※展示の内容について詳細に触れています。
食べるを描く。
三鷹の森ジブリ美術館
【一言】
ジブリ作品を彩る食べ物。
本当に美味しそうな展示で、おなかペコペコ。
そして、食べ物の場面や描き方に込められたジブリの想いの一翼を知り、これからまた見方が変わりそうです。
ごちそうさまでした!
【目次】
【概要】
スタジオジブリの作品は、日常を丹念に描き、日々の営みをきちんと表現していることが特徴の一つにあげられます。そのような日常描写の中で、多くの人の記憶に残るものが食事のシーンでしょう。
『天空の城ラピュタ』の中でパズーとシータが”目玉焼きトースト”を一緒に食べるシーン、『千と千尋の神隠し』で千尋がハクにもらった”おにぎり”を涙を流しながら食べるシーン、『ハウルの動く城』の中でハウルが”ベーコンエッグ”を作り、ソフィーとマルクルとみんなで食べるシーンなど、印象的な食べ物や食事シーンをいくつも思い出せることでしょう。
登場する食べ物は決して特別なものではありません。身のまわりにある、ごくありふれたものです。ところが作品の中で観るそれは特別な意味づけが与えられています。同じモノを一緒に食べることを通してパズーとシータは心を通わせ、おにぎりを食べながら千尋は困難に立ち向かう内なる力をもらいます。食卓を囲んでベーコンエッグを食べることでハウルたちは家族になります。何気ない食事のシーンに物語の演出上の重要な意味が込められているのです。
今回の企画展示では、食べものが本物よりも美味しそうに見え、幸せな気分にさせてくれる食事のシーンはどのように描かれているのかについて紹介していきます。
(公式サイトより・一部改変)
【「食べるを描く。」】
※企画展「食べるを描く。」の写真はシネマトゥデイより。
〈全体感想〉
「超美味しそう!」というのが第一声ですね。映画で観る食べ物って本当に美味しそうですけど、そこだけをピックアップした本展が、美味しくないわけない!!
そして、「ジブリのご飯」には美味しそうに描くための努力と、それを描く事で表現したい事が沢山あるんだなぁ〜と思いました。
展示は最高に美味しかったです!!
ただ、やはりアニメーションとして動いているからこそ、より美味しそうなんだなぁ〜と思いました。
絵コンテや静止画などの展示ももちろん、美味しそうですが、動いてこそですよ!!!
〈入口&あいさつ〉
まず入って目につくのが食品サンプルです。これが超美味しそうなんですよ!
ジブリ映画飯の、美味しさをグッと強調されたご飯たちが立体として展示してあります。
『千と千尋の神隠し』の冒頭でお父さんが頬張る謎の食べ物。『天空の城ラピュタ』のパン、『崖の上のポニョ』のラーメン。
ここでは、サクマ式ドロップスの缶を置くだけで立派な展示になるんです!!
そして館長のあいさつ。
これは恐らく確か、本ブログで概要として紹介した公式サイトの文章でした。
こちら
ただ美味しそうなご飯なだけじゃなくて、物語の中での役割を緻密に考えて描かれているんだなぁ〜と知りました。
風呂が命の洗濯なら、食事は人生の糧です!
〈絵コンテ&パネル展示〉
映画作品の中で、ご飯のシーンをピックアップして絵コンテを展示。いかに美味しそうに描くのか、意味を持たせるのかの指示がビッシリ細かくて驚きました。
食べ方や食べ物の角度、液面の揺れ方、噛み切り方など細かい!!
映画を観ていて気づいたり、気づかなかったりしていた事だけど、実際に監督や担当者の指示として書かれていると、計算されているんだなぁ〜と。
〈その他展示〉
《展示の仕方》
展示スペース内にレストラン風の机とテーブルが。ただの雰囲気造りかと思ったら、机の上のメニューが見られました!
企画展のパネルを縮小したものがメニューのように並べられていて、「よく考えたなぁ〜」と(笑)
《箸づかいは難しい》
タイトル通り、食事シーンで箸が使われているカットがギュッと集められた大きなパネル。
何気なく観ていたけれど、確かに箸を多くの場面で使っているし、その使い方が沢山。
《美術で食べ物を描く》
背景美術で食べ物を描くということをテーマにしたパネル展示。
屋台やお店、お皿の上の食べ物や積み上げられた食べ物など、背景を彩る食べ物たちが。
改めて背景に注目してみると、確かに凄く細かくて美味しそう。これもまた“食べ物”の美味しそうな雰囲気を盛り上げているんでろうなぁ〜と。
《食べる舞台》
物語の中で食べるを描くのに、食べる舞台は重要。
食堂?居間?キッチン?……
そして、2つの舞台が中に入れる実物大(?)の模型として再現設置してありました。
まずは『となりのトトロ』の草壁家の台所&居間。
映画ではかなり広いように感じましたが、実際に入ってみると意外と狭いです。サツキが作ったお弁当が置いてあったりと、細部にぬかりがない!
そして『天空の城ラピュタ』のタイガーモス号の厨房。
再現されていたのは汚い方ではなく、片付け終わった後の綺麗な厨房です。
壁に吊り下げられたハムやベーコンなど肉の塊、シータが作ったカレー、そして机上や引き出し内などに並べられたたくさんの食器や道具類。
個人的には舞台の再現は微妙な印象でしたが、リアルさは凄かったです。でも、自分が中にはいるより、外から眺める方が好きですね。
〈食べるを知る&おわりに〉
《食べるを知る》
パネル展示です。食べ物を描くことで、色々なことを知ることが出来るというお話。
・日常の仕草違い
・知ることが描くこと
・作り方と道具
・食べ物への好奇心
《おわりに》
終わりのメッセージ。最初の一言がとても印象的でした!
おなかイッパイになりましたか。
それともおなかがペコペコになりましたか。
「おいしい」を生み出すためには、精密で膨大なレシピが必要。
本当に美味しそうで、改めて凄いと思ったし、もう一度見たいと思いました。
これまでは単純に「美味しそうだな〜」という部分が大きかったですが、今度はそれを描くまでを考えたり、前後の物語変化をしっかりと感じたいと思いました。
ごちそうさまでした!!