※ネタバレなし。
※画像は予告映像のキャプチャです。
2018年9月1日鑑賞
アントマン&ワスプ
(英題:Ant-Man and the Wasp)
【評価:2.7/5.0】
【一言】
さすがのMARVEL映画、相変わらず映像が綺麗で驚き!
ただ、「身体を縮める」特徴を活かしたアクションは見慣れてしまって目新しさはなく残念。
物語も全体的に複雑で面倒くさく、ラフで軽いノリが薄れてて、つまらなかった…。
【Twitter140文字感想】
スコットは、ホープやピム博士と、量子世界に囚われた初代ワスプ救出を試みる。
王道の単純明快な勧善懲悪ストーリーではなく、「母親救出」という私情メインの物語は面倒くさく、つまらない!
新規性の無いバトルに飽き、バディ戦は皆無。
量子世界の映像は良い! pic.twitter.com/t78FbU6qZR
— ArA-1 (@1_ARA_1) 2018年9月2日
感想
感想外観
『IW』の衝撃的ラストから4ヶ月、『デップー2』の笑劇的ストーリーから3ヶ月ぶりのMARVEL映画です!
しかも『A&W』の時系列は『IW』の前という事で、楽しみにしてました!
「アントマン&ワスプ」あの時二人はどこにいた?
結論から言うと、映画はつまらなかったです。
十分に面白かったのですが、期待を大幅に下回るというか、他のMARVEL映画の第2作目と比べても微妙かなぁと。
まず、物語が全体的に面倒くさい!
「ヒーローvs悪党の勧善懲悪」という単純で純粋なヒーロー映画とは少し違って、複雑というか、要するに面倒くさかったです。
登場人物も多すぎ!
また、第1作目『アントマン』にあった、軽くて楽しい雰囲気とか、常に飛び出すジョークとか、高いテンションとか、そういう“らしさ”が大きく削がれていたのも残念!
もちろんそういうシーンはあったし、面白かったですよ!
そして、これは完全にただの文句ですが……アクションに慣れ飽きました(笑)
「身体を縮める」とか「身体を巨大化する」というアクションは第1作目や『シビルウォー』で沢山観ました。
他の作品なら続編になるほどグレードアップした戦いが楽しめるのですが、本作『A&W』はほぼ変わらず。
気の利いた演出とか、驚きの戦闘とかが少なくて飽きました(笑)
アントマンとワスプのコンビ戦も、大したバディじゃなかったような。
科学的な描写という点ではとても面白く興味深かったです!
小さくなって入る、量子世界の映像は科学雑誌の写真で見るような美しさに、映画らしい動きや遊びがあって楽しかったです!
電子顕微鏡の世界に迷い込んだような感じ、好きです!
何というか、観終わって振り返ると、「MCUシリーズという義務感で観たけど……」という気持ちすら湧き上がりました。
Marvel Size Chart: From Ant-Man to Giant-Man
すごくつまらなかった!
ただの悪口の羅列になりますが、「つまらなかった」です。
私がアメコミ映画(というかMARVEL映画)に求めてる事は以下の感じです。
・他では真似できない圧倒的なアクション
・最新のCGやVFXを駆使した映像
・観てスカッと爽快な単純明快の勧善懲悪
・頭を空にして観られる痛快バトル
・MCU世界観との繋がり
・場合によっては音楽
今、改めてパッと書き出すとこんな感じですかね? そして本作『A & W』はこれらの多くを満たしてなかったと感じました。
要するに、「つまらなかった」というのも非常に主観的な感想です(笑)
大きな期待を抱いていた分、それを下回った事への反動も大きいと思いますが、それが一番重要な問題だと思います。
前作以上の、アントマンの活躍やアクションを期待していたし、アメコミ映画は毎回、前作を大きく超える内容をブチかましてくれるので楽しみにしていました。
ところが、本作『A & W』はその点が非常にガッカリな内容でした。
複雑になった物語
つまらない映画になった理由の1つ目、「物語が複雑になった」こと。
ちなみに、簡単なあらすじは、「数十年間、量子空間で迷子になってるピム博士の妻を救い出す」という感じです。
まず挙げられるのは「勧善懲悪」でない点。
従来のヒーロー映画は、正義の立場に立つヒーローが、悪い奴らを倒す単純明快で爽快かつ面白い物語。(もちろん人間味とか苦悩とかも描かれますが)
しかし本作は「敵と戦う」というよりも、「母を救い出す為に奔走する」事がメインで、戦闘よりも逃走が多く、その点が映画全体の爽快感?分かりやすさ?を損ねていたのかなぁ〜と。
その「母を救う」というのも複雑さの原因。
そもそも、これは私情な訳で、その私情がメインの物語なのですから面倒くさくなるのは当然といえば当然です。
しかも、「敵に監禁された母を救う」ではなく、「迷子になった母を救う」なのですから。この目的自体には戦う必要すらないんですから。
そこに無理矢理、取ってつけたように中途半端な強さの「倒され役」を登場させたから面倒くさくなってます。
そのお陰で、登場人物が増えました。
個人的な印象ですが、元々『アントマン』は他のMCU映画に比べて登場人物が多い気がします。スコットの家族、仕事仲間、ピム博士とホープの関係者……。
そこに、新たに何人も登場人物が加えられたから、これまた面倒くさい……。
ジョークが減った!
『アントマン』の代名詞でもあったような、軽いノリやジョーク。確か第1作目の宣伝文句でも「超ノリのいいヒーロー」みたいな紹介のされ方をしてました。
しかし、本作ではそれが大きく削がれてる!
大きな理由は「主人公が変わった」から。
本作『A & W』の主役はスコットではなく、ピム博士とホープです。
つまり、ノリ良いスコットが蚊帳の外に置かれ、「家族の問題」という非常にデリケートな問題を抱えた2人が主人公に。
しかも、この2人は研究者らしく、スコットのノリが大嫌いですし。
だから、ジョークが登場する訳がないんですよ!
ただし、スコットはこれまで通りのノリでジョークを飛ばしてくれるし、映像の描き方が笑わせるように努力されてるので、皆無というわけではないですが!
アクションに飽きた!
正直言って、アクションに見飽きました。
第2作目でワスプが登場するのに、アクションに新規性はほとんど見られなかったです。
縮小して戦うのも、巨大化して戦うのも既に観ました。
本作で新しいバトルが観られると期待してたら、シチュエーションや舞台が違うだけで、それ以外はほぼ一緒。
能力に大きな変更は無いし、戦い方も従来通り。
例えば、『アイアンマン』。
アイアンマンは作品を重ねるごとに、毎回新しいスーツを開発して新機能を見せて楽しませてくれます。
『キャプテン・アメリカ』の武器に大きな変化はないけれど、いつも肉体と盾を有効に活用した戦い方を披露してくれます。
オリジナル映画のない、ナターシャでさえ、武器や乗り物を変えながら楽しませてくれます。
しかし、『アントマン』と『A & W』にその変化や新規性がほぼ無かったんですよ!
バトルシーンの映像描写は、むしろ第1作目の方が凝ってました。小さくなって戦うシーンがより迫力あるように描かれてました。
一方、『A & W』はそもそも、そういう洒落た演出も少なかったです。
また、「バディ・アクション」が売りの1つでしたが、これもどうだかなぁと。
お世辞にも息のあった戦いとは言えないし、そもそも一緒に戦うシーンが少なかったような。別行動とか、二手に分かれて戦う事が多かったです。
これなら、ハルク&ソーとか、スターク&ローディの方がベストバディでしたよ!
量子世界の描写が面白い!
さすがMARVEL映画、映像面では相変わらずの凄さです!
本作で凄かったのは、「量子世界」を描いた映像。不思議な空間でした。
Quantum Realm Special Look
よく科学雑誌とかネットニュースとかで見るような、電子顕微鏡の世界やイメージCGの世界をそのまま映画に持ち込んでいるようでした!
フィクションの部分は多いのでしょうが、映像として見せられると、ワクワクしました!
『ドクター・ストレンジ』に登場する多元宇宙世界とも少し似てる気がしましたが、やっぱり量子世界は一筋縄では行かない空間なのかもしれません。
ネタバレあり感想
以降、映画本編のネタバレあり
ネタバレあらすじ&感想
序盤
30年前。
ホープの父親ハンク・ピムとジャネットはS.H.I.E.L.D.のエージェント「アントマン」と「ワスプ」として世界の危機を救う任務についていた。
とあるロケットを止めるべく、ワスプことジャネットは自らが元に戻れなくなる危険を冒して、分子レベルにまで縮小し、世界を救った。
母親を失った悲しみにくれるハンクとホープ。しかしスコット・ラングが量子世界から戻ってきた事で、ジャネットを救う可能性が浮かび上がった。
MARVELのロゴ。
前半
現在。
巨大化してアベンジャーズと戦ったスコットは、ソコヴィア協定に違反したとしてFBIによる2年間の自宅軟禁状態にあった。
そんな軟禁期間も残り3日という時、スコットは量子世界に囚われたジャネットと思しき人物の姿を夢に見る。
昔の仲間との連絡も禁止されている中、スコットはハンクに連絡をとった。
その晩、スコットは夕食中に突如気を失い、気がつくとホープの運転する車に乗せられていた。
家には身代わり役のアリを置き、2人が辿り着いたピム博士のラボは、アリが働くハイテクラボだった。
そして、わだかまりの残るスコットとハンク、ホープらだったが、母親ジャネットを助けるべく「量子トンネル」を開発していると明かされる。
そして、スコットが見た夢は、量子トンネルを作動実験したことによる量子もつれが原因という。
量子トンネルを完成するべく、最後のパーツをいつも通り闇市場の売人バーチから購入しようとするホープだったが、バーチは「俺と手を組まないなら部品は渡さない」と迫る。
仕方なくワスプに変身して無理矢理に部品を奪い取ったホープ。しかし、そこに現れたのは壁をすり抜け透明になる謎の人物「ゴースト」だった。
スコットの加勢も虚しく、ゴーストに部品とラボを奪われてしまった。
一時的退避場として、ルイスの営む警備会社の事務所に立ち寄ったスコットら。
そこで次の一手を考え、ハンクのS.H.I.E.L.D.時代の同僚に助けを求めることにした。
「アントマン&ワスプ」新オフィスに全員集合
中盤
大学で教鞭をとるハンクの元同僚ビル・フォスターと接触したハンクら。しかし仕事上のトラブルで今でもお互いに憎んでいる2人。
別れ際、何とかビルが教えたラボを取り返す方法は、スーツについた調整機器を追跡器にするというものだった。
しかし、新型のスーツにはその機器が取り付けられておらず、スコットが壊した旧型スーツが無いと追跡器は完成しない。
絶望するハンクとホープに、スコットは「実はまだ残っている」と明かした。
旧型スーツは娘キャシーが学校に持っていったトロフィーに隠してあるため、スコットとホープは学校に忍び込み、無事にスーツを確保した。
完成した追跡器でラボの場所を突き止めたハンクらは、早速乗り込むことに。
スコットとホープが乗り込むと、そこにはあのゴーストが何やら機器の上で寝ている。が、彼女は唐突に起きて戦うと、あっという間にスコット、ホープ、ハンクを捉えてしまった。
そこに現れたのはビル。彼いわく、ゴーストの名前はエイヴァで、彼女はハンクやビルのS.H.I.E.L.D.の同僚だった父親が実験に失敗した事で、この身体になり、スパイに仕立て上げられてしまったという。
ハンクらは、スキを見て何とか拘束を解き逃げ出すと、森の中でラボを元通りの大きさにして実験を続ける事に。
その頃、ハイテクラボの入手を狙うバーチは、スコットの居場所を知るルイスに自白剤を打ち、居場所を突き止めるとFBIの友人に連絡して確保に向かわせた。
ラボでは、最後の部品をはめ込んで量子トンネルが可動するも、不具合で停止。その問題を探る中、なんとスコットの身体にジャネットが乗り移った。
ハンクやホープとの再開を喜びながら、ジャネットは機器やアルゴリズムの調整をし、量子世界の座標を伝えた。
ルイスから「FBIが向かっている」との連絡を受けたハンクは、自宅軟禁を破っているとバレるのを防ぐため自宅に戻る。
一方、ハンクらはラボを包囲されあえなく逮捕。さらに、ラボをエイヴァに奪われてしまう。
後半
FBIに捕まったハンクとホープを助け出したスコットは、駆けつけたルイスも含め、ラボを取り返すことに!
そして見事、作戦勝ちでラボを取り戻したハンクら。
ハンクは、ジャネットを探すため、自らスーツを着て専用の装置に乗り込むと、量子世界へと入っていった。
ハンクが量子世界にいる間、ラボを小さくして持ち運ぶ予定だったホープらだったが、しつこくラボを狙うバーチとその手下たちとカーチェイスを繰り広げることに。
しかも、そこにエイヴァも参戦。
チェイスを制したバーチは、ラボを持って船で逃走を図る。
彼を逃さずラボを取り返すべく、スコットは25mにまで巨大化して海の中に入っていき、無事にラボを回収。
しかし巨大化の反動による睡魔が彼を襲い、海底に横たわる形でスコットは眠ってしまう。
眠った彼を助けたのは、ホープだった。
終盤
量子世界へ入ったハンク。
彼はついに、妻ジャネットと出会うことが出来、彼女を連れた再び現実の世界へと戻ってきた。
エイヴァは自身の身体を治すためジャネットの存在を利用しようとしていたのだが、戻ってきたジャネットが量子世界で身につけた不思議な力を用いて彼女の症状を直した。
そして、自宅軟禁されていたスコットも、無事に2年間が経過した。
タイトルバック。
Tiny BBQ
後日。
小型化に成功した量子トンネルを用いて、エイヴァの身体を治すための粒子を集めていたスコット。
粒子の回収を終え、現実世界に戻ろうとするも、ハンクやホープから応答がない。
ハンクとホープは、『アベンジャーズ IW』でサノスにより消されてしまったのだ。
エンドロール。
“アントマンとワスプは帰ってくる”
最後まで読んでくださり、
本当にありがとうございました!!
>ごま さん
記事を読んでくださり、またコメントをありがとうございます!
『アントマン1』や『シビル・ウォー』でも巻き込まれ体質はありましたが、今回は”そこだけ”パワーアップした第2作目でしたね。
主人公を据えかえるという発想は無かったです、完全にタイトルが頭に染み付いていました……。
確かに、『ワスプ』単体での展開として構成した方がストーリー的にも深く描けたのかもしれませんね!
全面同意です。
残念な映画でしたね。
自分としては一番ダメなところはアントマンに目的というものがないことだと思います。
今回主軸はワスプ&博士ですがまるで主人公かのようにアントマンのシーンが多いです、なのに彼にはこれといった目的がなく流されるまま話が展開していきます。
これがとてもスッキリしない原因だと思うのです。
そもそも彼は自宅で過ごしていればそれで目的は完了します、何もすることありません。
完全に私情に巻き込まれた形です。
そしてアクションもスーツの不備で全然決めてくれない、決めてくれないので爽快感がない。
ワスプ&博士が主軸の話であるのにまるでアントマンが主人公かのような描写、最初からワスプが主人公で進んでいればこんな印象はなかったかもしれません。