※ネタバレなし。
※画像は予告映像のキャプチャです。
2018年9月2日鑑賞
君の膵臓をたべたい
【評価:3.2/5.0】
【一言】
劇場アニメ版を観て感動し、実写版を鑑賞。
アニメ、実写のどちらでも感動させられる、作品自体の物語は本当に素晴らしいと改めて実感。
駆け足で内容を追った感が否めないが、とても良い作品だった!
【Twitter140文字感想】
【君の膵臓をたべたい (実写版)】
教師になった「僕」は、膵臓を冒された桜良と過ごした高校時代を思い出す。
内容を知っててもなお、物語には感動。
実写版はどこか駆け足で、場面転換に感情が籠ってないと感じた。
演技は良けれど、舞台は普通。私は、会話と日々を大切に描いたアニメ版が好き。 pic.twitter.com/EK2uVGKS6U
— ArA-1 (@1_ARA_1) 2018年9月2日
感想
感想外観
原作未読のまま、劇場アニメ版の『君の膵臓をたべたい』を観て、心の底から感動。
映画館を出た足で原作を買い、読む前に実写版の本作を鑑賞しました。
(全体的に、アニメ版との比較になってしまい、スイマセン)
劇場アニメ版の感想はこちら⇩
この、『君の膵臓をたべたい』という作品のストーリーが凄いと改めて思いました。
アニメで描いても、実写で写しても、内容と結末を知っていても、感動出来るんですから。
日本の実写作品はほとんど見ないので演技とかはよく分かりません。
観ていて、「ちょっと違和感あるな」とか「そういう感情なの?」とか思う場面はチラホラあったものの、全体的には大きな違和感もなく観れました。
実写版の感想でアニメ版を褒めるのもどうかと思いますが、アニメ版の方が私は好きです。
アニメ版は「会話」に重点が置かれてたし、映像の演出やロケーションが素晴らしかったので。
(詳しくは、アニメ版の感想を読んで頂ければ)
映画としては、どうも駆け足な気がしました。
会話に重点を置き2人の関係を掘り下げたアニメ版とは違い、実写版は淡々と日々の出来事を単調に描いてるだけのように感じました。
事実を、事実として伝えているだけの、駆け足さを感じました。
実写版の主人公は、とても「キャラが立って」いました。
これもアニメ版との比較になってしまうのですが、アニメ版の主人公「僕」はとても《中性》でした。悪く言えば無機質、良く言えば上手な語り手。
一方で、実写版の「僕」は一人の人間として感情に溢れてたし、自分の想いを口に出すキャラクターとして描かれていました。
改めて思う、物語の凄さ
原作を読んでいないのに、こんな事を書くなんて不届きの極みですが……やはり、素晴らしいお話した。
アニメで見て感動して、一度内容を知っているにも関わらず、実写で観ても感動出来て、この作品の物語の凄さを思い知らされました。
なんか、この点に関しては「これだけ書けば十分」って気持ちになってきてるんですが…(笑)
とにかく良い作品です。今まで触れてこなかったのが勿体無いと思ったし、最初に触れた媒体がアニメで良かったとも思いました。
内容は薄く、駆け足気味
見出しのタイトル通り、少し駆け足に感じました。「内容が薄く」というのは、物語の事を指してるのではなく、実写映画としての内容です。
というのも、アニメ版では「会話」のやり取り重ね合いに重点を置いたような描かれ方をしていて、その上で物語の展開を十分に充実した密度で描いていました。
そして、この「会話が大切」というのは作品全体としてそうなのだと思います。実写版でも2人が交わす会話の中身は体節な事が沢山詰まっていたので。
ただ、実写版では「会話」に重きを置いていなかったんです。その点が気になりました。
余命宣告を受けた彼女との会話はとても大切なものだと思うのに、そこが軽んじられてるようで悲しかったです。
また、「2人の日々の一日一日を大事に描く」という事がされておらず、淡々と機械のように写してるだけのように感じました。
場面転換に感情が籠もってないというか、出来事の一つ一つを重要視してないという印象すら感じました。
(アニメ版では、日々の日常を大事に描いてます!)
実写映画の感想として
まず最初に断っておきますが、私は実写邦画をほとんど観ません。
今年の4月に試写会当たった『四月の永い夢』より前は、1,2年は邦画を観てないです。
もちろんTV放送された実写放送を「ながら見」くらいはしてますが。
そんな私が久々に真剣に観た本作。
役者さんたちの演技は特に大きな違和感を感じませんでした。
少なくとも、よくTVのCMとか予告編で見る高校生青春キュンキュン映画みたいな作品とは大違いの、きちんとした演技でした。
確かに「そこはそんな感情なのかな?」とかは思う事あったものの、主役2人とも良かったと思います。
それから、映像の演出は皆無でしたね。
後で書きますけど、凝ったカメラワークとか、綺麗な撮り方などは一切なく、淡々と主人公たち登場人物を映すだけ。
また、ロケーションも至って普通で、学校、家、病院と大したことない感じでした。(これも後で詳しく)
登場人物の描き方
個人的に、実写版とアニメ版で一番の違いは「登場人物の描き方」だと思います。
アニメ版の方は、物語を語る「僕」がとても《中性》だったんです。
悪く言えば無機質、無感情でロボットみたいな部分ではあるんですが、中性な彼の目を通してみる「彼女」は本当に輝いて見えたんですよ。
一方で、実写版はどうかというと、「一人の人間」でした。
怒ったり心配したりの感情も持つし、表情も大きく変化させるし、動きも大袈裟だったりして。
私、個人的にはアニメ版の方が好きです。
物語を語るのは「僕」でも、本当の主役は「彼女」で、彼女を引き立てていたのは、やはり中性な「僕」だったと思うから。
やっぱり、アニメ版が好き
もうここまでの流れでお分かりでしょうけど、私は劇場アニメ版の方が好きです。
劇場アニメ『君の膵臓をたべたい』予告編
理由はいくつもあります。
詳しくは、劇場アニメ版の感想を読んで頂くと良いかもしれません。
まず、「会話」に焦点が当てられてるから。
前にも書いたように、「会話」を重視したアニメ版は、主人公の2人が積み重ねる日常の日々をとても大切に描いていて良かったです。
言葉ひとつひとつに、丁寧さも感じられました。
また映像がとても美しかったです。
桜舞う並木を歩く2人とか、満開の花火を見る2人とか。夕暮れの海の美しさは別格でした。
アニメって、ロケーションもキャラクターも一から創り出す事が出来るから、理想的で作品にピッタリの映画を描き出せるのだと思いました。
他にも、脚本が素晴らしくて物語構成が最高だったし、何気ないやり取りが心に残ったし、映像一つ一つが輝いていました。
ネタバレあり感想
※劇場アニメ版のネタバレあり!!!
以降、映画本編のネタバレあり
ネタバレあらすじ&感想
序盤
現在。
高校の教師になった「僕」は、閉鎖となる図書館の整理を頼まれた。
オープニングクレジット。
高校生当時、「僕」こと先生は図書館の本を全て完璧に整理した。もう一人、面倒くさい助手とともに。
タイトルバック。
前半
過去、高校時代。
図書整理をしている最中、「君の膵臓を食べたい」と唐突に言ってきた山内桜良。彼女は膵臓に病を抱えており、その秘密は「僕」しか知らなかった。
他人に興味がない「僕」は、桜良の事を「君」と読んでいた。彼女はその事を「面白い」と言いながらも、「他人に興味がないなんて勿体無い」と言った。
そして、「これを読んで勉強しなさい!」といいサン=テグジュペリの『星の王子さま』を渡した。
回想。
とある病院の待合室で、「共病文庫」という1冊の本を拾った「僕」。その持ち主は同じクラスの山内桜良で、自身の膵臓の病気の事を「僕」に明かすのだった。
それから、2人の関係が変わった。
図書員に立候補した桜良。
そんな彼に、「残りの人生を好きなように過ごさないのか?」と問う「僕」。
それに応えるように、桜良は「私の残りの人生に付き合って」と言った。
次の日曜日、ホルモンを食べに行くことに。
「君は病気の事を聞いても表情を変えない」と言う彼女に、「僕」は「本人が泣いてないのに、周りの人が泣くのはお門違い」と返す。
別の日、スイーツの食べ放題へ。
「女の子を好きになったことは?」と聞かれた「僕」は、「一度だけ、何でも『さん』を付ける人を好きになった事がある」と答えた。
その夜、桜良からメールが届いた。
「これからも仲良くしてね」という彼女に、「僕」は少し嬉しそうな表情をする。
翌日、クラスでは「僕」と桜良がスイーツ店に行っていたことが話題になり、「なんであんたが?」と非難を浴びる「僕」。
そんなクラスメイトに、桜良は「ただの仲良し」と答える。
その後、屋上で桜良は「僕」に、「他の人が悲しむから言わない」という。
そして、「本当に死ぬの?」と質問する「僕」に、桜良は肯定すると「君は日常をくれる」と答えた。
中盤
別の日。
「したいこと見つけた!連休、予定ある?」というメールが届き、そのまま連休、電車で出かけることに。
新幹線に乗り、九州は博多へ。
ラーメンを食べ、神社に行き、宿泊するホテルへ。ところが手違いで2人で1室と同じ部屋になってしまう。
風呂に入り、アルコールを飲みながら「真実か挑戦か」というゲームをする事に。真実を選べば質問に答え、挑戦なら言われた事を行わなければならない。
そして最後のゲーム。勝った桜良は、真実を選んだ「僕」に、「もしも私が、死ぬのが怖いと言ったらどうする?」と問いかける。
翌日、恭子から電話が掛かってくる。
そして桜良は、「私が死んだら、恭子と仲良くして欲しい」と頼むのだった。
そして、2人とも「楽しかった」と言いながら、夏の旅行の話をし始めるのだった。
上履きがゴミ箱に捨てられてるいとう事件があるも、クラスメイトの一人、ガム君は普通に接してくれた。
借りた『星の王子さま』を無くしてしまった「僕」。
その日、桜良から「家に来て」というメールが入り、「僕」は彼女の家へ。
桜良の家で、「今日は親がいない」と言うと彼女は死ぬまでにやりたい事リストの最後の1つとして、「恋人じゃない男の子とイケないことをしたい」と言いハグをしてきた。
その後、「冗談だよ」と笑う彼女に、「僕」は「ふざけんなよ」と言って床に押し倒してしまう。
そのまま、逃げるように帰ろうとする「僕」。
帰り道、そこで人気者の委員長に会う。委員長は「僕」を殴り、鞄から盗んだ『星の王子さま』を取り出すと、道路に投げつけた。
そして雨に濡れ怪我した「僕」を連れて、桜良は家に戻った。
ある日、校門で恭子から呼び止められた「僕」は、彼女から桜良が盲腸で入院した事を知らされる。
見舞いに行った「僕」は「盲腸じゃないよね?」と心配しながら、授業のノート写し教えた。その姿を見た桜良は、「君は先生になりなよ!」と言うのだった。
翌日、屋上で恭子と会った「僕」は、彼女から「桜良を傷つけたら許さないから」と言われる。
病院に見舞いに来た「僕」。
桜良は「私が死んだら、君にだけ共病文庫を読む権利を与えます」と言って指切りを交わした。
後半
ある夜、病院にいる桜良から「僕」に電話が掛かってくる。
電話の口調に違和感を覚えた「僕」は、すぐに病院へ駆けつける。彼女は「バレちゃったか、入院が延びた」と話した。
そして、一回限りの「真実か挑戦か」をし、勝った「僕」は、桜良は「君にとって生きることは?」と質問する。
その質問に、桜良は「誰かと心を通わせること」と答え、「人との関わりが生きている証明」と言った。
「君がくれる日常が、私にとっての宝物」と話す。
「私に生きててほしいの?」と問う桜良に、「とても」と答える「僕」。そして、彼女は必要としてくれてることに嬉しさを覚え、抱きついた。
ある日、桜良から「明日、退院できるって!」とメールが入る。
「僕」は、ガム君から教えてもらった桜の名所に旅行に行く計画を立てた。
旅行当日、退院した彼女とスイーツ食べ放題店に集合する約束をした。
約束の時間まで、お互いにメールで会話を重ねる。何度も何通もやり取りをする中、「僕」は「君の膵臓を食べたい」というメールを送った。
それっきり、彼女から返信はなく、「僕」は帰る事に。
帰り道、街頭の大型ディスプレイに表示されたニュースを見て、「僕」は驚愕した。
山内桜良が、最近世間を騒がせていた通り魔事件に巻き込まれ、刃物で刺されて死亡してしまったのだ。
終盤
それから「僕」は1ヶ月、学校にも行かずに部屋にこもって本を読んでいた。
そして、遂に「僕」は決心を固めると、山内桜良の家に赴いたのだった。
そんな「僕」の頭にあったのは、病室で約束した、「共病文庫を見ていい」という約束だった。
山内桜良の仏壇の前で手を合わせた後、「僕」は彼女の母親に「共病文庫を見せて下さい」と頼むと、母親は涙を流しながら、彼女が死ぬ前に「死んだら、共病文庫の事を知っている男の子に渡してほしい」と頼んでいたと明かした。
共病文庫を手にし、読み始める「僕」。
そして、「僕」は涙を流して泣いたのだった。
現在、大人になった「僕」。
図書整理をしながら、思い出を語るように桜良との日々を図書委員のある男子に語っていた「僕」。
するとその男子が、図書貸出カードを整理しながら「これ、落書きしてある」といって1枚の絵カードを取り出した。
そこに描かれていたのは、大きなスマイルマーク。それは桜良がいつも使っていたマークだった。
その本を見つけるため、図書館の棚や箱を漁る「僕」。そして、書庫の中から『星の王子さま』を見つける。
その『星の王子さま』の中には一通の手紙が隠されていた。
「恭子へ」と書き出されたその手紙を見た「僕」は、その日結婚式を挙げる恭子の元へと駆けつけた。
「恭子へ、これは私の遺書です」という手紙を、恭子は涙を流しながら読んだ。
そして、「追伸」として、「仲良くんと友達になって」と書いてあった。
恭子が読み終わり、「僕」は「友達になってください」と伝えた。
桜良が遺した「遺書」には、「僕」宛のものもあった。
手紙に書いてあった色々なこと。
そして、病院で「真実か挑戦か」ゲームをしたとき、質問しようとしていたのは、「どうしていつも『君』と呼び、名前を呼ばないのか?」ということだった。
そして、手紙は「君の膵臓を食べたい」で締めくくられていた。
最後まで読んでくださり、
本当にありがとうございました!!