映画『どうにかなる日々』:ふつうの日々を大切にいろいろな”想い”を包むゆったり時間。

 こんにちは!
 お元気ですか?

 Twitterの新機能「フリート」を使ってみました
 うん、悪くないけど、日常的に使うには面倒くさそう…。暇な時に、ちょくちょく使うかもって感じでしょうか。

 さて、久々に観た映画は『どうにかなる日々』
 最後に見たのは「鬼を倒すヤツ」なので4週間ほど前。とても素晴らしい綺麗な映画でした!!

映画『どうにかなる日々』画像
映画館にて。

2020年11月12日鑑賞

どうにかなる日々
Happy-Go-Lucky Days

映画『どうにかなる日々』画像
©志村貴子/太田出版・「どうにかなる日々」製作委員会

映画の評価

評価

4.4 / 5.0

一言コメント
  • どうにかなる日々《Happy-Go-Lucky Days》。ちょっと明るい気分になれそうな軽やかな言葉。なんども口ずさみたくなる!
  • とても短くて、柔らかい作品。自分も相手も大切にするナチュラルな彼ら/彼女らがとても好き。
  • 主人公たちの過ごす時間を覗くのが申し訳なくなるような感じがするくらい、丁寧だった!
  • ひとつじゃない「好き」という気持ちが繊細に描かれて、けど”腫れ物に触るよう”でない、自信と勇気をまとったアニメーション。

アニメとあらすじ

誰かを想う日常は、ときに甘くて、ときに痛い。
そんな、なるようにしかならない日々も きっと、いつか。
元恋人の結婚式、
男子校の先生と生徒、
心と身体の変化を迎える思春期の幼馴染。

誰が相手でも、どんな形でも、全ての恋と生き方には同等の価値がある。
そして、不器用に誰かを想った日々は、きっといつか愛しい思い出になる。
そんな“誰かの恋”を優しく見守り、温かく描くオムニバスショートストーリー集。
映画公式サイト

劇場アニメ「どうにかなる日々」特報PV

原作:志村貴子
監督:佐藤卓哉
脚本:佐藤卓哉
制作:ライデンフィルム
音楽:クリープハイプ
キャスト:花澤香菜, 櫻井孝宏, 木戸衣吹, 石原夏織 and more.
上映時間:54分
日本公開:2020年10月23日
配給:ポニーキャニオン
公式サイト

感想あらまし

 志村貴子さん原作。
 『どうにかなる日々』
 ”Happy-Go-Lucky Days”


 60分と短いオムニバス形式のアニメーション映画。さらに短いそれぞれの物語の中で、登場人物たちの”気持ち”をとても丁寧に描いた作品で、とても良かったです。「きれい」でした。美しいとか素晴らしいとかではなく、「きれい」が似合う作品だと思います(あえて漢字ではなく、ひらがなで)。

映画『どうにかなる日々』画像
©志村貴子/太田出版・「どうにかなる日々」製作委員会




 いろいろな「好き」を描く作品。
 ひとつに限定されない、あの人この人がそれぞれが持っている気持ちで、それが向けられた人がまた感じるところ。

 とても繊細に描かれています。
 けど、それがなんだかとても力強い。と、いうか。”腫れ物に触るよう”な恐る恐る描くのではなくて、堂々と、自信と勇気を持って、「これでいいんだ」と言っているようで、印象的でした。

映画『どうにかなる日々』画像
©志村貴子/太田出版・「どうにかなる日々」製作委員会




 そして、ナチュラルな作品。
 自分の気持ちを大切にする人たちだから、物語が柔らかいし、映画が優しく感じました。

 なんか、描かれる登場人物たちの間に入るのが躊躇われるような、スクリーン越しに覗き見ていることすら申し訳なくなるような、そんな感じが胸の奥から湧いてくる不思議な映画でした。



 とても短いオムニバス映画。
 60分で4つのエピソードが描かれます。

 とても短いんだけど、とても良い映画。
 短い時間の中で登場人物たちの心境の変化や成長、時間の経過を見事に描く脚本が素晴らしかったです! 端折る部分はしっかり飛ばす。けど、その間に経過した時間の分だけ、登場人物たちに小さな変化をつけているところが好きでした。

映画『どうにかなる日々』画像
©志村貴子/太田出版・「どうにかなる日々」製作委員会




 絵も、音楽も、演出も、とても素敵。
 なんか、空気がとても澄んでいる!
 なんでもない日常の一コマを切り取ったり、部屋の一角を映したり、空模様が変わったり。物語の感じも相まって、漫画と詩集の間を行くような感じの映画でした。

 主人公たちが歩く背景は水彩画っぽくて綺麗だし、ラジオから流れてきそうな音楽が良かったし、本当に詩集の装丁とかでありそうな演出とか、とてもいい感じでした!

映画の感想

いろいろな「想い」、これでいい


 『どうにかなる日々』
 恋愛作品、あと日常作品です。

 それぞれが歩む日々と、誰かを想いながら過ごす時間。
 女同士、男同士、友達と、恋人と、従姉弟と──関係はいろいろ。日常のことはもちろん、「性」についてもボヤさず描く作品。

 子どもも大人も、男も女も、友達も家族も、どんな仕事をしていても。各々が過ごす時間や毎日の中で、誰かを想う/考えるようなことがあったり、なかったり。それが友情なのか、”好き”なのか、恋なのか、愛なのか、興味なのか、嫉妬なのか、好奇心なのか、お節介なのか…….。

 本作の登場人物=彼ら彼女らの心をあまり言葉で表したくない気がするので、それっぽいことを列挙することにしました。たぶん、違うのもあるし、足りないのもあるでしょう。まぁ、なんか、そんな映画です。

映画『どうにかなる日々』画像
©志村貴子/太田出版・「どうにかなる日々」製作委員会




 恋愛作品。
 だけど、もっと広い感じがしました。
 普通の恋愛作品よりも、もう少し深いところというか、根底にあるところというか。よくある好き嫌いとか、愛情とか、それよりももう少し奥の方というか

 なんか、「生きること」に近い感じ。
 表面的な好き嫌いとか、胸がドキドキする恋愛とか、それもあるけど、もう少し胸の奥というか、心の根に近いところにある物語なのかな~って思いました。

 「カップルとしての様子」だけじゃなくて、そこで過ごす時間とか、日常とか、そういうのも含めたものを描き出しているような気がしました。陳腐な感想だけど、すごいなって。



 どんな形であれ、何をしていても、いろいろな「想い」や「気持ち」や「関係」を否定せず(けど肯定もせず?)、そっと見守るような、応援するような作品。

 けど、一方でとても強い。
 セクシャル・マイノリティとか、性の話とか、そういうのを扱う時は「腫れ物に触るよう」にぎこちなくなることも少なくないけど、この作品はその気配を微塵も感じなかったのが嬉しかったです。

 恋愛等のカタチやスピードがひとつに限定されるものではないと言っている気がするし、それが「間違いではない」ということを堂々と自信を持って「これでいいんだ」と言っていくれているように感じました。

映画『どうにかなる日々』画像
©志村貴子/太田出版・「どうにかなる日々」製作委員会
映画『どうにかなる日々』画像
©志村貴子/太田出版・「どうにかなる日々」製作委員会




 Wikipediaのあらすじ紹介。

ちょっと変わった恋愛模様とありふれた日常を、独特のテンポと繊細な心理描写で淡々と描いたショートストーリー集。

 これは、よくない。
 ただ、この「変わった」とか「普通」とかいう書き方は、その裏に誰か基準があっての表現になっちゃうし、本人からすれば何ら変でもないわけで。しかも、この『どうにかなる日々』は短編をいくつも重ねて「どれも間違ってない」と言っているのだから。

柔らかく綺麗で飾らないな作品


 冒頭で書いたように、「きれい」でした。
 なんだか、漢字よりも”ひらがな”の方が映画の雰囲気や受け取る感じ方を正確に表せる気がします。

 なので、章題は「やわらかく、きれいで、かざらない作品」。
 (とはいえ読みにくいので、基本的には漢字表記で続けていきます。)



 登場する人々。
 えっちゃん、あやさん、百合、澤先生、矢ヶ崎くん、小夜子、しんちゃん、みかちゃん、姉、母、父、友達、その他。

 登場する人はみんな、自分の気持ちを大切にする人だと思います。そりゃ隠したり誤魔化したりするけど、そこに”変な感情”が混ざっていない気がしました。

 「ピュア」とは少し違う、やっぱり「ナチュラル」という表現が一番感覚に近いような。すごく自然な感じだから、空気が澄んでいるし、物語が柔らかいし、映画が優しく感じられるような気がしました。

映画『どうにかなる日々』画像
©志村貴子/太田出版・「どうにかなる日々」製作委員会




 だから、立ち入りたくないな、と。

 スクリーンに映る登場人物たちは、それぞれの日常の中でそれぞれの相手との時間を生きていて、そこに外部から入る余地はないとひしと思いました。

 土足で踏み荒らしてしまいそうで、怖いです。彼ら彼女らの間に入るのを躊躇するし、そもそもスクリーンで覗き見ているような気がして申し訳なく思いました。邪魔したくないなぁと思える、不思議な映画です。

短い時間ゆえの良さたっぷり


 原作は志村貴子さんの『どうにかなる日々』
 原作が、短編が詰まった漫画なのだそう。

 そして、映画も。
 上映時間は全部で60分ほど。
 その中で、4つのエピソードが描かれます。
 だから、単純に割ったら1話は15分くらい。(正確に時計を見てないから分からないけど)



 15分なのに、とても良い。よい。
 とてもゆっくりした時間なのです。


 短編は、ともするとテンポの良さを求めて急ぎ過ぎちゃうこともあるけれど、この作品はべつ。むしろまったく逆というか。

 時間の使い方が贅沢なくらい、ゆっくり。
 その人たちが過ごす日々の時間のほんのわずかなところをちょっと切り取っているような作品です。必ずしも結末は重要じゃなくて、大事なのはその過程や過ごした時間。だから、雨や風鈴や桜の枝や、寝たり躓いたり移動したり、そういう些細なことのほうが大切なんです。

 物語や登場人物を単純に追って結末を描くのではなく、急いて淡々と描くのでもなく。主人公たちを直接映さないカットや、風景のカットをたびたび挿入したりと、本当に贅沢。

映画『どうにかなる日々』画像
©志村貴子/太田出版・「どうにかなる日々」製作委員会




 物語の描き方がとても素晴らしい!
 短い中で、主人公たちのコトをしっかり映します。関係とか距離感とか想っていることとか、それが上手く伝わってきます。

 「距離感」が一番分かりやすかったかも。
 最初は「◯◯さん」と呼んでいたのが、段々と砕けていったり。声をかける順番とか、口に出す言葉とか、そういう仕草で表現しているのがとっても良いなって!!
 約15分って本当にあっという間で、けどその中での小さな”変化”がちゃんと伝わってくる。うまく言葉では表現しにくいですけど、いい感じでした。



 そして、そこにあるのは、大きく含みのある「間」だと思うんです。

 省くところは省くし、端折るところは端折る。
 けど、そこで経過した時間というのが積み重なって、スクリーンに描かれたキャラたちの”今”があるということが伝わってくる
物語や台詞、アニメーション。

 その「間」が、含みある心地よい余白で好きでした。多すぎず、足らなすぎずというか。「察してね」というか、「分かるよね」というか、「想像してよ」というか、「そこまでは描かないよ」というか。

 本当に、詩とかを読んでいる感覚に近いと思います。
 描かれるのはその一瞬だけど、その前後左右にある部分もうっすらと伝わってくる感じがして、とても好きな映画でした。

映画『どうにかなる日々』画像
©志村貴子/太田出版・「どうにかなる日々」製作委員会
映画『どうにかなる日々』画像
©志村貴子/太田出版・「どうにかなる日々」製作委員会

ゆとりある音楽と絵


 いい音楽と綺麗な映像に包まれる、ゆとりある60分。
 「詩みたい」と書きましたが、そんな雰囲気が伝わってくるのもまた、この作品を作り上げる音楽や絵が素敵だからだと思います!

 なんか、空気が澄んでいるんですよね。
 淀みがないというか。
なんでもない日常のいち場面とか、くだらない普段の会話とか、面白くもない部屋の一角とか、気まぐれな空模様だったりとか。

 そういう小さいところが描かれて、しかも綺麗な絵と音楽だから、ゆったり。詩を読んでいる感覚です。

『どうにかなる日々』冒頭映像




 水彩画チックな背景美術。
 なんか、本当に詩集の装丁にしてもおかしくないくらい、ふわっとしていて綺麗でした。それに、ちょっと背景がボヤケているから、主人公たちへのフォーカスが自然とできる気がします。

 あと、各エピソードの幕間を飾るところも、綺麗で、ポストカードとか欲しいなぁ。

映画『どうにかなる日々』画像
©志村貴子/太田出版・「どうにかなる日々」製作委員会




 監督は、佐藤卓哉さん。
 最近は、『あさがおと加瀬さん』と『フラグタイム』という漫画原作の百合作品をそれぞれ60分ほどのOAVとしてアニメ化されました。どちらも、素晴らしい作品でした!

 『加瀬さん』『フラグタイム』も、本作『どうにか~』も、短い時間で登場人物の関係を繊細に描き出す手腕が素晴らしいし、演出もとっても好き。カメラワークとか、挿入するカットとか、漫画チックな演出や画面の装飾など、細々としたところが全部綺麗で好きです!



 音楽は、クリープハイプ。
 ギターとかドラムとかの音が印象的で、なんだかラジオから流れてきそうなオシャレな感じでとても良かったです! サントラも好きな感じ!

 一方で、主題歌は少しイメージと違うかも。
 ちょっとうるさいというか、もう少しバラード的な感じでも良いのかな~なんてエンドロールを見ながら思いました。

クリープハイプ「モノマネ」 MANGA MUSIC VIDEO


注意


以降、映画本編のネタバレあり




ネタバレ感想

“好き”よりもっと、こころの作品


 この映画で「好き」って印象が薄いんですよ。

 いや、決して「好き」が無かったわけではないですよね。むしろ、ものすごく色々なところにあったと思います。カップルとか、妄想とか、幼馴染とか、色々とありましたし、それぞれが色々な形での「好き」を過ごしていたと思います。

 けど、違うんですよね。
 (決して他の作品を非難するわけではないですけど、)なんか、ほかの恋愛漫画とかハーレム作品とかとは一線を画するんですよ。
 上の感想でも少し書きましたが、単なる「好き」よりも、もっと日常生活とか日々の時間とか、心の根に近い部分の話だと感じました。

映画『どうにかなる日々』画像
©志村貴子/太田出版・「どうにかなる日々」製作委員会




 考えてみれば、映画の中で「好き」と明確に言うことって無かったかな、なんて思うんです。

 EP1「えっちゃんとあやさん」の2人は、いつの間にか一緒に過ごしているし、お互いに大切に想っているようだし、セックスもしているっぽいけど、口で「好き」と相手に伝えたことは無いと思います。

 EP2「澤先生と矢ヶ崎くん」では、そもそも澤先生の妄想だったわけで。先生のモノローグの中では、「好き」と言っていたけど、やっぱり相手に伝えていなかったはず。

 EP3「しんちゃんと小夜子」は、しんちゃんが小夜子のことを気になっていたようだけど、言葉にしたのは「寂しい」ということ。

 EP4「みかちゃんとしんちゃん」は、みかちゃんがそっと「好き」だと漏らす場面はあったけど、やっぱり相手に伝えてはいなかったような。

 きちんと「好き」って伝えていない、少なくとも映画として切り取られたシーンでは言っていない言葉。けど、お互いに分かっているみたいだし、その距離がとても近いと思えたし。
 そういう、単純に「好き or 嫌い」という部分だけではない、微妙なところ、絶妙なところ、なんていうものが、とても丁寧に描かれていたと、そう思いました。



 彼ら/彼女らの関係が「いい」か「悪いか」は当の本人たちが決めればいいことだと思います。
 けど、それを外からそっと覗かせてもらうと、それぞれがとても良いなって想ったのです。

 「どうにかなる日々」
 「Happy-Go-Lucky Days」

 とても、しっくり、きました。

本人たちの「性の話」


 離れられない「性」の話。
 驚くほどおおっぴらに描かれていて、けどそれは避けられないんだよなぁと。性の話を排除するでもなく、喧伝するわけでもなく。

 それでも良かったのは、やっぱり「当人たちの話」だったこと。
 視聴者・鑑賞者のためのお色気とか性描写じゃなくて、ただただ本人たちの過ごす中での自然なものとして描かれていたのが印象的だし、ふっと胸に落ちました。



 女の人同士、
 江戸時代のラブホテル、
 AVに出ていた従姉弟、
 学校の物置き部屋。

 なんか、力んだり誇張したりするでもなくて、さらっと、さも当然のように当たり前のように描いているんだなぁって。
 やっぱり、これに評価を下すのはなかなか難しいけど、私はとても良いなぁ、というか大切なことだなぁと思いました。

映画『どうにかなる日々』画像
©志村貴子/太田出版・「どうにかなる日々」製作委員会


 映画『どうにかなる日々』の感想でした!
 とても綺麗で、いい映画でした!

 ちなみに、来場者特典。
 ひとつは、5分ほどのキャスト対談映像でした。上映前に流れたので、出来れば上映後に観たかったかな~なんて。

劇場入場者特典映像/スペシャルキャスト対談




 あと、志村貴子さん描き下ろしの漫画。
 本編エピソードの後日譚があるのですが、手紙っぽい封筒に入っていてとても可愛らしくて嬉しかったです!

劇場入場者特典映像/スペシャルキャスト対談
映画『どうにかなる日々』画像




 私、志村貴子さんの漫画は一冊も読んだこと無いんです。
 でも、名前は知っていたし、大好きなアニメ『アルドノア・ゼロ』や、あさのあつこさん原作の『バッテリー』でキャラ原案を手掛けられていたりします。

 カラーのイラストがとても綺麗で大好きです!
 漫画は読んでいないけど、原画展には足を運ばせていただきました!

映画『どうにかなる日々』画像

読んでくださり、
ありがとうございます!
これからもよろしくお願いします!

1 COMMENT

コメントを残す