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【アニメ映画】『プロメア』:炎上必至の歌舞伎活劇!熱い火消の纏を掲げ、鋭い見得を切る!

※ネタバレなし。
※画像は予告映像のキャプチャです。

2019年5月24日鑑賞

プロメア

©TRIGGER・中島かずき/XFLAG

©TRIGGER・中島かずき/XFLAG

 

【評価:4.5/5.0】

 
【一言】

「火消し」の気合と生き甲斐ココにあり!

TRIGGERの鮮烈なアニメが爆発!
今石監督の怒涛疾走なアクションと、
中島かずきの猪突猛進な物語脚本!

動き出したら止まらない
熱く燃え上がる魂が最高の興奮を引き出す!

 
【Twitter140文字感想】

 

 


 

 

【目次】

 

 

ストーリー&メモを表示

 

STORY&STAFF

 

全世界の半分が焼失したその未曽有の事態の引き金となったのは、突然変異で誕生した炎を操る人種〈バーニッシュ〉の出現だった。

あれから30年――
攻撃的な一部の面々が〈マッドバーニッシュ〉を名乗り、再び世界に襲いかかる。
対バーニッシュ用の高機動救命消防隊〈バーニングレスキュー〉の燃える火消し魂を持つ新人隊員・ガロと〈マッドバーニッシュ〉のリーダー・リオ。

熱き魂がぶつかりあう、
二人の戦いの結末は――。
映画公式サイト

予告動画

 

監督:今石洋之
脚本:中島かずき
原作:TRIGGER・中島かずき
制作:TRIGGER
音楽:澤野弘之
キャスト:松山ケンイチ, 早乙女太一 and more.
上映時間:111分
日本公開:2019年5月24日
配給:東宝映像事業部
公式サイト

 

 

 


 

 

 

映画の感想

 

感想外観

 

 アニメ映画『プロメア』を観てきました!
 エネルギーが溢れすぎて、めっちゃ疲れました(笑)

 これは、絶対に映画館で観たほうが良いと思わせる、画面いっぱいのスピード感と台詞を劈く大音響が最高でした!
 TRIGGERの正統な、『グレラン』『キルラ』のDNAを繋げる作品に!

 【今石洋之 ✕ 中島かずき】のコンビ再燃!
 『天元突破グレンラガン』や『キルラキル』を世に送り出した名コンビの作品を、「TRIGGER」がアニメ映像に起こし、澤野弘之が劇伴を手掛け、名優たちが台詞を叫ぶ、豪華な作品!

 その豪華さに違わぬ、最高のアニメーションになっていました!

©TRIGGER・中島かずき/XFLAG

©TRIGGER・中島かずき/XFLAG

 胸を熱く燃え上がらせる作品でした!
 血が湧き滾る、魂を炎で包むような作品に!

 中島かずきの脚本は相変わらず!
 観客の胸を容易に掴む格好良い決め台詞と、火事場の「纏」や歌舞伎をフィーチャーした”見得”が本当に最高です!

『プロメア』冒頭アクションシーン

 TRIGGER&今石洋之監督独特のアニメーションが爆発!

 アクリル絵の具を混ぜたパレットのような透明感ある蛍光カラーで満たされた画面は、コンピュータによる無機質な炎や建造物描写と見事にマッチ!

 さらに、徹底的に磨き抜かれたアクションシーンは、途中経過を全てカットしたように圧倒的なスピード感で凄かったです!

©TRIGGER・中島かずき/XFLAG

©TRIGGER・中島かずき/XFLAG

 澤野弘之の音楽がとにかく耳を奪い、映画館でサントラを聴いているみたい!

 ドラムが鳴りボーカルが飾る澤野弘之独特のクールなのに熱い劇伴は、登場を盛り上げ、バトルを彩り、映画い息吹を与えます!

 台詞が聞こえなくなるほど大音量で流れる音楽は、聴いてなんぼ、感じてなんぼ!

映画『プロメア』劇中歌メドレーPV

 「TRIGGER作品+グレラン」への《愛》が沢山!

 他の作品は観ている必要全然ないです。
 しかし、『グレラン』をはじめ本作制作陣が手掛けた作品を観ていると、絶対に楽しっさが数倍増しになります!

 マジで、楽しかったです!

 

 

 

 

熱き物語を描き出すスタッフ!

  

 とにかく豪華なスタッフ陣が本当に凄いです!
 アニメーション、そして”コンテンツ”を第一線で引っ張るような作品を生み出し続ける素晴らしい面々が、この『プロメア』を作り上げています!

 もうなんか、その後光だけで楽しめちゃいます(笑)

【監督×脚本】

 まず作品の大前提として、「今石洋之 ✕ 中島かずき」というコンビの存在があります。 『天元突破グレンラガン』『キルラキル』を世の中に送り出してきた名コンビです!
 どちらの作品も、文化庁が主催する「メディア芸術祭」のアニメ部門で受賞をし、前者は東京国際アニメフェアや東京アニメアワードで、後者はマチ★アソビでも受賞をはたしています。

第一弾PV(グレラン✕キルラキル)

 

【監督:今石洋之】

 監督の今石洋之は『天元突破グレンラガン』や、TRIGGER作品『キルラキル』,『宇宙パトロールルル子』等を監督として手掛け、『リトルウィッチアカデミア』『ダーリン・イン・ザ・フランキス』等でも基幹スタッフとして参加しています!

TVアニメ「キルラキル」最新PV

 

【脚本:中島かずき】

 脚本を手掛けるのは「劇団☆新感線」を率いる劇作家で、今石監督の下で『グレンラガン』『キルラキル』の脚本を手掛けています。『仮面ライダーシリーズ』,『劇場版クレヨンしんちゃんシリーズ』等にも参加しています!

天元突破グレンラガン Blu-ray BOX

【制作:TRIGGER】

 アニメーション制作を担当するのは、『キルラキル』『リトルウィッチアカデミア』をはじめ、『SSSS.GRIDMAN』『ルル子』,『ダリフラ』等の、疾走感に満ちた独特の表現で描き出すアニメ制作会社TRIGGER。
 実験的なアニメ配信企画「日本アニメ(ーター)見本市」でも複数作品を手掛けています!

『宇宙パトロールルル子』 第1話「私、普通の中学生」

【キャラデザ:コヤマシゲト】

 「TRIGGER」の社名ロゴをはじめ、『交響詩篇エウレカセブン』『トップをねらえ!』でメカデザインを、『キルラキル』,『ひそねとまそたん』等でもデザインで参加しているデザイナーです!

【音楽:澤野弘之】

 『キルラキル』で劇伴を担当。その他にも『ギルティクラウン』,『進撃の巨人』,『七つの大罪』等の名だたるアニメ作品で劇中音楽を手掛ける作曲家です!

 バ~~~ッとスタッフ紹介になりましたが、この『プロメア』という作品を制作するスタッフ陣がいかに”凄いのか”がおわかりになるかと思います!

 作品の評価に”権威”を挿入するのは賛否あるでしょうが、本作はこの布陣こそ絶対的な正義だし、この時点から称賛すべきだと私は思います!

「キルラキル」オリジナルサウンドトラックPV

 

 

 

 

火事と喧嘩は江戸の華!

 

 血が湧き滾り、魂を渦巻く炎が包み込む熱い物語!

 物語とアニメーションの圧倒的な情報量に加えて、スピードMAXでぶっちぎる作品は、それだけで心臓のイグニッションをONにします!

『プロメア』冒頭アクションシーン

 物語の構図は単純で、「世界を燃やす悪」V.S.「正義の消防隊」という明快な図式で最初は物語が展開していきます。

 その中に織り込まれた要素全てが最高でした!
 テーマはまさに「火事と喧嘩は江戸の華」という言葉にピタリ!

 火事場に真っ先に駆けつけ鎮火指揮をする”火消し”の印=「纏」を掲げる漢・ガロは歌舞伎役者のように、威風堂々と自身を名乗りあげ、歌舞伎よろしく完璧な見得を切る彼の姿、そしてその台詞には心をガッツリ掴まれます!

©TRIGGER・中島かずき/XFLAG

©TRIGGER・中島かずき/XFLAG

 「理論では駄目でも、気合でなんとかなる」
 TRIGGER作品の全てに通じるような、ハチャメチャだけど筋の通ったこの式が、いつも困難を乗り越える原動力になるのです!

 炎を操る悪=バーニッシュとの戦い。
 絶対に敵わない相手に対して、救命消防隊としての正義を背負ってたった一人立ち向かっていくガロの姿はとにかく熱い!

 自分の力量を過信しているような、そんなところがメチャクチャ好きです!

©TRIGGER・中島かずき/XFLAG

©TRIGGER・中島かずき/XFLAG

 どんどんと物語は加速度的に進展していって、その度に敵バーニッシュが何倍も大きな炎になって、それに比例するように消防隊の魂も熱く燃え上がるのです!

 

 

 

 

燃え滾る男気&熱気が迸る物語

 

 前述の通り、物語の脚本を手掛けるのは中島かずき。
 『グレラン』や『キルラ~』の雰囲気を2時間の映画にギュッと詰めた最高の”熱い”物語に仕上がっていました!

 その一方で、個人的には物足りなさを感じた部分も少なからずありました。

 中島かずきさんの脚本は特徴的ですよね。
 と言っても、『グレラン』/『キルラキル』/『ニンジャバットマン』しか鑑賞していない私ではありますが、ある程度の法則は見えてきます。
 もちろん、詳細を言ったらネタバレなので、口をつぐっみますが。

 なんというか、「走っている」イメージです。
 アニメなら第一話が始まった途端に、映画ならタイトルバックしてもう直ぐに、目に見えるような《THE 超展開》が幕を開け、そのまま一気にエンディングまで突っ走る感じです。
 その間も、どんどんエネルギーを溜めて速度を飛躍的に挙げながら、ゴールまで疾走していくような、そんな印象がします。

「ニンジャバットマン」本編映像3

 本作『プロメア』もそうでした!
 一度ギアを入れたら、もう後には戻れない!そんな猪突猛進的な内容が最高で、観客には一切の操縦権も与えない、あの強制的なスピード感は癖になります!

 まぁ、だからこそ、次々展開し転回するようなスピード感が苦手な方とは、絶対に相性悪い作品であるとも思います。

©TRIGGER・中島かずき/XFLAG

©TRIGGER・中島かずき/XFLAG

 しかし一方で、残念な部分も。
 個人的には物語内に幾度もの戦闘や、度重なる加速点が用意されていると思ったのですが、さすがに2時間では難しいですね。

 中島かずきのもう一つの特徴的な部分=「世界観の拡張」とその説明にもやっぱりそれなりの時間を割かなければなりませんし、ぶっ飛んだ物語を描くにはそれ相応の説得力も持たせる必要がありますし。

 この点に関しては仕方ない部分もありますが、やっぱり残念でしたね~。
 個人的には、熱い台詞を吐きまくって、戦いまくるような映画でも良いとは思うのですがね。(むしろそれを期待していたり 笑)

 

 

 

 

鮮烈で強烈なアニメーション映像

 

 これまでも独特な表現を探求してきたTRIGGER。
 本作でも、そのお得意な特異さを存分に爆発させたアニメーションを楽しむことができ、今石監督のアクションを吟味できます!

 これを映画館の大スクリーンで観ずに、いったいどこで観るというのでしょう??

©TRIGGER・中島かずき/XFLAG

©TRIGGER・中島かずき/XFLAG

 やはり目につくのは「色」です。
 半透明で蛍光カラーのアクリル絵の具が溢れ出したような、画面の色調が狂ったような、ビビッドカラーとパステルカラーの絶妙ないいとこ取りのような、めっちゃ好みの映像でした!

 キャラの髪の毛のなんともいえない色味とか、燃え盛る炎のピンクを帯びた火炎色とか、役や立場で炎の色を変えたり、心情描写の手段として色を用いたり。

 鮮烈な色遣いでありながら、物語の内容に沿った、そして混戦するアクションをより際立たせ見やすくするための、そんな「色」が本当に綺麗で大好きでした!

『プロメア』ロングPV

 CGの描写も見事でした!

 本作の主題であるピンクの「炎」はCGです。
 それも、リアルさを追求したCGではなく、幾何学感や無機質感を”あえて”むき出しにしたような、三角形パッチのポリゴンが変形を繰り返すような、なんとも言えぬ人工感。

 この感覚がめっちゃ良かったです!
 「炎から温度を奪う」という表現がなされていたというか、画面を彩るエフェクトとしての炎と、主役としての炎を上手く融合させつつ分けていたような。

 あの映像は良かったです!

©TRIGGER・中島かずき/XFLAG

©TRIGGER・中島かずき/XFLAG

 「炎」ってアニメ表現に抜群の要素です!

 実態がない存在なので、《表現》として様々な表情を描き出すことが出来るし、様々な顔をつけることが出来るのはアニメの強さだと思います!

 実写の制御不能な炎とか、洋画のリアルなCG炎にはない、「演出」としての炎があります!

©TRIGGER・中島かずき/XFLAG

©TRIGGER・中島かずき/XFLAG

 アニメに「揺らぎ」があるんです。
 この点に関しては2019年に公開された『スパイダーマン:スパイダーバース』でも実験的な映像構成がなされていましたが、本作でも似たような部分がありました。

 ピントの合わせ方とか、カメラの移動に関わるズレとか、そういうものが映像内にあった気がします。

 違和感というか、どことなく他の作品とは違う感覚を覚えました。これが良いところなんですよ!

『スパイダーマン:スパイダーバース』予告3

 

 

 

 

怒涛のアクションと爆音の音楽

 

 アクションシーンはやっぱり見どころです!
 もう、練度が違うというか、洗練された動きとそれを描き出すアニメーションが最高です!

 途中経過を全てスキップしたようなバトル。
 一騎討ちのように名乗りを上げ、気づいたら戦っている。瞬間移動の如くなスピードでぶつかり合い、持ちうるパワー全てをぶつけるバトルは本当に格好良いです!

 さらに、それを映すアニメーションがまた、あり得ない動きでカメラを動かしたり、アニメだからこその強力な演出を入れてきていて、本当に最高ですよ!

©TRIGGER・中島かずき/XFLAG

©TRIGGER・中島かずき/XFLAG

 そして、それ飾るのが澤野弘之の劇伴
 私自身が大好きな作曲家だし、とにかく作品を盛り上げることを第一に考えられているような音楽が超クールなのに、胸に響く熱さと音量なのです!

 「格好良さ」に関しては右に出る音楽がないほどの、「これが澤野音楽」とわかるようなある種独特の劇伴で、しかもボーカル入りの音楽が異常なまでに格好良いのです!

オリジナルサウンドトラック 発売告知CM30秒(劇中歌「Inferno」特別ver.)

 キャラクターの台詞が聞こえないくらい大音量で音楽を流しバトルの効果音に負けぬほど大音量でボーカル入の劇伴を掛ける、この素晴らしさ! なんかももう、映画館でサントラを聴いているような、そんな感覚に陥ります(笑)
 絶対に家のTVやスマホのイヤホンでは”体感”できないです。映画館だからこその作品体験です!

オリジナルサウンドトラック 試聴用ダイジェストPV

 

 

 

 

『グレラン』と「TRIGGER」への愛

 

 本当に、『天元突破グレンラガン』と「TRIGGER作品」への愛情というか、オマージュというかが凄かったです!

 知らなくても楽しめるけど、知っているだけで作品が数倍楽しくなるようなこの感覚が嬉しいです。(ただ、明確にオマージュしている訳ではないとも思うのですけどね)

 本作『プロメア』の内容にも、その他の作品のネタバレにならないような部分で1つ挙げるとすると……フォントとか?
 設定や設備名、キャラ名等を画面上に独特なフォントで描く感じは、他の作品と似ていますよね!

©TRIGGER・中島かずき/XFLAG

©TRIGGER・中島かずき/XFLAG

 あとはキャラクターとかでしょうか?
 どこかで観たことあるようなキャラが沢山です(笑)

 主人公のガロは『グレラン』の兄貴ことカミナを想起させるし、消防隊員のレミーは『キルラキル』の犬牟田宝火、同じくルチアは『SSSS.GRIDMAN』のボラーの面影があるし。研究員のエリスはどことなく『リトアカ』のアーシュラ先生に似ているような。

 そもそも、キャラに関しては声優がこれまでのTRIGGER作品を代表するメンツで組まれていますしね!

 こういうのって、本当に嬉しいものです!

 

 

 


 

 

 

以降、映画本編のネタバレあり

 

本作『プロメア』の他に、
『天元突破グレンラガン』や『キルラキル』、
のネタバレがあります。
(基本はこの2作をメインにします)

ただ、情報量は少なくしますが、
他のTRIGGER作品にも
若干ネタバレをしています。

 

 


 

 

 

映画の感想
※ネタバレあり

 

TRIGGER作品の系譜を継ぐ作品

 

 めっちゃ『グレラン』だし、めっちゃ「TRIGGER」。
 観ていて、「アレは! コレも!」と本当に楽しかったです!

 これはやっぱり、知っていないと楽しめない!

 「味方が敵で、敵が味方で」
 これはもう、法則的なものになっていますよね(笑)

 『グレラン』では敵だった螺旋王と獣人が地球を守っていたり、『キルラキル』では父の仇と戦ってきた鬼龍院皐月が世界救世の鍵だったり。『リトアカ』では親近感ある先生が悪党だったり、『キズナイーバー』では裏切りと仲直りが描かれたり。

 だから、その視点で観ちゃいますよね(笑)
 そして今回は、「バーニッシュが良い奴」で「温厚な執政官クレイが悪」という反転が描かれます。
 フリーズフォースのヴァルカン大佐はもともと悪い人相、螺旋王寄りの顔ですからね……(笑)

©TRIGGER・中島かずき/XFLAG

©TRIGGER・中島かずき/XFLAG

 そして「ドリル」に「宇宙」に「異星人」
 この辺のキーワードも、観たことあるような内容です(笑)

 ロボットを操縦するのは全然構わないですが、星間移動船のエンジンに辿り着くために「ドリル」を装備して地中に潜るなんて、そんなのありですか!(まぁ、コレを待っていたようなもの笑)

 さらには、「炎が宇宙生命体」という事実は『キルラキル』の「生命戦維」や『SSSS』に通じるところがあるように思います。
 加えて、終盤の炎が地球を包む描写では、なぜか地球を優に超えて太陽系をも舞台にしてしまう展開が描かれるし、なかなか楽しかったです(笑)

 

 

 

 

ガロの熱さに心が燃え上がる!

 

 ガロの熱さは宇宙一!
 正直、人物資質的な面で考えると『グレラン』のカミナには勝てないし、肉体的な魅力では『キルラキル』の纏流子に勝てないです(笑)

 でも、台詞回しの格好良さは彼らに匹敵するか、それを凌ぐと思います。

コイツは消し甲斐のある火事だ!
俺の火消し魂に火がつくぜ!

燃えて良いのは魂だけだ!

燃えて消すのが俺の流儀だ!

 

 纏を振り上げ、見得を切って声高らかに宣言する台詞の数々は本当に格好良いですよ! もう、このまま歌舞伎に出来ちゃうんじゃないかと思うくらい、最高にキマっていました!

©TRIGGER・中島かずき/XFLAG

©TRIGGER・中島かずき/XFLAG

 あと、これまでの主人公と違ったのは「冷静」という部分だったと思います。

 『グレラン』の主人公は気合だけで突っ走り、『キルラキル』の主人公は時々自分を見失い、その他TRIGGER作品でも興奮が抑えられない主人公キャラが多かった印象です。

 しかし本作の主人公・ガロは極めて冷静に物事に対処するので、観ていて安心感があった一方、少しつまらなかったです。
 もしかしたら、120分という尺の中では暴走させている余裕はないから、冷静キャラという立ち位置にしたのかもしれませんね!

 

 

 

 

冒頭から、怒涛の展開その中身

 

 個人的には、冒頭が1番好きでした。
 街でバーニッシュによる火災が発生し、レスキューが出動、初めてマッドバーニッシュの親玉と対面するあのバトルがNo.1です!

 理由はいくつかあります。
 まず、「純粋な火消し」として消火&人命救助を描いているのはあの部分だけなんですよね。レスキューのチームとしての活躍も観られたし、対火炎用の機器がお披露目されるというワクワク感もあり、楽しかったなぁ~と!

『プロメア』冒頭アクションシーン

 一方で、その後の消火活動&バトルは「真実」を知った上での行動。

 ガロの心持ちはもちろん、観客として観る方の意識も変わるし、善悪の構図も変わっているので、なかなか「純粋な楽しみ」という部分では少し弱かったかなぁと。

 それに、前半を終えたら展開は状況説明に移行して、バトル要素は少なくなり、ただ淡々と(それでも熱く)バーニッシュの正体や執政官の真実が語られる感じ。

 上で書いたように、あの世界観に説得力を持たせるにはそれなりの説明が必要ではあるし、それでも物語を走らせる脚本は凄いと思いますが、「つまらない」と感じた部分も往々にしてありました。

 個人的な展開の要望としては、

・序盤の対バーニッシュ戦闘
・前半でもう一度戦闘&逮捕 ←new!
・バーニッシュの真相解明
・執政官によるガロ逮捕は無し ←new!
・(以降は本編通りの展開)

みたいな感じで、ガロの逮捕を短縮する代わりに、前半に「バーニッシュ=悪」という認識の状態でもう一度戦って欲しかったです。

 

 

 

 

社会的メッセージ?

 

 個人的には、アニメから社会的メッセージを解釈するのは大好きです。
 もちろん、作品にもよりますし、制作者の意図もあるでしょうけど。

 でも、本作『プロメア』はそれを感じずにはいられませんでした。

 「差別的意識」というのが如実に描かれていました。

 特に、ピザ屋でのシーンは印象的でした。
 店長が「一部の悪い奴らのせいで全員が危険視される」と嘆いている場面、そしてピザ焼き青年が逮捕された後、客らが「バーニッシュが焼いたのか」と店を後にする内容。

 少数派ゆえの社会的弱者に対する偏見の眼差しが辛いです。

 ただ一方で、「火事」という犯罪をしているのは事実だし、たとえ全体で見れば少数派でも危険な能力を持っている相手に対しては警戒せざるを得ないといのも、理解できます。

 ちょっと『X-メン』とかアメコミっぽいですよね。
 ミュータントのような特殊能力を持つマイノリティに対する社会の対応とか人々の反応とか、ミュータントたちの気持ちとか、そういう部分が描かれているところは、アメコミに似ていると感じました。

 

 

 

 

物語の展開と感想

 

 簡単に物語の展開を紹介しつつ、感想を書いていきます。

 まず冒頭
 人体発火現象とそれにと主なうバーニッシュの出現、さらに世界各地での対立の様子が映し出され、ドーーーンとタイトルバック!

 後半に繋がりますが、この場面で描かれたバーニッシュは攻撃的な志向を持っているように思うのですが、一方でリオは「非攻撃的」と言っていたけど……。

©TRIGGER・中島かずき/XFLAG

©TRIGGER・中島かずき/XFLAG

 そして前半
 街の火災現場に急行したバーニングレスキューの活躍と、出現したマッド・バーニッシュとの戦い、そして逮捕とそれに貢献したガロへの勲章が執政官クレイから授与。
 そして、過去に火災現場から幼いガロをクレイが身を挺して救ったことが語られます。

 このバーニングレスキューの活躍は本当に格好良いし、街の構造が「耐火災」と「対バーニッシュ」になっているような、細かい設計が本当に大好きでした!

 物語は中盤へ。
 囚われたバーニッシュの脱出、さらにガロとの接触とそれによる真実の判明。さらにガロが執政官の元へ糾弾に赴くも逮捕されます。
 真実とは、地殻内のマグマ活動が活発化し地球崩壊の危機が迫っているということ、執政官クレイがバーニッシュに対して人体実験を行い、彼らの能力を動力源に宇宙船で惑星移住を計画しているということ。

 何となく胡散臭さは漂っていましたが、危機がここまで迫っているとはつゆ知らず。バーニッシュが「人間である」ということを強く実感した中盤であり、一方で説明が長くて飽きた感覚もしばしば。

 からの後半
 フリーズフォースに動きを封じられたリオが復活し、巨大な龍型の炎を纏って街へ侵攻するも、バーニングレスキューとガロの活躍でなんとか食い止める。そのままガロとリオは凍った湖の下に隠されたデウス・プロメス博士の研究室を発見。
 「プロメア」という炎生命体が並行世界の惑星とリンクした地球のコアに存在しており、バーニッシュの能力の原因だと知らされる。

 ココに来て作品名の理由を回収!
 上にも書いたように、ここで宇宙生命体とか登場するあたり、さすがだと思いました(笑)

 映画は終盤へ!
 ガロとリオは博士の用意したロボットに乗ってクレイとの最終決戦へ!
 宇宙船の起動が地球崩壊を進めると博士からの説明により、エンジン始動を阻止すべくありったけの力で戦う!

 執政官の変貌が素晴らしい(笑)
 あの、目を閉じている時の温厚そうな顔と、目を見開いた悪役顔の豹変が本当に上手いですね! 堺雅人さんの演技も、静かなクレイから暴走する彼まで、見事に演じていたと思います!

 ついにエンディング
 格好良いキャスト紹介に続き、エンドロールは黄色い背景がグラデーション変化していく感じに!
 Superflyの主題歌は、なんかあまり好きじゃなかったですね……。

 

 

 


 

 

 

 今回はパンフを購入&来場者特典GETです!

 来場者特典は、前日譚となる「ガロ編」のアニメが視聴できるQRコードが付いています!

 

 

 

 

 

 

 最後まで読んでくださり、
 本当にありがとうございました!!

 

 

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