報道の自由vs政府の機密。 新聞という武器で戦う記者達が本当に格好良かった! 決断の大きさ、情報の入手、執筆と編集と戦場さながらの戦いには息をのむ! 後半の忙しさ・緊張が最高!
※ネタバレなし。
※画像は予告映像のキャプチャです。
2018年4月2日鑑賞
ペンタゴン・ペーパーズ
(原題:The Post)
【評価:4.5/5.0】
【一言】
報道の自由vs政府の機密。
新聞という武器で戦う記者達が本当に格好良かった!
決断の大きさ、情報の入手、執筆と編集と戦場さながらの戦いには息をのむ!
後半の忙しさ・緊張が最高!
ストーリー
多額の負債を抱える新聞社ワシントン・ポストは長年家族経営をしてきて、現在は女性のキャサリン・グラハムが社長を務める。
彼女が証券取引所で株式の公開をしようと考えている中、とあるスクープの噂が流れてきた。
それは、大統領何代にも渡って隠されてきたベトナム戦争に関する機密文書だという。
予告動画
感想
感想外観
報道という戦場で、「真実と自由」を武器に戦う新聞社の人々が渋くて、そして本当に格好良かったです!
ネタを掴む競争、記事を書き上げる時間との戦い、大きな決断と判断、政府との戦い。静かな紙面の下に隠れた激しさが印象的でした!
「決断」が本当に熱かったです。
政府の機密文書を新聞の記事にして公表すべきなのかどうかの判断は本当にその行く末が気になりました。
その他にも、「決断」が映画の物語の中で大きな流れの転換をする役割を果たしていて、良かったです。
そして「決意」が胸に響きました。
新聞社として、真実を伝える役割を担う者として、そして報道の自由を守る者として。
何をすべきか、どうすべきか、何が大切かを自分に言い聞かせるように、もしくは白熱の議論の最中で、語っていて格好良かったです。
あとは純粋に「ワシントン・ポスト」というアメリカを代表する新聞社や、その他米国の新聞社がこんな戦いをしていたとは知らなかったので、驚きました。
内容は少し難しかったような気もします。特に物語の全貌が曖昧な前半は若干つまらなくも感じました。
でも、中盤から後半にかけての展開・内容は面白かったし、アクション映画(?)のような激しさがあって引き込まれました!
これは完全に私が悪いんですけど、登場人物がなかなか把握出来ませんでした……。役職や名前があまり語られなかったり、似たような背格好の人が多くて……(笑)
静かな戦い
描かれた新聞社のお話。
静かな紙面の背後に隠された、記者や編集者の熱く激しい戦いが本当に印象的で、また格好良かったです!
ネタを掴むため他社と競争する記者、獲得した膨大な情報に目を通して記事を形成する編集者、発行のGOサインを決断する上役、印刷所や配達の人々。
1つの紙面、1部の新聞を毎朝発行するのに、数々の戦いをして、多くの人の手を渡っているんだと改めて知りました。
まぁ、今回に限っては、扱う内容が政府の機密文書ですから、その戦いも激しくなるし、忙しくなるので、余計に見応えがありました。
そして、記者や編集者など新聞社の人々が、さながらの「真実と自由」を背負ったヒーローのように見えるほど、本当に格好良かったです!
その姿は、「報道する」という強い決意と義務感と使命感から来ているんでしょうね。最高でした!
決断
なかなか、ネタバレになるので書きづらいのですが……予告編から推測できる部分をメインに書きます。
「決断」が本当に強かった!
大きな所で言えば、やはり国の最高機密文書を紙面に乗せて、政府と全面的に争うかどうかの、「発行の決断」をするシーンが熱かったです。
一方間違えれば政府の圧力で新聞社が無くなるかもしれないし、もしかしたら犯罪とされるかも。でも、真実を報道するのが新聞社の使命。
2つの選択肢に揺れるのは、新聞社の株主であり、社長である一人の女性。
彼女の悩む姿、周囲に相談して考える姿は、まだまだ男性優位の社会で大きな責任だろうし、勇気のいる事です。
それでも、1つの決断を下した彼女は本当に格好良かった!!
これ以外にも「決断」は重要なものから軽いものまで様々ありましたが、そのどれもが強い決意に満ちていて格好良かったです!
決意
決意。
これは映画に描かれた誰もが持っていたように思います。
特に新聞社の人々は。
真実を伝える使命を帯び、報道の自由の守護者としたの役割があり、それを背負って働く彼らの仕事ぶり、そして決断には強い決意が現れていました。
「報道の自由を守るには、報道するしかない」
劇中で使われた言葉ですが、とても印象的でした。
そして、強い決意を持った人たちが激しい議論を交わす場面も熱かったです。
それぞれが大きな目的と目標を抱きながら、意見を戦わせる話し合いが激しく映ったのは、その決意に満ちた意見がどれも正しかったからだと思います。
実話の話し
実話と言うことでしたが、本作は「こんな事あったのか〜」と意外と素っ気なく観てました。衝撃的な事件や事故を描いた実話映画じゃないですから。
それでも、こんな大きな事が大統領数代に渡って行われていたのは凄いですよね。
本作でももちろん、実際の映像や音声が使われています。その他に、登場人物として普通に出てくるのですが、それが結構本人に似ているんですよね!
公式サイトに「ペンタゴン・ペーパーズ」に関するコラム等が掲載されています。
それと、アメリカを代表するワシントン・ポストの会社事情について初めて知りました。とっても、日本の新聞社についても全く知らないので、微妙な所はありますが。
それに、ポスト紙を始めとして、他の新聞も真実を伝える為に戦っているんだと知りました。
あと、新聞の印刷方法も今回きちんと見た気がします。
タイプライターで原稿打って、それをエアシューターで送り、原版を作って印刷する。(流石に、現在は違う方法ですよね……?)
引き込まれる物語
色々な意味で難しかったです。
まず、個人的に、登場人物が分かりづらいです……。皆んな同じような中年〜年配の人物ばかりで、しかもなかなかフルネームとか名前が語られなかったし、役職とかも微妙だったりで難しかったです……。
(ベンって名前が2人いるのは辛いっす)
公式サイトに人物相関図が載っています。
そして内容。なんだか、前半は想像していた話と違って少しばかりつまらないように感じました。文書を巡る熱い物語というよりも、ポスト紙に関する現状を話していて、つまらなかったのかなぁ〜と。
また、「政府の機密文書を記事にする」という程度のことは知ってましたが、なかなかそこまで辿りつなかったり、全容が見えないので「どう関係するの?」と疑ってしまう部分もあったり。
ネタバレあり感想
以降、映画本編のネタバレあり
ネタバレあらすじ&感想
序盤
制作会社のロゴが映し出され、そして『The Post』とタイトルバック。
最初に描かれたのはベトナム戦争における、ジャングルでの戦闘や夜間の敵襲。
泥沼化するベトナム戦争の状況を確認するため派遣されたダンは、国防長官に「戦況は悪化している」と報告する。
しかし、国防長官がメディアに発表した内容は、戦況は好ましいものであるという嘘だった。
ベトナム戦争の状況悪化を隠して不毛な戦争を続ける事に怒りを覚えたダンは、勤務するライト研究所に保管してあった書類をこっそりと持ち出す。
それはアイゼンハワー大統領からケネディ、ジョンソン、そして現職のニクソン大統領がベトナム戦争について国民には隠してきた情報が記されていた。
前半
首都、ワシントンD.C.。
債務を抱える家族経営の新聞社「ワシントン・ポスト」を率いるのは、自殺した夫の代わりに株主兼社長である妻のキャサリン・グラハム。彼女は会社の状況を上向かせるため、株式を公開して証券取引所への上場を考えていた。
そんな時、ホワイトハウスから電話が。内容は、ニクソン大統領の長女の結婚式にポスト社の記者は参加させないというもの。
政権に対し厳しい姿勢をとってきたポスト社は次女の結婚式を台無しにした過去もあり、取材拒否を申し入れられた。
電話のあと、キャサリンはポスト紙の編集主幹であるベン・ブラッドリーと朝食をとる。しかし記事の方針で意見は割れてしまう。
その後、彼女は株の公開に関する話をするため、銀行の担当者などと会議に臨んだ。
一方、ポスト社編集部ではNYタイムズの敏腕記者であるシーハンが何か特ダネを掴んでいると睨んだベンが、探りを入れるよう指示する。
NYへと飛んだ新人はタイムズ紙のビルに潜入し情報を探るも手掛かりは無し。しかし、偶然乗ったエレベーターの中で翌日の紙面編成の原案を盗み見ることに成功し、帰社後すぐにベンに報告した。
翌日、NYタイムズに大きなスクープが載った。
1面にデカデカと掲載されたのは、3ヶ月かけてシーハンが追ったベトナム戦争に関して歴代の大統領が隠していた最高機密の文書の抜粋と記事だった。
一方のポスト紙の一面はニクソン大統領の娘の誕生日記事。
NYタイムズは2日連続でマクナマラ元国防長官が関与していたと思われる文書の記事を掲載し、それは全米各地で政府への大きなデモを引き起こした。
中盤
NYタイムズに出し抜かれたポスト紙の編集主幹ベンは、なんとか遅れを取り戻そうと情報収集に力を入れるよう指示を出す。
そんな時、素性の不明な少女が一人編集部に入ってくると、箱を一つ渡して帰っていった。
その箱の中にあったのは、マクナマラ文書の一部だった。
少女の持ってきた文書を元に数時間で記事を仕上げようと動き出す編集部だったが、同じ文書がNYタイムズに掲載され、あえなく失敗。
ところが、政府も黙っているわけにいかず、法務省が機密漏洩や国家反逆罪等でタイムズ紙を訴えた。
裁判所はタイムズ紙に土曜日まで数日間の記事差し止めを命じ、タイムズ紙もそれにひとまず従う事にした。新聞の差し止めは共和制の歴史で初めてのことだった。
その頃、キャサリンは株式を公開し、証券取引所で演説を行った。
一方、ポスト紙編集部ではバグディキアンが文書の出処に目安をつけた。それは文書のコピーを保管しているランド研究所で、昔そこで働いていた彼は、今回の漏洩をしたと思われる元同僚に心当たりがあった。
目星をつけたその元同僚であるダンに連絡し、会う約束をはたバグディキアンは夜、モーテルへ向かった。
部屋のベッドの上に広げられていたのは、大量の文書のコピーだった。ベンの説明では、文書は全47巻で4,000ページあるという。
一方、文書の入手に目処が立ったベンは、キャサリンの元を訪れると、仮定の質問としながらも、今後についてほのめかすように話す。
本編映像
ダンは政府がベトナム戦争の真実を秘密にして、アメリカという国の体裁を保つ為に兵士を戦場へ送っている事が許せなかった。
タイムズ紙が差し止めになった今、ダンはバグディキアンに「差し止め命令が出されても掲載する」と誓わせると、文書を託した。
文書を持ってワシントンに戻ったバグディキアンは、ベンの家に直行。そこには既に他の編集部のメンバーも集まっていた。
4,000ページあり、順番もバラバラのマクナマラ文書を手に入れたベンは、それを翌日の新聞に掲載すべく、締切10時間という強硬スケジュールを組み、それぞれ作業に取り掛かった。
本編映像
後半
キャサリンはマクナマラの元を訪れると、なぜ文書と情報の隠蔽を行ったのか問い詰める。一族は大統領との親交が深かったが、今回の件は友人という関係では収められなかった。
本編映像
ベンの家では編集作業が進んでいた。そこに呼ばれたのは弁護士。この記事は法律に触れる可能性がある為、そのチェックに呼ばれたのだ。
そして掲載の可否を巡る議論は発展し、ポスト社取締役のフリッツや役員らも集まり、そして誕生日パーティーを開いていたキャサリンに電話をした。
電話で繰り広げられたのは、社長であるキャサリンに対して掲載を求めるベンと、掲載の中止もしくは延期を進言するフリッツによる議論だった。
会社の存続と安定を考えるフリッツ、[報道の自由を守るには報道しかない」とするベン。
2人の意見をキイタキャサリンは、新聞というメディアに課せられた役割を鑑みた上で結論を出す。
「やりましょう、掲載する」と。
記事の執筆が終わり、校正に回された草稿。新聞の1面に大きく設けられた空枠の仮タイトルは「ペンタゴン・ペーパーズ」となっていた。
作業が進む中、弁護士がバグディキアンに聞きに来たのは情報源の事だった。裁判所の命令では、差し止めを指示したポスト紙の関係者も罰せられてしまう。
そして、バグディキアンが入手した情報の情報源はタイムズ紙と同一人物であり、それは法廷侮辱罪に問われる可能性が高いとの事だった。
印刷時間が迫る中、ベンは最後の決断を求めるためキャサリンの自宅を訪れた。そこで弁護士は法廷侮辱罪に問われる可能性がある事の説明をし、掲載の延期を進言した。
再びベンとフリッツが口論を始める中、キャサリンはベンにいくつか質問したあとで決断した。
「やれ」
その言葉を聞くと、ベンはすぐに受話器をとって電話をかけ、GOサインが出たと印刷所に連絡した。
終盤
ポスト紙がマクナマラ文書について掲載した新聞が発行されると、すぐに法務省から掲載の中止を求める電話が。
しかしベンは断ったことで、戦いは法廷へ移った。
裁判所での戦いは、優秀な弁護士のお陰もあってポスト紙は差し止めを免れた。しかし、タイムズ紙は継続となってしまった。
その後、バグディキアンが紙袋に入れてベンの元に持ってきたのは、他社の新聞。そのどれもが1面に文書の記事を掲載していた。
最高裁判所にて、ポスト紙・タイムズ紙vs政府による「報道の自由」をかけた裁判が行われた。
ポスト紙編集部の誰もがその判決を待つ中、いよいよ発表された──6対3で勝訴だった!
判事は「建国の父たちは報道の自由に保護を与えた。報道は統治者のものではなく、国民のものだ」という意見を表明。
後日。
印刷所内を歩くキャサリンとベン。ワシントン・ポストが有力な全国紙になった事を喜びながら、キャサリンは「新聞は、歴史書の最初の草稿」と言う言葉を口にした。
別の夜。
民主党本部の入るウォーターゲートビルに何者かが不法侵入したとワシントン警察に連絡があった。
そして、エンドクレジット。
最後まで読んでくださり、
本当にありがとうございました!!