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【映画】『リメンバー・ミー』───家族の大切さ・先祖を敬う気持ち

鮮やかな画面と豊かな音楽。 最初はメキシコの文化は馴染みないから共感出来ないけど、最後にはきっと「家族の大切さ」が分かる、伝わる。 単調な展開の映画でも、終盤では驚きに溢れ、最後には温かな光に包まれる!
※ネタバレなし。
※画像は予告映像のキャプチャです。

2018年3月22日鑑賞

リメンバー・ミー
(原題:Coco

 

 

【評価:3.8/5.0】

 


【一言】

鮮やかな画面と豊かな音楽。

最初はメキシコの文化は馴染みないから共感出来ないけど、最後にはきっと「家族の大切さ」が分かる、伝わる。

単調な展開の映画でも、終盤では驚きに溢れ、最後には温かな光に包まれる!

 

 

ストーリー

 

 少年ミゲルの家族は訳あって代々音楽を禁止してきた。しかし、ミゲルは町出身の偉大な音家家デラクルスに憧れ、ミュージシャンを夢見ていた。

 死者の日、祭壇に飾られた写真をみたミゲルは、そこに映ったギターがデラクルスのものであると発見し、彼の墓へ向かう。

 そして墓に侵入すると掛けてあるギターを手に取り、弦を弾く。するとミゲルは死者の国へと飛ばされてしまう。

 死者の国から帰るためには「許し」を貰わなければならない。


予告動画

 

 


 

 

目次&メモを表示

 

【目次】

 

 


 

 

作品データメモ

監督:リー・アンクリッチ
制作:ピクサー・アニメーション・スタジオ
音楽: マイケル・ジアッチーノ
キャスト: アンソニー・ゴンザレス,ガエル・ガルシア・ベルナル and more.
上映時間:109分
日本公開:2018年3月16日
配給: ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ
公式サイト

 

 

 


 

 

 

感想

 

感想外観

 

 映画を観ていて、最初は普通の映画だと思いました。むしろ、「ピクサーにしては微妙なかなぁ〜」なんて考えたりも。

 でも、終わりに向かって徐々に内容が面白くなってきて、最後には「とっても良い作品だった」と思えるような、良い作品でした!
「Remember Me」

 舞台はメキシコ、モデルは死者の日。
 日本の「お盆」に似ているなんて言われますが、やっぱり異国の文化。最初はあまり理解できないし共感も少なかったです。

 でも、物語が進んでいくに連れて家族の大切さや、先祖を敬う気持ちが伝わってきました。

 同じく、主題歌も。
 『リメンバー・ミー』はアカデミー賞を受賞した歌。でも、最初はそんなに凄い歌だと感じなかったし、歌詞にも強く惹かれる部分も少なかったです。

 でも、映画が終わりに近づくに連れて、その感覚は大きく180°変わって、「良い歌、良い歌詞」だと思えるようになりました。
「Remember Me」歌詞動画

 個人的には死者の描き方が好きでした。
 メキシコで飾られる人形風のガイコツで描かれるのですが、その骨だけで性格が分かったり、個性が変わったり。更には「美人だなぁ〜」と思うガイコツまで。
 ただの骨と服装だけでここまで描くのは凄いです!

 この作品の素晴らしい所は、「先祖を敬う気持ち」をファンタジーで描きながらも、大人でも違和感なく受け入れられる事だと思います。

 死者の国とか、お供え物、祭壇(仏壇?)など死者に関する概念や文化をフィクションに練り込んで、「忘れる」という効果によって「家族や先祖の大切さ」を伝えている点。
 (子供にも分かりやすいのかな?)

 この作品の凄いところは全部後半に詰まってます!
 ストーリーは全体的な評価としては普通でした。

 序盤から前半、中盤くらいまでは至って普通のお話。下手したら予告動画やCMで想像できる内容と大きく離れていません。

 でも、最後には驚き、また楽しませてくれる展開を用意したり、さり気ない伏線が大きな効果を生み出したり。
 ラスト、泣けちゃいました………。

 

 

 

 

 

異文化でも伝わる

 

 タイトルは『異文化でも伝わる』ですけど、実際は全然伝わりませんでした(笑)

 メキシコの『死者の日』は日本の『お盆』や『お彼岸』と同じで亡くなったご先祖たちが戻ってきて、家族と過ごす祭りだという事は知っています。

 概念や説明的な部分は理解できても、彼らの心の中や考えている事を読み取れたかというと、そうでもないです。

 やっぱり、異国文化は別物で、その中身まで理解するのにアニメーション映画一作では難しいです。

 でも、「どういうことか」は伝わりました。

 先祖を敬うこと、家族を大切にする事。

 多分、どこの世界でも、どこの文化でも、根本に持っている死者や家族に対する気持ちや考え方って同じなんじゃないかって思いました。

 特にラストの部分については、すんなりと受け入れる事が出来て、自然と共感に近い感情が湧き上がってきましたから。

 

 

 

 

 

リメンバー・ミー

 

 まずは主題歌の『リメンバー・ミー』。
 アカデミー賞を獲得した曲ですが、映画を観ていてその良さは全く分かりませんでした。もちろん歌詞は良い言葉を集めた歌詞だし、メロディもOKです。でも、あまり心に響かなかったんです。

 しかし、映画を観終わってからは違いました!
 映画を観て、物語を自分の中で受け止めて、改めて歌を聴き、字幕の歌詞を読むと、言葉を一つ一つに納得出来るというか、歌に共感出来るというか。

 主題歌について書いたついでに、その他の音楽についても。
 ミュージカル(?)部分は南米風のテンポよく転がるようなリズム良いメロディに乗せた曲が多くて、ノリノリな良い曲ばかり!

 BGMも結構印象に残っているのは何故でしょう?
 やっぱり普段観てる洋画と違う雰囲気の音楽だからなのか、劇のシーンにあった音楽だからなのか。

 

 

 

 

キャラクターの描き方

 

 キャラクターの描き方が本作で私が推したいポイント!
 死者の国の住人は、メキシコで売られている人形のようなガイコツの姿。骨に服をまとっただけ。

 口元の変化やまぶたが無いから、なかなか表情を描くのって難しいと思うんですけど、キャラ達はちゃんと表情を持っていました。

 そして面白かったのは、皆んな同じガイコツなのに個性がしっかり出ていること。美人さんがいたり、双子や胴太さんがいたり。

 

 

 

 

 

伝えたいこと

 

 恐らく、この作品が伝えたいのは「家族の大切さ」と「先祖を敬う心」。
 それをこうやってスムーズに、違和感とか押し付けとかなく感じさせた所が凄いと思います。

 映画の中では「家族を大切に」という台詞が何度か出てきます。でも、そこに製作者達が伝えたいメッセージが籠もっているようには感じませんでした。
 どちらかというと、本作は「自分で気がつく」って感じです。

 「先祖や家族が大切」とは直接的には描かない。
 でも、「忘れられたら消える」という物語の設定が、後々に活きてきて、効果を及ぼしているように感じます。

 死者の国や、祭壇などの文化を作品に取り得れて、でも決してその文化の主張が強くなりすぎないよう抑えられてて、アニメーションとして面白いです。

 そして、面白いアニメだけど、最後まで観てるうちに、ご先祖様や家族をフッと思い出す瞬間が訪れて。

 こういう描き方だと、子供にとってもイメージしやすいし、理解しやすいんですかね……?

 

 

 

 

 

映像について

 

 映像の綺麗さについては特筆する事ないと思います。普通に綺麗ですし、普通に滑らかですし、普通にリアルです(この“普通”が大変なんでしょうけど)

 ここで書きたいのは「鮮やかさ」という部分。
 メキシコ、そして死者の国を舞台にする本作ですが、本当に色が鮮やか。お祭りだからってのもあるんでしょうけど。

 それから、緑色が全然ない!
 本当にテーマカラーなのか、オレンジ色ばかり!!
 でも、そのオレンジ色は時に情熱的に、時に優しい色に見えるから不思議です!

 あとは、死者の国で古代マヤ文明やインカ文明の雰囲気の装飾やキャラクターがいて良かったです。
 やはり、メキシコの人々にとっての神であったり、装飾であったりするんでしょうね。

 

 

 

 

 

ネタバレあり感想

 

ネタバレを表示

 

 ヤバくないですか、後半の大どんでん返し!
 まさか憧れのデラクルスが殺人をしてて、探していた音楽家はヘクターで、しかも先祖だったなんて!!

 これには本当に驚きました。いやぁ〜、騙されたというか、笑うしかないというか(笑)

 あと、ラストシーンが最高でした。
 ミゲルが現世に帰ってきて、ココに『リメンバー・ミー』を歌う場面。あの優しさと温かさに包まれたシーンがとっても良かったです。

 なんかもう、この2つに全てを持っていかれたというか(笑)

 

 

 

 


 

 

 

以降、映画本編のネタバレあり

 

 

 

 


 

 

 

ネタバレあらすじ&感想

 

序盤

 

 原題『Coco』のタイトルバック。
 そのまま吊り下げられた紙飾りを追うようにして一族の歴史が紹介される。

 元々音楽が大好きだった一家。父は音楽家で母も歌うのが好き。
 しかし、ある日父はギターを手に家を出たまま帰らなかった。
 そして母は音楽を人生から追い出し、娘を育てる為に靴作りを始めた。

 靴作りは子へと伝わって一族の伝統に。
 音楽は家族を引き裂いたけど、靴は1つにした。

 メキシコに住む少年のミゲル。
 音楽を禁止する家の中、彼は偉大なミュージシャンであるデラクルスに憧れ、隠れ家でこっそりとレコードを集めたり手作りしたギターを弾いていた。

 デラクルスはメキシコの伝説のギターミュージシャン。『リメンバー・ミー』など代表曲を作り、映画出演なども果たしたが、ステージ上で大きな鐘に押しつぶされて死んでしまった。
デラクルス紹介動画

 死者の日に町の広場で開かれるコンテストに出場することを決意したミゲルはギターを手に家を抜け出そうとするが、家族に見つかりそうに。

 とっさに隠れたのは先祖の写真が飾ってある祭壇が置かれた部屋。そこでミゲルは、家族の縁を切られたかのような扱いをされる高祖父の写真を見つける。

 彼の写真は顔の部分が千切られてしまっていたが、手に持っているギターを見たミゲルは気がつく。「デラクルスのものだ」と。

 しかし喜びのあまりそれを口にすると、音楽禁止を固く守る祖母エレナが怒ってしまう。
 さらに、コンサートに出たいというと、ミゲルのギターをバラバラに壊してしまった。

 「こんな家族は嫌い!」
 そう叫んで家を飛び出したミゲルはコンサートに出場する為にギターを探す。そして思いついたのはデラクルスの大きな墓の中に飾ってある彼のギター。

 先祖であるデラクルスから借りるだけ。
 そんな気持ちで墓に侵入し、ギターを手に持ち、弦を弾いて音を鳴らすミゲル。

 するとミゲルの身体は透明に透き通り、普通の人からは見えない姿に。逆に、ミゲルに見えたのはガイコツ姿の先祖の霊だった。

 

 

 

 

 

前半

 

 ミゲルは彼の一族の先祖たちと会い、自分が死者の世界へ来てしまったのだと知る。元の世界に戻る為、花びらの橋を渡って「死者の国」へ入国する。
本編映像

 そして知らされたのは、高祖母のイメルダが出国出来ないということ。死者の国から現世へ行くには、死者の日に祭壇に写真が飾られていないとならないルールがあり、ミゲルが写真を持ってきてしまった事で渡れなかったのだ。
イメルダ登場シーン

 死者の国から現世へ戻るには、「家族の許し」が必要。
 イメルダに許しを頼むミゲルだったが、条件に写真を祭壇に備える事と、今後の音楽禁止を加えられてしまう。

 条件を飲んで許しをもらい、現世に戻ったミゲル。しかし、すぐにギターを引いてしまい、約束破りであっけなく死者の国へ戻ってきてしまう。

 イメルダの許しでは「音楽禁止」の条件がついてしまう。そこでミゲルが思いついたのは、自分の先祖であり家族であるデラクルスに許しを乞うこと。
 同じミュージシャンなら気持ちを分かってくれるはず!

 デラクルスを探し外に飛び出したミゲルは、ヘクターと出会い手を組む事にする。
 彼は祭壇に写真が飾られていないから現世に行けず、写真を飾る事を条件にミゲルを現世へ戻す手伝いをする事に。

 生きた人間が死者の国にいると目立つから、メイクで死者らしく仮装。
 そしてデラクルスを探すと、彼は町の中心に待つタワーの屋上でパーティーをしている事が分かった。その会場に入る為には招待されるか、広場で開かれるコンテストで優勝するしかない。

 ミゲルはコンサートで歌うため、ヘクターの友達からギターを借り受ける。その友達は消えてしまった。
 現世でその人のことを忘れられてしまうと、死者の国から永久に消えてしまうのだ。

 

 

 

 

 

中盤

 

 ギターを手にミゲルとヘクターは広場へ。

 ヘクターは始めて人前で歌うミゲルの緊張を取り、ステージへミゲルを上げる。
 最初は緊張して声も出せなかったミゲルだが、ギターの弦を弾き、歌いだす。その上手さに観客は大きな拍手を送った。

 しかし優勝後一歩と言うところで、ミゲルを探すイメルダ達が追ってきてしまい、逃げざるを得なくなってしまう。
本編映像

 逃げる途中、ヘクターはミゲルを責める。
 彼は一刻も早く祭壇に写真を飾ってほしいけど、ミゲルはデラクルスじゃないと許しを乞う気がない。

 お互いに利益が噛み合わず、2人は決別してしまう。

 ミゲルは自力でパーティー会場の下まで着くと、周りの人の助けを借りてパーティーへ潜り込む。

 沢山の人がいてデラクルスに会うチャンスが無いミゲルは、バルコニーに上がるとギターを弾き、歌い始める。

 するとその歌はデラクルスに届き、ミゲルは自分が孫の孫であると説明する。デラクルスは自分の子孫に会えた喜びを盛大に現した。
本編映像

 パーティー会場を回り、ミゲルはデラクルスに「家族の許し」をお願い、快く引きえけてもらえた。
 しかし、そこに現れたのはヘクターだった。

 

 

 

 

 

 

後半

 

 ヘクターは、デラクルスが自分の曲を盗んだと訴える。ヘクターは彼とデュオを組んでいて、作曲を担当していたのに、食中毒で自分が死んでしまうとデラクルスがその曲を盗ったと主張する。

 その話を聞いたミゲルは、デラクルスとヘクターが最後に食事をした際にデラクルスが毒を盛ったのだと指摘する。
 それはミゲルが何度も観ていた映画の悪役と全く同じセリフをデラクルスが言ったから。

 デラクルスがヘクターを殺したと自白した。
 「チャンスを掴むためなら何でもする」と堂々と語るデラクルスは、ヘクターから写真を奪うと部下に命じてミゲルとヘクターをセノーテへ閉じ込める。

 セノーテの中でヘクターは一言呟いた。
 「娘に会いたい………私のココ」と。

 そして、ミゲルが写真からデラクルスだと思っていた高祖父はヘクターの事であったと言うことが判明する。

 そして『リメンバー・ミー』という曲はヘクターが娘ココの為に作った曲だった。
ヘクター&娘ココ「Remember Me」

 ミゲルを探していたイメルダのおかげでセノーテを抜け出した2人。
 家族に会えた嬉しさを噛みしめるミゲルは、ヘクターの事をイメルダに伝える。

 そして、現世に戻る前にヘクターの写真をデラクルスから取り戻し、祭壇に飾る事を決意する。

 向かったのはデラクルスが開いたコンサート会場。
 そこで見事デラクルスから写真を取り返すが、あと一歩のところで邪魔をされてしまう。そしてミゲルは奈落の底へ突き落とされてしまった。

 実は、このデラクルスの悪事の一部始終がモニターに映し出されており、観客は皆んなでブーイングを鳴らす。

 そんな時、落ちたと思ったミゲルを精霊が助けてくれた。しかし、ヘクターの写真は水の中に落としてしまう。

 デラクルスはまた大きな鐘の下敷きになり、事件は解決した。
 しかしヘクターは今にも消えそうに。彼のことを覚えている唯一の現世にいる存在であるココが、彼のことを忘れ去りそうなのだ。

 なんの条件もなしにイメルダは「家族の許し」をミゲルに授け、家族と先祖を大切にするよう告げる。

 

 

 

 

 

終盤

 

 現世に戻ったミゲルはギターを持って真っ先にココの元へ向かった。
 そしてヘクターの事を話すも高齢になった彼女はなんの反応も示さない。そこでミゲルはギターを弾き、『リメンバー・ミー』を歌う。

 すると、ココの顔が明るくなり、小さな声で歌いだした。そしてその声は徐々に大きくなり、父親の事を思い出した。
ミゲル&ココ「Remember Me」

 ココが父親のことを思い出し、そして懐かしそうに取り出したのは写真の破れていた部分、ヘクターの顔が映った部分。

 1年後の死者の日。
 ミゲルはヘクターの写真を祭壇に飾り、先祖達は皆んな橋を渡れた。

 そしてミゲルの歌が響く。
 ♪僕ら家族の歌を聴いてよ。誇らしく響く心のビート。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 最後まで読んでくださり、
 本当にありがとうございました!!

 

 


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