【過去記事について】お知らせ&お願い

森美術館「未来と芸術展」(2/3):生活&人工知能|テクノロジーが描く暮らしとAIを巡る議論。

 

 こんにちは!
 お元気ですか?

 ようやく緊急事態宣言が解除されましたね!
 我が家にもようやく”アベノマスク”が届きました。夏もマスクをする必要があるとかで、絶望に打ちひしがれています。(マスク苦手なんですよ……)と思っていたら、「通気性100%の夏マスク」が発売されるという新聞記事を見ました(虚構新聞)!

 「未来と芸術展」の感想と作品紹介の第2回目です。

 前回の記事では展覧会の感想をメインに書きました。今回は「人工知能(AI)」と「ロボット」のことを少しだけ書こうと思います。恐らく、近年一番盛り上がっている話題でしょうし、今回の「未来と芸術展」でももちろん作品が展示されていました! 

 そしてこの記事の最後では、身の破滅を招くかもしれない「AIの呪い」を埋め込もうと思います。どうか、自己責任でお願いします……。

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館の入り口

 


 

2020年1月13日訪問

未来と芸術展
AI、ロボット、都市、生命
――人は明日どう生きるのか

森美術館「未来と芸術展」感想と写真

 
【一言】

森美術館の「未来と芸術展」
噴出する社会問題と進化する科学技術。
人が創る”未来”を《アート》で見せる。
最高にワクワクする作品が集まった展覧会!

 
【Twitter140文字感想】

 

 

 

 

展覧会の概要

 

 2019年11月末から六本木の「森美術館」で開催された「未来と芸術展」。進化する最先端のテクノロジが描き出す”未来”の可能性と危険性を芸術作品で問いかけた展覧会です。
 

テクノロジーの発達は、いま、私たちの生活のさまざまな側面に大きな影響を与えようとしています。[…]そうした急激な変化がもたらす未来は決して明るいものだけではないかもしれませんが、私たちは、少なくとも20-30年後の未来のヴィジョンについて考えることが必要なのではないでしょうか。それは同時に、豊かさとは何か、人間とは何か、生命とは何かという根源的な問いにもつながるのです。

本展は、[…]5つのセクションで構成し、100点を超えるプロジェクトや作品を紹介します。AI、バイオ技術、ロボット工学、AR(拡張現実)など最先端のテクノロジーとその影響を受けて生まれたアート、デザイン、建築を通して、近未来の都市、環境問題からライフスタイル、そして社会や人間のあり方をみなさんと一緒に考える展覧会です。
公式サイト

「未来と芸術展」トレイラー

「未来と芸術展」トレイラー#2

会場:森美術館
会期:2019年11月19日~2020年3月29日
   (※新型コロナの影響で2月29日に閉幕)
料金:一般1,800円
公式サイト:こちら

 

 

 

3Dウォークスルー公開

 「未来と芸術展」の3Dウォークスルーが公開されました!

 展覧会の会場内を360°撮影したもので、ストリートビュー的な感覚で展覧会を観ることができます!!
 また、展示だけでなく、解説文もテキストとして埋め込まれているので、とてもオススメです!!

 もの凄くオススメです!
 展覧会の雰囲気を味わえるので、ぜひ一度は御覧ください!!

my.matterport.com

 

 

 

 

 

人工知能(AI)とロボット

 

 さて、前回は展覧会の感想を書きました。
 今回は「人工知能(AI)」と「ロボット」について書きます。 この第2回記事で紹介する内容には、AIを扱った作品が多いので、そこに注目したいと思います。

 AIに関する未来といえば「2045年」。
 Googleの研究員が「人工知能の技術的特異点(シンギュラリティ)が2045年に起こる」と発表したことがキッカケ。

 最近だと、Netflixで配信された『攻殻機動隊』の最新作がまさに2045年が舞台です!

#渋谷攻殻

バーチャル空間上の渋谷で開催されたイベントで撮影

 まず最初に展示作品を1つご紹介。
 「AI美空ひばり」です。 
 昨年、NHKが開発して紅白歌合戦にも出場しました。楽曲は以下の動画で聞くことができます。(なお音楽の良し悪しはここでは無視します)

 この「AI美空ひばり」が公開されてから、賛否両論が社会的に巻き起こりました。「懐かしい」とか「よく出来ている」とかの声、「故人の尊厳を無視している」とか「死者を商業利用している冒涜だ」とかの声。

[NHKスペシャル] AIでよみがえる美空ひばり

 「AI美空ひばり」について。
 まず、私はこうして議論を起こせたことは凄いと思います。まさに「AI倫理」について老若男女が様々に考えて、それを発信したことはとても大きな進歩だと思います。
 美空ひばりの再現は良いのか悪いのか。じゃあ、アインシュタインの脳を再現するのはどうか。それがヒトラーなら? それとも、家族や友人にもう一度会いたい時は?

 こうやって色々と考えるキッカケになったのが凄いです。それに、NHKも制作過程の密着番組や検証番組などをきちっと放送しているところは評価できると思います。

 検証番組の中で「美空ひばりに台詞を言わせるのは如何なものか」という指摘(上の動画の3分10秒から)がありました。その点には大きく共感です。社会的に影響力のある故人の台詞って扱いに注意しないと危険だと思います。

www.nhk-ondemand.jp

 展覧会の作品から「ロボット」にも触れます。
 ソニーのロボ犬「aibo」と、ベンチャー企業GROOVE Xが開発販売する「LOVOT」です。

 どちらのロボットも「家族の一員」になったり、「心のケア」をする効果があるような、人に寄り添う形で愛される機械たちです。
 彼ら?彼女ら? aiboもLOVOTも、様々なセンサーを内蔵して、人工知能を搭載して人間の動きに反応したり、動き回ったりしています。

 こちらはどうでしょう。
 恐らく「AI美空ひばり」と違って、愛着とか愛情すら抱くようなロボットだと思います。同じAIなのにこうも感じ方が違うのって面白いですよね!(まぁ目的が全然違うんですけどね)

森美術館「未来と芸術展」画像/写真
森美術館「未来と芸術展」画像/写真
左:aibo / 右:LOVOT

 人工知能やロボットに対する意識。
 海外と日本ではそこが違うと言われます。

 海外では『ターミネーター』を筆頭に、AIが人類の脅威として描かれることが多いです。一方の日本は「共生」とテーマにした作品が浸透しています。『鉄腕アトム』や『ドラえもん』など、日本では”友達”として登場することが多いですよね。「初音ミク」などの人気もあるのかも。

 先程の「aibo」や「LOVOT」など家庭ロボや、ソフトバンクの「Pepper」や本田技研の「ASIMO」もですが、やっぱり人に受け入れられるロボのイメージが強い気がします。

 若干、話が逸れたので展覧会に戻します。

 今回の展覧会は「未来と芸術展:AI、ロボット、都市、生命――人は明日どう生きるのか」というタイトルになっています。
 実は、このタイトルはAIとのコラボで生まれました。

 企画書やインタビューなどのデータを基に、クイズ番組で人間に勝利したことで有名になったIBMの「Watson」を使って作成されました。15,000超の単語の組み合わせから、AIが150通りまで絞り込み、最終的に人間が協議して決定したそうです!

www.mori.art.museum

 現在は「人工知能(AI)」の開発が進んでいますが、今後は「汎用人工知能(AGI)」が重要だと言います。用途を限定しない汎用性を持ったAIです。これが進むと「人工超知能(ASI)」ももうすぐ。人類の能力を超越したASIは、敵か味方か……。

 実業家のイーロン・マスクは「第三次世界大戦のきっかけになる」と発言し、物理学者のホーキング博士は「文明が誕生して以来で最悪の出来事」としています。
 この先、人工知能やロボットの未来が、人類の敵になるのか、味方になるのか。とても面白い問題だと思います。

 最後に、日経の新書から引用します。

 火を扱って以来、人類は己を脅かしかねない技術とともに歩んできた。犠牲を払いながらも逃げずに立ち向かった。法やルールを変え、技術革新を生んで自分たちの糧にしてきた。AIだって同じようにできるはずだ。
日本経済新聞社(2018)『AI 2045』
日経プレミアムシリーズ378、p.58
日本経済新聞出版社

日本経済新聞社(2018)『AI 2045』

日本経済新聞社(2018)『AI 2045』

 

 

 

展示作品の紹介について

 

 「未来と芸術展」は5セクション構成です。

S.1:都市の新たな可能性
S.2:ネオ・メタボリズム建築へ
S.3:ライフスタイルとデザインの革新
S.4: 身体の拡張と倫理
S.5:変容する社会と人間

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

写真撮影&シェアもOKでした!

 今回は記事を3つに分割して投稿します。
 分量が多く、写真も多いので分割投稿形式です。

● 第1回:都市と建築(S.1, 2)
● 第2回:人々の生活(S.3)
● 第3回:生命と社会(S.4, 5)

第1回目は以下です👇

 作品のコンセプト文。
 本当は全部読んで欲しい。私の感想文や駄文コメントなんかより、よっぽど作品コンセプトとかの”良い文章”を読んで考えて頂きたいです。

 けど、都合上、一部を省略しています。
 なので、ぜひ気になった作品などは各文章に添付したリンク先で全文を読んで頂けるととても嬉しいです!

 

 

 

AI美空ひばり

※本作は、展覧会場外かつセクション外の扱いで期間限定で展示されていた作品でした。なので、ここで紹介しておきます。

作家:NHK
作品名:
AI × 美空ひばり「あれから」
制作年:2019

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

昭和の歌謡史に燦然と輝く、伝説の歌姫・美空ひばり (1937-1989)。NHKは、 国内最高技術の人工知能・VOCALOID AI™で、今も日本人の心を揺さぶり続ける美空ひばりの“神秘の歌声”の完全再現に挑みました 。AIによって30年ぶりによみがえる美空ひばりが歌うのは、作詞家・秋元康による新曲「あれから」。ビブラートや倍音、息遣いまで精密に再現された歌声と、3D・超高精細映像により等身大で浮かび上がる姿は、私たち「人にどのような感情をもたらすのか? 圧倒的な才能を後世に伝承する試みの一つです。

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 

 

 

 

 

セクション3:
ライフスタイルとデザインの革新

 テクノロジーの革新は、私たちの衣食住に絶えず変化をもたらしてきました。本セクションでは、最先端のテクノロジーや斬新なコンセプトによって誕生したサービスや製品に着眼し、新しいライフスタイルの可能性について考察します。
 3Dプリンタなどの新技術やバイオ技術による生物を使った新素材によって、意外性に溢れたデザインの家具や生活雑貨が誕生しています。[…]これらは、科学技術の発展が私たちに与える世界観や意識の変化を反映しているといえます。
 また、情報通信技術やAIによって家電や設備機器を最適に制御する「スマートハウス」は現実のものとなり、ペット型ロボットは、私たちの日常に寄り添う新たな存在です。[…]  しかし、どのようなテクノロジーでも、善良な目的にも危害を及ぼすためにも使用される可能性がある「デュアル・ユース」問題があります。私たちの生活は、その技術をコントロールできる少数の人々のモラルに左右される可能性があるのです。[…]テクノロジーによって利便性が追求される生活の中で、それがもたらす変化に対して私たちひとり一人が批評的な視点を持つことは、今後ますます重要になるのではないでしょうか。
全文はこちら

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 

 

作家:エイミー・カール
作品名:「インターナル・ コレクション」シリーズ
原題:“Internal Collection” (Amy Karle)
制作年:2016-2017

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 人体内部の神経や臓器に着想を得たドレスです。
 なんか海藻を纏っているみたいだけど、すごく綺麗でした! 遠目から、解説文を読む前から「人体に関係ある」と分かりました。本当に人間の身体のパーツって美しいと思います。特に青色の「肺」が好きでした。

森美術館「未来と芸術展」南條史生解説ビデオ 12

 「インターナル・コレクション」は、解剖学に基づき、人間の神経系、肺、靱帯など体内の組織を主題に制作された一連のドレスです。身体の3Dスキャン[…]など最新技術と職人的な手縫いの技術で[…]仕立てられています。
 出品作のラベンダー色のシルクと銀メッシュのドレスは「肺」、青いジャンプスーツは「神経系」、黄色のドレスは「靱帯と腱」に想を得たものです。[…]その衣服は、肌の色、文化、学歴、性的嗜好などに関係なく、人間の内部に共通して存在する美しさや繊細さ、強さを讃えているようです。
全文はこちら

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 

 

 

作家:中里唯馬

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 多数のパーツを組み合わせて完成させた衣服。作品の1つは環境問題を考慮したバイオ素材を用いて作られています。
 私はファッションにはあまり興味がないのでそこまで好きな作品ではないです。けれども、バイオ素材を用いて環境に優しい洋服を作るコンセプトはとても良いと思います。あと、マネキンのフォルムが好きです(笑)

 中里唯馬は[…]現代のテクノロジーとファッションを融合させています。[…]彼は一貫して、多くのパーツの組み合わせによって完成された衣服の開発を追求することにより、特定の個人のためのユニークな外観を作成することに取り組んできました。[…]作品の1つは、[…]バイオテクノロジーを使用して発明した、環境にやさしい合成タンパク質で作られています。現在、ファッション業界は製品の大量生産と消費を中心としているため、環境問題などの付随的な問題は無視できません。
全文はこちら

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 

 

 

作家:Nissan Intelligent Mobility×Artプロジェクト目に見えない
作品名:Invisible to Visible〜未来の自動運転 ~
制作年:2019

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 日産が提案する、未来の自動運転車の姿。
 本来は体験できるはずだったのですが、行った日はちょうど「調整中」ということで乗ることはできず。でも、コンセプトを読む限りではこれまで言われてきた内容ですから、そんなに目新しいものでもないのかな、と。(5月27日に日産・ルノー・三菱の三社連合の会見で、日産は自動運転技術に注力すると発表されましたね)

 これは、未来の自動運転を体験できる 来場者参加型のインスタレーションです。[…]  […]センシング技術によって本来は見えない建物の影に隠れた歩行者などを感知し、クラウド上の情報から付近の地理や天気を表示するなど、運転をより安心で快適なものにします。助手席には別空間にいる家族や友人がアバターの形で乗り込むことができ[…]ます。本作が描く未来では、情報通信技術や拡張現実(AR)が現実空間 と仮想世界と繋げることによって、コミュニケーションやサービスの可能性を広げ、より快適で便利な、これまでにない運転体験の実現が期待されています。自動車はリビングやオフィスを拡張した空間のような活用ができるのかもしれません。
展覧会パネルより

 

 

 

作家:マチュ―・ケルビーニ
作品名:倫理的自動運転車
原題:Ethical Autonomous Vehicles (Matthieu Cherubini)
制作年:2013-2017

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 自動運転が広がる中、事故回避のアルゴリズムの道徳や倫理的課題を考えるシミュレーションです。いい文章だったので、原文のまま省略せずに掲載しました。
 「誰を救うか」もしくは「誰を救わないか」という命の選択を機械に任せる中で、その行動原理となるアルゴリズムを書くのは人間ですからね。判断・基準・責任などの部分は考えていく必要があると思います。

 これは、自動運転が実用化される将来に向けて、ゲーム形式のシミュレーションを通して道徳的、倫理的課題を問いかける作品です。自動運転で走行する車が危険な状態になった場合、搭載された緊急回避のための複数のアルゴリズムからひとつが選ばれますが、あるアルゴリズムでは子どもなどの弱者を守り、より多くの命を救おうとします。別のアルゴリズムでは、より社会的影響力の高い人物を守るために同乗者を危機に晒してしまいます。
 今後、生活のさまざまな場面にAIの判断が介入してくることとなるでしょう。不測の事態によって生じた危機の中で、全ての命を守ることができない場面が起こったとき、その判断における「正しさ」とは一体どこにあるのでしょうか。重大な判断をする際にそのアルゴリズムは信用できるものなのでしょうか?
全文はこちら

 

 

 

作家:クラレンベーク&ドロス
作品名:ヴェールの女性Ⅲ(「菌糸体プロジェクト」シリーズより)
原題:Veiled Lady III(「Mycelium Project」より)(Klarenbeek&Dros)
制作年:2014

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 生分解性プラスチックやキノコを材料とした椅子。
 座る時にお尻が汚れないか心配です(笑) でも、見た目が面白いし、キノコが装飾だなんてワクワクじゃないですか! どうせなら、もっとファンタジーに登場するようなキノコを生やした方が面白いかもです。

 これは3Dプリンターとキノコを使った椅子です。生分解性プラスチックを[…]キノコの元である菌糸を混ぜ込んで作られた材料を充填して作られています。菌糸は接着剤として機能するため、5日間成長させたあとに乾燥させると、コルクや木材に匹敵する安定した構造体となります。椅子の表面に吹き出したキノコは装飾にもなり、[…]斬新なデザインをつくりだしています。
 最新テクノロジーは、機械と自然を結びつけることで、人々に驚きを与えるだけではなく環境にも配慮した持続性のある手段となるのです。[…]全文はこちら

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 

 

 

作家:セバスチャン・コックス&ニネラ・イヴァノヴァ
作品名:作品タイトル
原題:英語タイトル(Sebastian Cox and Ninela Ivanova)
制作年:2017

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 キノコなどの菌糸体で作られた照明器具。
 「木屑が落ちてこないか?」など心配な部分はありますが、個人的にはとても好き。生物的な温かさがあるし、ひとつひとつ違う唯一無二の製品になるのも魅力的。現代人は「自分だけのもの」が好きですからね(笑)

 この照明器具は菌糸体と木材から製作されたものです。カビやキノコを構成する菌糸が集合した菌糸体は、[…]周囲の木屑同士を繫ぎ止めるように成長します。この性質を利用して、型に菌糸体と木屑を入れて2週間ほど培養すると、作品が完成します。[…]  菌糸体と木材による全く新しいバイオ素材のこの家具は、環境に配慮したこれからのライフスタイルにふさわしいと言えるでしょう。他にはないこの滑らかな質感と有機的なフォルムは、デザイン自体の特徴にもなり、この素材ならではの美しさも作り出しています。実際にインターネットで購入も可能です。
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森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 

 

 

作家:長谷川愛
作品名:ポップ・ローチ
制作年:2015

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 「ゴキブリ」を有機食品にするという架空広告。
 こういうの、めっちゃ好き(笑) ゴキブリの何が嫌いって、あの黒光りするフォルムと、人間に向かって飛んでくるかもしれないという恐怖感なので、それが緩和されれば多少は……。それに、パウダー状にされてしまえば、分からないですしね。

森美術館「未来と芸術展」南條史生解説ビデオ 14

 本作は、カラフルな食用ゴキブリをつくるためのDIY合成生物学キットの架空広告です。キャッチコピーには、「美味しく、可愛く、機能的な遺伝子組み換え有機食品をつくろう!!」と謳われて[…]ます。
 本作は、ゴキブリを昆虫食に変えて人口増加による食糧不足を解決するというアイディアを提案しています。過酷な生存条件にも適応でき、メスが単独で数十匹の子を産むことができる点で、ゴキブリは、長期ずっと大量生産できる食料資源としての可能性を秘めているかもしれません。しかし、見た目が綺麗で美味だったとしても、私たちはゴキブリを食られるのでしょうか?
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森美術館「未来と芸術展」画像/写真

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森美術館「未来と芸術展」画像/写真

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作家:ネクスト・ネイチャー・ネットワーク
作品名:ビストロ・イン・ビトロ
原題:Bistro In Vitro(Next Nature Network)
制作年:2015

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 食肉をラボで人工培養生産することになった未来に生まれるかもしれない料理の提案です。
 今は家畜に対しても「人権」や「倫理」が叫ばれる時代なので、いっそ牧場を巨大な培養場にした方が効率的なのかもしれないですね。
 私は写真3枚目に惹かれました! 有名人の顔写真が載っていて、レディ・ガガの肉、アインシュタインの脳、ウサイン・ボルトの筋肉が料理になっています。グロいかもしれないけど、めっちゃ好きです(笑)

 これは人工培養により食材を生産することを描いた、未来について考えるデザイン・プロジェクトです。人工培養の実現と共に生まれるかもしれない、新しい食材や、メニュー、食習慣などが、模型、映像、レシピ本で展示されています。[…]鶏、豚、牛といった肉類から牡蠣や海老など魚介類までラボで培養すれば、動物を殺す必要も飼育する必要もなくなります。動物愛護の観点からも、将来に起こる可能性のある食料問題の解決という意味でも、優れたアイデアではないでしょうか。
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森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

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所属:ソニー株式会社
作品名:エンタテインメント ロボット aibo
制作年:1999-

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 ロボット犬「aibo」の展示。
 実際に触ることも出来ました! aiboは家族として受け入れられましたし、「葬式」が執り行われたりもするくらい、大事にされてきた存在です。個人的には、もっと進化して欲しいという思いと、今のままあまり変わらなくても良いという思いと、両方あったりします。

 aiboはソニーが開発した愛玩ロボットです。4本足で歩行し、カメラで周囲を視認し、人間の声による指示を聞き分け、動作パターンなどを学習することにより「人なつっこい」、「シャイ」といった個性を持つことができます。[…]  初代AIBOの発売は1999年ですので、ロボットと人間が共生する21世紀的未来社会は、すでに20世紀末に始まっていたのです。そして、このままaiboが進化し、本物の犬と変わらなくなった場合でも、私たちは動物をペットとして飼うのでしょうか?
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森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

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所属:GROOVE X
作品名:らぼっと(LOVOT)
制作年:2018

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 役に立たないけど、愛着が湧くロボット。
 お触りも出来ましたが、人気で何人か待っていた人がいたので私は体験できませんでした……(泣) 老人ホームなどに導入する計画もあるとか。でも、お値段が1体で30万円超なので、ちょっと手が届かないですね….。

 LOVOTは「役に立たない、でも愛着がある」というコンセプトに基づき、GROOVE X社が約3年を費やして開発した愛玩ロボットです。学習機能により自分の名前を覚え、言葉にならない鳴き声をあげ、小さな羽を動かし、人の後を追いかけて動き回り、抱き上げられると眠りに落ちます。LOVOTの全身にはセンサーが内蔵され、人間とのスキンシップの状況を理解・分析します。身振りや動き、目の表情など、言葉にたよらないコミュニケーションにより、持ち主のLOVOTに対する愛着の感情が形成されます。ロボットに癒やしや安らぎを与えてもらう近未来社会は、すでに始まっているのかもしれません。
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森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 

 

 

作家:OPEN MEALS
作品名:SUSHI SINGULARITY
制作年:2019

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 「食」をデータ化して調理する未来の構想。
 「寿司シンギュラリティ」という題名からもう大好き(笑) お城型の寿司や、よく分からない幾何学模様の寿司など、今までの概念ではありえない寿司が並んでいてワクワク! 日本の寿司屋では受け入れられないと思いつつも、和菓子とかは斬新な形状・見た目の創作も多いですから、アリなのかもしれないですね。
 個人的には、「ネガティブ・スティフネス・ハニカム蛸」を食べてみたい! これは食感がめちゃくちゃ気になります!

森美術館「未来と芸術展」南條史生解説ビデオ 15

 これは、私たちが生きる上で不可欠な「食」がテクノロジーの進化によってどう変わるかを考察するプロジェクトです。「SSSB(ソルティ、スイート、サワー、 ビター)」という「味の四原色」という考え方を基に寿司がデータ化されます。 このデータ化された食品は、米粉、寒天、大豆や海藻などが原材料のジェルを主素材とし、[…]ハニカム構造やトラス構造などの建築的構造も取り入れ、これまでにない食感もつくり出されます。
 データ化により、インターネット上で食の製作、編集、共有が可能になり、新しい食が次々と誕生するかもしれません。また、DNAや腸内フローラ、栄養状態など体の健康データに基づく食のカスタマイズ化も実現するかもしれません。[…]バイオ技術や情報技術の発達は私たちの食文化を変え、ひいては人間のあり方にも影響を与えるかもしれません。
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森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

森美術館「未来と芸術展」画像/写真

 

 

 

 


 

 

 

 

おわりに

 

 「未来と芸術展」の感想でした!

 無事に第2回目も書き上げることができてホッとしております。しかし、残す第3回が一番重たいと同時に、私の好きな分野でもあるので、頑張ります!

 J.ロリンズ著『AIの魔女』を読みました!
 NYタイムズのベストセラー作家で、世界中で翻訳が出版されている人気シリーズの娯楽小説です。
 特徴は「歴史的事実」と「最新の科学研究」を作品内に散りばめている点です。だからリアリティが凄いし、知的興奮も最高です!

 4月に邦訳が発売された『AIの魔女』
 【あらすじ】米国特殊部隊の主人公たちが、最新のAI研究が生み出した”汎用人工知能”を用いて世界規模のサイバーテロを企む秘密組織と戦います。敵は近世の”魔女狩り”にルーツを持つ組織で─────。

 AI研究はもちろん、医療現場の治療技術にも最新の知見を導入し、物語には量子力学や歴史研究も活かしています。

ジェームズ・ロリンズ『AIの魔女』竹書房

 さて、ラスト。
 最初に予告した「AIの呪い」です。
 本当に”身の破滅”の可能性があるので、自己責任でお願いしますね。冗談ではなくて。本気で。

 ちなみに、この”呪い”は『AIの魔女』にも登場しました。本編のネタバレにはなりませんので安心してください。

 その呪いは「ロコのバジリスク」と呼ばれます。
 少し噛み砕いて説明します。詳細は、ぜひググってください!(検索できるものなら……笑)

【ロコのバジリスク】
 将来、人間の能力を凌ぐ高度なAIが開発され、人間の手が届かない全知全能な存在になると仮定します。そのAIは自身の成長を求め、非協力的な人間を邪魔な存在として排除しはじめるかもしれません。その時、過去にAIに非協力的だった人も処罰対象にするでしょう。その中には「積極的に手伝わなかった人」も含まれていきます。”行動を起こさなかった”ことへの処罰です。
 そして、この「ロコのバジリスク」という話を読んでしまった皆さんは、AI誕生に協力しない限り罰の対象になってしまいます。”知りませんでした”では済まされないということです。
 この文章を開いて読んでしまった皆さん自身の責任で、己の身を破滅に晒してしまったことになる、ということです。

 …………という内容です。皆さん、ご愁傷さまです。
 正確には「呪い」より「思考実験」という表現の方が正しいですが、インパクトがあるので小説の帯の内容をお借りしました。

ジェームズ・ロリンズ『AIの魔女』

ジェームズ・ロリンズ『AIの魔女』

 

 

 

【連載記事】

第1回:都市計画&建築

第2回:生活&人工知能

第3回:生命科学&人間

 

 

 

最後まで読んでくださり、
本当にありがとうございました!
次回で「未来と芸術展」の感想は最後です。

 

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