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【映画】『スリー・ビルボード』───3枚の看板が、3人を翻弄する

 とても荒々しい物語と繊細な演技が描くのは、「普通にして衝撃」の物語。    願いは「悪」と「善」を引き連れて、混ざり合って、事件を呼び込む。  ほんの少しの感情の変化を表したり、“普通の人”を演じるような俳優さん方の演技が良かった。  展開も驚きのことながら、結末はもっと衝撃的。
※ネタバレなし。
※画像は予告映像のキャプチャです。

2018年2月6日鑑賞

スリー・ビルボード
(原題:Three Billboards Outside Ebbing, Missouri

 

 

 

【評価:3.7/5.0】

 


【一言】

とても荒々しい物語と繊細な演技が描くのは、「普通にして衝撃」の物語。

願いは「悪」と「善」を引き連れて、混ざり合って、事件を呼び込む。

ほんの少しの感情の変化を表したり、“普通の人”を演じるような俳優さん方の演技が良かった。

展開も驚きのことながら、結末はもっと衝撃的。


 

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【目次】

 

 


 

 

ストーリー

 ミルドレッドの娘は数ヶ月前にレイプされて殺された。犯人逮捕を切望するも、警察の捜査はなかなか進展しない。

 業を煮やした彼女は、道路沿いに建つ3枚の看板に広告を出した。
 それは、小さな田舎町に大きな影響をもたらしていく───。


予告動画

 

 


 

 

作品データメモ

監督:マーティン・マクドナー
制作:フィルム4・プロダクションズ
キャスト:フランシス・マクドーマンド,ウディ・ハレルソン and more.
上映時間:115分
日本公開:2017年2月1日
配給:20世紀フォックス映画
公式サイト

 

 


 

 

 

感想

感想外観

 観るまでどんな映画かイメージがつかず、ヒューマンドラマにサスペンスを加えた感じだと思っていました。
 しかし、実際に観てみると「実話ドキュメンタリー」に近いような気がしました。妙に現実感があって、でもフィクションの映画として成立していて。

 俳優さんたちの演技が良かったと思います。
 良かったと言っても、印象に残るような素晴らしいシーンや演技があったわけではないです。むしろ、印象に残らないような演技が凄かったんだと思います。
 乱暴な内容に反して、繊細な演技でした。

 正直、ストーリーに関して触れる事は厳禁です。
 観て、主人公ら登場人物たちと一緒に事件の展開を追っていくのが、この映画の見どころ(?)だと感じました。
 ただ、「驚きの内容と衝撃の結末」とだけ言っておきます。

 本作、感想を書きたいけど書けないです。
 何か詳しい事を書いたらネタバレになるし、話の展開を楽しむ作品だと思うので。
 あと、あまりにも“普通”過ぎて書く事がないのと、でも集中してみてたから書くことがないんです。

 

 

 

 

 

実話ドキュメンタリー?

 本作を観て、というより観ながら感じていたのは「実話みたい!」と言うことです。

 もちろん100%フィクションなんでしょうけれども、他の創作映画と違って妙に現実感(?)がを感じました。

 あと、実話ドキュメンタリーにある独特な雰囲気が映画全編に漂っていて、それもまた影響していたんだと思います。

 多数のフィクション映画のように驚くべき部分がないというか、あっても変に納得して受け入れてしまうというか。
 なかなか言葉に表しづらいんですけどね…………。

 

 

 

 

 

ふつうの演技

 色々な映画レビューサイトなどでも「演技が凄い」と言われている本作ですか、確かに凄かったです。
 でもそれは、「迫真の演技」や「驚異のスタント」でも「感情のこもった台詞」でもないんです。

 何が凄かったかというと、「ふつうの演技」なんですよ。
 普通の人がふつうに日常を暮らしてて、映画で描けれる事件に対しても普通の反応をしているような。

 そんな「ふつう」というか、過度に演技っぽすぎないような部分が凄かったです。だから、余計に実話ドキュメンタリーのような印象を抱くのだと思いました。

 それから、微妙な感情の変化や心境の変化が上手かったなぁ〜と。
 基本的にどの登場人物も感情豊かなわけではないです。それでも、時おり見せる微笑や怒りの表情など、細やかな変化が現れてて良いと思いました。

 内容が「乱暴」というか荒っぽいというか、粗削りというか………なのに対して、その内容を組み立てている演技はとても細かかったです。

 

 

 

 

荒いストーリー

 先にも書いたように、物語はとても荒々しいです。それは内容が雑というわけではなく、文字通り荒いんです。

 でも、ここで少しでも内容を書くとネタバレなんですねぇ〜。
 観客が驚くような展開や内容なので書いたらマズいし、それを楽しむ(?)のもまた本作の見るべき点たと思います。

 登場人物たちと一緒になって予測不能な事件の展開を追っかけている感じがして、個人的にはかなり集中して入り込んでしまいました。

 内容は驚きだし、最後の結末は衝撃ですよ!

 

 

 

 

 

感想が書けない?

 本作、感想がなかなか書きにくいです。内容的にも、その他の点に関しても。

 まず、内容に関しては少しでも触れたら面白さが無くなってしまう作品なので書けません。
 演技に関しては書きましたし、表現・演出についても書いたらつまらなくなってしまいます。

 でも、何よりも問題なのは、映画が「普通すぎる」と言うことなんです。
 だから書く事がないと言うよりも、普通だから難しいというか……。

 あとは、私自身が映画の内容を追うことに入り込んでしまったというのも原因ですかね。
 普通な物語だけれども、だからこそ内容を主人公たちと一緒に追いたいし、その先が気になっちゃいました。

 

 

 

 

 

ネタバレ感想

 

ネタバレを表示

 まずなによりも、「あの結末かよ!」と言う部分ですよね(笑)
 だって、娘のレイプ犯を追う物語だったし、犯人逮捕で終わるのかと思ったら、全然関係のない容疑者候補を追って行くところで映画は終わり。

 スッキリしないし、めちゃくちゃモヤモヤするけれど、なんか納得してしまう終わり方だったというか……。

 あとは、大人しそうな映画のイメージとは裏腹に結構ハードですね(笑)
 爪に歯科ドリルを刺したり、窓から落としたり。こういう荒々しさが「普通の物語」によりインパクトを加えていたと感じました。

 警察署で取調べを受けているときに署長が血を吐いてしまった場面。
 ミルドレッドが心の底から心配した表情をしていて、本当にすごいと思いました。

 

 

 

 

 


 

 

 

以降、映画本編のネタバレあり

 

 

 

 


 

 

 

ネタバレあらすじ&感想

 

あらすじを表示

 

序盤

 寂れた道路脇に建つ3枚の広告看板を眺める女性。
 すぐに彼女は代理店で広告契約をする。彼女はミルドレッドという母親で、事件の捜査が進展しない事に対して広告を出した。

 イースターの夜、ある警官が看板を見つけ、書いてある文字に驚いて連絡を取る。
 「レイプされて死亡」
 「犯人逮捕はまだ?」
 「どうして?ウィロビー署長?」

 

 

 

 

 

前半

 警察は広告会社に殴り込む。社長のレッドに脅しをかけるも、彼は動じない。
 あの広告は問いかけだから名誉毀損は出来ないと。

 ミルドレッドは広告の効果をさらに増すため、テレビのインタビューに応じる。
 「この看板がきっかけになれば」

 事件の騒動を受けて署長自らがミルドレッドの元へやって来る。
 全力は尽くしているが、それでも証拠が出てこないから仕方ないし、それで職務怠慢だと言われたくはないと。

 さらに、自身ががんに侵されていることを明かした。それでも、容赦しないのがミルドレッド。

 一方、ミルドレッドの息子は学校であの看板が原因で冷たい待遇に合っていた。
 神父さんがわざわざ家にやって来て、娘の件では町の誰もが味方だけど、今回の件は皆んなが反対していると教えてくれる。
 しかし、彼女は教会の少年レイプを取り上げて反論する。

 ミルドレッドは歯医者へ。
 そこの歯科医は今回の広告の件に強く反対している医者だった。それを知ってか知らずか彼女は治療を受けるふりをして、医者の手から治療ドリルを奪うと、医者の親指に突き刺した。

 

 

 

 

 

中盤

 歯医者の件で警察署に連行され、事情聴取を受けるミルドレッド。始めはディクソンが強く責め立てるが、署長が変わる。
 お互いに守りながら攻めるなか、署長が咳き込んで口から血を吐いた。
 ミルドレッドは心配そうな表情を浮かべ、署長は病院へと運ばれていった。

 息子に言われたのは、「看板のせいで妹のことを忘れたくても忘れられない」ということ。
 そして帰宅したミルドレッドが思い出すのは、娘がレイプ殺害された当日のこと。

 ───その日の朝、ミルドレッドと娘は車貸すかどうかで喧嘩をしていた。強情なミルドレッドに対して娘は「歩いていく。レイプされても知らないからね!」と答え、ミルドレッドもまた「レイプされればいい!」という言葉を口にしてしまう。

 事件をなんとかしたいディクソンは、母親の入れ知恵でミルドレッドの友達を狙う。
 そして置物店で働くデニーズを麻薬所持の容疑で逮捕するのだった。

 レッドに呼び出されたミルドレッドは、彼から広告費が未納だと知らされる。以前払った5,000ドルという大金が前金に過ぎないと言ってきたのだ。
 彼女が悩んでいると、名前も分からない人物から広告代が送られてきた。

 ある日、署長は子供たちと川辺で遊ぶことに。ガンに侵された身体で最後の楽しい思い出をと。
 その夜、署長は妻への置き手紙を残して自殺をした。

 

 

 

 

 

 

後半

 署長の自殺を受けて悲しみにくれる警察署内と警官たち。
 そんな中で、知らせを聞いて怒り狂ったディクソンは広告店に押し入るとレッドを殴った上で、窓から突き落とした。

 ミルドレッドの方は、普段通り置き物屋で働いていた。すると、一人の男性が店内に入ってきて、脅しのような事をする。

 そこへ丁度やって来た署長の妻のおかけでその場は凌ぐことが出来た。妻が持ってきたのは署長からミルドレッドに宛てた手紙だった。

 その手紙には、広告を出すというアイデアが優れてるとか、将来に期待を捨てないでほしいとか書かれていた。さらに、広告費を払ってくれた謎の人物が自分だと明かしていた。

 夜、ミルドレッドと息子が車で帰途についていると、目の前に看板が燃えている広告が目に入った。
 必死に消化器で消そうとするも手遅れで、看板は真っ黒に焼け焦げてしまう。

 これに対し怒った次の夜、火炎瓶を持って警察署を訪れる。そして火炎瓶を投げつけて、警察署に放火をした。

 しかし、署内にはディクソンが居た。彼は署長からの手紙を読んで改心しそうなところだった。クズ警官だった彼は自ら火だるまになりながらも、ミルドレッドの事件ファイルを持ち出す。

 ディクソンは病院へ搬送され、そこで同じ病室になったのが、なんとレッドだった。
 火傷で顔中を包帯で覆っているディクソンに対して、レッドは飲み物を差し出そうとする。その優しさにディクソンは涙を流し、包帯に隠れた自身の名を明かす。

 

 

 

 

 

終盤

 退院したディクソンは、ひとりバーで酒を飲んでいた。
 その時、後ろの席にやって来た男性2人の会話が耳に入る。それは9ヶ月前に起こったミルドレッドの娘の事件とそっくりなもの。

 ディクソンは車のナンバーを確認すると、その男性の頬を引っ掻いた。しかし2人の男性に敵うはずもなく、ボコボコに殴られてしまう

 家に辿り着いたディクソンは、爪の間に挟まった男性の皮膚片を証拠品袋に入れる。
 DNAを検出することが出来れば、犯人として逮捕出来るから。

 ミルドレッドにこの事を伝え、少しの希望を抱かせる。
 しかし、鑑定の結果は不一致。DNAは別人で、しかもその男性は事件当時に国外にいたという。

 ディクソンはミルドレッドに電話で結果を伝える。犯人は違った。
 しかし、奴もまたどこか別の場所でレイプを犯した犯人であることに違いはない。
 そう考える2人は車に乗って男のいるアオダホへと向かっていく。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 最後まで読んでくださり、
 本当にありがとうございました!!

 

 


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