※ネタバレなし。
※画像は予告映像のキャプチャです。
2018年9月14日鑑賞
プーと大人になった僕
(英題:Christopher Robin)
【評価:3.3/5.0】
【一言】
大人になったC.ロビンの資本主義的な考え方と、暇を大切にするプーの哲学。
プーや仲間の言動に、目頭が熱くなった!
それに、ぬいぐるみプーが本当にふかふか可愛い!
【Twitter140文字感想】
【 #プーと大人になった僕 】
大人になり、仕事に悩むC.ロビンの前に現れたのは、幼少期を共に過ごした「プー」だった。
資本主義思想とプー哲学が見事に対照的。
ふかふかプーの、単純で純粋な言動に目頭が熱くなった!でも、「プー」は理想の空想で、“現実世界”を映す実写とは相容れない気が。 pic.twitter.com/DR4VPyQVkF
— ArA-1 (@1_ARA_1) 2018年9月14日
感想
感想外観
『くまのプーさん』の実写化と聞いたときは心配したけれど、その不安を吹き飛ばす良い作品でした!
かつては幼少期のC.ロビンが言い、今はプーが口にする「何にもしないは最高の何かに繋がる」。
そして、大人になったC.ロビンが染まった資本主義的な「何もしないと何も生まれない」。
この2つが非常に見事に映画の中でぶつかったり、相容れなかったり、もしくは融和したり。そこがとっても良かったです!
単純で、純粋。
“おつむ”は小さくても、“心”が広い、プーの言葉がとても愛らしくて、そして心に響いてきました。
彼と、プーの仲間、そしてC.ロビンの言動に何度も目頭が熱くなりました。
プーのことば『「なんにもしない」って…』
物語は端的に言えば「多忙な大人が子供時代の心を取り戻す」と確かに王道でよくある感じ。
プー達と遊んだC.ロビンの思い出は心の中に強く残っていて、『プーさん』だからこそ良いお話しでした。
それに、物語全体が優しさ?柔らかさ?に満ちていました。
物語の柔らかさ。
仕事に追われ忙しい日々を送り、「楽しむ」事すら忘れてしまったかよのうなC.ロビン。
そんな彼とは対照的に、おっとり、ゆったり、柔く静かに行動するプーがいて、それの雰囲気がとても印象的でした。
とは言いつつも、冷たい目で見てしまうのも事実。
確かに「プー哲学」は大切だし良いモノだけどそれは理想論。児童書やアニメーションの“空想世界”ではそれが生きていても、実写という“現実世界”では無理があると感じました。
プーは大好きだけど、本作実写映画版では、「何もしないと何も生まれない」を私は支持します。
ディズニーの公式チャンネルで『プー』のアニメ版がアップされています!
「くまのプーさん ちいさなぼうけん」プーさんの木のぼり
「くまのプーさん ちいさなぼうけん」プーさんと風船
資本主義的効率姿勢と、プー哲学
「プー哲学」は勝手に名付けました(笑)
まぁ、説明しなくても何となくの雰囲気で分かりますよね(笑)
章題通り、本作ではその2つが見事に対比されていました。
“Wisdom of Pooh” Featurette
「何にもしないは、最高の何かに繋がる」
かつて子供だったC.ロビンが口にし、今はプーが言う台詞。
日々の時間の中で、C.ロビンが教えた言言葉は今でもプーの中で生きています。
一方で、大人になり就職したC.ロビンが口にするのは「何もしないと何も生まれない」。
会社に入り、実績と効率化を求められる資本主義では当然の考え方。
この2つが見事に対照的に映ります。
対比されるし、場合によっては融合したり。
絶対に相容れない考え方だと思うのですが、それが2つとも“良い感じ”に扱われていました!
現代社会に生きる私にとって、「プー哲学」は素晴らしいとは分かっているものの、「資本主義」の方に傾くと思います。
目頭が熱く、鼻水が垂れ
“おつむ”は小さくても、“心”が広い。
そんなプーの行動はとっても愛らしく微笑ましく大好きです!
そして、彼の単純で純粋で飾りのない真っ直ぐな言葉は、見事に心に響きました。
ネタバレになるので言葉を挙げられないし、言葉単体では大したことがないようにも思います。
物語があって、C.ロビンがいて、初めてプーの言葉が生きるように感じます。
プーも、「100エーカーの森」にいる彼の仲間も、そしてもちろんC.ロビンも。
皆んなの言葉、行動、台詞は(わかっていても)胸を揺さぶるモノがありました。
「いい話だなぁ〜」と目頭が熱くなる事は何度もありました。
ただ、心を動かされたという意味での「感動」はあまり感じなかったように思います。
思い返せば、あくまでも「物語の1つ」として観ていたのかもしれません。
『くまのプーさん』の物語
「『くまのプーさん』の物語」とか言いながら、原題は「クリストファー・ロビン」なんですけどね(笑)
前述したように、物語は「多忙な大人が子供時代の心を取り戻す」というよくある話。
まぁ、これは予告編の雰囲気とか、物語のイメージで何となく予想つくと思います。
そんな王道の内容でありながら、物語が鼻につかなかったのは、やはり『くまのプーさん』だからなのかなぁ〜と。
C.ロビンは、幼少期に「100エーカーの森で仲間と遊んだ」という誰にも持ってない宝物のような思い出と経験がありますから。
大人になったC.ロビンでも、忘れていたわけではなく仕舞い込んでいただけ。
やっぱりその頃の気持ちは残っていて、それがとっても嬉しかったです!
プーの優しさ柔らかさ
最初に書いた「資本主義vsプー哲学」と同様、キャラクターの性格や状況もまた対比されていました。
大人になったC.ロビンは忙しく、業績アップの数字に追われ、効率化を目指す会社に巻き込まれ。
一方、プーはずっと変わらず。
“自分の1日”を過ごし、これまで通りに生きていて。
人々が忙しく歩き、喧騒に満ちたロンドンの街で、プーの穏やかな雰囲気がとても気持ち良かったです。
おっとり喋り、ゆっくり歩き、まったり食べるプーは、本当に可愛い!
だって、あの騒がしい「ティガー」ですら、緩すぎるくらいに落ち着いて感じられたくらいです(笑)
「くまのプーさん ちいさなぼうけん」オレ様はティガー
100エーカーの森の仲間たちが、声や行動や会話で醸し出す「のんびり穏やか」な雰囲気が映画全体に満ちていて、大好きでした!
空想と、現実
心配を吹き飛ばすくらいに良い作品だった本作。
ただ、やはり実写版とは合わないと思います。
「プー哲学」って切り捨てちゃえば「児童書に描かれた理想論」じゃないですか。
もちろん大切な事が詰まってるし、それを否定的するなんてとんでもないです。
ただ、それを実写化して良いかとなると、話しは別だと思います。
児童書やアニメーションで描かれる世界ってほほフィクションなので、プーの理想論的な言動も、そもそもプーの存在自体も確固たるものでありましょう。
でも、「実写」は現実寄りです。
本物で現実を映す映画で、彼らのファンタジーを描かれても「これは物語だから…」と冷たい目で観てしまうし、無理があるのでは?
プーは大好きだけど、今回の実写映画版に限っては、現実世界を回す「何もしないと何も生まれない」という考えに共感するし、支持すると、観ながら考えました。
ただ、今回の作品のタイトル原題は「クリストファー・ロビン」。
現実世界を生きる、大人になったC.ロビンの話です。そういう観点から見れば、実写という部分も非難ばかりはしていられないと思います。
プーが超絶に可愛い
以降、映画本編のネタバレあり
ネタバレあらすじ&感想
序盤
タイトルバック。
クリストファー・ロビンが子供の頃、100エーカーの森でプーやその仲間たちと遊んだ思い出が描かれる。
そして、訪れた「さよなら」を言うときが来た。
C.ロビンが森から遠くへ行ってしまう。
彼のお別れ会で、イーヨーは決意表明を読み上げ、C.ロビンの持ってきたニンジンケースをみんなで食べた。
はしゃいで皆んなは爆睡。そんな中、C.ロビンとプーは二人で歩き出した。
丘の上で語り合う二人。
C.ロビンは「何もしないは最高の何かにつながる」とプーに告げる。
そして、C.ロビンは寄宿学校へ。
こうして、C.ロビンの子供時代が終わった。
前半
C.ロビンが寄宿学校に通っている頃、不幸な知らせが届く。彼の父親が亡くなってしまった。
学校卒業後、現在の奥さんであるイヴリンと出会う。
そして、第二次世界大戦が始まり、C.ロビンも兵士として戦場へ赴いた。
そしてC.ロビンが戦地から帰還。
駅で列車から降りる彼を待っていたのは、妻のイヴリンと娘マデリンだった。
帰還後、彼は商社へ。
しかし時が経ち、旅行カバン部門のトップとなったC.ロビンだったが、社内で業績最悪の部門は効率化と業績改善を求められていた。
なんとか目標の20%という経費削減を達成すべく、C.ロビンは週末の休日返上で働くことに。
しかし、その休日は家族でコテージに旅行するはずだった。
帰宅して仕事になった事を伝えるも、妻イヴリンはガッカリした表情を浮かべる。
それは娘マデリンも同じだった。
勉強を熱心に進めるマデリン。彼女は屋根裏で、C.ロビンが幼い頃に描いたプーらの絵を入れた箱を見つけ出していた。
それを見たC.ロビンは、「つまらないもの」と一蹴し、週末の旅行に同行出来なくなったと伝えた。
残念がるマデリンに、C.ロビンは「夢はタダじゃない」と告げる。
妻イヴリンは、「人生は目の前にある」と言ってC.ロビンを非難するのだった。
翌日、コテージへと旅行にイヴリンとマデリンを見送ったC.ロビンは、食卓の上に置いてあった娘からの手紙を見つける。
彼の絵を褒めるその手紙をポケットに入れるも、絵の上にはハチミツをこぼしてしまうのだった。
中盤
《100エーカーの森》
C.ロビンの帰りをずっと待つプー。
ある霧の深い日、ハチミツを求めてピグレットの家を訪れるも誰もいない。 イーヨーやティガーの姿も見たらず、誰もいなかった。
プーは、「C.ロビンなら皆んなを探せる」といって彼に合うためドアを通った。
《現実世界》
ロンドンの街にやってきたプー。
彼はこの後にすべき行動が思いつかず、公園のベンチで一休みする事に。
すると偶然、プーの座るちょうど裏側に、仕事で悩むC.ロビンが座るのだった。
お互いに気がついた2人。
C.ロビンはプーを家に連れて変えるも、やりたい放題のプーに嫌気がさし、仕事の邪魔をされないようにと「森」へ返すと決断。
“Phone Booth” Clip
プーを森に返すべく、かつて自身が過ごし、今はイヴリンらが訪れているコテージのあるサセックスへ向かう。
見えたものを言うゲーム
サセックスに着いた2人。
C.ロビンはすぐにプーを森に返そうとするが、「消えた仲間を探すの手伝って」とプーに頼まれ、熟慮の末に手伝うことにした。
大人になったC.ロビンがなんとかドアを通り抜け、久しぶりに100エーカーの森に辿り着いた。
しかしそこは霧が立ち込め、鬱蒼と暗い森だった。
仲間を探すべく、霧の中を闇雲に歩かないようにとプーにコンパスを預けるC.ロビン。
しかしプーはコンパスの使い方を間違え、時間がないとC.ロビンは怒り、ついに「友達じゃないかも」と怒鳴ってしまう。
すると、プーは「友達をやめてもいい」と姿を消してしまう。
プーを探すC.ロビンは、川でイーヨーを発見。イーヨーは、他の皆んなが怪物「ズオウ」から逃げるため隠れていると教えた。
「ズオウ」を倒す演技をし、その正体が風見鶏の音だと見破ったC.ロビン。そして無事に皆んなとの再会を果たした。
“Eeyore Rescue” Clip
最後、いなくなったプーの居場所に見当をつけたC.ロビンは、2人が別れた丘の上へ。
そこにプーが座って彼のことを待っていた。
後半
仲間との時を過ごし、寝てしまったC.ロビン。
朝になり、慌てて起きた彼は森から出ると駅に向かって急ぐ。
その途中、コテージで妻イヴリンや娘マデリンに会ってしまうも、苦しい言い訳でその場を後にする。しかしマデリンはその事がとても辛かった。
一方、100エーカーの森では、ティガーのいたずらによってC.ロビンの会社の重要書類が鞄の中から出されていた。
それをC.ロビンの元へ届けようとするプーらは、再びドアをくぐって現実世界へやってきた。
そこで遭遇したのは、C.ロビンの娘マデリン。
プーの事を知っていたマデリンは、事情を聞くと、皆と一緒に書類を届けると決意。
「書類を届けにトンケン」と書き置きをしてコテージを飛び出した。
書き置きを見たイヴリンはすぐにロンドンへ向かう。
一方、ロンドンに到着したマデリンやプーたち。途中でティガーたちとはぐれてしまうも、マデリンは無事に書類を会社まで運ぶことができた。
ところが、あと一歩というところで、書類をばら撒き、風で飛んでいってしまう。
“Leap of Faith” Clip
会議で書類がないと気がついたC.ロビン。
イヴリンからの連絡でマデリンを探すべく街へ。そして書類を無くしたマデリンを無事に発見する。
「書類をなくしてごめんなさい」と謝るマデリンに対し、C.ロビンは「大切なのは書類よりお前」といって抱きしめるのだった。
終盤
その時、彼の頭にカバン部門を立ち直らせる解決策が閃いた。
家族や従業員を引き連れて会議室に戻ったC.ロビンは、「従業員全員に有給休暇を与えれば問題解決」と理事たちに訴えた。
庶民が全員で旅行をし、我が社のカバンを持てば儲けられると考えたのだった。
そして「何もしないは最高の何かに繋がる」と言いながら、理事の賛同をもらうのだった。
そのまま、C.ロビンは休暇へ。
家族イヴリンとマデリンと一緒に、再び100エーカーの森を訪れ、プーらに会うのだった。
プーと2人で森を歩くC.ロビン。
プーの「今日はなんの日?」質問に対して、
C.ロビンは「今日だよ』と答える。
それに対して「ぼくが一番好きな日」とプーは返す。
エンドロール。
最後まで読んでくださり、
本当にありがとうございました!!