2019年2月28日訪問
新・北斎展
HOKUSAI UPDATED
【一言】
「北斎の良さ」はイマイチ分からず。
でも、日本人は「やっぱり北斎が好き!」
多様なジャンルを多彩な技法で描き、”画狂老人”を自ら名乗るほど、齢80を超えてなお制作を続ける葛飾北斎は本当に凄いと思います!
【Twitter140文字感想】
【 #新北斎展 】
絵師・葛飾北斎。
作風の変遷と画号を基にした展示。英題「HOKUSAI UPDATE」が示す。
“新しい”ではなく、《北斎》の“更新”。400点を超える展示資料──多すぎ!
正直、浮世絵&風俗画の画風や特徴とか一切分からん!でも、滝や富士山の青は綺麗!
やっぱり日本人は北斎が好き! pic.twitter.com/SC14eiY0oY— ArA-1 (@1_ARA_1) 2019年2月28日
展覧会説明
葛飾北斎(1760~1849)は世界で最も知られた日本の芸術家の一人です。
江戸時代後期に浮世絵師として登場してから90歳で没するまでの約70年に及んだ北斎の画業は、常に新たな絵画の創造への挑戦の連続でした。度重なる画号の改名は有名ですが、画風もまた大胆に変え続けました。つまりは自らをUPDATEし続けた人生に他なりませんでした。
本展では、「冨嶽三十六景」や『北斎漫画』などの有名作だけに焦点を当てるのではなく、日本初公開となる貴重な作品を含めた北斎の全生涯にわたる画業を展観します。国内外に所蔵される北斎の名品・優品はもちろん、近年更新された主な研究成果を参照しつつ、発見・再発見されてきた作品を一堂に公開いたします。
展覧会特設サイト
プロモーション映像
会場:森アーツセンターギャラリー
会期:2019年月17日~3月27日
料金:一般 1,600円
公式サイト:こちら
展覧会の感想
随分と感想を書くのが遅れましたが、2月28日に行った「新・北斎展」の感想です。この展覧会は同日に行った『奇想の系譜』展とコラボ(?)しているので、ぜひ一緒に観るとより一層楽しいと思います!
日本美術はあまり興味がなく、これまでずっと嫌煙していたものの、「流石に一度は観ておいたほうが良い」と思い、奇想の系譜展の機会に観に行きました。
正直な感想は「う~ん…..」というのが大きなところ。
まずそもそも、「北斎の良さ」というのがなかなか分からない。
これは私自身の勉強不足というところ、そしてあまりにも北斎が取り上げられすぎるが故に、他の作品や作家との比較が出来ないという部分が大きな原因なのだと感じました。
唯一私が感じた凄さは「絵への執着」でしょうか。
”画狂老人”なんて画号を名乗るほど、80歳を遥か過ぎてもなお創作意欲に衰えがでないどころか、次々と名作を創出しているのは素直に凄いと思います。
また、様々なジャンルの絵を描き、沢山のモチーフを用いているところからは北斎の教養が窺えますし、違う画風の作品を何作も制作しているところもまた凄いと思います。
なんだかダ・ヴィンチみたいですね。
様々な分野に関心を示して作品を残している点。人と変わっているところ(ダ・ヴィンチは鏡文字、北斎は引っ越しや画号変更…etc.)。あまりにも有名すぎるところ。評価が難しいところ(モナ・リザが高評価の理由って説明できる?)
とは言いつつも、本心は「北斎自身の素晴らしさは分からない」という感想との板挟み。 大体、「北斎は凄い!」と世間で取り上げる割には「どう凄いのか?」の解説は無いし、北斎しか取り上げないから他の作家との比較も出来ないし。
さらに言えば、「浮世絵」は下絵こそ絵師が描けども、その他の行程は職人の分担作業だし、何より版画だから何点もあって”貴重さ”(?)も薄く感じてしまうし。
なんだか、”あまのじゃく”な気もしますが、これが正直な感想でした。
しかし、作品自体はどれもいい作品ばかりでした!
改めて感じたのは、来場者の数の多さからも分かるように、「やっぱり日本人は北斎が好き」ということ!
確かに、北斎の描く浮世絵を観ていれば「あぁこれが江戸時代の日本か」と想像するのも容易だし、彼の描く富士山や滝、海の青色が本当に綺麗だし、喧騒賑やかな街の様子が伝わってきます!
幅広いジャンルを描きながら、あのクオリティを保つというのは、とても凄いし驚くべきことだと思いましたよ!
それに、北斎の知識には脱帽です。
作品のモチーフは幅広く深く、風景画から妖怪退治、庶民の暮らしに小物デザインと広い!
今回の展覧会の目玉は、北斎の画号と画風の変遷を老いながら作品を総覧し、北斎の肉筆画を多く展示した点だと思います。
英語の題名が上手く内容を表しています!
「NEW」ではなくて「UPDATE」、「新」だけど中身は「更新」という点。浮世絵で語られる北斎の”別の顔”を様々な角度から作品を通して観ることが出来たのは良かったです!
北斎の肉筆画は全く分からないものの、これが観られるのは貴重なことなので、大事にしなくてはいけませんね!
でも、抱いた感想はこんな感じでしょうか。
そうそう、入り口で渡された「作品目録」のページ数があまりにも多く、最後を確認したら「作品番号:479」まであるという……(驚愕)
”良さ”という点ではイマイチだったものの、一度北斎の代表作を総覧出来たという点は、行って良かったと思えた作品です!
展示作品の紹介と感想
展示されていた作品を挙げながら、感想を簡単に書いていきます。
作品リストから確認できますが、とにかく展示作品数が膨大なので、絞りながら書いていきます(メモが11ページに及ぶので、選定するのが大変です……笑)
作品リスト:PDF
森アーツセンターギャラリー:こちら
展覧会特設サイト:こちら
第1章:春朗期───デビュー期の多彩な作品
20歳で浮世絵界にデビュー。勝川春朗と名乗り、役者絵や挿絵本を手がけました。かつてこの時代は単なる習作の時代として、個性的な特徴に乏しいとみなされてきましたが、作品が発見されるにつれ、精力的な創作活動を展開していたこと、そして画狂人・北斎の原点として重要な時期と考えられるようになりました。
特設サイト
作品名:新板七へんげ 三階伊達の姿見 沢村宗十郎
制作年:寛政3年(1791)頃
所蔵:日本浮世絵博物館
よく観光地にある「顔をハメるパネル」みたいです(笑)
沢村宗十郎は歌舞伎役者を指すので、代が変わり襲名したとしても問題ないという意味で顔が抜かれているのでしょうか?
作品名:浮絵忠臣蔵夜討之図
制作年:天明年間(1787~89)
所蔵:島根県立美術館(永田コレクション)
忠臣蔵を描いた作品はたくさんあるものの、私は大して詳しくもなく。時代劇も見ないし、なんとなくエピソードを知っている程度
この絵で面白いと思ったのは、やっぱり「天井にしがみつく人」! 逃げる必死さが伝わってきます(笑) 別の絵師・北尾政美も同じ題材で天井にしがみつく人を描いているのですが、有名なエピソードなのでしょうか?
作品名:風流江戸百日の出 愛岩
制作年:寛政元~2年(1789~90)
所蔵:中右コレクション
「風流江戸百日の出」というシリーズ作品の1枚です。
愛宕というば今は増上寺の近くですね、ほんのり赤く昇る朝日ので淡く染まる空の色が綺麗でした! 「富嶽三十六景」の「神奈川沖浪裏」とかが印象深いので、”赤い空”は新しかったです。
左にしっかり「春朗」と名前が入っているのです!
作品名:花くらべ弥生の雛形
制作年:天明4~5(1784~85)
所蔵:島根県立美術館(永田コレクション)
この浮世絵、めっちゃ好き!
全面がピンク色を帯びていて、きれいな着物に桜の花びらととにかく綺麗! 現代でもブロマイドとして売っても遜色なさそう!
第2章:宗理期───宗理様式の展開
勝川派を離れ、琳派の俵屋宗理の名を襲名した北斎は、浮世絵画派とは一線を画した活動を展開するようになります。優美な摺物(非売品の特製版画)や狂歌絵本の挿絵、肉筆画などを多く手掛けます。やがて「宗理美人」と呼ばれる楚々とした女性像を創造するなど、独自の様式を築きました。
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作品名:蟻通明神
制作年:享和年間(1801~04)
所蔵:ベルギー王立美術歴史美術館
雨の描写がとても綺麗だなぁ~と思った作品!
細い線を幾つも書くことで雨を表現するこの感じ、個人的に大好きです!
作品名:くだんうしがふち
制作年:文化初期(1804~06)頃
所蔵:中右コレクション
この浮世絵の構図は本当に凄いと思います!
画面右の急な上り坂は縁の岩山の影響でかなり実際以上に急に見えるし、対照的に平坦な画面左とのコントラストがとてもお気に入りの1作です!
作品名:亀図
制作年:寛政10年(1798)
所蔵:島根県立美術館(永田コレクション)
解説パネルに記載されていた内容です。
「この摺物は1798年6月頃までに北斎自らが作画し、宗理改名の通知のために知己に配ったものである。…[中略]…宗理の独立を祝い、北斎が信仰していた北辰(北極星)の光が増して、活躍するようにとの願いが記されている」
作品名:玉巵弾琴図
制作年:寛政8年(1796)頃
所蔵:個人蔵
解説によれば「宗理時代を代表する大作」らしいです。
解説には他にも絵の説明があったものの、私は興味なかったのでメモは取らず。一応”大作”なので掲載しました(笑)
作品名:美人愛猫図
制作年:享和3~文化元年(1803~04)
所蔵:ウェストンコレクション
「北斎壮年期を代表する美人画の中の一点」と解説にありましたが、これは確かに美しい! 白い肌が綺麗だし、すらっとした長身に、艶めかしいうなじ。めっちゃセクシー!!
作品名:夜鷹図
制作年:寛政8年(1796)頃
所蔵:細見美術館
「夜鷹」と呼ばれる遊女の姿。遊女もランクがあって、下級の「夜鷹」から最上級が「花魁」というように呼ばれます。
この絵は北斎の肉筆画。
垂れる柳、舞う蝙蝠、大きな月。
背中を向けて歩く夜鷹の姿は美しくも、陰気な雰囲気が漂うのは、彼女自身の心境を表しているようで、哀しくなりました。
作品名:画本東都遊
制作年:享和2年(1802)
所蔵:島根県立美術館(永田コレクション)
「日本橋」「浅草祭」「駿河町越後屋」の3ヶ所のページが展示されていました。こうして有名な場所の観光案内のような書物を観ることが出来るというのは、なかなか嬉しいものです!
第3章:葛飾北斎期───読本挿絵への傾注
当時江戸で流行し始めた読本の挿絵に全力を傾注した時代。中国画的な力強い表現に洋風表現も取り入れた幻想的な画面によって「劇画的世界」を創りだしました。肉筆画では、若々しい少女のような様子から大人の色香漂う艶冶な美人像に変化していきます。一般によく知られた葛飾北斎を名乗ったのはこの時期です。
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作品名:新板浮絵神田明神御茶の水之図
制作年:文化7年(1810)頃
所蔵:島根県立美術館(永田コレクション)
我らが東京の鎮守府、神田明神を描いた錦絵です!
アニメ『つくもがみ貸します』で登場したように、断崖に建っていることがよく分かる絵になっています! もちろんいまでも、神田明神は坂の上にありますしね!
作品名:鳥羽絵集 お稽古
制作年:文化8~11年(1811~13)頃
所蔵:ベルギー王室美術歴史美術館
今の漫画といってもおかしくないほど、ユーモラスで楽しいです!
そもそも「鳥羽絵」というのが「江戸漫画」と呼ばれているほどで、名称も「鳥獣人物戯画」に由来するものだとか。
この「稽古」では歌や噺を稽古する彼らの「口」が本当に面白い!
作品名:五美人図
制作年:文化中期(1808~13)頃
所蔵:細見美術館
さすが勝川派というだけあるのか、とても美しいです!
この絵は、女性たちの身にまとう着物や手にする布の模様がとても美しくて印象的でした!
作品名:宝尽し図
制作年:文化中期(1808~13)頃
所蔵:島根県立美術館(永田コレクション)
一見すると雑な絵にも思えますが、解説を読み描かれたモチーフを知るとなるほどなぁと思いました。
解説には「めでたい図様として画題となる笠、蓑、鍵、宝珠などを組み合わせて描かれている」と。
天狗のお伽噺で有名な「隠れ蓑/笠」や「宝の鍵」「願いを叶える宝珠」など確かに縁起物が沢山です!
作品名:布袋図
制作年:文化中期(1808~13)頃
所蔵:島根県立美術館(永田コレクション)
絵の価値とかは全然分からないんですが。
「布袋様が”人を駄目にする”クッション”で寝ているww」と一度思ってしまってからは面白すぎて、印象に残った作品でした(笑)
第4期:戴斗期───『北斎漫画』の誕生
文化7年に戴斗と号した頃から、北斎の関心は絵手本に移ります。人気が高まるにつれ、増加する門人や私淑する全国の人々に、絵の手本を与えようとしたのだと考えられます。有名な『北斎漫画』を含む多彩な絵手本を矢継ぎ早に刊行します。それまで師から弟子へ肉筆で描き与えることが一般的であったなかで、大量の印刷本による手本は画期的なものでした。また数は少ないながらも、錦絵や肉筆でも新たな世界を切り拓いていきます。
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作品名:花魁図(画稿)
制作年:文化末~文政初期(1813~19)頃
所蔵:島根県立美術館(永田コレクション)
「画稿」ということなので、浮世絵の原稿ということでしょう。
髪の1本1本を描いたような細かさや着物のありえないほどの細かさなどとにかく美しい花魁さんが目の前にいて、見惚れました!
作品名:『北斎漫画』初編袋
制作年:文政11年(1828)
所蔵:島根県立美術館(永田コレクション)
「北斎漫画」は誰でも知っている北斎の代表作だし、その中身も様々なメディアで扱われている通りですが、まさか「袋」があったとは驚きでした!
これは純粋に新しい発見でした!
作品名:略画早指南
制作年:文化9年(1821)頃
所蔵:島根県立美術館(永田コレクション)
「略画早指南」も有名で、牛や人を図形に分解してスケッチする指南書が頭に浮かびますが、展示してあったこの作品は面白い!
「うらめしい」という文字から「幽霊」を、「ヒヒヒヒヒ」と笑い声から「人魂/鬼火」を描くという指南なのが一目瞭然! こういう面白さがあるから好きです!
作品名:今様櫛キン雛形
制作年:文政6年(1823)
所蔵:島根県立美術館(永田コレクション)
葛飾北斎が「櫛」や「キセル」の図様を考えたもの。書籍名の「キン」は本当は漢字なのですが変換出来ず。
解説によれば「櫛の図案約250図、煙管の吸口と雁首の図案約164図」が掲載されているそう。
北斎の幅広さにも驚きますが、どの図案も細かくて美しいから凄い! 実際に江戸の職人も参考にしていたらしいです。
作品名:和漢絵本魁
制作年:天保7年(1836)
所蔵:島根県立美術館(永田コレクション)
実際に展示してあったのは、(確か)平井保昌が土蜘蛛を退治している場面だったと思うのですが、画像が無いので「卜部季武の姑獲鳥退治」を掲載。
内容を見る限り、この「和漢絵本魁」は英雄が化物を退治する場面とかを盛り込んだものなのでしょうか。平井保昌や卜部季武は『酒呑童子伝説』に登場する英雄たちですし!
第5期:為一期───北斎を象徴する時代
文政3年(1820)、61歳となった北斎は、号を為一と改めます。そして70歳を過ぎると、「冨嶽三十六景」をはじめとした北斎を代表する錦絵の揃物を次々と生み出していきました。風景画、名所絵はもとより、花鳥画や古典人物図、武者絵、さらには幽霊などその関心はあらゆる対象に向けられました。驚くべきことに、これら色鮮やかな錦絵の出版はわずか4年間ほどに集中しています。
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作品名:冨嶽三十六景 五百らかん寺さざゐどう
制作年:天保初期(1830~34)頃
所蔵:島根県立美術館(永田コレクション)
誰もが知っている「富嶽三十六景」!
前後期合わせて約25点の作品が展示してあります。
後に10図が追加され、全部で46図となった「富嶽三十六景」。どの作品も本当に構図が素晴らしいし、色彩もいい感じで凄い!
この「五百羅漢寺栄螺堂」を選んだのは、遠くの富士山を眺める様子が印象的だったから。やっぱり、皆んな富士山が大好きなんです!!!!
作品名:諸国名橋奇覧 かめゐど天神たいこばし
制作年:天保5年(1834)頃
所蔵:島根県立美術館
「単に名橋を選んで描いたのではなく、名橋の構造や奇抜さに注目していることが窺われる」と解説に。
今で言う「日本三大奇橋」とかそんな感じの橋を選んだってことなんでしょうね。
まず一番に思うのは「橋のある風景って良い!」ということ。単なる風景にインパクト(?)というか味(?)が加わるし、絵全体が締まる感じがします!
「諸国名橋奇覧 かめゐど天神たいこばし」を選んだのは、橋の形が一番印象的でありながら、どこか浮世絵のイメージに合致したから!(橋の角度がほぼアスレチックですよ……)
作品名:諸国名橋奇覧 足利行道山 くものかけはし
制作年:天保5年(1834)頃
所蔵:山口県立美術館・上浦記念館
浮世絵はやっぱり「水」と「青/紺」がとても綺麗で、この「諸国滝廻り」はその美しさを抜群に活かしているシリーズだと思います!
白い飛沫と滝の青が印象的だし、人間を描きこむことで滝のスケール感もしっかり演出しているし!
この絵を選んだのは、「くものかけはし」というように、幾又にも別れた滝の姿がただただ美しいと思いました!
作品名:千絵の海 相州浦賀
制作年:天保初期(1830~33)頃
所蔵:日本浮世絵博物館
「もっと高く評価されてよいシリーズ」と解説に。
確かに富嶽三十六景と諸国滝廻りが有名すぎる気もしますが、この「千絵の海」シリーズをそもそも目にする機会が少ないので、こうして観られて良かったです!
この「相州浦賀」は空の青色と海の青色の違いがとても綺麗で、何色もの青を楽しめたのが良かったです!
作品名:琉球八景 中島蕉園
制作年:天保3年(1832)頃
所蔵:日本浮世絵博物館
北斎が琉球の絵を描いていたというのを初めて知りました!
ただ、実際に北斎自身が行ったわけではなく、書物や伝聞を元に描いたそう。_
それでも、江戸や京の町並みとは違う屋根や雰囲気、日本の船とは異なる様式の船が描かれていて、「浮世絵」自体のイメージも変わりそうなほど、印象的でした!
作品名:百物語 お岩さん
制作年:天保2~3年(1831~32)頃
所蔵:日本浮世絵博物館
北斎の『百物語』の浮世絵はどれも有名!
本展では「笑ひはんにゃ」「お岩さん」「さらやしき」など中でも有名な絵が展示されていました!
浮世絵といったら「歌舞伎・美人・富士山・妖怪」なんてイメージが私の中にありますが、もともと怪談話が好きな私としては、こうして本物を観られたのが嬉しいです!
作品名:鎌倉江の島大山 新板往来双六
制作年:天保2年(1831)頃(初版)
所蔵:島根県立美術館(永田コレクション)
解説より「日本橋から多摩川を渡り、神奈川、鎌倉、江ノ島を経て、大山へ至る双六」という双六です。
何が面白いって、今でも有名な地名や観光名所が並んでいるから、観ていてとても楽しいです!
第6期:画狂老人卍期───さらなる画技への希求
最晩年の北斎は肉筆画制作に傾注し、描くテーマも古典に取材した作品や花鳥、静物、宗教的な題材など浮世絵師の世界から離れ、独自の画境を追い求めていきます。長寿を願い、100歳まで生きれば「神妙」の域に達し、さらに描く対象の「一点一格」が生き生きとしたものになると信じ、筆を休めることはありませんでした。嘉永2年(1849)4月18日朝、北斎は90歳で生涯を終えます。「あと10年、いや5年命が保てば真正の画工になれたのに」と言い遺し、息絶えました。
特設サイト
作品名:唐土名所之絵
制作年:天保11年(1840)頃
所蔵:島根県立美術館(永田コレクション)
作品名から、中国の名所を描いたと想像できます。
とにかくその細かさが本当に凄かったです! 江戸時代の中国の名所なんて一切知りませんが、緻密に描きこまれた画面はいつまで観ていても飽きないほど楽しかったです!
作品名:狐狸図
制作年:嘉永元年(1848)
所蔵:個人蔵(京都国立博物館に寄託)
解説より、
・右:狂言に登場する老狐=月蔵主という僧に化けている
・左:茂林寺にいたという狸
どちらも人を騙す生き物。
僧に化けた狐はイメージそのままだし、狸の「茂林寺」といえば『ぶんぶく茶釜』しか思いつかない!!!
作品名:富士越龍図
制作年:嘉永2年(1849)
所蔵:一般社団法人 北斎館
この絵を見た時最初に思ったのは、「『千と千尋の神隠し』に登場するハクみたい!」というこの。なんだか、空に登っていく龍の姿が重なったんですよね~。
解説については、ゲーム「FGO」のものが良かったので、引用します。
富士を越えて天に昇る龍は、出世を意味するめでたい図様とされるが、ここに北斎の飽くなき執念をみてとることも出来る。
自身の寿命を感じ取っても尚、それを受け入れず、誰も達したことのない高みを目指そうとした北斎の意志を感じはしないだろうか。
作品名:弘法大師修法図
制作年:弘化年間(1844~47)
所蔵:西新井大師
展覧会のポスターにもなっていますが、とにかく鬼の迫力が凄い!
解説では「弘法大師が西新井の地を訪れた時、流行していた疫病を鎮めたとされ、本図の鬼は疫病を表し」ているとありました。
この絵に関する詳細は一切分かっていないのだそう。この作品がテレ東の番組「美の巨人たち」で扱われていて、その独自解釈と解説が非常に興味深かったので紹介します。
・まず、描かれたモチーフとして、鬼=疫病であり、右のキノコが生えた枯れ木は「疫病に苦しみ衰弱している人々」を表現。その枯れ木に巻き付くように描かれた犬。この犬は「犬=十二神将の伐折羅大将=金剛力士(仁王)」であり、薬師如来の守り神である故に人々を守るように描かれている。だから、鬼と犬が対峙する構図であると解釈していました。
・そしてもう一点。この図、何かに似ていませんか───? そう、「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」の構図とそっくり。言われてみると確かに! これが迫力と人を引きつける魅力なのかもしれません!
神奈川沖浪裏 | 弘法大師修法図 | |
手 前 | 波 | 鬼 |
真ん中 | 数隻の船 | 犬と朽木 |
最奥部 | 富士山 | 弘法大師 |
展示内容の紹介は以上です!
今回の展覧会はとにかく展示作品数が多くて、沢山の作品を観ながらも、(効率よく)お気に入りを探していくのがなかなか時間のかかる展覧会でもありました!
でも、北斎をみられて良かった!
今回のお土産は、やっぱりこの絵にしました!
最後まで読んでくださり、
本当にありがとうございました!!