米山舞初個展「SHE」：感情迫る瞬間を切り取った写真のようなイラスト。

　こんにちは。
　お元気ですか？

　漫画家ヤマザキマリさんが、日経番組の新型コロナへのリレーメッセージ企画で寄せたコメントがとても好きです。

（毎日、不安や緊張感と向き合いながら生きていくのは辛いですが、）良い映画を見るようにしたりとか、良い本を読むようにしたりとか、とにかく生きていく前向きな力を養うための、この精神力を鍛える、これが何よりも大事ではないかと、今は思っております。
WBS「コロナに思う」#6

本当にそう思います。”良い物語”は心が豊かで明るくなる不思議な力を持っているし、物語に触れている時間は本当に幸せですからね。

　さて今回はイラストレーターとして、またアニメーターとして活躍されている米山舞さんの個展「SHE」の写真と感想です！　本当に素晴らしい展覧会でした！

2019年12月24日訪問

米山舞初個展「SHE」

 
【一言】

アニメーター・イラストレーター 米山舞さんの個展！
”感情”の気迫が真に迫る凄さ。
逆境に立ち向かう彼女たちには、
決して後ろ向きではない”強さ”を感じた。
写真のように背景ばボケたイラストは、
生々しい”瞬間”を切り取ったような臨場感。

 
【Twitter140文字感想】

【米山舞初個展「SHE」】

「逆境」「逃避」「想い」
彼女たちが目の前にする瞬間。
手を伸ばし、涙が零れ、叫ぶ。
堪えて、噛締めて、笑って、泣いて。
緻密な背景とカメラのシャッターを切ったようなボヤかしが、生々しい刹那の臨場感を演出して、感情が伝わる。

アニメ関連のお仕事も大好きです！ pic.twitter.com/jwVzF3bwFC

— ArA-1 (@1_ARA_1) December 24, 2019

展覧会と作家について

展覧会「SHE」

イラストレーター、アニメーターとして幅広く活躍する米山舞による初個展「SHE」。米山舞が個人制作したオリジナル・版権作品の展示をはじめ、自身がキャラクターデザインを担当する商業作品なども多数展示いたします。
pixiv WAEN GALLERY限定のオリジナルグッズなども販売予定です。 この機会に、米山氏がつくりだす世界に、ぜひ足をお運びください。
公式サイト

会場：pixiv WAEN GALLERY
会期：2019年12月6日～25日
料金：無料
公式サイト：こちら

米山舞

アニメ制作会社トリガーを経てアニメーター、イラストレーターとして活躍中。確かな技術と卓越したセンスで情感豊かな表現を生みだす。『レーシングミク2016』、エヴァンゲリオンアパレルブランド『RADIO EVA』などのイラストの仕事のほか、『キズナイーバー』キャラクターデザイン、『ダーリンインザフランキス』ED演出、本編原画など、アニメの仕事にも多数参加している。
展覧会サイト

・pixiv
・公式サイト
・Twitter

米山舞さんのコメント

はじめまして、米山舞と申します。
普段はイラストレーターやアニメーターとして活動しています。

【SHE】

誰にでもさまざまな状況や場面、困難な逆境に立ち向かう時がある。
その瞬間の彼女、彼、それらを切り取ってみたいと思いこのタイトルを付けました。

自分自身もアニメからイラストへ活動の場を変えた事で環境の変化などがあり、そこで感じた思いや言いたい事を作品に託そうと思い、心情や感情がテーマの作品を多く描くようになりました。

それぞれのSHEを感じていただけたら幸いです。そして誰もがSHEであり、共にあると願っています。

最後に、この個展を開催するにあたり支えてくださった家族や同僚、この機会を与えてくださったピクシブさまとTWIN PLANETさま、準備に携わってくださった方々に深く感謝いたします。

そして何よりも本展にお越しくださったみなさま、本当にありがとうございます。
ごゆっくりお楽しみください。
米山舞

個展終了しました…！普段なかなか自分がこうう人間だと言える機会もないのでこのような機会をいただけて良かったです。お忙しい中時間を作って来てくださった方、遠方からお越しくださった方、本当にありがとうございました。 pic.twitter.com/d0AgCm6VOX

— 米山舞 − 𝗦𝗦𝗦 (@yonema) December 25, 2019

展覧会の感想

　米山舞さんの個展です！
　会場は表参道のpixiv WAEN GALLERY。

　米山さんのイラストも大好きで、Twitterやpixivを拝見しています。それに、米山さんが参加されたGAINAXやTRIGGERのアニメも大好きな作品ばかりです！
　展覧会を見に行くことができて本当に嬉しかったです！

　もの凄かったです……。
　絵の”感情”の気迫が違う、とても言うべきか。
　描かれた女の子たちが置かれた状況と、彼女たちが見せる表情の深さが真に迫るというか、内側から溢れ出すような、そんな生々しさ?を感じました。

　”ただ可愛い”だけの絵ではなくて。
　展覧会の会場の壁に飾られているを観た時に、その”物語性”に引き込まれたというか。なんだか、「良い小説を読んだ」あとの感覚に似た感じがしました。

　例えば、作品のシリーズ。
・「SHE」：《逆境》をテーマにした作品。
・「esc.」：《逃避》をテーマにした作品。
・涙を流す少女を描いた「cry babies」
・月刊誌の占いコーナーの扉絵として描かれた、季節の花と誰かを想う少女の姿。

　イラストの主人公に物語を持たせているところ。作品シリーズのテーマがバックグラウンドになっているところ。そういうストーリーがとても濃いと思います。

　でも、その詳細は分からない。
　分かるのは「逆境」や「逃避」という2文字の単語か、「泣く」や「想う」といった動詞だけ。全てを描くわけではなく、むしろ足りないくらいに含みを持たせているところに、想像力をかきたてられたし、魅了されました。色々なことを思わせてくれます。

　すごく「強い（つよい）」というのが私の感想。

　逆境、逃避、涙。
　描かれているテーマは苦しいところだけど、そこに立ち向かう彼女たちは皆んな”強く”映りました。一義的な「強い」だけじゃなくて、もう少し深みのある感じ（言葉に直すのが難しい……）。

　目一杯に手を伸ばして、大粒の涙を零して、聞こえそうなほど叫んで、精一杯に堪えて、唇を噛み締めて、とてもいい顔で笑って。

　決して”後ろ向き”ではないと私の目には映ったし、ここまで感情を爆発させながらも冷静さを感じました。
　でも、「抗っている」とか「我慢している」とはまた違う、自分の感情に嘘を付いていない感じのイラストが多かったと思いました。

　「写真」みたいなイラスト。
　主人公の女の子にピントを合わせて、その周囲や背景をボヤかす描き方が、カメラで撮った写真っぽいと思いました。

　だから、凄く生々しい刹那感がします。
　「今この時の一瞬を切り取った」という色褪せない臨場感が生まれていたように感じました。もちろん他の作家さんのイラストだって瞬間を切り取っていますけど、桁違いというか。これは本当に驚きました。

　逆に、米山さんの商業イラストの多くはカメラっぽい演出がされていないから、ここまで鮮烈な臨場感を伝えているわけではないと感じました。

　アニメーターとしてのお仕事。

　アニメ制作会社「GAINAX」から「TRIGGER」へ。 
　『パンティ&ストッキングwithガーターベルト』や『キルラキル』など代表作で原画などを務め、『キズナイーバー』ではキャラデザと総作監を担当。『ダーリン・イン・ザ・フランキス』ではED演出を手掛けられました。

　どの作品も大好きです！

　商業イラストなど。

　すごくサッパリまとまっている印象でした。
　『エヴァ』コラボの洋服やアイテムの絵とか、西尾維新『ヴェールドマン仮説』の表紙絵とか。単純に色が少ないからか、渋いからか。どちらにせよ、私が好きなタイプ！

　最後に、一番印象に残ったイラストを1枚。
　「cry babies」の《またね》という作品。

　最初に見た時は普通のイラストだと思いました。
　結露がついたガラス窓を手で拭いた跡から顔をだす女性。とても自然に彼女にフォーカスしているな、と思いました。

　でも、よく見たら！
　水滴の跡に気づいて、小さく変な声を挙げてしまいました。

展示イラストの紹介

　展覧会は写真撮影OKでした！
　イラストを掲載しながら、米山さんのpixiv投稿やツイートを紹介します！

SHE

本展に向けて「逆境」をテーマに新たに描き下ろした作品集。
様々な事に立ち向かう彼女たち、その先には真ん中のTHE ONE、唯一無二へ集約するイメージです。
次は反撃の時です。

esc.

個人のイラスト集として初の同人誌、esc.のために描かれた「逃避」とテーマにしたシリーズ。
逃避している少女たちを背景や効果を用いてシーンイラストのようにする目的で描きました。
逃げることは決断でもあり、希望でもあることを示したかったような気がします。

esc.より pic.twitter.com/ynsnVtS0sI

— 米山舞 − 𝗦𝗦𝗦 (@yonema) January 7, 2019

esc. pic.twitter.com/igMxJLfbCF

— 米山舞 − 𝗦𝗦𝗦 (@yonema) March 23, 2019

Newtype horoscope

月間ニュータイプの占いコーナーに描かれたイラスト。
毎月扉絵が変わり年かけて揃ったもの。
それぞれの月での誰かを思う女の子と季節の花をモチーフとしています。

cry babies

商業イラスト

講談社より本日発売の西尾維新さん著「ヴェールドマン仮説」の装画を担当いたしました。記念すべき西尾さんの著作100冊目ということで大変光栄に思いつつ、楽しく描かせていただきました。カバーは特殊折りなのでぜひお手に取って吹奏野家の全員を確認してみてください〜。よろしくお願いします！ pic.twitter.com/hg1krGaJbz

— 米山舞 − 𝗦𝗦𝗦 (@yonema) July 31, 2019

TVアニメ「どろろ」のトリビュートイラストを描かせていただきました。よろしくお願いします〜。守子唄の巻の百鬼丸のイメージで描きました。https://t.co/s2OgmtJSt4 … #どろろ pic.twitter.com/mbIgeeimwX

— 米山舞 − 𝗦𝗦𝗦 (@yonema) May 22, 2019

https://t.co/HRpJwUJdgx #SSS_STUDIO pic.twitter.com/KyUhSR0KeX

— 米山舞 − 𝗦𝗦𝗦 (@yonema) February 19, 2019

RADIOEVA

「日常に溶け込むエヴァンゲリオン」そんなコンセプトを引っさげて2008年にスタートしたエヴァンゲリオン公式プロジェクト『RADIOEVA (ラヂオエヴァ)』。エヴァンゲリオンの未だ見ぬ表現方法を模索し、洋服やバッグ、インテリアや自転車など多種多様なアイテムを通してアウトプットを続けています。
2019年11月には、渋谷PARCOに店舗をオープンしました。

everlasting

SHE main visual

フィギュア

アニメのお仕事

令和だし折角なのでキズナイーバーの円盤ジャケまとめておきます。わりと描いたな〜
KIZNAIVER BD-DVD JACKET – 1,2 (2016)
Design by room-composite(@room_composite)さま pic.twitter.com/AdwqzFcuPy

— 米山舞 − 𝗦𝗦𝗦 (@yonema) April 30, 2019

KIZNAIVER BD-DVD JACKET – 5,6 (2016)
Design by room-composite(@room_composite)さま pic.twitter.com/Y8gAnWvht7

— 米山舞 − 𝗦𝗦𝗦 (@yonema) April 30, 2019

　個展の感想と写真は以上です！
　本当にとても素晴らしいイラストが盛りだくさんで、観に来てよかったと心の底から思える良い展覧会でした！！

　ただ、心残りが1つ。
　アニメ『キルラキル』のアートワークが見られるということでワクワクしていたのですが、まさかの長蛇の列Σ(´∀｀；)
　しばらく並ぶも見れる気配がまったく無かったので、今回は泣く泣く諦めました……。本当に残念で仕方ないです……。

最後まで読んでくださり、
本当にありがとうございました！