OF WALL」@渋谷PARCO

 


 

 

【目次】

 

 

 

2019年の社会情勢

 

2019年の社会的な出来事

 
 ということで、2019年の総括。
 まー、やっぱり365日くらいあると、色々と起こりますね。社会的な報道とか問題を逐一ここで触れるのは難しいので、読売新聞が年末に企画している「読者が選ぶ10大ニュース」を紹介しようと思います。題名通り、購読者からの投票で決まっています。

読売新聞:読者が選ぶ10大ニュース

※画像は2017年のもの

【日本】
1. 天皇陛下が即位。「令和」に改元
2. ラグビーW杯日本大会開幕、日本8強
3. 京都アニメーション放火、36人死亡
4. 消費税率10%スタート
5. 東日本で台風大雨被害、死者相次ぐ
6. ノーベル化学賞に吉野彰氏
7. 沖縄・首里城が焼失
8. ゴルフ・渋野日向子が全英女子優勝
9. マリナーズ・イチローが引退表明
10. 徴用工問題で日韓関係悪化

【海外】
1. 香港で学生らが大規模デモ
2. ノートルダム大聖堂で大火災
3. 16歳グレタさん、国連で演説
4. 北朝鮮、新型SLBM発射
5. 米、「パリ協定」離脱を国連に通告
6. ハノイで2回目の米朝首脳会談、物別れに
7. 米中、制裁・報復「第4弾」発動
8. アマゾンで森林火災が多発
9. 英下院が解散・総選挙、EU離脱が最大の争点
10. 英ヘンリー王子に第1子の男児誕生 

 という感じですね。

 10位圏外で個人的に注目していたニュースだと、
海外では、
・イスラム国指導者が米作戦で死亡(12位)
・トランプ大統領、国境の壁建設へ国家非常事態を宣言(17位)
・中国の探査機が月裏側に着陸、世界初(18位)
・米司法省、中国通信機器大手「華為技術」のCFOを起訴(25位)
・米露INF全廃条約が失効(26位)
・韓国、東京五輪での旭日旗使用禁止を要求(30位)

日本では、
・高速道路で「あおり運転」、男を逮捕(14位)
・探査機はやぶさ2、小惑星リュウグウに着地成功(15位)
・国立天文台などの国際チーム、世界初のブラックホール撮影成功(25位)
・安倍首相、通算在職日数が歴代最長に(26位)
・仁徳陵など大阪の古墳群が世界遺産に(30位)

です。
 そもそも私が国際情勢とか海外ニュースが好きなのと、この記事の後半で触れるものも含めて、いくつかピックアップしました。各ニュースについて、ここでは特には触れないので、「2019年」を思い出す材料になれば幸いです。

www.yomiuri.co.jp

 それから、「世界終末時計」も参照しましょう。
 米科学雑誌が毎年発表するもので、国際情勢を反映して、地球滅亡までのカウントダウンを数えるものです。

 先日、2020年1月24日に発表されました。
 現在、地球滅亡まで「100秒前」だそうです。

 最も終末に近づき、秒読み段階。
 理由は、核拡散や気候変動問題、アメリカとイランや北朝鮮の対立、フェイクニュース、宇宙空間やサイバー空間での軍拡競争などだそう。

www.cnn.co.jp

 

 

 

私が感じたトピック3つ

 さて。紹介した10大ニュースや、終末時計、そのほか、私が芸術や映画やアニメなどの作品をいくつか観て、私が感じたトピックが以下の3つです。

★日本国の威信と絆
★社会の分断と混乱
★SF世界の到来と実現

 まぁ、ザックリした表題だし、こんなのはトランプ米政権になってからは毎年のように言われていることですが(笑)、やっぱり色々と観て強く感じました。

 ということで、まずはこの3つのトピックについて、簡単な雑感というか、思ったこと感じたことを、つらつら書いていこうと思います。
 読んで頂けたなら、とても嬉しいです!

日本の威信、社会の分断、SFの現実化

日本の威信、社会の分断、SFの現実化

 

 

 

 

 

日本国の威信と絆

 

 「日本国の威信掲揚」
 まず最初のトピックはコレ。

 「日本」が讃えられた1年だったなーと思います。至る所、至る場面で日章旗が掲げられたし、「日本」というフレーズを随分と耳にした気がします。
 決して政治的なイデオロギーとしてのナショナリズムを全肯定するわけではありませんが、やっぱり自身の祖国が”偉大”と称賛されるのは嬉しいと私は思います。

2019年6月16日、東京駅にて

2019年6月16日、東京駅にて

 何があったかといえば、「天皇即位と改元」です。
 まず一番に挙がるのはこれでしょう。 平成から令和へと時代が変わった年でした。第125代目に当たる天皇・明仁親王がご退位なされて、徳仁親王が継いだ日本国の一大行事です。「即位礼正殿の儀」を中心に数々の宮中祭祀や祝賀行事が行われてとても貴重な年でした。

 神武天皇から続く皇室の物語がピックアップされて、「令和」の出典である『万葉集』に注目が集まったり。安倍総理大臣が万歳三唱をして、祝賀パレードの映像では街頭が日の丸で埋め尽くされていました。
 これらを「称賛」と捉えるか、「異様」と捉えるかで、また大きな論争になるのでしょうね。とはいえ、やっぱり神代からの国家の歴史や威厳に焦点が当たるのは嬉しいし、歴史的な観点からの説明が様々なメディアでなされたので、とても勉強になりました!

祝賀御列の儀(東博にて)

祝賀御列の儀(東博にて)

 それに、私にとって一番大きかったのは、国立博物館や寺社仏閣での特別展や特別公開が多く行われたことでした!
 儀式を執り行った「大嘗宮」や「高御座」の一般公開を観れただけでも感謝です。建築費をケチった結果、ショボくなってしまったのは残念でしたけどね。とはいえ、実際に天皇陛下がお召になられた装束を間近で観られたのは凄かったです!

大嘗宮の画像
高御座の画像
左:大嘗宮 | 右:高御座

 その他にも。狩野永徳や尾形光琳など国宝や重要文化財級の作品が一堂に会した「美を紡ぐ」展の豪華さは物凄いです。文化庁、宮内庁、東博が持つ名品が一箇所で観られる機会なんで早々ないですよ。また、秋には「正倉院の世界」展が開催され、天皇による勅封で守られた品々が並びました。
 「皇室の持つ美術品」が一挙に多く公開された点は、感謝してもし足りないです!

「美を紡ぐ」展 @東博

「美を紡ぐ」展 @東博

 もうひとつは、ラグビーW杯
 これは、日本も世界も盛り上がったイベントでした。

 開催前は盛り上がるか不安視されたりしていましたけど、いざ開幕すれば、日本中がラグビーに熱狂しましたね! 私も自宅のTVで日本戦は応援したし、実際にライブビューイングを覗きに行ったりもしました。やっぱり、日本全体でも盛り上がっていたから、乗りやすかったです!

有楽町のファンゾーンにて

有楽町のファンゾーンにて

 大会のデザインもとても好きでした!
 日本らしい和の柄が選手ユニフォームや中継画面にあしらわれていたり、和太鼓や歌舞伎の「掛け声」が響いたりと、良い趣向だと思いました! それに、歌舞伎の獅子をモチーフにしたマスコットも可愛かったし!

 また、開催前や期間中には台風や豪雨による災害が相次ぎました。被害にあわれた方には、心よりお見舞いとお悔やみを申し上げます。そんな中で、「日本中を元気にしよう」という熱意がとても良かったし、国内外のラグビー選手たちがボランティア活動をする姿も報道されました。

有楽町のファンゾーンにて

有楽町のファンゾーンにて

 さぁ、2020年です。
 「東京オリンピック」という国家最大のイベントがあります! 色々と問題が噴出しているし、中国・武漢からの新型肺炎「COVID-19」が猛威を振っていたりと、懸念事項や盛りだくさんですが、成功することを願っています!

国立競技場(2019年11月16日)

国立競技場(2019年11月16日)

 

 

 

 

 

社会の分断と混乱

 

 社会の分断と混乱。
 タイトルだけで十分な気がします。

 香港では学生による民主化デモが、台湾では中国支配に対するデモが発生。フランスでも庶民層が「黄色ベスト・デモ」を1年以上続けています。
 英国ではEU離脱のBrexitで国が真っ二つに分断され、米国でもトランプ政権が国境の壁建設などの政策で国内世論の対立が絶えません。どちらも移民問題に端を発した状況です。
 米英に追随するように自国第一主義や保護主義を掲げる政党が躍進している現状は2019年も相変わらずでした。

 米中新冷戦では、関税の掛け合いや、会見での非難合戦に加えて、「華為技術(ファーウェイ)」に関する対立も日豪を巻き込んで勃発。北朝鮮を巡る情勢でも、やっぱり日米韓と北露中の間での、立場の違いが鮮明になるニュースを何度か耳にしました。

 日韓関係も無視できなくなりました。
 慰安婦問題や徴用工問題で日本を批判する韓国の文政権と、それに向かう安倍政権の構図。日本による半導体の対韓輸出管理強化、韓国によるGSOMIA協定の破棄通告。荒れる世論と炎上するネット言論。

 やっぱり、国際情勢とはいっても、先進国に話題が集中してしまうのは褒められることではないですけどね。日本でも排外主義的な動きがあるのは事実です。

 本当に色々とあった2019年でした。

 そんな2019年。
 不安と不信が渦巻く中で、様々な芸術作品にもその影響は現れていました。というよりも、社会の動向を真っ先に吸収して反映させたり、プロトタイプ的な作品を生み出すことが「芸術」のパワーなのだと思います。

 愛知県で開催された「あいちトリエンナーレ」
 津田大介による企画「表現の不自由展・その後」の出品作品がネットを中心に炎上し、脅迫電話等が殺到した結果、わずか3日で中止に追い込まれる異常事態に陥った芸術祭でした。

行った方にチラシだけ頂きました!

行った方にチラシだけ頂きました!

 その、あいトリのコンセプトは「情の時代」でした。その紹介文では、

「情」という漢字には「感覚によっておこる心の動き(→感情、情動)」、「本当のこと・本当の姿(→実情、情報)」、「人情・思いやり(→なさけ)」という、主に3種類の意味がある。
あいちトリエンナーレ2019

とした上で、氾濫する情報によって人々は不安を煽られ、感情を刺激されて動揺させられているといい、

人間は、たとえ守りたい伝統や理念が異なっても、……困難に直面している他者に対し、とっさに手を差しのべ、連帯することができる生き物である。いま人類が直面している問題の原因は「情」にあるが、それを打ち破ることができるのもまた「情」なのだ。
あいちトリエンナーレ2019

と結んでいます。

 あいトリが「情」によって大きな議論を呼ぶ結果となってしまったのは、皮肉なことですね。でも、日本全体を巻き込んだ議論を呼び起こしたという意味で、大きな役割を果たしたと思います。

 ただ、残念なのは、「表現の不自由展」以外に焦点が当たらなかったことですね。同展示はいち企画に過ぎず、他にも世界的に有名なアーティストの素晴らしい作品が出品されていました。また、開催前の最大の話題は「ジェンダー平等」の議論だったのに、それがおざなりにされてしまったのは悲しいですね。

 アニメの世界でも触れられました。
 2019年に観た展覧会。P.A.WORKSのアニメ『凪のあすから』と『色づく世界の明日から』の2作品のコラボ展がありました。
 『凪あす』『色づく』も、日常の中に小さな魔法が息づく世界で、前者は中学生の、後者は高校生の眩しい青春と淡い恋愛が、美しい色とアニメーションで描かれた素敵な作品です。

有楽町マルイにて

有楽町マルイにて

 展覧会の冒頭に置かれた、両作を手掛けた監督・篠原俊哉さんの短い挨拶文がとても印象的でした。

他者の尊厳を傷つけることでしか己の尊厳を守れない声がより大きく強く聞こえてくる昨今、それに反する不器用なキャラクターたちの奮闘に魅力を感じ、共感して下さった方も少なからずいらしたのでしょう。
監督・篠原俊哉

たった9行の短い文章の中で、この一文を加えたというところ。こんな優しくて柔らかい作品の展示で、こんな文章を目にするとは思っていなかったので、とても印象に強く残っています。

 アニメは、これがあるから好きだな、と。
 「おとぎ話」や「虚構」と言われればそれまでですが、主人公たちが互いに認めあって日常を送る様子を描くフィクションの尊さは、とても大切だと思います。

 2019年に放送されたアニメも、この「分断と対立」を物語に取り入れた作品が何作かありました。やっぱり、この時期に制作することに意味があるのかな、と思います。

 私が2019年No.1に選んだ『キャロル&チューズデイ』
 フジTVとNetflixの作品。2人の少女が出会い、音楽をやっていくアニメ。キラキラに輝く音楽の魅力が描かれる傑作です!
 作中で、難民受け入れの是非を巡って市民は衝突、報道は加熱、世論は分断されるという状況に陥ります。言論統制や自粛ムードが強まっていく中で、主人公の2人の台詞。

キャロル「このままどんどん歌いたいことも歌えなくなっていったら….」
チューズデイ「音楽は死んじゃうんじゃないかって」
『キャロル&チューズデイ』

まさに、現代アメリカ社会やイギリス社会のような状況。この続きは、ぜひ本編を観ていただきたい!

『キャロル&チューズデイ』

『キャロル&チューズデイ』

 他にも、「移民問題」や「議論の対立」を描いたアニメ作品は何作も放送されていました。

 100年後の日本を描いたSFアニメ『サイコパス3』では、紛争と経済危機を理由に鎖国をしていた日本の開国政策と、それに当たっての移民問題や宗教問題が取り上げられました。
 『妖怪人間ベム』のリメイク『BEM』では人間と妖怪人間の対立が、『コップクラフト』では人間社会と宇宙人との軋轢がメインでした。『バビロン』では自殺法をめぐる論争が語られ、『ゲゲゲの鬼太郎』では妖怪vs.人間の構図が鮮明化しました。

 大きな話題となった『鬼滅の刃』
 この作品も、日韓対立をめぐる議論に引きずり込まれたのも、記憶に残っています。

『鬼滅の刃』の主人公・竈門炭治郎

『鬼滅の刃』の主人公・竈門炭治郎

 大正時代を舞台に、人食い鬼を退治する剣士の活躍を描いた『鬼滅の刃』。その主人公が身に着けている「耳飾り」の模様が「旭日旗」に見えると、韓国系アメリカ人がネット上で批判し、非難を浴びました。
(私は詳細を知らないので、本当に「韓国系米人」なのかも分からないです)

 旭日旗を巡っては、韓国が東京2020オリンピックでの使用中止を求めたり、国際観艦式での海上自衛隊による旭日旗掲揚を拒否したりと、大きな火種のひとつですね。

togetter.com

 映画についても触れておきます。
 2019年、そして近年は「貧困」をテーマにした映画が称賛される例が多いように思います。

 2019年にはD.C.コミックスの『ジョーカー』が世界的な話題になりました。
 アメコミの悪役でありながら、低賃金労働で持病持ちの社会的弱者である主人公が、まるで社会への不満を背負う”ヒーロー”のように描かれる作品。民衆を煽動する姿には鳥肌が立ちました。

『ジョーカー』@ 丸の内ピカデリー試写会

『ジョーカー』@ 丸の内ピカデリー試写会

 日本では新海誠監督の『天気の子』も大ヒット。
 物語の根底にあるのは気候変動問題と異常気象ですが、家出した少年やアルバイトで生活する少女など、「貧困」のテーマが窺える作品でした。『ジョーカー』とも重ねてみられましたね。

小説版『天気の子』

小説版『天気の子』

 世界的にも、2018年にカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した是枝裕和監督の『万引き家族』や、2019年アカデミー賞を受賞した『パラサイト』など、国際的に評価される作品の中に「貧困」がテーマの作品が増えている印象です。
 ちなみに、『ジョーカー』も作品賞にノミネートされ、主人公を演じたホアキン・フェニックスは主演男優賞を受賞しました。

 あと、映画『バイス』が面白かった!
 ブッシュ大統領を補佐した副大統領の映画です。泥沼のイラク戦争や、対テロ戦争などへ米国が舵を切った理由などが描かれます。トランプ大統領の登場までを描いた、ブラックコメディで、最高でした!

話題のジョン・ボルトン氏も登場!

話題のジョン・ボルトン氏も登場!

 

 

 

 

 

SF世界の到来と実現

 

 ようやく、最後のトピック。
 「SF」と「科学」のお話です。

 ここは、完全に私の趣味ですね(笑)

『攻殻機動隊 SAC_2045』@イリヤ・クブシノブ個展

『攻殻機動隊 SAC_2045』@イリヤ・クブシノブ個展

 まず、「2019年」について。
 このブログでも何度か触れましたが、2019年はSFの年です! というのも、数々の名作SFの舞台が、この2019年に設定されているからです。

 大友克洋さんの『AKIRA』
 原作は1982年。舞台は第三次世界大戦後からの復興を遂げた2019年のネオ東京。その翌年、つまり2020年に「東京オリンピック」が予定されており、”予言”したとネットで話題になりました。

「AKIRA ART OF WALL」@渋谷PARCO

「AKIRA ART OF WALL」@渋谷PARCO

 有川浩さんの『図書館戦争』
 公序良俗を乱す表現を規制する「メディア良化法」が施行。検閲が行われている正化31年の日本が舞台。この「正化」という元号は、昭和の次の元号案「平成・正化・修文」のうちの1つ。平成31年から令和元年へと改元された2019年では、より印象深く残ります。

 志倉千代丸さんの『ROBOTICS;NOTES』
 携帯端末によって仮想現実(AR)やロボット技術が進歩した2019年が舞台。種子島の高校生がロボコンを目指す青春モノです。ARや再生可能エネルギーの普及とう状況はほぼ同じ。ちなみに、2020年には東京万博が開催予定です。

 その他、SF作品の金字塔=P.K.ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』と、ハリソン・フォード主演の実写版『ブレードランナー』。伊藤計劃の『ハーモニー』や神山健治の『攻殻機動隊SAC』などでも描かれているのが、2019年です!!

 現実の2019年にも色々な科学発見がありました。

 「ブラックホール撮影成功」というニュースはとても重要だと思います。これまで、数々のSF作品がワームホールやタイムトラベルの要素として描写し、何作もの映画が映像化に挑んだ天体を撮影したんですから!

 宇宙探査も進みましたね。
 「はやぶさ2」が小惑星リュウグウがに到達。中国の探査機が世界で初めて月の裏側に着陸しました。米国の探査機キュリオシティが火星で水の痕跡を発見したり、太陽探査機が太陽に接近したり。スペースX社をはじめとする民間の実験や宇宙旅行プランを公表したり、NASAなどが「生命のいる可能性の惑星」を発表したり。

 本当にワクワクした1年間でした!
 ちなみに、2019年は、アポロ11号の月面着陸から丁度50年に当たる節目でした。

 軍事面でもSFに追いつく勢い。
 陸海空に次ぐ、第4、第5の戦場としての宇宙空間やサイバー空間での争いも各国がしのぎを削っている時代です。

 米国ではトランプ大統領が独立部隊としての「宇宙軍」創設を発表。スター・ウォーズ計画(戦略防衛構想)に始まり、米国「第6の軍」になりました。日本でも2020年から府中基地に宇宙作戦隊が新設されます。

 サウジアラビアの石油施設攻撃も衝撃的でした。
 高度な対空防衛システムを採用していた石油プラントに対して、ドローンたった十数機による攻撃で世界の石油生産量の5%を停止させるほどの影響があった攻撃。
 本当にスパイ映画とかSF映画のような出来事ですよ。

 「人工知能(AI)」や「5G」も世界的な潮流です。

 「5G」は楽しみですね。
 日本だと「2時間の映画が3秒でダウンロード!」とかばっかり宣伝してますけど、タイムラグの無い遠隔操作医療とか、都市全体をネットで管理するスマートシティ、自宅の家電製品をネットに繋ぐIoT、自動運転の向上など、楽しみはたくさんです。

 その5G技術。
 今、世界で最も進んでいるのは、中国の「華為技術(ファーウェイ)」です。東南アジアやアフリカなど中国が支援している国ではもちろん、ヨーロッパ諸国やカナダでもファーウェイの5G技術を導入する都市や企業が増加しています。
 米中対立が深まる中で、はてさてどうなることやら……。ちなみに、米国に追随してファーウェイ排除を進める日本では、フィンランドの「ノキア」とかを導入する予定です。

 あと、「人工知能」
 よく話題になっているし、あちこちのキャッチコピーとかで見かけるようになりました。芸術作品の中でも普通に取り入れられるようになっていると感じます。

 テクノロジー・アートの祭典「Media Ambition Tokyo 2019」でも、AIを使った作品が何作も展示されていました。
 ima×the design labの「AI Mural」は芸術を学習したAIがネット上から題材を選んでドローイングを描きます。PARTYの「GANGU | 01 CAR」では、AIの敵対性生成ネットワークを利用して作られた車のオモチャです。
 2019年末のNHK紅白歌合戦では、AIによってデジタルに蘇った「AI美空ひばり」が出演して話題になりました。

ima×the design lab「AI Mural」

ima×the design lab「AI Mural」

 ただ、「人工知能(AI)」はちゃんとしっておいた方が良いと、個人的には思います。何でもかんでも「AI」で形付けちゃうし、まがい物も混じっているし。
 それに、『ターミネーター』のスカイネットや、『2001年宇宙の旅』のHAL9000、『PSYCHO-PASS』のシビュラシステムなどの人工知能の登場を恐れるだけなのは、とても勿体ないです。

 そんな流れから、書籍を何冊かご紹介。

 まず、「AI」に関する基礎知識を一般人が読むなら、松尾豊さんの『人工知能は人間を超えるか』が最適だと、いつもオススメしています。2015年の本ですが、基本的なことを知るには一番かなーと。
 松尾豊さんのはどちらかというと少し学術寄り。

松尾豊『人工知能は人間を超えるか』

松尾豊『人工知能は人間を超えるか』

 もっと簡単なのが、早坂吝さんの『探偵AIのリアル・ディープラーニング』です。題名の通り、人工知能のキャラが探偵の推理小説で物語が面白い! その中に、AIを語る上で重要な用語や概念を自然に織り込んでいるので読みやすいし、具体的に考えられるのでオススメです!(2019年に続編が出版されました。)
 これは、完全に娯楽小説の形で、とっつきやすいです。

早坂吝『探偵AIのリアル・ディープラーニング』

早坂吝『探偵AIのリアル・ディープラーニング』

 もう少し理論的なのが、川添愛さんの『自動人形の城:人工知能の意図理解をめぐる物語』です。王国の王子が主役のファンタジーで、おとぎ話としても面白いです! 人工知能の学習や操作に焦点を当てた物語ですが、私たち人間の思考方法とかについても考えさせられます。
 これは、「幼い王子様に指南役が教えていく」という構成なので、読んでいる素人も一緒に導いてくれるような感じで、読みやすいです。

川添愛『自動人形の城:人工知能の意図理解をめぐる物語』

川添愛『自動人形の城:人工知能の意図理解をめぐる物語』

 ガッツリ読みたい方は、『AIと人類は共存できるか?』という本がオススメ。日本人工知能学会編の、SFアンソロジーです。藤井太洋、長谷敏司、吉上亮さんなどのSF作家による短編小説と、研究学者による解説が入ったハードカバーです。
 SFの面白さはやっぱり科学的な世界観と、そのリアルさにあると思うので!

人工知能学会『AIと人類は共存できるか?』

人工知能学会『AIと人類は共存できるか?』

 そして、伴名練さんの『なめらかな世界と、その敵』
 2019年に出版されたSF書籍の中でも、最も話題になった作品ではないでしょうか。実際に、超面白かったです! 同じく2019年に出版された百合SFアンソロジー『アステリズムに花束を』で伴名練さんを知りました。「SFを愛し、SFに愛された作家」というキャッチコピーでした。
 『なめらかな~』は短編集で、その中に人工知能を題材にした作品も含まれています。収録された中で面白かったのは、表題の「なめらかな~」や、「美亜羽へ贈る拳銃」、「ホーリーアイアンメイデン」でした。特に「ひかりより速く、ゆるやかに」は最高でした!!!

超面白かったです!!

超面白かったです!!

 ということで、本の紹介でした。
 もうお分かりかと思いますが、ここは完全に「伴名練さんの作品が面白かった!」というのに触れるために、遠回りしたということです(笑) でも、挙げた書籍は出版から何年か経っているものもあるとはいえ、読むべきオススメできる作品です!

 長くなりましたが、「SF世界の到来と実現」でした。
 やっぱり、「SF」は大好きだというのは、小説を読んでいても、映画を観ていても思いますね。それに合わせて、現実世界のテクノロジーがどんどん進化していくのも、とてもワクワクします!

 

 

 

 

 

災害の国、祝祭の国

 

 さて、色々と長々と書いてきました。

★社会の分断と混乱
★日本国の威信と絆
★SF世界の到来と実現

 このトピックに沿って、半ば強引に社会情勢を振り返りながら、2019年に観た作品や美術展の話とかを盛り込んできました。もうそろそろ終わりに近づいてきました(笑)

 ここで、ひとつ現代美術の展覧会の話をします。
 昨年、夏から秋にかけて行われた展覧会です。
 これが、今回の記事を締めくくるのに相応しいコンセプトだったので、今回はここで紹介しようと思います。

「TOKYO 2021 un/real engine ― 慰霊のエンジニアリング」
 キュレーターは黒瀬陽平さんです。

TOKYO 2021 un/real engine ― 慰霊のエンジニアリング
TOKYO 2021 un/real engine ― 慰霊のエンジニアリング
TOKYO 2021 un/real engine ― 慰霊のエンジニアリング

 展覧会のコンセプト。
 長いですが、そのまま引用します。

本展は、来るべき2つの「祝祭」(2020年の東京オリンピックと2025年の大阪万博)に向けて企画された現代美術展である。
戦後日本は、ほぼ一定の間隔で大規模な祝祭を繰り返してきた。現に今度の2つの祝祭は、1964年の東京オリンピックと1970年の大阪万博をきれいに反復しているように見えるだろう。
しかしよく見れば、繰り返される祝祭と祝祭のあいだには必ず、大規模な「災害」が起こっている。1964年と1970年の祝祭の前には、世界大戦と原爆投下が、2020年と2025年の前には、2011年の東日本大震災がある。
つまり、この国の祝祭はいつも、災害に先行されている。災害が繰り返すからこそ、祝祭もまた繰り返されるのである。この認識を抜きに、祝祭について考えることはできない。

・・・[中略]・・・

本展では、反復される災害と祝祭のなかで、新たな想像力や表現を生み出す芸術の営みを、「慰霊のエンジニアリング(engineering of mourning)」と名付け、その系譜をたどってゆく。
黒瀬陽平|TOKYO 2021

 

鎮魂のモニュメントや建築、あるいは復興のための都市計画、弔いの文学、美術など、現代の「慰霊」はもはや宗教儀礼というより、広く文化、芸術、技術の問題として考えるべきだろう。
黒瀬陽平|TOKYO 2021

 全文は公式サイトに掲載されています。

 私は、この文章が、日本の現代史、もしくは古代から脈々と続く歴史を語る上で、端的でありながら的を得た、とても素晴らしいものだと思います。
 本当はこの記事の一番最初に掲載しても良かったのですが、その背景にある社会情勢とか、私が何を考えながら展示を観ているかとか、そういうバックグラウンドを述べてからの方がいいかなーと思ったので、一番最後にしました。

 さらに、この展覧会が印象に残っているのは、「2019年」という年を芸術作品が反映していて、それが文章で記されていたからです。

 2019年9月9日付の「開催にあたって」

展覧会の準備を進めているうちに元号が変わり、大きな、痛ましい事件が立て続けに起きてしまった。慰霊について考えるのであれば、それらの事件について、そこでなされた暴力について、考えないわけにはいかなかった。

・・・[中略]・・・

ほとんどの参加アーティストが、時間のないなか、今まさに起こっている事件や問題に、できるかぎり応答しようと、最後の最後まで手を動かし続けてくれた(実をいうと、このテキストを書いている時点でも、何人かの「新作」が制作中である)。
そのようなアーティストたちの、現在と格闘する真摯な態度と作品ことが、「慰霊のエンジニアリング」そのものであり、本展のコアであることだけは確かである。
黒瀬陽平|TOKYO 2021

ここまで具体的にハッキリと書くのも珍しいのかなーなんて思いました。

 最も印象深いのは、この作品。
 カオス*ラウンジ「東海道五十三童子巡礼図」

カオス*ラウンジ「東海道五十三童子巡礼図」
カオス*ラウンジ「東海道五十三童子巡礼図」
カオス*ラウンジ「東海道五十三童子巡礼図」

 カオス*ラウンジは、この展覧会のキュレーター・黒瀬陽平さんをはじめとする作家たちのアーティスト・グループです。
 恐らく、この作品のをひと目見ただけで、何をテーマにしているか分かる人も少なくないと思います。

 こちらが、作品の解説。

2019年7月18日、京都市伏見区の京都アニメーション第1スタジオで発生した放火事件を受けて制作された絵画。現実と虚構(アニメ)を橋渡しすることに尽力した京都アニメーションに対して、虚構のなかに、現実の暴力(危険物)が持ち込まれてしまった。現実の暴力によって壊されてしまった虚構を回復し、虚構と現実の関係を問い直すために、東京と京都をつなぐ「東海道」と「善財童子」を描いた。制作は、藤城嘘と名もなき実昌が指揮を執り、15名の絵師たちの協力のもと進められた。
参加絵師:内田ユイ、梅ラボ、川上喜朗、ク過群、cottolink、杉本憲相、都築 、TYM344、名もなき実晶、宏美、藤城嘘、 BeBe、 堀江たくみ、三毛あんり、宮下サトシ、✕□、mosh
黒瀬陽平|TOKYO 2021

展覧会に行ったのは10月だったので、事件からはもう3ヶ月近く経っていましたが、報道は続き、記憶も褪せることのない状況でした。そのような中で、こんなにも早く作品という形にしたというところに、驚いたのを覚えています。

 亡くなられた方のご冥福を心よりお祈りいたします。また、スタッフの方々や会社の一日も早いご回復をお祈りしております。 
 本当に素敵な作品がたくさんで、私も大好きな作品がたくさんあります。色々な作品を観ることが一番の応援や励ましになるのではないかな、と個人的には思います。

 

 

 

 

 

 

おわりに

 

 ようやく、終わりです。
 長い間、お付き合いありがとうございました。

 今回は、普段の感想ブログとは少し趣向の違う、文章の多い、堅い内容だったと思います。でも、私としては書いていてとても楽しかったです!

 文字数は、約1万3千文字。
 引用等も含みます。たくさん言いたいことを書くことができたし、2019年の総覧としても上手くまとまった記事なのではないかな、と思っています。

 さて、2020年です!

 日本では「東京オリンピック」という大きな”祝祭”が待っています。東京五輪に合わせて、日本芸術の魅力を発信する「日本博」が、各地の美術館や博物館などで文化庁主催で開催されます。

 世界に目を向ければ、英国のEU離脱や、アメリカ大統領選挙、韓国総選挙、香港立法議会選などの政治イベントが連続。東京五輪やドバイ万博も控えています。 

 「祝祭と災害は繰り返す」と言われましたが、2020年は、素敵な1年間になれば良いな~と思っています!

 素晴らしい作品をたくさん観たいし、行きたい所も盛り沢山です。気になるニュースやイベントも既に飽和状態!
 それに「うるう年」ですから、なんと丸1日分がお得です!(笑)

 皆様にとっても、素敵な1年間になることを願っています!

 

 

 

コメントを残す