※ネタバレあり
2017年4月30日
【評価:4.5/5.0】
【一言】
武力攻撃シーンの迫力と政府省庁関係官僚閣僚の会議も緊迫、ゴジラの気迫が凄かった!
目次
STORY
朝、東京湾で大規模な爆発とともに巨大な水蒸気柱が上がり、アクアラインでは崩落事故が発生。政府は海底火山の活動と判断したが、直後に謎の巨大生物が原因であると見解を改める。
巨大生物は川の河口から上陸して都心を破壊しながら四足歩行で進み、その後変態をして二足歩行になる。自衛隊が駆除を試みるも失敗し、なす術もないなか、巨大生物は一度海へと戻っていった。
政府内では官房副長官の矢口を長とする対策本部が設置され、未知の相手に対する様々な策が練られていく。
予告編
詳細
監督:庵野秀明
脚本:庵野秀明
制作:東宝
キャスト:長谷川博己,竹野内豊,石原さとみand more.
上映時間:119分
日本公開:2016年7月29日
配給:東宝
感想
※過去ゴジラシリーズは未見です。
感想外観
武力攻撃シーンが最高に面白かったです!自衛隊のヘリ、戦車、戦闘機など総力を挙げての攻撃、米軍の支援など過去に類を見ないほどの大規模な武力作戦はやっぱり見もの!
首相を筆頭とする省庁官僚閣僚や対策本部、関係者の会議や議論の緊迫さと、混乱が熱かったです!
状況づくりが上手かったですね!
未知の事故、正体不明の怪獣、放射線汚染の危険、米軍や国連安保の関与、最終的には「核の使用」を迫られて、緊張感を高め続けていました!
専門用語の羅列が大好きです!正直、意味のわからない、理解が追いつかない、そもそも字幕も読めないような感じで畳み掛けてましたが、それが雰囲気造りに貢献してましたね。
邦画はあまり見ないので詳しくはないですが、日本の俳優がかなり出演してましたよね。石原さとみ、綺麗だったなぁ〜。
音楽がまさにエヴァンゲリオンでした(笑)意識したんでしょうねぇ〜。
映像、これが本気を出したCG技術ですね。ちゃんとやれば素晴らしいものが出来るじゃないですか!
不満点としては、日時を字幕として表示してほしいのと、冒頭から前半部分をもう少し詳しくは描いてほしかったです。
クレジット、協力した企業や組織名を見るのが本当に楽しかったです!各自治体や省庁、企業、そして自衛隊の部隊や広報の名前の数々。
これは、続編を作って欲しいですね!
武力攻撃場面
実写映画でこれだけの規模の火器を用いた作戦シーンがありましたかね?とにかく数と量を集めた攻撃が見ものでした!
ゴジラが鎌倉方面から上陸してきた後の攻撃『タバ作戦』。ヘリからの射撃、ミサイル発射、戦車からの砲撃にMSRS弾の使用……そして米軍爆撃機による地中貫通爆弾による攻撃。
ゴジラへの血液凝固剤投与を目的とした『ヤシオリ作戦』。新幹線や鉄道列車に爆弾を積み込んで衝突、米軍プレデター群での爆撃、建設機械部隊による薬剤投与。
ゴジラに攻撃が効かない分、次から次へと新たな兵器、武器が出てきて攻撃をしたから面白かったです。自衛隊の強さというか、武力の大きさを知りました。
戦車や戦闘機などを出動させるにも、エイリアンと戦うという訳でなく、状況的に現実に近いような状態での出撃だったのがまたわくわくしました。明確な目的を持っての攻撃は一貫性や一律性があって良かったです。
それにしても、電車に爆弾を積んでぶつけるってよく考えましたね。
官僚閣僚会議場面
冒頭で事故があった直後から会議や話し合い、巨大生物と確実視された次にはすぐに緊急有識者会議、閣議や対策本部の設置など会議の流れが良かったです。
見ていると、優秀な官僚とゴミ官僚、有能な閣僚とクズ閣僚がいる事が明らかに分かりますよね。
総理大臣は国民の事をよく考えている“良い首相”ではありましたが、“有能な首相”であったかどうか……。
一方で女性防衛大臣は有能でしたね〜。意見をしっかりとし、防衛省のトップとしての役割を果たしていたと思います。(今の稲田防衛大臣と違って……2017.5.1)
それから、日本の省庁の縦割りについても良くわかりました。こういう大きな事件で描かれるとあからさまですね。
矢口さんが「あらゆる対策を講じろ」的な事を言ったあとに「どこの役所に言いましたか?」って返答が帰って来たのは印象的でした。
2017年4月から『正解するカド』というアニメが放送されていまして、それがこの『シン・ゴジラ』とよく似ているんです。会議とか国連の手出しとか。
危機に追い込む状況
状況造りが上手だと思いました。
まず原因不明の事故。重要度がそれほど高くないからこそ原因についての会議ができていました。
そして正体不明の巨大生物の出現。全くの未知という「どうしていいのか分からない」という雰囲気が混乱を招いていました。
一段落した後の放射線汚染の危険性。大震災での放射能の影響と恐怖を知っているから詳細な説明がなくても事の重大さが分かりました。
そして米国、国連の関与。『熱核兵器』の使用を迫り、カウントダウンをし始めた事で時間的な制約が生まれ、それによって緊張感が一気に高まりました。
映像・音楽・演出
映像に関しては、「凄い」って感想です。ここまでの高クオリティリアルCGは邦画はもちろん、洋画でも珍しいのでは?
ゴジラが街を破壊していく様子とその轍に残った瓦礫の細かさ、ゴジラや人類火器によるビルの倒壊シーンは綺麗でした。
『シン・ゴジラ』白組によるCGメイキング映像
で、褒めるべきは戦闘シーンにおける自衛隊装備。戦車やヘリが本当にリアルで本物みたいでした!もちろん、本物も使用しているでしょうが、基本的にはCGでしょう。
ヘリシーンCGメイキング
音楽で印象に残っているのはやはり『ヤシオリ作戦』関係で流れた音楽。重低の打楽器音が等リズムで響くあのBGMはまさにエヴァンゲリオンの『ヤシマ作戦』ですよね(笑)あ、音楽担当の方はエヴァと同じ人のようです。
シン・ゴジラBGM
エヴァンゲリオンBGM
演出では、“専門性”が光っていましたね。
登場人物の口から出るのは役人では縦割りや法律、世間体を気にする単語。専門家からは生物学用語なのか物理学用語なのか判別すら面倒臭いような言葉が次から次へと躍り出て来ていました。
さらに、字幕では場所や役職と名前、火器装備名や会議名などが並んでいますが全部読むのは不可能(笑)でも雰囲気出てましたし、面白かったです!
ゴジラのビームを『対空火器』と呼んでいたりした部分に専門性というか、安易にビームと呼ばないんだと感心しました。
ゴジラ
ゴジラ、不気味でしたねぇ〜。怪獣というより、モンスターというか……(おんなじ意味か)
知っているゴジラ像、「The ゴジラ」ってシルエットじゃなくて、肌の表面の細かい部分とかが見えて気持ち悪かったです。
特に第二形態はヤバかったですね。身体の横のひだの動き、謎の液体を噴出する様子、そしてあの動き方……。
ゴジラのビジュアルに関してですが、あそこまで気味悪いのは『まぶたが無いから』だと思います。まばたきしていないから、生物らしさが皆無で、気味悪い雰囲気を出しているんだと思いますね。
キャラクター
邦画はほとんど見ないし、バラエティも見ないので日本の俳優、役者、タレントさんはほとんど知りません。
強いて挙げれば、NHKの大河ドラマと連続テレビ小説、時々相棒を見るくらい。
でも、今作は日本の役者オールスターとまでは言えないまでも、かなりの人数が出ていましたよね?
主人公の内閣官房長副官の矢口さん、頭が切れるというか、対応が的確でしたね。冒頭からすでに巨大生物の可能性を考えたし、対策本部の指揮や『矢口プラン』の立案し、米国大使のカヨコとも渡り合う。
そして、日本の未来を救う事を第一に考えて行動しているのがまた良かったです。
カヨコは上述したように可愛かったし、綺麗でした。英語混じりの日本語が良かったし、その英語の発音がバリバリ上手かった!
不満点
まず、1つ目に字幕について。エヴァと同じ字体にしてほしかったです。『シン・ゴジラ』の方が少し細いですよね?
『シン・ゴジラ』本篇中の字幕フォントが(多分)特定できました。いつも庵野監督が使っておられるエヴァ明朝/俺明朝ことフォントワークスのマティスEBではなく、タイプバンクの本明朝EⅡ(標準がな)と思われます。 pic.twitter.com/arJ7s2RnbX
— 祥太(4/30レイフレ16い01+02) (@shota_) 2016年7月30日
次に、2つ目に時刻や日付を字幕として書いて欲しかったです。ゴジラ出現から何時間後、何日後、の出来事なのかイマイチ状況が掴みづらかったです。
そして、3つ目は冒頭から前半部分にかけて。いきなり事故の正体が巨大生物って見抜いたりと映像があるにしてもさすがに唐突すぎるというか、感が良すぎるというか……。
最後
ゴジラは凍結したままの保管ですから、続編とかも作りやすいかもしれませんね。
というか、ぜひ続編を作って頂きたい!
そして歳後のエンドロール。スタッフクレジットが流れていく中で、最後の方に協力組織や会社名が並んでいましたが、すごかったです。
企業や官省庁、自治体などに加えて自衛隊の部隊名まできちんと記載してありました。見ていて楽しかったです!
それから、2017年からゴジラのアニメーション映画が公開されます。こちらが楽しみすぎます!!
脚本は『魔法少女まどか☆マギカ』や『Fate/ZERO』の虚淵玄さん。これは期待できます!