【過去記事について】お知らせ&お願い

「バイオアート」の作品がとても好き、という話。

 

 こんにちは!
 お元気ですか?

 私はというと、ブログの更新が滞った1週間で色々と”良いこと”がありまして、ハッピーです!(追々ブログに書くかもです)
 それから、【美少女】になりました! 訳あって、流行りのVtuber的な3Dモデルを作ってみました。これ、楽しいですね!(Twitter)

 さて、今回の記事は「バイオアート」です。
 芸術の中でも、特に大好きな分野のひとつなので、今回はその辺を軽く書けたら良いかなぁと思っています!

バイオアート関連資料

バイオアートについて。

 

 

 

 

この記事の目次

「バイオアート」について 
 ・バイオアートとは?
 ・バイオアートを知る。
 ・記事を書いたキッカケ
バイオアートの紹介 
 ・吸い殻のDNAから持主を復元した作品
 ・”ゴッホの耳”を再現した作品
 ・生命の可能性を飾る作品
やくしまるえつこの作品 
 ・わたしは人類
 ・YAKUSHIMARU BODY HACK
バイオアートの好きなところ   
バイオアートと展覧会 
 ・Ghost in the Cell
 ・2018年のフランケンシュタイン
 ・未来と芸術展

 

 

 

「バイオアート」について

 

 兎にも角にも、まずは「バイオアートとは何ぞや?」という部分について、簡単に説明を紹介をしていこうと思います!

Diemut Strebe "Sugar Babe"

ゴッホの左耳を再現した作品
「Sugar Babe」by Diemut Strebe

 

 

バイオアートとは?

 まず、先生方や他メディアが定義している「バイオアート」の内容をご紹介します。やっぱりきちんとした方々の文章を読むのがベストですからね!

  

【定義1】高橋洋介(金沢21世紀美術館 学芸員)

『「生きた素材」を使って芸術を表現したり、生命をテーマに芸術を表現すること』。より狭義には、『1990年代以降に登場した遺伝子組み換え技術を用いたもの』を指します。
金沢21世紀美術館 学芸員
高橋洋介*1

【定義2】美術手帖 2018年1月号「Editor’s note」

今号は「バイオ・アート」特集をお送りします。[…]バイオ・アートとは、バイオ、つまり「生命」をメディアとしたアートとまずは言える。
美術手帖 2018年1月号「Editor’s note」
編集長・岩渕貞哉*2

【定義3】久保田晃弘(多摩美術大学 教授)

「バイオアートのひとつの一番シンプルな定義は、生きた素材で芸術作品を作ろう、具体的には、動物や植物の細胞を使って造形物を作る」(こと)
久保田晃弘*3
森美術館「まちと美術館のプログラム」にて

 こんな感じです!
 「生きた素材」や「生命」を扱った作品、というのが1番簡単な理解なのでしょうかね。

論文をバクテリアに食べさせる「Culturing <Paper><noscript><img src=論文をバクテリアに食べさせる「Culturing <Paper><noscript><img src=論文をバクテリアに食べさせる作品
「Culturing <Paper>cut」by岩崎秀雄

 

 

 

 

バイオアートを知る

 「バイオアート」について。
 私もそんなに詳しいわけではないですが、好きな本、というか私の中での”バイブル”的な本や資料が何冊かあるので、ご紹介します。
 (私の話なんかより、この資料を見るほうがよっぽど勉強になります!(そりゃ私は素人なので当然……))

「美術館でバイオラボ体験!?」

【おすすめ:★★★★★】

 森美術館が主催する「まちと美術館のプログラム」の一環で行われたワークショップ*4のダイジェスト動画です。講師は【定義3】でご紹介した久保田晃弘教授。

 15~22歳を対象にしたイベントなので、バイオアートの基礎や考え方などが非常に分かりやすく説明されています!


まちと美術館のプログラム

 

 

『美術手帖』2018年1月号

【おすすめ:★★★★】

『美術手帖』2018年1月号

 美術手帖のバイオアート特集の回です。
 美術の話で参照するのに一番手っ取り早くて確実なのは「美術手帖」でしょうね!(笑)
 基礎用語や歴史の解説から、代表的な作品の紹介と作家へのインタビューなど抑えておくべきポイントがまとまっていると思います。

 上の【定義3】で紹介した編集長による「Editor’s note」はネット上で読めます! ここだけでも読む価値ありですよ!

bijutsutecho.com

 

 

書籍『バイオアート』

【おすすめ:★★★】

『バイオアート バイオテクノロジーは未来を救うのか。』

 バイオアートのめっちゃ良い入門書です。
 日本語監修はお馴染み、久保田晃弘先生です。
 バイオアートの考え方やインタビューを掲載したり、世界を代表する作家の作品を丁寧に紹介したりしているので、読むと面白いと思います!

(Wikipediaの「バイオアート」項目にもしっかり掲載されています)

www.bnn.co.jp

 

 

展覧会の解説文

【おすすめ:★★★★★】

「2018年のフランケンシュタイン」

 展覧会「2018年のフランケンシュタイン」
 【定義1】で紹介した金沢21世紀美術館の高橋洋介氏がキュレーションした、素晴らしい展覧会でした。

 バイオアートの最前線を展示した展覧会で、その解説文は非常にスッキリまとまっていて参考になるし、読んでいて面白いです!
 以下の公式サイトから読めるので、ぜひ一度読んでみてください!

gyre-omotesando.com

 

 

 

 

記事を書いたキッカケ

 

 一応、この記事を書いた理由を簡単に説明します。とは言いつつ、大したことないですけどね(笑)

 最初のきっかけはWEB記事を読んだこと。
 「バイオアート」に関して分かりやすい解説と作品紹介がされた記事で、とても良かったです。

media.thisisgallery.com

 この記事で「有名作品」として9作品が紹介されていました。そのうち、私は実際に6つを観ており、とても嬉しく興奮しました(笑) で、「これは自慢するしかない!」と熱り立った訳です。

 また、今年の1月には森美術館で開催された「未来と芸術展」を観に行きました。これまた素晴らしい展覧会でした!
 この展覧会の中でもバイオアートが大きく取り上げられていたこともあり、続く形で今回はこの「バイオアート」に絞った記事を書きました。

未来と芸術展

未来と芸術展 @森美術館

 きっかけはこんな感じです。
 最初のWEB記事を5月13日に見て、まずは「未来と芸術展」の感想をブログに投稿するという順番を踏んだので、こんなに遅くなりました……。

ara-meosto.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

バイオアートの紹介

 

 何作品がご紹介します。
 どう選ぶか迷ったので、この記事を書くキッカケにもなった以下メディアを参考に、私が観た作品の中で好きな作家3人の4作品を簡単にご紹介します。

media.thisisgallery.com

 ちなみに、紹介されていた9作品は以下の通り。その中でも二重丸(◎)を付けたのが、私が観たことある作品です。

◯ BCL「初音ミクの心臓」
◎ 長谷川愛「私はイルカを生みたい」
◎ 平野真美「蘇生するユニコーン」
◎ Heather Dewey-Hagborg「Stranger Vision」
◯ 清水陽子「ザ・クリーン・ルーム」
◎ Diemut Strebe「Sugar Babe」
◯ Joe Davis「Micro Venus」
◎ Amy Karle「再生可能な聖遺物」
◎ Tina Gorjanc「Pure Human」

 長谷川愛「私はイルカを生みたい」
平野真美「蘇生するユニコーン」
eather Dewey-Hagborg「Stranger Vision」
Diemut Strebe「Sugar Babe」
 Amy Karle「再生可能な聖遺物」
Tina Gorjanc「Pure Human」

 

 

 

 

吸い殻から持主を復元した作品

作家:ヘザー・デューイ=ハイボーグ
作品名:ストレンジャーズ・ヴィジョン
原題:Sranger Vision(Heather Dewey-Hagbor)
制作年:2012-2013
展示:2018年のフランケンシュタイン

「2018年のフランケンシュタイン」画像

 街に落ちているタバコの吸殻などからDNAを抽出し、持ち主の顔を再現したり、人種や病気などのデータを解析した作品
 小さなDNAの痕跡から外見や病気などが分かってしまうことを証明した衝撃的な作品。まるで「人間の剥製」みたいな展示の仕方が良いですね。これはDNA情報のみですが、インターネットやSNS分析と繋ぎ合わせることで、芸術と呼べなくなる段階までそう遠くないのかもしれないです。

街角に落ちている髪の毛やタバコの吸い殻からDNAを採取し、落とした本人の顔を復元する[…](本作)は、自分でも気づかぬうちに周囲に撒き散らしているDNAから、性別、祖先、目や髪の色といった外見の情報、将来の病気のリスクなど、ときに本人さえも知らない個人情報を引き出せることを[…]示唆した。この技術は[…]犯罪捜査ツールとしてアメリカの国防総省[…]の元、既に実用化されており、[…]DNAによる監視[…]は現実のものとなりつつある。
全文はこちら

「2018年のフランケンシュタイン」画像

「2018年のフランケンシュタイン」画像

「2018年のフランケンシュタイン」画像

「2018年のフランケンシュタイン」画像

「2018年のフランケンシュタイン」画像

 

 

 

 

”ゴッホの耳”を再現した作品

作家:ディムート・シュトレーベ
作品名:シュガーベイブ
原題:Sugar Babe(Diemut Strebe)
制作年:2014
展示:2018年のフランケンシュタイン/未来と芸術展

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 画家ゴッホが自ら切り落とした左耳を、彼の子孫から提供された遺伝子情報を元に再現した作品
 これこそ、「禁忌の科学」では…。ゴッホが切り落とした左耳を、再生して芸術作品として展示するなんて、なかなかにクレイジーな感じがします(笑) 子孫からDNAを取り出して亡き人の身体を再現するって、本当に凄い!
 この作品は、展覧会「2018年の~」で写真を観て、2020年に「未来と~」でやっと実物を観ることが出来ました。繊細な作品らしく、公開されることは少ないのだそう。 

 […]ゴッホが切り落とした左耳を「生きた状態」で再現した[…]「タンパク質による彫刻」[…]です。
 この「ゴッホの耳」を構成する細胞のもとになったのは、ゴッホとY染色体を共有する父系の玄孫[…]の耳の軟骨細胞です。[…]より正確に再現するために、母系の子孫の唾液から抽出したミトコンドリアDNAが導入されました。生前の耳の形は画像処理技術によって割り出され[…]ています。
 本作は[…]死んだ愛玩動物をクローン技術で取り戻そうしたりする現代の極限的な欲望の一端を映し出しています。
全文はこちら

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

Diemut Strebe: Sugababe

 

 

 

 

生命の可能性を飾る作品

作家:エイミー・カール
作品名:再生可能な聖遺物
原題:Regenerative Reliquary(Amy Karle)
制作年:2017
展示:YouFab Global Creative Award 2017

YouFab Global Creative Award 2017

 人間の手の骨格を無生物素材で3Dプリントし、そこにヒトの細胞を植え付けて骨を作り出した作品
 再生医療の観点から見れば有用ですよね。人工の素材から自然の人体を作り出すという構図も凄い。「聖遺物」という名に相応しい重々しい展示方法も好きです。デジタル×フィジカルをテーマにしたモノ作り「YouFab」で2017年グランプリを獲得した作品です。

 […]3Dプリンターとヒトの幹細胞で作られた、人間の手の骨を再現した作品です。ヒドロゲル素材の一種PEGDAを3Dプリントして、手の骨格を作り、そこに成人ドナーから採取したヒトの間葉幹細胞を植え付けました。[…]間葉幹細胞は徐々に組織へと成長し、石灰化して骨になります。 伝統的な遺体の展示方法を参考にした本作[…]。亡骸をかつて存在した生命の記念としてまつるのではなく、それとは逆のこと、[…]無生物から生命の可能性を生み出すことを表しています。
全文はこちら

YouFab Global Creative Award 2017

YouFab Global Creative Award 2017

 

 

 

作家:エイミー・カール
作品名:進化の核心?
原題:The Heart of Evolution? (Amy Karle)
制作年:2019
展示:未来と芸術展

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 従来の心臓の機能改善を提案すべく、3Dプリンターで作られた新しい血管系構造を持つ心臓
 科学技術によって新しい生命の進化を導く可能性を示すと同時に、上の作品と同じく聖遺物のようにそれを展示することで生命への敬意を払うかのような作品。あと、この作品は翻訳でなく、原題の方が良いですね。「The Heart of Evolution?」です。「心臓」を掛けていますね。

 […]本作は、再生医療が進化の過程における自然選択を上書し、その道筋を変更する可能性があることを示唆[…]します。
 3Dプリンターで制作された心臓は、新しい血管系構造を提案するもので、従来の心臓の機能を改善します。医学的な利点にもなりますが、このようなデザインの改変は人類に大きな影響を与えます。[…]全文はこちら

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 

 

 

 

 

 

やくしまるえつこの作品

 

 
 
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みらいレコーズ:相対性理論 / やくしまるえつこ【公式】(@mirairecords)がシェアした投稿

 バイオアートについてどうしても書きたい2作品!
 アーティスト「やくしまるえつこ」さんの作品を2つご紹介します!

 「未来と芸術展」で、ずっと観たかった作品を観ることが出来て、でも感想記事ではなかなか書き足りなかったのでここで少しだけ書こうと思います!(実はここが本題だったり……この記事を書いた理由のメインかも 笑)

 ミュージシャンとして活躍されています。『輪るピングドラム』や『電波女と青春男』、『ハイスコアガール』などアニメの主題歌も手掛けているので、私にとっては馴染み深い?というか(笑)

 彼女のこれまでの作品については、以下の記事がとても分かりやすかったです!

hillslife.jp

 

 

 

 

「わたしは人類」

「わたしは人類」展示風景

「わたしは人類」展示風景
by やくしまるえつこ

 音楽作品です。
 まずは、「わたしは人類」という楽曲を御覧ください!
 この楽曲は「人類滅亡後の音楽」をコンセプトにしています。


やくしまるえつこ『わたしは人類』

 では、楽曲のお話。
 「バイオアート」というテーマと、動画に映る「AGTC」の文字で何となくイメージは付くかもしれませんね。

 この曲は、25億年前から地球に存在する微生物のDNAから音楽を生成し、さらにその楽曲を再び微生物の遺伝子に組み込む、という作品です。

地上に古くから生息するシアノバクテリアの一種である微生物「シネココッカス」の塩基配列を用いてポップミュージックを制作し、さらにその楽曲情報をコドン変換して長いDNAシークエンスの設計図にし、 人工合成したDNAをこの微生物の染色体に組み込んで『わたしは人類』とする。 これは、”人類滅亡後の音楽”をコンセプトにしたプロジェクトであり、 新しい音楽――伝達と記録、変容と拡散――の形を探る試みである。
公式HPより

「わたしは人類」byやくしまるえつこ

「わたしは人類」byやくしまるえつこ

 「初」がこの作品には盛りだくさんです!

『わたしは人類』は、人類史上初めて、音源と遺伝子組換え微生物で発表された作品です。
やくしまるえつこ*5

『わたしは人類』は、人類の歴史上初めて「音楽配信」「CD」「遺伝子組換え微生物」という3つの形で発表されました。
やくしまるえつこ

楽曲発表と同時に、遺伝子組換えでできた新たな微生物それ自体を、[…]茨城県で開催された国際芸術祭「KENPOKU ART 2016」のテーマソングとして展示。この展示において、日本の経済産業大臣が初めて「遺伝子組換え微生物」の一般公開展示の大臣認可を行いました。
やくしまるえつこ

 めっちゃ凄くないですか!
 何から何まで面白い!

 まず、微生物の遺伝子から音楽を作ったところ。
 「AGTC」の塩基配列を元にした音楽が作れるということが、もう面白い! 変換方法はオリジナルの暗号表ということですが、他の生物でやれば変わるのかしら?

「わたしは人類」byやくしまるえつこ

「わたしは人類」byやくしまるえつこ

 そして、微生物に「わたしは人類」と歌わせるところ!

 この曲のテーマは「人類滅亡後の音楽」です。人類が滅んだ後、新しい的生命体がこの微生物を解析して、この音楽を聴くことが出来たらどうでしょう! 面今の地球では人間の足元にも及ばない下等な微生物(偏見?)が「わたしは人類」と主張しているんですから、面白いものです!

 やくしまるえつこさん自身も以下のように言っています。

微生物に『わたしは人類』って言わせたかったんです。何が人類なのかってどうでもいいから。人類による人類の定義なんて、人類滅亡以降の生物にとってはどうでもいいこと。
やくしまるえつこ

人類が滅亡したのちに誕生するポストヒューマンにもこの情報の羅列を解析してもらいたいと思ったのです。
やくしまるえつこ

「わたしは人類」byやくしまるえつこ

「わたしは人類」byやくしまるえつこ

 歌としても綺麗で、歌詞も好きです!
 楽曲を記録するメディアという点では、その保存期間の長さが桁違いだそうで、その点からも音楽における革新性が取り上げられています。

CDの寿命、これは数十年といわれています。紙でいうと中性紙は数百年。[…]対してDNAの記録媒体としての寿命は、物理化学的には50万年。なかには何千万年だとか、信ぴょう性があるかはさておき何億っていう単位でも、DNAが残っていたという報告があったりします。[…]実験するにはとても適した媒体だったので使ってみようと思いました。
やくしまるえつこ*6

 詳細やインタビューについては、公式サイトを御覧ください!

yakushimaruetsuko.com

 

wired.jp

 

 

 

 

「YAKUSHIMARU BODY HACK」

 もうひとつ!
 これは本当に凄いな~と思う企画です。

 まずは、こちらの「ときめきハッカー」という曲
 この曲は、やくしまるさんの生体データを元にした演奏で構成された楽曲です。


やくしまるえつこ『ときめきハッカー』(short ver.)

 で、凄いのはこのプロモーション。
 「YAKUSHIMARU BODY HACK」というサイトを公開。

 ここで、やくしまるさんの生体データ(脳波・心拍・まばたき・口の動き・喉の動き)がリアルタイムで公開されていきます。

 公式の説明。

 このサイトでは、やくしまるえつこの”究極の個人情報”である「生体データ」が、リアルタイムで公開される。
 […]世界中の誰もがインターネットを通じて、いつでもやくしまるえつこの個人情報をのぞき見ることが出来る、やくしまるえつこの”ストーカーサイト”である。
公式サイト

「YAKUSHIMARU BODY HACK」byやくしまるえつこ

「YAKUSHIMARU BODY HACK」byやくしまるえつこ

yakushimaruetsuko.com

 すごく凄くないですか!?
 よくこんなコトが出来るなぁ…..と。

 実施されたのは2011年の数日間だけだったようなので、残念ながら私は見ることが出来ていないのですが、残っているプロジェクトの概要を知るだけでも驚きです。

 四六時中いつでも監視しているわけではないよう。

 ちょうど、この前、友達と「体温は個人情報?」とか「体温の変化を他人に教えるのに抵抗ある?」みたいな話を少し前にしました。

 でもこの企画では、体温どころか、脳波や心拍数まで全世界にリアルタイムで公開するということをやってのけている訳ですよ……。
 ちょっと驚いてドキドキしたら、それが瞬く間に反映されて誰もがそれを見られるって、凄いことです……。


 やくしまるえつこさんの作品については、以上です!

 他にもバイオアートとして面白い作品を発表されてるし、楽曲もいい歌ばかりで好きなので、ぜひ聴いて頂けたら幸いです!

 今、2020年6月から9月にかけて表参道でこの「わたしは人類」が展示されています! 私も早々に行きますが、これは絶対に面白いはず!!
展覧会「ヒストポリス – 絶滅と再生 – 展」

gyre-omotesando.com

 

 

 

 

 

 

バイオアートの好きなところ

 

 私がバイオアートの好きな理由。
 シンプルに「面白い」からです!

 ───とはいえ、それだけでは怒られてしまうので、きちんと言語化をしていくことにしましょう。

 「人間が生命を操れるってヤバくないですか!?」

 神様が人間を造ってから数千年。
 約70年前にはJ.ワトソンとF.クリックがDNAの二重螺旋構造を発見。世界初の哺乳類クローン「羊のドリー」が誕生してから約25年。そして遂に2018年には中国人研究者がゲノム編集を施した受精卵から双子が誕生したという報道が世界を駆け巡りました。
 動植物の遺伝子組み換えは一般的になって食卓に並んでいますし、個人の遺伝子検査は米国で数百ドルにまで低下しています。体外受精や胎児の健康状態を測ることも受け入れられている時代です。

 まさに、神の如き所業。
 どこまで進んで行くのか───。その一端を垣間見ることが出来るのが、この「バイオアート」という新しい芸術分野なのだと思います。

蛸に復元したアンモナイトの殻を与えた作品。「進化への考察」by AKI INOMATA
蛸に復元したアンモナイトの殻を与えた作品。「進化への考察」by AKI INOMATA
蛸に復元したアンモナイトの殻を与えた作品。
「進化への考察」by AKI INOMATA

 人間のクローンは許されるのか?
 デザイナーベイビーは認めざるべきか?
 個人の再現は受け入れられるのか?
 病気に対する治療の限度はどこまでか?
 政府によるDNA監視をどう防ぐのか?
 環境汚染が生物に与える影響とは?
 遺伝子の差異で優劣が決まるのか?
 自然との付き合い方をどう選択するか?
 人間が生命を操って良いのか?
 ︙

 最終的には「生命への倫理」や「生命とは」「人間とは」といった根源的な部分にまで足を踏み入れそうな主題と問いが沢山あるのがバイオアートの魅力だと思います!

新生児に対する外科手術の倫理を問う作品「変容」by Agi Haines
新生児に対する外科手術の倫理を問う作品「変容」by Agi Haines
新生児に対する外科手術の倫理を問う作品
「変容」by Agi Haines

 それに、単純に格好いい!
 今までは「SF」として夢見ていた妄想が、目の前に形になっている姿を見るというのは、それだけで興奮します!

 『STAR WARS』に登場するクローン人間は技術的には可能な存在になり、「マンモスの復活」も今や夢ではないですからね。生態系を変革したり、逆に元の地球環境を取り戻すことが出来るかも。人体と機械を融合させたり、生きた筋肉や神経でロボットを操ったり。

 こういう”興味深いもの”が観られるのって、やっぱりバイオアートを楽しんでいる特権だと思うのです!

脳の神経細胞を使用したシンセサイザー。「CellF」by Guy Ben-Ary

脳の神経細胞を使用したシンセサイザー。
「CellF」by Guy Ben-Ary

 そして、こういう話題や議論を「特権」で終わらせないようにするのもまた、バイオアートの大切な意味なのかな、と思います。

 大学の研究室や企業の実験室で画期的な最新技術が発明されても、それを一般人が知る由もないし、ましてや善悪・是非・可否の議論に加わることなんで無いでしょうから。
 でも、それをアート作品として分かりやすく視覚化してくれたなら、理解も出来るし、話し合うことだって出来るのだと思います。

環境汚染を視覚化した作品「タール漬けの鳥」by Mark Dion

環境汚染を視覚化した作品
「タール漬けの鳥」by Mark Dion

 

 

 

 

高橋洋介氏の文章

 最初のところで書いた内容については、高橋氏が書いていたのでご紹介します。やっぱり専門の方の説明は分かりやすいですね。

21世紀初頭、神話やSFのように奇妙で驚くべき現実が、かつてない水準と規模で私たちの周りに出現しつつある。[…]アーティストたちは、遺伝子工学によって「生きた素材《バイオメディア》」を操作し、「不死」や「観念の生体化」を表す新たな形式を発明し始めている。
高橋洋介*7

また、生命を素材として操作・改変することは、神話が描いた鵺やキメラなど「合成生物」という古典的なモチーフを、想像ではなく、現実のものとして新たな形で召還し、ルネサンス以来の「神としての芸術家像」の問題をより過激な形で呼び起こすことになるだろう。
高橋洋介*8

 

 以上の文章は、金沢21世紀美術館の刊行物『アール issue』の2017年7月号です。バイオアートが特集されており、高橋氏の他にも素晴らしい論文?が掲載されています!(こちら

 

 

 

 

 

 

バイオアートと展覧会

 

 最後に、日本での展覧会を3つ載せます。
 上の「キッカケ」で載せた記事がとてもシンプルに説明していたので、そのまま引用させていただきます。

日本では、2015年に金沢21世紀美術館で開催された「Ghost in the Cell:細胞の中の幽霊」を皮切りに、2018年に表参道のGYREで開催された「2018年のフランケンシュタイン」、2019年に六本木美術館で開催された「未来と芸術展」など、バイオアートに触れる機会は年々増加中です。
映画公式サイト

 という感じで、3つ挙げられています。
 後半の2つは実際に観ることが出来たのですが、最初のだけは叶わず…(泣)

 

 

 

Ghost in the Cell:細胞の中の幽霊

 金沢21世紀美術館で開催された展覧会。
 ボーカロイド「初音ミク」の特徴を記したDNAをiPS細胞に埋め込んだ「Ghost in the Cell」が展示されました。キュレーターは高橋洋介氏。

アーティストユニットBCLが、現在の日本のポップカルチャーの代表格としてインターネット上で世界的な人気を誇る歌声合成ソフト「初音ミク」に遺伝子と細胞を与え、生命/非生命の境界、そして二次創作や芸能/芸術のはざまで育まれる現代日本の特異な想像力の可能性を探究します。
金沢21世紀美術館

会場:金沢21世紀美術館
会期:2015年9月19日~2016年3月21日
料金:一般1,000円
公式サイト:こちら

 これ、めちゃくちゃ観たかったです……。
 「初音ミク」というコンテンツが大好きだし、バーチャルな彼女にリアルな遺伝子を付与するなんて、面白すぎます! あと、『攻殻機動隊』をオマージュしたであろう「Ghost in the Cell」というタイトルがまた最高!

 この展覧会は観れませんでしたが、別の年に美術館には行きました。丸い円形の建物で「開かれた美術館」というコンセプトがとても良かったです! 「プール」の作品が有名ですね。

金沢21世紀美術館
金沢21世紀美術館
金沢21世紀美術館にて撮影

 

 

 

 

2018年のフランケンシュタイン

2018年のフランケンシュタイン

 展覧会の正式名称は「2018年のフランケンシュタイン バイオアートに見る芸術と科学と社会のいま」です。
 小説『フランケンシュタイン』の発表200周年に合わせて開催された展覧会です。こちらも企画は高橋洋介氏。

イギリスのSF小説家メアリー・シェリーが「フランケンシュタイン」を発表して2018年で200年となる。[…]そこで提起された「創造物による創造主への反乱」や「神に代わり生命を創り出すことの矛盾」といった問題は、AIや遺伝子組み換え技術が飛躍的に発展する今日、古びるどころか、ますます現代的なものになってきている。

本展では[…]バイオテクノロジーや生物を使った芸術潮流「バイオアート」の騎手として注目される国内外のアーティストの作品を中心に紹介する。
公式サイト

会場:EYE OF GYRE
会期:2018年9月7日~10月14日
料金:無料
公式サイト:こちら

 この展覧会は観に行けました! 本当に素晴らしい内容でありながら、無料で観られるという有り難い展覧会でした。
 本当に良かった。取り上げられた作品が有名な作家のものばかりという点もそうですが、個人的には展覧会のテキストが最高でした。3つの主題:「蘇生」「人新世」「生政治」を軸にしていて、その解説文は一見の価値ありです。(公式サイトから読めます!)

 詳しい感想は、ブログの記事にしています!

ara-meosto.hatenablog.com

 

 

 

 

未来と芸術展

未来と芸術展

 こちらもタイトルが長くて、「未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命―人は明日どう生きるのか」となっています。
 バイオアートをはじめ、工学や建築など様々な分野の最新技術が描き出す”未来”を展示した展覧会でした。

テクノロジーの発達は、いま、私たちの生活のさまざまな側面に大きな影響を与えようとしています。[…]本展は、[…]5つのセクションで構成し、100点を超えるプロジェクトや作品を紹介します。AI、バイオ技術、ロボット工学、AR(拡張現実)など最先端のテクノロジーとその影響を受けて生まれたアート、デザイン、建築を通して、近未来の都市、環境問題からライフスタイル、そして社会や人間のあり方をみなさんと一緒に考える展覧会です。
公式サイト

「未来と芸術展」トレイラー

会場:森美術館
会期:2019年11月19日~2020年3月29日
   (※新型コロナの影響で2月29日に閉幕)
料金:一般1,800円
公式サイト:こちら

 2020年に観に行った展覧会です。
 本当に濃い内容で、私が大好きなテクノロジーを用いたアートやプロジェクトが並び、とにかく楽しかったです! 展示方法も写真映えするし、作品数も多いし、観に行くことができてとても嬉しかったです。
 感想は全部で3つの連載になりました(笑) バイオ関係は第3回目に載っています。

ara-meosto.hatenablog.com

 
 それから、この展覧会はオンライン上にアーカイブされているので、Googleのストリートビュー的な感覚で会場内を歩いたり、解説を読んだりすることが出来ます!

my.matterport.com

 

 

 


 

 

 

おわりに

 

 いや~長くなりました。
 やっぱり「バイオアート」って面白いな、と思ったし、テクノロジーが描き出す未来とか、それを形にするアートって最高だと思います!

 中でもバイオアートは”気味悪さ”と”面白さ”が共存するリアルな姿を見せてくれるから、なお一層面白いのだと私は思います!

 今後も、展覧会は色々なところで開催されるでしょうから、ぜひ機会があったらご覧ください!! 面白いと思います!(お時間あれば以下の文章だけでも……)

gyre-omotesando.com

 今年、2020年6月~9月までバイオアートの展覧会「ヒストポリス – 絶滅と再生 – 展」が表参道で開催されています!
 このブログで紹介した「わたしは人類」をはじめ、作品や作家さんも展示されています。絶対に面白いと思うので、近くに行く用事がある方はぜひ!!!

gyre-omotesando.com

 最初に書いた「美少女」の話。
 流行りのVtuber的な3Dモデルを作ってみました。今まで気になっていたので、この機会にイジって「素人の私でも出来る」と分かったのは大きな一歩です!

 3Dモデルの作成は「VRoid Studio」
 pixivのフリーソフトで、雛形が準備されているので好みのキャラクターに調整していきます。特に髪の毛を描くのが難しかった……(女の人はこれを毎日セットしているのか…)

 動かすのは「3tene」
 様々なモーションが用意されている他、カメラを使用したフェイストラッキングも可能です! Zoom等のビデオ通話にも接続できます。

 画面合成は「OBS Studio」
 クロマキー合成で背景にPC画面やパワポ、写真や動画など、何でも投影できます。

 という感じで、フリーソフトを使って作ったアバターで、自動ダンスをさせながらパックマンをプレイしてみたのが以下の動画です(笑) やっぱり、何事も色々と触ってみないと駄目ですね。

 話がものすごく逸れたような……。
 3Dアバターをバイオの面から考えるなら、「新しい身体」とか「精神・心理面への影響」とかで色々と話されている……という感じですかね。

 まぁ、ぜひ色々と試してみると面白いかもですよ。

 

 

 

最後まで読んでくださり、
本当にありがとうございました!

 

 


*1:勝島日向子(2018)「『バイオアートとは』(10/5) 高橋洋介先生の講義レポート」<https://costep.open-ed.hokudai.ac.jp/costep/contents/article/2065/

*2:岩渕貞哉(2018)「Editor’s note」『美術手帖』2018年1月号<https://bijutsutecho.com/magazine/news/headline/10011

*3:久保田晃弘(2020)「アート・キャンプ for under 22 Vol. 4:美術館で未来について考える」森美術館<https://www.youtube.com/watch?v=cN8kti4bqzE

*4:森美術館(2020)「【YouTube】まちと美術館のプログラム「美術館でバイオラボ体験!?」の映像を公開しました」<https://www.mori.art.museum/jp/news/2020/04/4023/

*5:やくしまるえつこ「やくしまるえつこ『わたしは人類』」<http://yakushimaruetsuko.com/archives/2602

*6:やくしまるえつこ「微生物に「わたしは人類」と言わせたい──やくしまるえつこ 微生物と音楽をめぐる対話」WIRED<https://wired.jp/special/2016/dear-synechococcus/

*7:高橋洋介(2017)「遺伝子組み換え生物媒体による「芸術の転換」をめぐって」『アール issue』2017年7月、金沢21世紀美術館<https://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=52&d=11

*8:高橋洋介(2017)「バイオテクノロジーの世紀に — 序にかえて」『アール issue』2017年7月、金沢21世紀美術館<https://www.kanazawa21.jp/data_list.php?g=52&d=11

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