※ネタバレなし。
※画像は予告映像のキャプチャです。
2017年8月17日
スパイダーマン:ホームカミング
(原題:Spider-Man: Homecoming)
【評価:3.0/5.0】
【一言】
本来あるべき“ヒーロー”の姿を見た気がした。
ただ、MCUが絡みすぎて内容が薄い印象。
全体的に「微妙」って感想かな………。
最後は素晴らしかった!
目次
ストーリー
『キャプテンアメリカ/シビル・ウォー』でトニー・スタークに招集されてキャップらと闘ったスパイダーマン。
MARVELヒーローを共通の世界観で映画化するマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)にスパイディ参戦!!
『シビル・ウォー』以来、世界を救う任務を頼まれないピーターは、自分の能力を認めてもらうため、NYの街の事件を解決することに奔走していた。
そんな中、銀行強盗が謎の光線銃を使用する事件が発生。この事件を解決して手柄を立てようと、ピーターは一人で悪党の追跡を始める───。
予告動画
作品データメモ
監督:ジョン・ワッツ
製作:マーベルスタジオ/コロンビア映画
原作:スタン・リー
キャスト:トム・ホランド,マイケル・キートン and more.
上映時間:133分
日本公開:2017年8月11日
配給:ソニー・ピクチャーズ・エンターテイメント
公式サイト
感想
感想外観
遂に、スパイダーマンがMCUに参戦!
アントマンに似た、ポップなノリのキャラが良かったです!
若すぎるって思ったけど、全然違和感無かった!
SONYとMARVELが手を組んでくれたおかげ。
本編的には良かったんですが、微妙でした。というのも、MCUの侵食が激しすぎた印象です。
スパイダーマンの内容に加えて、MCU関連の情報も加え、かつ次作への布石も必要。
映画『スパイダーマン』として素直に楽しむのは無理です。そこが非常に残念でした。
良い意味・悪い意味の両方で過去の『スパイダーマン』をしっかりオマージュ(?)、リスペクト(?)していました。
とは言っても、ヒーロー映画としては、「MARVELの原点回帰」的な要素や台詞があって良かったです。
原作漫画ではスパイダーマンは地域の安全を守る“親愛なる隣人”として描かれています。本作ではその部分がしっかりと描かれていて好印象でした!
バトル。
バトルは一つ一つが薄っぺらい印象でした。アメコミ映画では必須であろう『ここが映画最大で最高のバトル!』みたいな場面が無く、細々とした戦いが描かれる程度だったので、全体的な印象が霞んでしまいました。
ただし、スパイダーマンの本業は“守る事”です。その点ではしっかりと描くべき事を描いてたと思います。
スパイダー演出も微妙でした……。
代名詞である、NYの摩天楼を駆け抜ける描写や、糸を最大の武器として用いる描写がイマイチ欠けていました。
これまで映像表現は高クオリティだったMARVELなので特に期待していた部分だったのですが、大きく外れました。(ここは『アメイジング・スパイダーマン』の方が良かった)
若さとポップな雰囲気は良かったです。
若者ならではの、ヒーローへの憧れや責任感の芽生え、恋心といった要素は他のヒーローには難しいでしょう。
それに、耳にイヤホンから流れるノリのいい音楽や友達とのパーティーなど陽気な雰囲気が楽しかったです。
MCU色に染まるスパイディ
先に書いたように、思いっきりアベンジャーズ世界観に染まりきり、侵食され、乗っ取られていました。ここが本当に残念でなりません。これまで『無印スパイダーマン』と『アメイジング・スパイダーマン』の2シリーズで映像化が試みられてきましたが、そちらの方が純粋なスパイダーマン映画として楽しめました。
一番文句を言いたいのは、やはりスーツでしょうね。トニー・スタークが用意したスパイディ・スーツ。 予告動画でも公開されているし、『シビル・ウォー』でも描かれているのでネタバレではないでしょう。
彼が準備したのが一番の問題です。いざ着てみればアイアンマンのパワードスーツそのもの。各種機能が完備され、音声ガイドまで付いています。これが余計!!邪魔!!不要!!
スパイダーマンが観たいのであって、“アイアンマンもどき”が観たいわけではないんです。
あとは、内容が膨大になり過ぎるという点。
これまでの作品では「守るべきNY」に過ぎなかったのが、MCU世界観では「エイリアンに襲われたNY」というレッテルが。アベンジャーズという守護者が存在し、異界の脅威に人類が気がついた世界です。
新参者のスパイダーマンがこの拡張された世界観に組み込まれるには、やはり物語の整合性をとる情報量が必要です。
しかも、次のMARVEL作品への布石も残して置かなければならない。内容が膨大になれば、そりゃスパイディに割かれる部分も減りますよ。
その膨大なMCU世界観をまとめたファンメイドの動画です。
過去作へのリスペクト
ほとんど書くことはありませんが、章立てしました。だって、書いたらネタバレまっしぐらですもん。
やはり一番は有名な「大いなる力には大いなる責任が伴う」という台詞でしょうね〜。果たして、この台詞は登場するのか、しないのか。
あとは、名シーンをオマージュしたであろう場面がチラホラありました。
あ、最後に驚きの展開が待っていました。たった一言なんですが、ビックリしました。
〈親愛なる隣人〉
「自分の愛する人・街を守る」というヒーロー本来の姿が描かれてた気がして、とても良かったです。超人的な能力で宇宙を救うのも良いけど、スパイディみたいに地元の平和を守り、地元の人から愛されるようなヒーローって格好いいと思いました。
今作では特に地元愛を強く感じたというか、その風潮が描かれていて良かったです。
しかも、主人公ピーターの台詞というか、選択というか、行動というかがとても良かったんです!!
活躍シーン
冒頭で書いたようにバトルシーンはイマイチでした。もちろんちゃんと戦う事は戦うのですが、そのシーンが短かったり、迫力がなかったりしました。
ガッツリ戦う場面もあるものの、やっぱりなんか違うというか、スピード感と躍動感に欠けるというか、誇大描写過ぎたというか………。
でもスパイディのヒーロー理念は『守ること』です。この点においてはしっかりと活躍していました!
ご近所さんを助けたり、高校の仲間を助けたり、予告動画にもある、割ける船を支えたり。
やっぱりラストの活躍場面は良かったです。戦闘描写が良かったとかではなく、考え方というか信条がとても良かったです!
映像演出
これがとても残念!!
もっと綺麗で凄いシーンが描かれていると思っていたので、ガッカリでした。
近年のMARVEL映画といえばスローモーションを多用した映像が印象的です。今作でもそれが見られると思っていたら、全く描かれなくて悲しかったです。
スパイディの代名詞的だと個人的に信じていたのが、夜のNYで摩天楼を糸によって駆け抜ける場面。あの躍動感とスピード感はヒーロー映画の中でも最高位の映像だと思います。
しかし、今作ではそれがほとんど無かった!!この場面がないことの損失感は大きいです。
あとは、糸の使い方もですかね。何でもかんでも文句をつけるようで申し訳ないですが………糸の使い方が自由自在過ぎました。
極端な話、「ロープ・ネット・粘着」の3役を効果的に使えば良いような気がするのですが、今作ではドラえもんの便利道具並に種類も機能も多かったです。もう少し、能力を清玄してもいいのかなぁ〜と。
若さとポップ
若いスパイダーマン、最初は疑っていましたが、いざ映画を観てみれば全く問題なかったです。むしろ、その若さを上手に使っていました。
高校2年生のピーター。まずその時点で年月の経過を感じました。チタウリ軍団のNY襲撃が8年前。MCU世界の時間は現実世界とリンクしていますから、随分と年月が経ったなぁ〜と。
で、その若さギンギンのピーター・パーカー。高校生ならではの恋心とか、悩みとかが描かれていました。これまでの大人ヒーローにはない新鮮さです。
そして、友達の存在も今までのヒーローには薄かった要素だと思いました。「任務のための仲間」ではなくて、素直な友情で結ばれた友達関係が良かったです。
あとは音楽。
ピーターのイヤホンから流れてくるノリのいい陽気な音楽がとても良かったです。通常時はその陽気な音楽が流れているので、シリアスな場面になった時の差が激しかったです。
その他
メモ程度に、パンフレットの写真を貼っておきます。
買ったのは特別版のほうで、なんと、表紙が外れて大きなポスター(?)に!
以降、映画本編のネタバレあり
ネタバレあり感想
物語を追っていく形で、ネタバレあり感想を書いていきます。
とりあえず、まず叫びます。
「MJってお前かよぉぉぉぉぉぉぉ!」
お見苦しい姿を失礼しました(笑) では、ネタバレ感想を書いていきます。
序盤
NYの復興シーン。今までのMCU映画って「正義vs悪」みたいな構図が多かった印象ですが、今回は助けられた市民が加害者へ転じるという構図で、しっかりとヒーローの善悪や影の部分を描いていて良かったです。
工事現場長がスタークの事を「壊したやつが儲ける」と言ってましたが、確かになぁ〜と。
『アイアンマン3』に続き、またもやトニー・スタークが敵を生み出したわけですね………。
そしてスパイディことピーター・パーカーが撮影したホームビデオ風の映像。あの『シビル・ウォー』の空港バトルシーンが、スパイディの目線で撮られていて面白かったです。
彼の興奮した様子がリアルで面白かったし、現代っ子だなぁ〜と。
その場面の公式本編動画です⇩
高校の学力大会の準備。リズが「フラッシュ、早いだけじゃ駄目なのよ」って言っていましたが、これってDC映画への皮肉……??
体育の先生が、キャプテンアメリカの事を「戦犯」って呼んでいましたが、色々な立場の人を描いていて良いと思いました。
そして放課後は街を救うヒーローへ!
語近所のチマチマした小さな事件を片付けている方が格好いいかも……。そして出ましたね、スタン・リー!!!!
前半
ATM強盗。
アベンジャーズのお面をつけているのがなかなかユーモアを忘れない強盗団ですよね(笑)(どうせならピエロにすれば………)
悪者って、利益のためならどんな難しい技術も扱えるんですね(笑)
パーティー会場でも怪しい光を視認。確認しに行くところがヒーロー魂ですよね。
武器密売の現場を抑えようとするも、あっけなく怪鳥人に捕まり、水面へドボン。
パラシュートが絡まった時は結構心配しましたが、アイアンマンがちゃんと助けに来てくれるんですね。
悪者を追っかけるため、ワシントンDCへ。
ここで補助輪モードを外す訳ですが、スーツの機能凄いですね。ただ、ここまで来るとアイアンマンとほとんど変わらなくて、独自性に掛けちゃうのかな〜って思いました。
そしてDCのワシントン記念塔、オベリスクでの活躍。ビルではなく、ただ高いタワーを登るというのはなかなか見せ場になったかもしれません。実際、結構楽しめましたから。
エレベーターのシーンはハラハラしましたね〜。密閉空間で、重量によるリミットがあり、落ちるかもしれないという恐怖はやっぱり良い要素です。確か、『アメイジング・スパイダーマン2』でも似たような場面がありしたよね。オマージュでしょうか?
中盤
船のシーン。
裂けた船をただ糸で支えるのではなく、構造的に補助すべき部分を探すという効率のいい方法でした。体を張って船の分裂を阻止しようとするシーン、もう少し長くても良かったかなぁ〜って。すぐにアイアンマンが助けに来ちゃいましたから。
この場面、『スパイダーマン2』の電車のシーンに似てますね!
スタークが言った言葉『そんな弱い人間に着る資格は無い』というのはなかなか重い台詞ですね。スターク自身にも跳ね返ってくる言葉だし、実際に彼はアーク・リアクターに依存しかけたわけですから。
多分、この台詞は『大いなる力には大いなる責任が伴う』の差し替えなのでしょうね。街を破壊しまくってるアイアンマンにこの台詞を言わせるわけにはいきませんし。
後半
学校でリズとピーターが話すシーン。かなり青春していて、キュンキュンしました(笑)
ピーターが「I like you.」っていって、リズが「I know」って言った場面は最高でした!!
いいパーティーになるかと思いきや………まさかの衝撃が!! 倒すべき怪鳥人間はリズのお父さんだった!! そういえば忘れてました。『無印スパイダーマン』でもグリーンゴブリンは親友の父親でしたね。
ただ、根っからの悪党ではなく、家族のことを第一に考えていると言う所が、憎めないというか、良いやつなんだなぁ〜と思ってしまいます。
パーティー会場へ向かう車の中、会話によって段々とピーターの正体がスパイディだとバレるシーンは怖かったし、ハラハラしましたね〜。
それでもって、ラストバトル。
飛行機の上で闘っちゃいます!! 悪くは無かったですが、やっぱりやり過ぎな気が。エンジンに巻き込まれるのを糸で阻止するとかは理想的ですけどね。
墜落した飛行機現場での姿が本当に素晴らしいヒーローでした。敵である怪鳥人間をちゃんと助けるところが偉いなぁ〜って。
ラスト
まず、驚いたのは「MJってお前かよぉぉぉぉぉ!」と言う事。
ずっとリズがMJ的な立ち位置の存在だと思ってたら、まさかの地味娘の方がMJ。でも考えてみれば、ピーターに気がある素振りをしたり、リズとキスをしなかったりとヒント(?)はありましたね……。
で、アベンジャーズへのお誘い。
きっぱりと断る所がとても良かったです。「地元を守る」というヒーロー像を崩さず、守るべきものが見えている、とても格好いいラストでした。
……………エンドロール後。
今回はキャプテンアメリカの教育ビデオです(笑) なんだよ、次の映画の重要シーンじゃないのかよ。
ということで、『スパイダーマン:ホームカミング』でした。
スパイディ単体の映画としては残念でしたが、MCUの1作品として仕方ないのかもしれません。
次は、『ソー/バトルロイヤル』ですね。
読んでくださった方、ありがとうございました。