2018年2月9日
有楽町マルイで開催されているTVアニメ『宝石の国』展に行ってきました!
2017年に私が視聴したアニメ作品の中でも特に面白かった作品でした。世界観も素晴らしいし、なによりもその美しさが非常に見事でした!
『宝石の国展』概要
TVアニメ『宝石の国』Blu-ray&DVDの発売を記念し、有楽町マルイにて、初の本格展示会を開催することが決定しました。
展示会では、アニメ全12話を振り返る場面写やフォトスポットをはじめ、実際の原石展示や企画資料など作品の世界観をより深く体感できる内容となっています。
さらに、今回、アニメーション制作オレンジ協力のもと、映像資料などを交えて、3DCGアニメーション制作の裏側に迫る貴重な資料の展示も予定しています。
(有楽町マルイサイトより・一部改変)
開催場所:有楽町マルイ 8F イベントスペース
公式サイト
アニメ公式Twitter⇩
明日1月19日より有楽町マルイにてTVアニメ『宝石の国』展が開催!アニメ全12話を振り返る場面写やフォトスポットをはじめ、実際の原石展示や企画資料や3DCGアニメーション制作の裏側に迫る貴重な資料の展示も予定ですので是非足を運んでみて下さい!https://t.co/xJTHzYgCOu #宝石の国 pic.twitter.com/YP6nyUSyZR
— TVアニメ『宝石の国』 (@houseki_anime) 2018年1月18日
アニメ『宝石の国』
アニメ『宝石の国』の簡単な紹介と、簡単な感想です。
(まぁ、“簡単”といってもダラダラと長いんですが……..。)
作品紹介
【あらすじ】
宝石たちの中で最年少、硬度三半とひときわ脆いフォスフォフィライトに与えられたのは、博物誌編纂という仕事。
彼はその目で世界を見、様々なことを経験する中で、しだいに大きなうねりに飲み込まれてゆく。
月から飛来する謎の敵“月人”。彼らは宝石を攫っていくが、その正体、目的とは何なのか?
原作:市川春子『宝石の国』
監督:京極尚彦
制作:オレンジ
放送:2017年秋クール
音楽:藤澤慶昌
OP:YURiKA「鏡面の波」
ED:大原ゆい子「煌めく浜辺」
キャスト:黒沢ともよ, 小松未可子 and more.
公式サイト
PV動画
すぐわかる『宝石の国』
OP「鏡面の波」ノンクレジット動画
ED「煌めく浜辺」ノンクレジット動画
アニメの感想
映像が素晴らしい!
描かれた宝石たちは、CGの無機質さや人工的な雰囲気によって「人ではないキャラ」という印象がより際立っていたように感じました。
宝石や鉱物が持つ「輝き」を放っていて、光を浴びてキラキラと煌めき、カラフルに色づいた光彩がまき散らされる様子は本当に美しく、日光を浴びて放たれる光の乱反射が素晴らしかったです。
そして、「透明感」が美麗でした。
揺れる髪は言葉には表せないような、ガラスのような透明感を出していて、素晴らしいと思いました。
作品の着眼点として良いと思ったのは、宝石や鉱石が持つ自然界本来の特性を、キャラクターの性格として見事に描いていた事です。
脆い鉱石のフォスフォフィライトは戦闘に向かず、双晶という特性を持つアメジストは双子、他の鉱物の特性を活かすルチルは医者。
「割れる」という表現が斬新で、また怖かったです。
「死ぬ」ではなく「割れる」で、戦闘で手足や胴体、顔が割れて砕ける場面の「あぁ!」という、どうしようもない残念感が怖かったです。
また、主人公フォスフォフィライトの成長や、仲間・友情という感情、代わり映えしない生活にある楽しさ、戦う意味、それぞれの役割など詰め込まれた密度の高いお話しだと感じました。
映像の美しさに目が眩んで物語が霞んでしまいますが、宝石/月人/海人と謎多き三者の存在、神話的に少しだけ明かされた彼女らの誕生の秘密、疑惑の目が向けられる先生…………とあまりにも曖昧な内容なのに、すんなり受け入れられて、消化不良と感じないのが気持ちいいです。
『宝石の国展』感想
全体的な感想
上の感想でも書いたとおり、『宝石の国』は私的にかなり大好きな作品です。
そのアニメ初の作品展という事で期待しつつも、会場がデパートの企画室という事で「小さくないかなぁ〜」と心配もしていました。
会場内至るところに、「宝石たち」の設定画イラストや場面カットなどが展示されており、色鮮やかな中でキラキラと光っているように感じました!
(公式Twitterより)
個人的には、コンセプトアートの展示が一番好きでした。コンセプトアート1枚だけでも十分に芸術作品として通用するくらいクオリティ高く、本当に綺麗な絵で、見惚れました…………。
あとは、実際にキャラの元となった宝石の原石や鉱石、加工されたジュエリーが展示されてあり、それまた驚きました。
フォスフォフィライトとアンダークチサイトが展示されていた事には驚きましたね……。
ただ、絵からCGにする過程がもっと細かく説明されていると思ったので、その部分は見られなくて残念でした。
(本ブログの最後に追加して掲載してあります)
展示の詳細感想
ここからは、展示会の内容を順番に追いながら感想を書いていこうと思います。
展示会場を入ると、まずシンシャのいる海辺の岩穴が大きく引き伸ばして印刷されたパネルになって展示されていました。
ちなみに、作品のあらすじ紹介はHPに掲載されているものと同じ文章でした。
(公式Twitterより)
キャラクター紹介
キャラクター紹介は公式サイトに載っているような内容(ポーズ・紹介文)に加えて、設定画や評定集などが展示されていました。
(※ウェントリコススとアクレアツスの紹介はありませんでした)
ここで凄いと思ったのは、色数少ない線画な設定画なのに、この時点でキャラの髪がキラキラとした宝石の質感と輝きを放っていたことです。
この絵を描く技術(?)上手さ(?)は本当に凄いし、驚きました。
(CGWORLDより)
あとは、何人かキャラを挙げて感想を書こうと思います。
まずは主人公のフォスフォフィライト。
彼はアニメ前半と後半で大きく性格も印象も変わりましたけど、やっぱり初期の可愛く元気でポジティブなフォスが大好きです! 設定画でフォスの合金の腕が描かれていたんですが、その液体の感じが非常に現れていて凄かったです!!
そしてシンシャとダイヤモンド。
2人は目の部分をアップにした設定画が展示されていたんですが、これが本当に綺麗だったんですね~。アニメのように色がついていないから、なおさら綺麗と感じました。
アレキサンドライトは純粋に宝石の名前が好きです。いかにも王者って感じで格好いいです(笑)
パパラチアは長くて量のある髪の毛が本当に綺麗ですよね。
コンセプトアート
西川洋一さんによる『宝石の国』のコンセプトアートが並んでいました。
PCで作成したものではなく、絵の具を使って描かれていて、より一層その綺麗さと同時に凄さを感じました。
(公式サイトより)
何度も書いているように、コンセプトアートはそれだけで芸術品と呼べそうなほど綺麗でした。
とにかく広い世界の中で、小さく描かれている宝石たちは細くて弱々しいけれど、陽の光を浴びてキラキラと輝いている様子が本当に美しかったです!!
特に、海の中を描いた絵が綺麗でした。
以下は、アニメのエンドカードとして放送されたコンセプトアートです。(上から順に1話~)
各設定画
申し訳ないですが、設定画についてはまとめて書いちゃいますね。
まずは建物の設定。
宝石が暮らす貝殻のような白い大きな建物の高さ設定画ありました。
1F:17.5m
2F:4.5m
3F:8m
4F:5.25m
5F:4.5m
6F:4.5m
とこんな感じで、合計すると44mを超えるかなりの高さの建物になるんですね。
描かれる小物についての設定も。
特にイスが細かったです。指示では「イスは性格が出るのでキャラで変える」とありました。
また、「物資が限られているから質素な感じに」とも。作品のことを十二分に考えていないと出来ない指示ですよね。
他にも、宝石たちが持つ剣の長さや帯刀の仕方まで細かい指示が。
フォスが拾ったナメクジ、ウェントリコススについてはかなり細かったです。
作品の中で唯一、生命体らしい身体だからなのか、内臓の作りや血の色まで指示が書かれていたり、確認を問うようなメモ書きが。(どこか生物の解剖スケッチに見えました 笑)
(CGWORLDより)
それから、ウェントリコススについては人間化(?)したバージョンの設定画に「胸を大切に」という指示が。作品内で大きな胸を持ったキャラって彼女くらいですもんね。
月人については、これまた細かったです。
あまり細かく見ていないんですが、並び方や戦い方の設定が。改めて思ったのは、「昔話に登場する天人にそっくりだなぁ~」ということ。
場面カット
壁には、これでもかというほどに場面カットが並べられていました。
しかも、それが他のアニメ作品展と違って、特定のシーンや重要な部分のカットを何枚も細かく展示してあったので驚きました。
個人的には、やはり「海の中のシーン」が綺麗だな~と思います。
宝石・水・光っていうキラキラなものが全部集まっていて本当に綺麗!!
冬、氷の世界のシーンの場面カットも。
あのアンタークチサイトが粉々に割れるカットもありました。静止画として見て感じたのは、「割れた時が1番美しいってすごく皮肉だな」ということ。
原作者コメント/フォトスポット
アニメのプロデューサーである武井克弘さんのコメントがありました。中略しつつ一部を引用掲載しておきます。
(…)本作は(…)フルCGを選び取り(…)世界中を見渡してもなかなか見当たらない非常にユニークな表現技法を採ることとなり、結果として宝石の如く輝きを放つ唯一無二のフィルムとなりました。
フォトスポットについては、月人がドーーンと飾られていました。正直、なんで宝石じゃなくて月人にしたのか謎なんですが………(笑)
映像展示
映像の展示は3つありました。順番に書いていきます。
まず1点目。
白い雫型(下の画像)の立体スクリーンが設置されていて、そこに上・左・右の3方に別々の映像が投影されていました。映像はラフ画・3D映像・完成版の3種類で、見比べられるようになっていました。
ただ、スクリーンの形がデコボコなので、若干見にくいと感じました…….。
そして2点目。
これは8話「アンタークチサイト」を流していたものです。原画を動かしたプリビズ映像と呼ばれるもので、綺麗な色とかがついていないのに、吹き込まれた声と音・そして重く哀しいエピソードだという点が十分な雰囲気を醸していました。
以下はその映像の一部
最後は3点目。
これは展示作品というか、宣伝と言うか。DVD&Blu-rayの発売を知らせるCMが流されていました。
背景画
赤木寿子さんによる背景画が展示されていました。
普通に風景画として綺麗だったんですが、それだけだと感じてしまいました。やはり宝石がいて作品になるというか、完成するというか。
でも、とにかく「青」が綺麗でした。海の中や氷など、ズラッと絵が並べられているのを見ると、鮮やかな青色は目立つんですかね。
絵コンテ
絵コンテは細かい部分まで見ていませんが、あまり普通のアニメとCGアニメとで大きな違いは無いように感じました。
1つ、大きな収穫というか、嬉しかったと同時に残念だと思うことが絵コンテをい見てありました────それは各話のタイトルです。
1話と12話の絵コンテの頭の部分にサブタイトルの仮名が書いてあったんですが、それが実際に放送された時のサブタイよりも個人的には良かったです。
1話目:役立たずの宝石(仮)
12話目:約束(仮)
ちなみに、実際に放送された時のサブタイは以下です。
1話目:フォスフォフィライト
12話目:新しい仕事
宝石・原石・鉱石
アニメに登場する宝石たちの元となる本物の宝石や原石が展示してあり、かなり嬉しかったです。
装飾品としてカットされたものや原石のままのもの、もしくはその両方がキャラのイラストと一緒に展示してありました。
個人的に凄いと思った宝石を2つ挙げておきます。両方ともかなり貴重な宝石だそうです。
まずはアンタークチサイト。
常温では液体となる珍しい鉱石ですが、その姿を拝めるとはまさか思っていませんでした。本当に液体で、少し感動しました。
もう1つは我らがフォスフォフィライト。
噂だと、名だたる博物館にもなかなか所蔵されていないほどのレアさだとか。
前に鉱石図鑑で調べたことがあるんですが掲載されているのは1冊だけで、それも米国スミソニアン協会が発行した博物図鑑だけだったんですよ……..。
一応、展示されていた宝石の名前を挙げておきますね。
アンタークチサイト
アメジスト84/33
レッドベリル
ジェード
ルチル
ゴーシェナイト
モルガナイト
ボルツ
ダイヤモンド
シンシャ
フォスフォフィライト
ベニトアイト
ネプチュナイト
ジルコン
イエローダイヤモンド
ユークレース
アレキサンドライト
パパラチア
オブシディアン
今回の「宝石の国展」で展示されていた宝石はジェムエイコーという会社が提供したものだそうです。以下はお店のInstagramで、宝石の解説が載っていたので引用しておきます。
展示物 実物の宝石は当店ジェムエイコーが 提供させていただいています。 有料イベントですのでそれなりの宝石を展示させていただいています。
#フォスフォフィライト は2カラット。もともとは15ctあったもので美しく5つにリカットした一つです。
#レッドベリル は鉱山主であるゲイリー・ハリス氏が特に思いを持っていた石。ご縁あって私の手元に来ています レッドベリルでは最高級カラーであり際立つ赤がとても印象的です。
#ベニトアイト は1.6ctアップのオーバルミックスカット 2004年の買い付け品で当時でもこのサイズは滅多にお目にかかれませんでした。サファイアとダイヤモンドの良いところを合わせた宝石です。 個人的には一番お気に入りの石です。
#ジルコン 20カラットを超える無処理ジルコンです これだけ大きいのに全くの無傷。ワールドサイズで他の宝石を圧倒する輝きです。おそらく会場では一番目立っていると思います
#パパラチャサファイア 2カラット弱 私が一目ぼれして買い付けたパパラチャなんです。オレンジ基調で赤みが少なく最もレアカラーのサファイアと思います。澄み切った透明度の高いパパラチャです。この色は必見ですよ
#アンタークチサイト 展示会主催から希望があり提供しました。宝石とは言えないのですがアニメキャラクターでは圧倒的な人気です。エバのかおる君とだぶる^^; 会場では熱気と暖房で液体になっているようです
#モルガナイト このモルガナイトの色合いはそうなかなかありません。昨年9月に宝石の国先行上映会の展示の話を東宝からいただきアニメキャラクターの色を参考に探し求めました。
この他にも多数宝石展示を行っています どれも価値ある宝石たちばかりなのでぜひ会場を訪れた際は しっかり見ていってください
(Instagramより・一部改変)
その他展示
その他といいつつも、最後に展示してあった数点です。
まずは大きなポスター。
これは2015年に株式会社ショウエイが開催したインクジェット印刷を宣伝する展示会「INK de JET! JET! JET!」に出品されたイラストらしいです。
ダイヤモンドの髪の輝きが本当に美しい!!
(SHOEI公式サイトより)
そしてBlu-ray&DVDのパッケージデザインとイラストが展示されていました。
ケースから既に芸術館感の漂う円盤ですが、採算度外視で提案した「ジュエリーボックス型」が採用されたとのこと。
イラストのコンセプトは「光と線で表現する」ということだそうです。
『宝石の国』の作り方
今回の作品展・資料展には展示されていなかったものの、『宝石の国』というアニメ作品を語る上では外せないので、少しだけ書いておきます。
紹介するのは、CG・映像専門の情報サイト「CGWORLD.jp」で組まれていた「宝石の国 特集」です。
制作秘話という形で美しいCGアニメーションを造り上げていく過程や苦労などが沢山の資料とともに解説されています。
内容としては、「いかに宝石らしい質感の髪を描いたか」や「違和感ない姿にしたか」などかなり細かく専門的な内容が解説されています。
画像資料と一緒に、デモムービーなど映像資料も沢山掲載されており、どのようにあの美しい宝石の映像が作られていったのかが分かっていきます。
リンクを載せておきますので、興味がある方はぜひご覧になると、面白いと思います!!
CGWORLD TVアニメ『宝石の国』制作秘話
・フォスを例に紐解く宝石の髪の質感づくり篇
・現実の宝石と原作のイメージの間で質感を模索した輝く、ダイヤモンド篇
以上で今回の「宝石の国展」は終了です。
最後に宝石たちのパネルが置かれた撮影スペースがあったので写真をパシャリ。
最後まで読んでくださり、
本当にありがとうございました!!