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森美術館「未来と芸術展」(1/3):都市計画&建築|社会課題を解決するSFスマートな未来の街!

 

 こんにちは!
 お元気ですか?

 先日、バーチャル上に再現された渋谷スクランブル交差点で『攻殻機動隊 SAC_2045』のイベントが開催され、それに参加しました! これ、本当に凄かった! やっぱりテクノロジーって最高!(イベント自体はグダグダ笑 [動画])

 さて今回は、森美術館で開催された「未来と芸術展」の感想と作品紹介を全3回に分けて投稿していきます。
 最新のテクノロジー進化を作品として展示し、社会と人間の「未来」をアートで考えるとても素晴らしい展覧会でした!!

 いま、この記事を書けてよかったです。
 前代未聞の感染災害が全世界を覆う2020年。コロナ禍の中で、色々な人が「未来」を今までにないほど真剣に考えていると思うから。

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 


 

2020年1月13日訪問

未来と芸術展
AI、ロボット、都市、生命
――人は明日どう生きるのか

森美術館「未来と芸術展」感想と写真

 
【一言】

森美術館の「未来と芸術展」
噴出する社会問題と進化する科学技術。
人が創る”未来”を《アート》で見せる。
最高にワクワクする作品が集まった展覧会!
“ポスト・コロナ”の世界では未来は大きく変わるかもしれないけど、考えることが大切だと思う!

 
【Twitter140文字感想】

 

 

 

 

 

展覧会の概要

 

 2019年11月末から六本木の「森美術館」で開催された「未来と芸術展」。進化する最先端のテクノロジが描き出す”未来”の可能性と危険性を芸術作品で問いかけた展覧会です。
 

テクノロジーの発達は、いま、私たちの生活のさまざまな側面に大きな影響を与えようとしています。[…]そうした急激な変化がもたらす未来は決して明るいものだけではないかもしれませんが、私たちは、少なくとも20-30年後の未来のヴィジョンについて考えることが必要なのではないでしょうか。それは同時に、豊かさとは何か、人間とは何か、生命とは何かという根源的な問いにもつながるのです。

本展は、[…]5つのセクションで構成し、100点を超えるプロジェクトや作品を紹介します。AI、バイオ技術、ロボット工学、AR(拡張現実)など最先端のテクノロジーとその影響を受けて生まれたアート、デザイン、建築を通して、近未来の都市、環境問題からライフスタイル、そして社会や人間のあり方をみなさんと一緒に考える展覧会です。
公式サイト

「未来と芸術展」トレイラー

「未来と芸術展」トレイラー#2

会場:森美術館
会期:2019年11月19日~2020年3月29日
   (※新型コロナの影響で2月29日に閉幕)
料金:一般1,800円
公式サイト:こちら

 

 

 

3Dウォークスルー公開

 「未来と芸術展」の3Dウォークスルーが公開されました!

 展覧会の会場内を360°撮影したもので、ストリートビュー的な感覚で展覧会を観ることができます!!
 また、展示だけでなく、解説文もテキストとして埋め込まれているので、とてもオススメです!!

 もの凄くオススメです!
 展覧会の雰囲気を味わえるので、ぜひ一度は御覧ください!!

my.matterport.com

 

 

 

 

 

 

展覧会の感想

 

 森美術館の「未来と芸術展」です!

 とても楽しみにしていた展覧会でした。
 実際に見てみて、やっぱり最高に素晴らしい展覧会でした!

 私が大好きな分野がギュッと詰まっていました。
 やっぱり、テクノロジーって面白いし、アートの力って凄いし、社会問題って考える幅が広いし、有名な作品も集まっていて、本当に凄かったです!

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

展覧会の風景

 科学技術と社会問題に関する様々なトピックが本当にたくさん織り込まれていて、社会系が大好物な私にとっては最高の展覧会でした!

 「AI、ロボット、都市、生命」
 地球温暖化や気候変動問題と、それに対する再生可能エネルギー技術や省エネ技術。新しい都市設計や居住環境。新素材やデザイン。宇宙開発。自然環境との共存。進化する遺伝子技術とバイオテクノロジー。付随する生命倫理。人工知能(AI)の利便性と危険性。インターネットの拡大とフェイクニュースの拡散。世論操作。人間の衣食住。

 ありとあらゆるテーマが詰まった展覧会で感無量。
 観ていてすごく楽しかったし、ワクワクしました!
 ここ数年で観た展覧会の中でも、抜群に楽しかったし、色々と考えながらじっくり観た展覧会でもありました。

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

展覧会で再現された「バイオラボ」

 「アートって凄い」「フィクションって凄い」

 いつも思っています。
 そして、この展覧会を観て改めてそう思いました!

 「難しいことを分かりやすく伝える」とか「現実では難しいことを形にする」という点では、アートやフィクションの右に出る者はいないと思います。そこから議論が始まるし、問題提起にもなるし。

 例えば、以下の写真。
 本展に出品された「変容」というシリーズの1つです。新生児に外科手術を施し、耳の後ろに開口部を作ることで、投薬を効率的に行う、というもの。
 もちろん現実世界でこんなことしたら非難の嵐ですが、これを提示できるのはアートだから。そして、この是非を考えるのが社会の役目だと思います。

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

アギ・ヘインズ「表皮性マイオストミー」〈”変容”シリーズ〉

 素晴らしい作品が揃っていました!

 以前からずっと観たいと思っていた作品の本物を観ることができて感無量だったし、気になっていたプロジェクトの概要を目の前で観ることが出来て嬉しかったです!

 画家ゴッホが自ら切り落とした左耳を再現した作品と、微生物のDNAに音楽を埋め込んだ作品。それからUAEで計画されている未来都市の概要。

 特に前者2つを見れただけで、入場料の2, 3倍は払う価値があるほど。

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

画家ゴッホの左耳を再現した作品

 冒頭でも触れましたが、いま感想を書けてよかったです。

 地球規模のパンデミックに世界が曝された2020年。
 様々なところで「ポスト・コロナ」の単語を聞くようになりました。たぶん、今までにないほど沢山の人が「将来」や「未来」について考えていると思います。良い意味でも、悪い意味でも。

 「未来と芸術展」は2019年11月末に始まりました。
 ここで描かれた「未来」と、いま新しく描き直す「未来」では、別物になる部分も少なくないかもしれません。けど考えるヒントはいっぱいあるはずです!

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

1月13日撮影の夜景

 

 

 

 

 

 

展示作品の紹介について

 

 「未来と芸術展」は5セクション構成です。

S.1:都市の新たな可能性
S.2:ネオ・メタボリズム建築へ
S.3:ライフスタイルとデザインの革新
S.4: 身体の拡張と倫理
S.5:変容する社会と人間

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

写真撮影&シェアもOKでした!

 今回は記事を3つに分割して投稿します。
 分量が多く、写真も多いので分割投稿形式です。

● 第1回:都市と建築(S.1, 2)
● 第2回:人々の生活(S.3)
● 第3回:生命と社会(S.4, 5)

 作品のコンセプト文。
 本当は全部読んで欲しい。私の感想文や駄文コメントなんかより、よっぽど作品コンセプトとかの”良い文章”を読んで考えて頂きたいです。

 けど、都合上、一部を省略しています。
 なので、ぜひ気になった作品などは各文章に添付したリンク先で全文を読んで頂けるととても嬉しいです!

 

 

 

森美術館 館長 挨拶

 本展は、AI、バイオ技術、ロボット工学、 AR (拡張現実) など最先端のテクノロジーとその影響を受けて生まれたアート、デザイン、建築を通して、近未来の都市、 環境問題からライフスタイル、そして社会や人間のあり方を考察する展覧会です。
 […]新しい現実認識やヴィジョンが競い合う創造活動のフロンティアでは、もはやアートと科学技術の境界は消滅します。 本展も、分野の壁を越えて多様な事例をご紹介します。
 今、我々は、科学技術の進展により、現実世界についてまだ何も理解していないということを再認識しています。 ルネッサンス以後続く人間中心の世界観を見直す必要があるでしょう。動植物、地球環境と人間を等価で重視する新しい世界観の中で、人間の価値のありようが問い直されるかもしれません。今一度、人間とは何か、我々は何処に向かっていくべきなのかを考え直すことが迫られます。現代は哲学的思考とアートの批評的洞察が必要な時代ですが、本展がこのような喫緊の課題を可視化し、皆様と共に考える機会となれば甚幸です。
[…]森美術館 館長 南條史生
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森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 

 

 

 

 

セクション1:
都市の新たな可能性

 本セクションでは、現在進行中の都市計画や未来の都市像を提案するプロジェクトなどをご紹介します。[…]  また、現代の高度情報化社会において、都市はバーチャルなデジタル空間へも広がりつつあります。[…]都市のインフラがコンピュータ・プログラムなどアルゴリズムで管理・制御され、インターネットとつながることで、デジタル空間が私たちの生活に影響を与えはじめ[…]ています。
 持続可能な都市を築くためには、機械工学や自然エネルギーの活用、植物・生物などの利用、アルゴリズムの適用による人間の活動の合理化が必要でしょう。そうしたテクノロジーは、同時に都市の概念を大きく変えることになると思われます。[…]未来の都市は、有機的に組織され、変化・生成する柔軟で不定形なものになる可能性があるのです。
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森美術館「未来と芸術展」南條史生解説ビデオ 01

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 

 

作家:ビャルケ・インゲルス・ グループ
作品名:オーシャニクス・シティ
原題:Oceanix City(by Bjarke Ingels Group)
制作年:2019

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 エネルギーや資源などを全て区域内でまかない、国連の「持続可能な開発目標」を体現するモジュール型の水上都市の構想。
 いま、世界のどこを見ても、各企業の社会貢献や、国家・自治体の成長計画を見ても、必ず「SDGs」の単語が挙がっています。そんなSDGsを実現する水上都市。海上に近未来型のコミュニティを形成するって格好いいし、そのイメージもすごくクール‼ 持続可能で拡張性にも優れていて、まさに夢のよう。

森美術館「未来と芸術展」南條史生解説ビデオ 02

[…]海上コミュニティ《オーシャニクス・シティ》の計画[…]です。今後想定される地球温暖化に伴う海面上昇を背景とし、国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)にもとづく、人工的生態系の提案です。エネルギー、水資源、食料、廃棄物の流れが制御された、モジュール型海洋都市の青写真となることを意図しています。
[…]モジュール型街区は[…]最大300人にまで成長する自律・独立型コミュニティを収容します。6つのモジュールを集め中央に港を置くことで[…]「ビレッジ」を形成し、[…]「ビレッジ」を6つつなげることで10,000人の街が形成されます。「ビレッジ」は、社会的機能、レクリエーション機能、商業機能を持ち、市民が自由に散策できるようになっています。時とともに有機的に成長、変形、順応し、小さな街区が無限の広がりを持つ街へと進化するのです。
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作家:ポメロイ・スタジオ
作品名:ポッド・オフグリッド
原題:Pod Off-Grid(by Pomeroy Studio)
制作年:2016

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 未来型都市の提案プロジェクトによる、エネルギー・インフラに頼らないモジュール型海上都市。
 格好いい! 個人的には、「同心円型」と「ビル型」はSFに登場する未来都市のイメージ要素の2つです。単純だけどスタイリッシュに映るし、…..なんだか未来っぽい(笑) あと、モジュールを重ねるというところも。

ポッド・オフグリッドは、海上に浮かぶエネルギー・インフラに頼らない(オフグリッド)コミュニティ創出を目的とした、モジュール型の開発による都市のプロトタイプです。各モジュールは、住居、公共施設、農業地などのセクターと、発電、水濾過、廃棄物処理を行うユーティリティ・ユニットから構成されています。本プロジェクトは、世界各地で展開可能な、未来型都市の新しいプロトタイプの提案で、[…]主宰のジェイソン・ポメロイは、建築家、学者、作家、そして[…]サステナブル・デザインにおける世界的主導者のひとりとして知られています。
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森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 

 

 

作家:MADアーキテクツ
作品名:山水都市リサーチ
原題:Shanshui City Research (MAD Architects)
制作年:2009

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 東洋的自然観と現代都市を融合させた「山水都市」です。
 人・都市・環境の融和的な関係は、西洋より東洋の方が強いと言われます。「山水都市」の詳細は分かりませんが、それを埋め込んだ都市構想なのだろうと。
 建物の流線型のフォルムはとても綺麗! 流線型が多用されているデザインって未来っぽいと思います。模型はとても面白かったけど、コンセプトの詳細とかは分からず残念……。

森美術館「未来と芸術展」南條史生解説ビデオ 03

[…]東洋的自然観と現代都市が融合された「山水都市」を提唱し、人と都市と環境の新たな関係性の創出を目指します。「山水都市」を体現した《朝陽公園プラザ》(2017年)は、景観に対する中国の伝統文化と、建築におけるコンピューテーショナル・デザインとが融合されています。[…]朝陽公園の広大な自然環境を敷地内部に取り込み、建築に対して自然を配置するのではなく、ランドスケープの一部として建築が機能するように計画されています。「山水都市」の概念を体現すべく、山の上から水が流れ落ち敷地の中に谷を形成するように、多様なスケール感を持つ新たな都市空間が作り出されるのです。[…]全文はこちら

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

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森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 

 

 

作家:フォスター+パートナーズ
作品名:マスダール・シティ
原題:Masdar City (Foster + Partners)
制作年:2014-

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 アラブ首長国連邦のエコシティ。
 石油燃料を一切使わない、二酸化炭素ゼロを目指す都市です。この計画は有名です。そもそも産油国UAEのアブダビ政府が主導というのがとても面白い! 各地で再エネ導入は加速しているけど、この都市が実現したら凄いと思います!

森美術館「未来と芸術展」南條史生解説ビデオ 04

[…]アラブ首長国連邦のアブダビで建設中の未来都市の計画です。先端エネルギーを駆使して、ゼロ・エミッション(環境を汚染する排出物を出さない)のエコシティが目指されています。砂漠の中に、新しいテクノロジーと伝統的なアラブの共同社会の原理が結びついたコミュニティを生み出すべく、アブダビ政府によって主導されています。
640ヘクタールにもおよぶこのプロジェクトは、石油に依存しない生活のために再生可能エネルギーとクリーン・テクノロジーの開発を進めています。[…]全文はこちら

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

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森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

Masdar City

 

 

 

作家:XTUアーキテクツ
作品名:Xクラウド・シティ
原題:X_CLOUD CITY (XTU Architects)
制作年:2019

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 地表に住めなくなった近未来に、大気圏内に居住空間を生み出すというコンセプトです。
 まず、模型のインパクトが凄い! 会場で実際に目にした時のワクワクが最高でした。疑問も湧いてきます。「どうやって浮かせるのか」とか「緑色の植物?は何?」とか。色々と知りたいなぁ。

森美術館「未来と芸術展」南條史生解説ビデオ 05

エックス・クラウド・シティは、大気汚染や人口過密、地球温暖化などにより、地表に住むことが難しくなった近未来、雲の上の大気圏内に居住空間を作るという提案です。[…]人口の増減や使用用途の変化に合わせ、自由にモジュールの数を変化させることが可能です。
XTUアーキテクツは、植物や藻類など有機物を用いて環境負荷を軽減させる建築のリサーチを行っていますが、本作も植物の浄化作用を活かしたプロジェクトとなっています。
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森美術館「未来と芸術展」画像/写真

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森美術館「未来と芸術展」画像/写真

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森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 

 

 

作家:ヴァンサン・カレボー・ アルシテクチュール
作品名:パリ・スマートシティ
原題:PARIS SMART CITY (Vincent Callebaut Architectures)
制作年:2014-2015

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 パリ市が主導したスマートシティ構想。「パリ協定」に基づくGHG排出削減目標を達成するための計画です。
 歴史的景観と科学的未来の融合! 緑がいっぱいの未来都市はワクワクする。けど、一方ではパリの景観は残して欲しい気も……。それに、パリは建築物の高さ制限があるから色々と難しそう。

このプロジェクトは、[…]再生可能エネルギーの活用や新しいライフスタイルの提案をすることで、都市のヒートアイランド現象や温室ガス問題に取り組もうとする野心的なプロポーザルで、パリ市の委託によって作られました。背景には、2015年に合意されたパリ協定に基づく、2050年までに温室効果ガスの排出75%削減というパリ市の目標があります。
「歴史的なパリ」をコンセプトとして、[…]第14区には、全長23キロの「生態系回廊」によって建物全体が光合成する《アンチ・スモッグタワー》が提案されます。
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森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 

 

 

作家:会田誠
作品名:NEO出島
制作年:2018-2019

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 日本の国会議事堂上空に現れた上級階級のための《ネオ出島》。
 会田誠さんらしい皮肉の効いたコンセプト(笑) 日本の中枢を担う霞ヶ関の上に、公用語が英語の特別区域を造るという時点でもう面白い。

森美術館「未来と芸術展」南條史生解説ビデオ 07

霞が関地区や国会議事堂の上空[…](の、)公用語を英語とした、グローバル・エリートのための都市である《NEO 出島》[…]。バブル崩壊以来失われつつあるアジア地域のハブとしての存在感を、日本が失わないために現代の出島を作るという極端な提案[…]。会田は、[…]自身の感じた違和感や矛盾、世界の混沌をそのままに、実現性を度外視した提案として提示します。現代のグローバリゼーションやエリート主義、格差社会への痛烈な皮肉ともいえるでしょう。
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森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 

 

 

作家:ザ・ワイ・ファクトリー/デルフト工科大学
作品名:ポロ・シティ
原題:PoroCity (The Why Factory / Delft University of Technology )
制作年:2012-2019

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 都市の多孔質性が社会・環境・経済の面で有益であると示すオープンな都市を考えるワークショップで作られた成果物。
 閉鎖的で隔絶的な都市空間を変える。その試みはとても面白いし、今後の社会コミュニティの維持で大切にされることだと思います。でも、建築物の方は分からないから、実際に参加して話を聞かないと難しいのかも……。タイトルに意味を掛けているのが好き。

現代の都市は、人々の生活やエコロジー的循環から切り離された、閉じられた建築によって出来ています。そのような建築空間を、いかにして「開く」ことができるのでしょうか。「ポロ・シティ」は、都市や建築における多孔性[porosity]の可能性を検証するリサーチ・プロジェクトです。この展示では、3次元空間をピクセルで読み解き、レゴで制作することによって、さまざまな機能(テラス、眺望、日射、湿度、自然換気、など)をもった「開かれた」建築を提案しています。[…]全文はこちら

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

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森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

How to open up our solid towers? PoroCity at Mori Art Museum

 

 

 

作品名:2025年大阪・関西万博誘致計画案
制作年:2019

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 2025年大阪万博の誘致計画で示された次世代都市の構想をひとつにした未来都市モデル。
 なんだかよく分からない部分の方が大きいけど、拡張現実を多用した案内とか情報の表示の構想はとても未来っぽくて面白かった! 「万博」はまさにテクノロジーの博覧会だから、今から楽しみかも!

森美術館「未来と芸術展」南條史生解説ビデオ 08

 2025年、大阪・関西万博誘致活動のための会場計画案は、未来の社会を体現するため、「非中心」、「離散」といった[…]多様な個や集団の間で常に変化する、現代ならではの関係性が表現されています。同時に自動運転をはじめとする自律型モビリティやAR/MR(拡張現実/複合現実)などの新しい都市的要素の運用にも適合した、次世代の都市構造を提案するモデルでもあります。
 […]未来の都市では、[…]私たちがモノとして認識できる「物理世界」と、ウェブに代表される「情報世界」とがあり、それらの中間領域となる「コモン・グラウンド(共有基盤)」が想定されます。[…]全文はこちら

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

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作家:五十嵐太郎
作品名:映画にみる未来都市

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 未来都市では造形よりシステムに注目すべきで、その中心には人工知能がある。それらを描いた映画作品の数々。
 「システムが大切」という点には大いに同意! けど、ここに挙げられた作品が必ずしもそうとは……。それより『サイコパス』よか『マイノリティ・リポート』とか『マトリックス』とかの方が合ってるように思います。

 ここには、建築史家の五十嵐太郎が選出した、未来都市を描いたSF映画やアニメーションが流れています。[…]SF映画の中には未来都市像が描かれてきましたが、建築の造形的なイメージはモダニズムと現代建築を組み合わせたものなどで、革新的な都市像は見られませんでした。そうした未来都市で注目すべきは、造形よりもシステムで、その中心には人工知能があります。
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森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 

 

 

 

 

セクション2:
ネオ・メタボリズム建築へ

 都市における人口過密や人口流出による空洞化、人的・物的の移動の加速化や環境問題への対応が求められている今日、コンクリート、鉄、ガラスによって作られる20世紀的な建築とは異なり、環境の変化や用途の変更に柔軟に対応するための新しい建築が希求されています。このセクションでは、新しい素材の開発や新工法の研究を紹介し、今、まさに起こりつつある、建築の原理の刷新を考察します。
[…]  建造の自動化の研究も進んでいます。[…] […]これはメタボリズム*の再来を思わせます。メタボリズム建築の概念は、1960年代当時の技術では実現することができませんでしたが、最新の情報技術やバイオ技術等ソフト・テクノロジーによって、自然と共生し、持続可能で可変的、柔軟に変容する建築は、現代版メタボリズムである「ネオ・メタボリズム」とでもいうべき新しい建築の可能性を示唆しています。

* メタボリズム:1960 年代に黒川紀章[…]らが展開した日本独自の建築運動および理論。「新陳代謝」を意味する用語で、生命が成長、変化を繰り返すように、建築や都市も有機的にデザインされるべきであるという理念に基づく。
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森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 

 

 

作家:ビャルケ・インゲルス&ヤコブ・ランゲ
作品名:球体
原題:The Orb (Bjarke Ingels & Jakob Lange)
制作年:2018

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 巨大な球体。
 《球体》をどう捉えるかは千差万別ですが、私は「SF愛好者のため」のものかな、と。鏡面の球体って訳なく惹かれます! アーサー.C.クラークの著作の『時の目』のイメージを思い出しました!

 […]2018年に[…]開催されたフェスティバル「バーニング・マン」で発表されたものです。荒野の中、空中に浮かぶ巨大な鏡面の球で、地球の表面の50万分の1のスケール[…]です。[…]クラウド・ファンディングで資金調達がなされ、現地では多くの人々の参加により組み立てられました。《球体》は、地球を愛する人たちのための鏡であり、日陰を作るための装置であり、SF愛好者のための新しい惑星であり、旅行者の道しるべであり、パーティ好きな人たちのための巨大なミラーボールであるといえるでしょう。
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森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 

 

 

作家:ハッセル・スタジオ+EOC
作品名:NASA3Dプリンター製 住居コンペ案
原題:NASA 3D Printed Habitat Challenge(HASSELL STUDIO + EOC)
制作年:2018

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 NASAの火星住居コンペに提出された案。
 火星への移住計画は真剣に議論されているし、様々な施設案もたくさん発表されています。個人的には、ここに展示された住居はあまりに現実的で少しだけつまらないな、とも思いました。(前に「氷」を材料にした計画を見て、面白いな、と思ったので)

 […]NASAが開催する3Dプリンター製住居のコンペに提出された提案です。4人の宇宙飛行士が火星に移住し、1年間働くことができる住居を建設するもので、火星の過酷な環境に対処するために、2段階で建設を行います。
 第一段階では、3Dプリンター機能を持つ自律型ロボットが火星に送られ、火星の表面に豊富にある砂を材料とし、電磁波から防御するシェルターが作られます。第二段階では、宇宙飛行士が住むための可変性居住用ユニットが建設されます。
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森美術館「未来と芸術展」画像/写真

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森美術館「未来と芸術展」画像/写真

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作家:MX3D& ヨリス・ラーマン・ラボ
作品名:MX3Dの橋
原題:MX3D Bridge (MX3D & Joris Laarman Lab)
制作年:2015-2019

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 コンピューター制御による3Dプリントの金属製橋。
 3Dプリントは今まで不可能だった立体物を生み出せるから凄いと思います。 この橋は、映画『エイリアン』に登場しそうで、少しギーガーっぽい! あとは『スタートレック』とか!

 […]3Dプリントによるステンレス製の橋です。汎用型の産業用ロボットアームにステンレスを溶かしながら排出する専用のツールを装備し、コンピュータで制御することによって製作されました。従来の鋳造などによる金属成型ではなく、ロボットアームで金属を積層させながら形態を成型するこの手法により、複雑で自由な形が可能になりました。[…]コンピュータが描き出すデザインとロボットによる自動的な施工を目指す本研究からは、人間とロボットが融合した未来の建築と施工の姿を思い描くことができるでしょう。
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森美術館「未来と芸術展」画像/写真

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森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 

 

 

作家:ミハエル・ハンスマイヤー
作品名:ムカルナスの変異
原題:Muqarna Mutation (Michael Hansmeyer)
制作年:2019

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 コンピューターによって計算されたパターンを金属パイプで組み上げた作品。
 本当に凄かったです。外側から見るとロープによって仕切られた逆円錐状の構造が浮かび上がっていました。で、中に入ると、頭上からたくさんの金属パイプが垂れ下がる不思議な空間。無機物なのに、生物の細胞の断面図を見ているようで不思議な感覚でした。パイプは長さがバラバラなので、遠近感も変になりました……。
 解説にもありますが、ここに論理性とかパターンを見出すのは、人間の目には不可能だと強く思いました。

森美術館「未来と芸術展」南條史生解説ビデオ 09

 […]「ムカルナス」とは、イスラーム建築で見られる持ち送り構造の装飾で、数種類の単純な幾何学模様を繰り返すパターンが特徴的です。[…]この幾何学による伝統的な装飾様式を参照しながら、コンピュータを用いたシミュレーションにより、人間では到底作図できないようなデザインを生み出しました。[…]  本作は論理的に計算されたデジタルならではの形態を持ちます。しかし、論理的であるにもかかわらず、私たちの目には奇怪な異形のものとして映ることでしょう。それはまるで、人工知能などによって支えられた現実の不気味さと、一方でそこで生まれつつある新たな美意識の目覚めを、同時に示唆しているかのようでもあります。
全文はこちら

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 

 

 

作家:エコ・ロジック・スタジオ
作品名:H.O.R.T.U.S. XL アスタキサンチン g
原題:H.O.R.T.U.S. XL Astaxanthin.g (ecoLogicStudio)
制作年:2019

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 ブロック内に藻類が埋め込まれ、生物コロニーが形成されます。
 展覧会ポスターに用いられていた作品。これは昼間の方が緑が綺麗に映ったかもしれませんね。「植物を植える」のではなく、「建築材内で育てて一体化する」というのは面白いし、未来っぽい!! サンゴを模していますが、まさに海中の生態系と同じ!

森美術館「未来と芸術展」南條史生解説ビデオ 10

 これは、[…]バイオ技術を使った彫刻です。サンゴの形をコンピュータによってシミュレーションした造形物[…]内には微細藻類が埋め込まれ、それらが太陽光によって光合成を行い、酸素を生成しながら造形物内で生物コロニーが形成されています。
 建築や都市の形を環境に順応させるべくコンピュータで最適化をおこない、生物との融合によって機能を作り出す本作は、機械と自然の双方の知性を組み合わせることで生まれるのです。[…]全文はこちら

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

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作家:WOHA
作品名:オアシア・ホテル・ ダウンタウン
原題:The Oasia Hotel Downtown
制作年:2011-2016

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 シンガポールに実在する緑化率1,000%のビル。
 めっちゃ格好いい! 温室と人間活動を融合させたような感じで、まさに「都会のオアシス」なのかも。今は”オアシス”状態だけど、これが普及したらとてもいい街になるかもですね。

 これは、シンガポール中心部に建つ高層ビルです。[…]外周の赤色のメッシュが植栽によって覆われ、あたかも植物によってできた塔のような外観を見せ、新しいランドマークとなっています。[…]  建物全体の緑化率は1,100%に達し、植物は竣工後も成長を続け、鳥や小動物が生息し、都市における生物多様性を促します。シンガポールは、次世代型の都市開発、特に都市緑化を開発戦略の重要なものに位置づけていますが、そうした状況の中でも、この建築は緑化の徹底さにおいて際立っています。
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作家:ニュー・テリトリーズ/ フランソワ・ロッシュ
作品名:気分の建築
原題:an Architecture of Moods (New-Territories / Francois Roche)
制作年:2010-2011

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 住人の深層心理や生理学的情報を反映する建築の提案。
 より個人の意識や要望を重視しながらも、あくまで「集合住宅」に焦点を当てているところが面白いな、と! あと、施工を担うロボットが蚊みたいなフォルムで、動いているところを想像するのが楽しかったです。

森美術館「未来と芸術展」南條史生解説ビデオ 11

 本作は、未来の建築概念を考案するリサーチ・プロジェクトです。住人の深層心理や生理学的な情報を計測・解析し、それらを建築設計の要素として採用することで、住人の隠れた願望に基づく理想の集合住宅建築を計画することを提案するものです。
 […]人々の深層心理や生体物質[…]の情報や数値をパラメーターとした最新の数学理論を用いて構造体が設計されます。施工はバイオ・セメントを素材にロボットが自動で行うという設定です。
 個々人の要望が巨大な建築プロジェクトの設計に反映されるという点において、少数の建築家やディベロッパーが決定権を持つトップダウン型ではなく、ボトムアップ型の建築を提案するものであるといえるでしょう。
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おわりに

 

 「未来と芸術展」の感想、第1回目でした!
 まだまだ、あと2回分続きます!───果たして書き終えることが出来るのか……。気長にお待ちいただければ幸いです!

 いつも通り、雑談。
 まず、冒頭に書いた「攻殻機動隊」のイベント

 仮想空間上に構築されたスクランブル交差点が会場でした。この「バーチャル渋谷」は渋谷区公認で、5Gのプロモーションを兼ねて、KDDIや観光協会など50社が参画するプロジェクトです!

VRイベント空間「バーチャル渋谷」イメージムービー

 「建築」について。
 権威あるプレゼンイベント「TED」で面白い動画があったので、貼っておきます。今回の展覧会で紹介された《オーシャニクス・シティ》にも触れられています!

 動画にも日本語字幕がついています。もしくは、以下サイトでは文章で掲載されています。

水上都市やレゴハウスをはじめとする建築の未来の形

digitalcast.jp

 同じく、「建築」について。
 いま、明治大学の青井哲人教授が建築学科の講義「建築学概論」を公開されています。

 展覧会で「建築」は観るけれど、きちんと“学問”として勉強したことはないので、とても貴重な機会です!
 それに、まさに大学の授業をそのまま展開しているので、色々と考えることが出来て面白いです!

medium.com

 「建築」に関してもう1件。
 世界中の建築空間をアーカイブに残したり、公開や共有ができるドキュメンテーション・サービス「ARCHI HATCH」が5月に開始されました!

 様々な建築を3Dのストリートビュー的な形で見ることができます!(閲覧は今回の「未来と芸術展」のWEBビューと同じ)

archihatch.com

 

 

 

【連載記事】

第1回:都市計画&建築

第2回:生活&人工知能

第3回:生命科学&人間

 

 

 

最後まで読んでくださり、
本当にありがとうございました!
次回もよろしくお願いします!

 

 

 

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