2018年7月21日訪問
みんなのミュシャ
ミュシャからマンガへ──線の魔術
【一言】
恋に落ちそうなほど美しいイラスト。
描かれた女性は女神のように綺麗で神秘的な雰囲気を湛え、長い髪と柔い衣装が素晴らしい!
宝石や花々を擬人化した絵は装飾に富み、洗練されたデザインの文字とともに素晴らしいポスター・アート!
【Twitter140文字感想】
【 #みんなのミュシャ 展】
A.ミュシャの表現と作品、美意識。
悠然さと優美さを湛えた女性像。
《美》と《生》を讃えた印刷美術。女性、花、宝石、星。
彫刻的で建築的な意匠凝った装飾。
しかし柔い流線型の曲線が踊る図像。恋したみたい。
いつまでも観てたい。
吸込まれる「美しさ」に感動! pic.twitter.com/rQHf1HyQki— ArA-1 (@1_ARA_1) 2019年7月21日
展覧会の概要
ミュシャ財団監修による本展は、ミュシャ幼少期の貴重な作品、自身の蔵書や工芸品、20代に手掛けたデザインやイラスト、そしてミュシャの名前を一躍有名にしたポスターなどを通じて、ミュシャの原点と作品の魅力に迫ります。さらに、ミュシャ作品から影響を受けた明治の文芸誌の挿絵から、1960-70年代のイギリス・アメリカを席巻したグラフィック・アート作品、現代の日本のマンガ家やアーティストの作品まで、およそ250点でミュシャ様式の流れをたどります。時代を超えて愛される画家の秘密をひも解く、これまでにないミュシャ展です。
展覧会公式HP
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
会期:2019年7月13日~9月29日
料金:一般1,600円
公式サイト:こちら
ミュシャの作品紹介 (一部)
展覧会の感想
『みんなのミュシャ展』です!
ミュシャの作品は本当に大好きで、数年前に国立新美術館で開催された「ミュシャ展」では大作『スラヴ叙事詩』を鑑賞することができ、今回は「ポスター類」を鑑賞することができて、本当に嬉しい限りです!
ミュシャの作品は「美しい」です!
ポスター・イラストに描かれた女性たちはとっても美しく、彼女たちを飾る装飾が綺麗で、さらに宣伝文句や文字のデザインがお洒落で、本当に大好きです!
この美しさ、特に女性に惚れ込んでしまいます。
こんなにも美しい女性像は後にも先にも見たことがないし、ミュシャの作品の女性は彼女たちが持つ雰囲気から他作品とは一線を画する優雅さが溢れているように感じます。
美しさの中に優雅さとか優美さとか、柔らかさとか悠然さとか、滑らかさ?とか優しさとか、とても“ゆったり”した空気・雰囲気を内側に秘めているような印象で、本当に好きです!
恋しそう!
好きになりそう!
大人の雰囲気が抜群に感じられるし、サラ・ベルナールを描いたポスターはその堂々とした立ち姿と演じる役の雰囲気がピッタリだし、少女の絵は若々しい可愛さに満ちているし!
女性たちの澄ました表情は素敵だし、長い髪の毛が円形に舞ったり、まっすぐに垂れ下がる美しさは絵だからできる表現。身体のラインを強調するような柔らかい布の衣装はセクシーだけど神秘的な趣を湛えてて、“女性らしさ”を最大限に引き出しているように思えます。
「美しい女性像」という言葉でしか言い表せないし、個人的には「モナ・リザ」なんかよりもずっと魅力的で、現代の「萌え絵」よりも可愛いと思います!
絵の主題と装飾がこれまた美しい!
「花」や「四季」や「宝石」を擬人化したり主題に据えたりした連作は、主題の持つ美しさを何倍にも協調するように描き出すし、女性の周囲を囲う花のモチーフがまたとにかく綺麗!
自然物の装飾が綺麗です!
「ユリ」が1番印象深いですが、ミュシャの作品を飾る「植物」や「宝石」は生き生きとしているというか、装飾として最大限のパフォーマンスを発揮するように配置され、描き出されているから凄い!
博物館の植物誌みたいに丁寧に描かれながらも、古代遺跡の壁画やレリーフのように見事なデザイン性を伴っていて、これがミュシャ作品の魅力の大きな理由だと思います!
それから、文字と線!
独特の太い輪郭線でデザインされた文字は、やっぱりなんとも言えぬ魅力があって、“ミュシャらしさ”の代表的なパーツだと思います。あの角が取れた柔らかい文字のデザイン。大好きです!
とにかくミュシャが大好きです!
なかなか、総合的な感想を述べるのが難しいので、以下で作品を挙げながら感想を書いていきます!
1つ言えるのは、「本物を観るべき」ということ!
ミュシャ作品は印刷物やポスターということもあり、ネット上でも高画質な画像がたくさん見つかります。でも、それでは全然魅力も美しさもわかりません!
作品の「大きさ」とか「色」とかは、作品の前に実際に立って眺めて初めて心惹かれるものだし、出会いも実際に美術館に行かなかればありません!
次で紹介する作品は、そうして出会った、本展で私が恋に落ちた少女のポスターです!
作品の題名は「『遠国の姫君』に扮するサラ・ベルナール」というもの。
女優:サラ・ベルナールを描いたポスターです。
上でも触れたように、ミュシャのイラストは「濃い輪郭や太い線」が印象的なのですが、この作品は真逆。輪郭線がなく、風景と少女が溶け合うような滑らかで優しい雰囲気に満ちていて、本当に衝撃的に印象に残りました。
普通に可愛いし、綺麗で、5分10分と作品の前で見つめていました。たぶん、「美術作品に恋した」感覚は、本人じゃないと分からないんだろうなぁ~。
※この画像より本物の方が数百倍可愛い
今回の展覧会は、題名「ミュシャからマンガへ──線の魔術」というように、ミュシャ作品とそれに影響を受けた作家らの作品展示が主題でした。
実際に、アメコミ作品の表紙から音楽アルバムのカバーアート、さらには日本の漫画家の作品などが展示されていて、たしかに貴重なものだっと思います。
しかし、個人的には「う~~ん」という感想。やっぱりミュシャの美しさには敵わないし、「線の魔術」と命名した割にはその方面での説明がなく、ただ「ミュシャに影響を受けたアート」という程度だと感じられた点が非常に残念でした。
とはいえ、展示作品の7割方はミュシャによるポスター類なので、個人的には何も問題ないし、大満足でした!
ただ、今回の展覧会で唯一不満だったのが「写真撮影」でした。
本展では一部作品で写真撮影がOKとなっており、「黄道十二宮」等の有名作品が含まれていて大盛況でした。私自身も嬉しいことでありました。
しかし一方で「鑑賞の邪魔」でした。
「撮影はこのラインより後ろ、鑑賞者は前」という境界線を無視して堂々と撮影する無能なルールブレイカーのクソが多すぎ。マジでイライラしたし、こんな嫌な気持ちで美しい作品を鑑賞しなければならないのが残念で、もったいなくて、申し訳なく感じました。
本当に腹が立ったので、無理やりカメラの前に割り込んで長時間「鑑賞」するというささやかな抵抗をしました。帰り際にはアンケートにも意見を記入させていただきました。
昨今は撮影OKな展示が増えていて、集客や宣伝のためには仕方ないのでしょうが、運用方式等はもっと「鑑賞者」を大切にして欲しいと心の底から思いました。
展示と作品の紹介
本当は全部紹介したいですが、なかなか難しいのが残念です。
私が印象に残ったもの、解説が好きだったものを中心に紹介します!
1. 序──ミュシャ様式へのインスピレーション
アール・ヌーヴォー様式の典型となったミュシャ様式は、特定の美術運動や芸術理論から派生したものではない。それは祖国独立の夢を抱くチェコ人のミュシャが、ウィーン、ミュンヘン、そしてパリという国際文化都市で画家としての修業を積むうちに、新しい時代の息吹に感応して創り出した独自のデザインの形式であった。
本章はミュシャ財団に遺るミュシャのコレクションと蔵書、写真資料などで構成する。「美の殿堂」と呼ばれたミュシャのアトリエは、モラヴィアの工芸品や聖像、ロココ風の家具、日本や中国の美術工芸品などで飾られ、こうした多種多様な美がミュシャのインスピレーションとなっていた。ここでは、モラヴィアの少年時代からポスター画家として名声を築く1890年代までのミュシャの足取りを追いながら、ミュシャ様式の成立に寄与した様々な要素を検証する。
展覧会公式HPより
no.1
作品名:磔刑図
英 題:Cruclflxion
制作年:1868
ミュシャは教会の芸術空間に影響を受けていたそうです。
また、この作品ではないですが、序章ではスラブ文化の工芸品等が多く展示してありました。ミュシャの作品がスラブ文化に大きな影響をうけ、貢献をしたことは有名ですが、その作品の源流はそうした伝統工芸品なのだと改めて感じました。
チェコ文化復興運動に大きな感化を受けたミュシャにとって、モラヴィア地方の民芸品や民族衣装は保存されるべき重要な伝統であり、チェコ人としてのアイデンティティ
2. ミュシャの手法とコミュニケーションの美学
ミュシャは基本的に「線の画家」である。正規の美術教育を受ける前の幼少期から青年期にかけての素描画に見られる、流麗な描線による日常と空想世界の描写は、のちに手がけるイラストやポスターに使われたリトグラフという版画技術による印刷表現には理想的なスタイルであった。それはまた、ジャポニスムを牽引した北斎などの日本の浮世絵師や、現代のマンガ家たちの表現法にも通じる要素である。
本章では、ミュシャのイラストレーターとしての仕事に光をあて、ミュシャが描線により、物語世界のエッセンスを読者にどのように伝えようとしたのか、その手法を考察する。ここで紹介する彼の仕事は1880年代にチェコの雑誌のために手がけた初期の作品から、アール・ヌーヴォーのグラフィック・アーティストとして手がけた本のデザインや、イラスト、雑誌の表紙絵などである。
展覧会公式HPより
no.21
作品名:『ファンタス』誌:表紙デザイン
英 題:Fantaz:design for the magazine cover
制作年:1882
これは単純に「誌名」の格好良さとフォントデザインの洗練された美しさに感動しました。「F」の伸び具合とか良い!!
no.25
作品名:『クロコディール』誌:タイトルロゴ
英 題:Design for the heading of the Krokodil magazine
制作年:1885
図案化したワニと人間のモティーフが一体化
したロゴデザイン。文字とイラストの融合という意味で、タイトルすらデザインの一部に組み込まれているのが本当に凄いと思います!
no.32
作品名:幻影:『ファウスト』の挿絵の習作
英 題:Vision: study for an illustration for Faust
制作年:1888頃
これも本物のほうが雰囲気があったのですが、場面の曖昧で怪しげな雰囲気がうまく表現されている作品だと感じました。
no.45
作品名:『ル・モア(12ヵ月)』誌:2月、10月、11月、12月のデザイン
英 題:Les Mois, Littèraire et pittoresque (January – June 1903)
制作年:1899
月刊文芸・美術誌『ル・モア』において、ミュシャは雑誌の一貫性をもたせるために、毎月テキストと挿絵だけを交換、同じ表紙のフォーマットを使い続けるためのテンプレートを考案
数カ月分が展示されていましたが、私は「11月」が1番すきですした。まぁ理由は単純で、中央のイラストが”ミュシャ”っぽいからですね。
no.46
作品名:『イリュストラシオン』誌・表紙
英 題:L’ lllustration cover (Christmas 1896-1897 issue, published by Rèdaction, Paris)
制作年:1896
記憶が曖昧になってしまいましたが、確かクリスマスの場面を描いたイラストだった気がします。手元の感想ノートを見ると「宗教モチーフを綺麗に収めていて凄い」と書いてあるので、そんな感じです。
なんだか、フレスコ画みたいですね。
no.48
作品名:『オー・カルティエ・ラタン』誌・表紙
英 題:Au Quartier Latin cover (Christmas 1900, published by Strauss, Paris)
制作年:1900
とにかく「円と星」が綺麗です!
円環の一部として融合するようにデザインされた文字も綺麗だし、並ぶ星模様が本当に綺麗です!
3. ミュシャ様式の「言語」
より多くの人々が幸福になれば、社会全体も精神的に豊かになるという考えをもつミュシャが生涯こだわり続けたのは、特権階級のための芸術至上主義的表現ではなく、常に民衆とともに在ることであった。そのためにはイラストやポスター等の商業デザインは格好の手段である。普通の人々を美のもつ力で啓発するために、ミュシャは様々な手法を考案した。エレガントな女性の姿に花などの装飾モティーフを組み合わせ、曲線や円を多用しながら構築された独特な構図の形式 ―ミュシャ様式― は、画家が人々とコミュニケートするための「言語」であった。
本章は、サラ・ベルナールのための劇場ポスターや装飾パネルを見ながらミュシャ様式が成立してゆく過程と、その背後にあるミュシャのデザイン理論を検証する。さらに、プラハ市民会館の壁画に光をあて、ミュシャ様式が祖国での作品の中でどう進化していったかを考察する。
展覧会公式HPより
no.52
作品名:ジスモンダ
英 題:Gismonda
制作年:1894
ミュシャの名を一躍有名にしたこの作品。大人気女優・サラ・ベルナールの舞台ポスターで、壁から剥がして持ち去る人が続出するほどの人気となりました。
ヒロインの威厳に満ちた美しさを、聖像を思わせる姿で描き
と解説にはありましたが、私はただ単純に「舞台の決めポーズ」的な感覚です。要するに、主役が1番格好いい場面を連想するようなイラストだなぁと!
no.53
作品名:ロレンザッチオ
英 題:Lornzaccioe
制作年:1896
ミュシャには珍しい?男役が描かれた作品。ちょっと「ジョジョ立ち」にも似ている身体のラインなのは、美しさを描き出すためなんですかね?
no.54
作品名:ハムレット
英 題:Hamlet
制作年:1899
超有名な演劇。ミュシャの作風は、美形なイケメンを描き出すのにもうってつけなのかもしれません!
no.62
作品名:ミュシャ《遠国の姫君》に倣った照明器具
英 題:After Mucha: La Princesse Lointaine light fittting
制作年:1900頃
「アール・ヌーボー」は絵画だけでなく建築や造形分野も含むものですが、ミュシャ作品は立体にしてもその美しさが褪せません! むしろ、金属の独特な光沢や質感がより雰囲気を高貴で美しくしているように思います!
ミュシャの立体作品では「ラ・ナチュール」という作品が大好きです!
no.63
作品名:『遠国の姫君』に扮するサラ・ベルナール:「ルフェーヴル=ユティル」ビスケット社のためのポスター
英 題:Poster for ‘Lefèvre-Utile’ featureing Sara Bernhardt in the role of La Princesse Lointaine
制作年:
上の感想でも述べましたが、「恋した」作品で、十数分以上も絵の前でじっと見つめていました。本当に素晴らしい作品でした。
絵の中には「輪郭線」がほぼないんです。色と色は混じり合い融合するような美しさや優しさがあり、本当に感動しました。舐めている飴が溶けるような感覚ですかね。
これまでのポスター類は太い線が印象的だったので、余計に柔らかく見えました。まぁ、展覧会題名の「線の魔術」に反しますけどね(笑)
この作品に出会うことが出来ただけで、本展にいった価値がありました。
no.64
作品名:ジョブ
英 題:Job
制作年:1869
すごくシンプルだと思いました。
文字は私でも読める「JOB」の三文字で、植物の装飾も無い本作。でも、だからこそ円を描く髪が余計に美しく目に入りました。 それから、金色がめっちゃ綺麗だったんです!
no.66
作品名:サロン・デ・サン ミュシャ展
英 題:Salon des Cent: Exhibition of the Work of A. Mucha
制作年:1897
展覧会のポスターです。
祖国の受難と未来への希望を象徴するイバラ、花、果実のモティーフ
が描かれています。当時の意味がどうなのか不明ですが、「ハート」で結ばれているのがまた美しいと思います! このハートは「チェコの国木」であるスラブ菩提樹の葉を表します。
no.67
作品名:リュイナール・シャンパン
英 題:Champagne Ruinart
制作年:1896
この作品で1番好きなのが、足元。女性の身につけている薄い衣装が垂れ下がり、それが透けて文字が見えている、このなんとも言えぬ美しさに惹かれました。抜群の透明感が最高です!
no.68
作品名:トラビスティーヌ
英 題:La Trappistine
制作年:1897
これは完璧ですよ。想像するミュシャ作品の理想形に近いです!
・すらりと立つ女性
・しなやかにカーブを描く身体
・その身体のラインを強調する真っ白な衣装
・背景の円環デザインと植物の装飾
本当に最高で素晴らしいです!
あとこの作品で大好きなのは「髪の毛」です。長い髪をまっすぐに垂らし、その細い線の描き込みがまじで綺麗!
no.69
作品名:『ルフェーヴル・ユティル』ビスケット社:1897年用プロモーション・カレンダー
英 題:Biscults ‘Lefèvre-Utile’: poster-calendar for 1897
制作年:1896
このイラストは、最下部の文字部分が印象的でした。円の中に放射状に配置するなんて。文字の読みやすさよりも、絵の美しさを最大にするよう考えられたんですかね。
no.70
作品名:黄道十二宮
英 題:Zodiac
制作年:1896
ミュシャ作品の中でも特に有名で人気の「ゾディアック」です。
これは本当に大好きです。大きく描かれた女性は美しく、「星・星座」のモチーフは夢のような組み合わせ。そして頭部に輝くティアラと首で煌めくネックレスを飾る大きな宝石が綺麗すぎる!
no.72
作品名:絵画:連作〈四芸術〉より
英 題:The Arts: Painting
制作年:1899
虹色の円が薄くも視界に飛び込んでいるイラスト。
連作「四芸術」の他の作品と比べると「絵画らしさ」はよくわかりませんが、もしかしたら虹の色がパレットとかを表しているのかも?
no.72
作品名:詩:連作〈四芸術〉より
英 題:The Arts: Poety
制作年:1899
同じ連作「四芸術」より「詩」です。ここで大切なのは、ミュシャ作品に共通する「Q型方式」の説明です。
後に「Q型方式」と呼ばれるこの形式では、主題とする女性が座る円環が、女性のドレスと組み合わさってアルファベットのQの文字を形成する
no.73
作品名:スラヴィア:プラハ、スラヴィア保険相互銀行のためのポスター
英 題:Slavia: poster for the Slavia insurance Bank, Prague
制作年:1907
これはなんだか色鮮やか。良い意味で言えば鮮明ですが、すこしゴチャゴチャしすぎてて”五月蝿い”という印象でした。
でも、解説が大切なことだったので、ここに掲載します。
「スラヴィア」とはスラヴ民族の連帯精神の象徴であり、一般的に女神の姿で擬人化された
no.74
作品名:トパーズ:連作〈四つの宝石〉より
英 題:The Precious Stones: Topaz
制作年:1900
ミュシャの連作って本当に美しいです。
特にこの「宝石」の擬人化は様相といい形といい、綺麗で大好きです!
no.74
作品名:ルビー:連作〈四つの宝石〉より
英 題:The Precious Stones: Ruby
制作年:1900
no.74
作品名:アメジスト:連作〈四つの宝石〉より
英 題:The Precious Stones: Amethyst
制作年:1900
no.74
作品名:エメラルド:連作〈四つの宝石〉より
英 題:The Precious Stones: Emerald
制作年:1900
no.78
作品名:アーメン:『主の祈り』の最終ページ
英 題:Armen: Le Pater, final page (published by H. Piazza et Cie Paris)
制作年:1899
円環の最上部に描かれている「ザクロ」は、キリスト教では「再生や希望」の象徴です。ユリとかも含めて、恐らくは装飾の植物にも意味をもたせているのでは?
あと、解説で紹介されていたミュシャの言葉が印象的でした。
人類の進歩とは愛、許し、知性を学びながら真の人間性に覚醒する課程
no.84
作品名:バレエの動きを捉えた習作
英 題:Ballet studies
制作年:1901
これは、習作と一緒に展示してあった写真です。ミュシャはこうした写真を基に習作を重ねたそう。その丁寧な仕事が出版社等から公表だったようです。
4. よみがえるアール・ヌーヴォーとカウンターカルチャー
ミュシャがパリを後にして58年、その死からも24年の歳月を経た1963年、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館でミュシャの回顧展があった。それと同時進行で、二部に分けられたミュシャ展がロンドンの2つの画廊でも開催された。冷戦のさなか、西側諸国ではミュシャの記憶は薄れ、パリ時代以降の作品は鉄のカーテンの彼方に埋もれたままであった。しかし、この回顧展がロンドンで巻き起こした旋風は、忘れられていたチェコ人画家の業績を、再び光の下によみがえらせたのである。
これに即座に反応したのが、当時、既成の概念に対峙する若者文化の中心地となっていたロンドンとサンフランシスコのグラフィック・アーティストたちであった。ミュシャの異世界的イメージと独特の線描写は、特にサイケデリック・ロックに代表される形而上的音楽表現と共鳴するものがあった。一方、よみがえったミュシャ様式は、新世代のアメリカン・コミックにも波及し、その影響は今日まで続く。
展覧会公式HPより
no.97
作品名:椿姫
英 題:La Dame aux Camellas
制作年:1896
no.98
作品名:ユリ:連作〈4つの花〉より
英 題:The Flowers: Llly
制作年:1898
本展では連作のうちこの「ユリ」しかありませんでした。やはりこれも、4作が並ぶととっても綺麗なので、ぜひ観ていただきたいです!
no.100
作品名:舞踏:連作〈四芸術〉より
英 題:The Arts: Dance
制作年:1898
本展のポスターにも起用されているイラスト。
「芸術」として「踊っている」感じがとってもして好きです! あとドレスの色が綺麗だなぁと!
no.101
作品名:ツタ
英 題:Ivy
制作年:1901
これ、普通に邦題は「アイビー」でも良かったのでは?
ここまでの作品と違って色が少なくモチーフも限定的だけど、やっぱり惹かれる美しさがあります!なんだか神話の登場人物みたいな印象をうけました。ステンドグラス風の背景も素敵です!
あと、解説に「豊満な女性」という表現がありましたが、たしかにめっちゃ巨乳ですね!
no.104
作品名:北極星:連作〈月と星〉より
英 題:The Moon and the Stars: Pole Star
制作年:1902
夜の冷たく暗い雰囲気がしっかりと漂っているのが凄いなぁって。
no.104
作品名:明けの明星:連作〈月と星〉より
英 題:The Moon and the Stars: Morning Star
制作年:1902
英題を見て面白いと感じたのは、金星の呼び方。日本では「明けの明星」と言いますが、英語圏でも「Morning Star」というんですね。
no.109
作品名:ニューヨーク、トリトン・ギャラリーでの個展━ダンディーとしてのセルフポートレート
英 題:David Edward Byrd at Trlton Gallery, New Yorks: Self Portrait as a dandy (promotional poster for the artist’s solo exhibition)
作 者:デヴィッド・エドワード・バード
制作年:1971
この作品は、no.97、ミュシャの「椿姫」を下敷きにしています。背景の星柄や足元の花などにその影響をみることができます。
no.125
作品名:『ノヴァ』(No.36B/マーベルコ・ミックス)
英 題:Nova, #36B, Marvel Comics
作 者:ジョン・タイラー・クリストファー
制作年:2007
Marvelでも取り入れているんですね。でもMarvelは作家が一人なわけではないので、作家の好みとかによって変わるんでしょうね。「アイアンマン」の他に「デアデビル」も展示してありました。
解説です。
1985年以降に出現するアメリカ「モダン・エイジ」世代のコミック作家に大きな影響を与えた
5. マンガの新たな流れと美の探求
与謝野鉄幹が主宰した『明星』第8号(1900年)の表紙を飾ったのは一條成美によるミュシャを彷彿とさせる挿画だった。一條は『新声』に引き抜かれ『明星』の表紙は藤島武二が引き継ぐが、これを契機とするかのように明治30年代半ば、文芸誌や女性誌の表紙を時には全面的な引き写しを含め、ミュシャ、あるいはアール・ヌーヴォーを彷彿させる女性画と装飾からなるイラストレーションが飾ることになる。与謝野晶子の歌集『みだれ髪』の表紙デザインもこのミュシャ的装本の一つだが、重要なのはこれらの雑誌や書籍に用いられた言文一致体や、晶子が象徴する短歌は、近代の女性たちが、獲得したての近代的自我と自らの身体を「ことば」にした新しい表現だったということだ。つまり近代の女性たちの内面と身体の表象として選ばれたのがミュシャ様式の女性画であった。それは『明星』から70年余りを経た1970年代、少女マンガが内面と身体を発見し、ミュシャの系譜としての少女マンガの「絵」に再び導入するまでの、長い前史の始まりである。
ミュシャは近代の女性たちの内面と身体を表現するアイコンとして、この国の文化史の中にある。
展覧会公式HPより
no.141
作品名:『みだれ髪』(与謝野晶子)
英 題:Midaregami: collection of tanka poems by Akiko Yosano (1878-1942)
表紙デザイン:藤島武二
制作年:1968
この表紙は日本史とか国語の資料集で見た記憶がありますが、まさかミュシャに影響されていたとは思いませんでした……。
no.148
作品名:モナコ・モンテカルロ
英 題:Monaco Monte-Carlo
制作年:1897
シクラメンが可愛らしかった作品。パリとモナコを結ぶ鉄道のポスターとして制作されたものです。
旅への期待感そのものを、夢見るような表情で座る少女の姿で表現
no.149
作品名:《モナコ・モンテカルロ》:構図のための習作
英 題:Monaco Monte-Carlo: sketch for the composition
制作年:1897
現代の漫画家・イラストレーター
ミュシャ作品の影響の帰結として、現代の日本で活躍する漫画家やイラストレーターの作品とコメントが展示してありました。
ただ個人的には、いくら影響をうけたとはいえ、創作のインスピレーションを得たとはいえ、作品自体はミュシャとはまったく別物であると感じました。
展示されていたのは、
・水野英子
・山岸凉子
・花郁悠紀子
・松苗あけみ
・波津彬子
・天野喜孝
・出渕裕
さん方です。
山岸さんのコメントが良かったです。
マンガは手塚治虫先生が作ったものですが、その中で少女マンガには、日本のデザインの黎明期にミュシャが与えた影響が色濃くでていると思います。
展示内容の紹介は以上です!
いつもどおり、お土産の紹介!
今回も、もちろんポストカードです!
それから、これは私が大好きなアニメ映画『さよならの朝に約束の花をかざろう』の展覧会が開かれた際のキービジュアルです。
ここにもミュシャを始めとしてアール・ヌーボーの様式が現れていて、やっぱり好きだな~と思いました!
最後まで読んでくださり、
本当にありがとうございました!!