良くも悪くも「ゲーム」だなと。 アクションやアドベンチャーの要素は申し分ないくらい充分で楽しめた! 一方で、謎解きは足りないし、内容や設定考証には大きな不満を覚えた。
※ネタバレなし。
※画像は予告映像のキャプチャです。
2018年3月22日鑑賞
トゥームレイダー ファースト・ミッション
(原題:Tomb Raider)
【評価:3.6/5.0】
【一言】
良くも悪くも「ゲーム」だなと。
アクションやアドベンチャーの要素は申し分ないくらい充分で楽しめた!
一方で、謎解きは足りないし、内容や設定考証には大きな不満を覚えた。
ストーリー
莫大な資産を持つ父親が消息不明になってから7年。ロンドンに暮らす娘のララ・クロフトは遺産を相続した。
その際に受け取ったカラクリ仕掛けの箱。中に入っていた鍵で開けたのは父親の研究室。
そこに置かれた資料から、父は古代日本で魔術を操る呪われた女王、ヒミコの墓を探している事がわかった。
ララは父を探すため、手掛かりを元に父の足取りを追う。
予告動画
トゥームレイダー誕生20周年記念トレイラー
感想
感想外観
世間的には評価が低めだったので見るまでは少し心配でしたが、なかなか面白かったです!
リメイク前のアンジェリーナ・ジョリー主演作の方は詳しく覚えてないけど、結構好きでした。
まず本作の要素の一つ、アクション&アドベンチャー。この点については問題なく楽しめました!
ど派手な仕掛けや危険が迫る訳ではないけれど、舞台と状況を目一杯に活かしたスリル感満載の内容で、かなりハラハラしました。
一方で、もう一つの要素であろう「謎解き」に関してはほぼ皆無と言っていい程少なくて残念でした。
主人公のララが謎を解くというよりも、用意された謎と一緒に答えも整っていて、そのレールに乗って行動するだけというか。
多分、舞台が日本で謎が漢字だから欧米人の観客のために「謎解き」を簡略したんだと思います。
あとは、良くも悪くもゲームだなぁ〜と思いました。映画を観ているけど、ゲームのプレイ画面を見ているよう!(『トゥームレイダー』は未プレイですが)
良い意味では、現れる仕掛けや危険はまさにゲームそのもの。ララの武器が弓矢だったり、隠密行動を主とする部分はゲームっぽくて良かったです。
悪い意味では、やはり身体能力や傷の治癒回復力などが超人的レベルなのが気になりましたね………。
トゥームレイダー誕生20周年記念トレイラー
ストーリー等の全体的な構成は若干気になるものの、悪くはなかったです。
確かに冒険の舞台となる島までが少し長いし、島に着いても謎解きはお預け。
でも、序盤からしっかりと見せ場やアクションなどを入れているので飽きないし、楽しかったです。
唯一にして一番気になったのが設定&時代考証。
本作で狙うのは女王ヒミコの眠る墓。そう、舞台やストーリーの根幹部分は日本なんですよ! で、気になったのはその日本に関する描き方や古代の部分ですかねぇ〜。
楽しいアドベンチャー
アクション、アドベンチャーに関しては文句なしと言うほどに楽しかったです!(少し褒めすぎ)
『インディ・ジョーンズ』みたいに大掛かりなトロッコ競争したり、『パイレーツ・オブ・カリビアン』みたいな格好良さは少ないです。
でも、探検・冒険をするという主要テーマから外れる事なく、行く先々の舞台をちゃんと活かしたアクションや、少し無理矢理だけど許せる範囲のアドベンチャーだったのが良かったです。
無理矢理に爆発や銃撃戦を交えたりせず、舞台や雰囲気に見合った仕掛けやギミックを設定していたから印象良かったんでしょうかね。
そして、派手なアクションの代わりとして「スリル」をしっかり活かしていました!
「落ちちゃう!」とか「もう死んじゃう!」みたいなハラハラ感が凄くて、本当に手に汗握るし、ドキドキしながら画面見つめて、ララを見守っていました。
この上手いスリル感の使い方が楽しがった要素ですかね。
残念だった謎解き
「謎解き」の要素に関しては本当に残念という他ありません。だって、描かれないんですから。
謎は存在するんですよ。でも、それを解かない。
存在する謎に対してちゃんと答えが予め用意されているというか、考える部分を飛ばして結論を描いてしまっているんです。
もう一つ、「謎解き」が描かれない理由は舞台だと思います。
今回の舞台は日本。だから必然的に古文書とか資料が漢字表記なんですよ。となると、映画を観る欧米の観客にしてみれば意味不明な言語。
それを理屈や感覚で解かれたって理解出来ないんじゃないですか? だから、今回は謎解きの部分を端折って、雰囲気だけに留めたんじゃないですかね……?
ゲームみたい!
『トゥームレイダー』自体は未プレイですが、映画を観ていて本当にゲームみたいだと思いました。
まず、良い点について。
1つ目は出現する危険やギミックがゲームっぽい事。具体的に書くとネタバレになるので避けますが、「ここをプレイしたら楽しいだろうなぁ〜」って舞台がいくつもありました。
2つ目は行動について。ララの武器が弓矢だったり、敵にバレないよう隠密行動を心掛けたりする様子はステルスゲームみたいで好印象でした。
一方、悪い点。
それは主人公ララの超人的な身体能力や治癒回復力です。
まぁこういう映画では当たり前ではあるんですけど、今回はいつも以上に気になりました。
原作プレイした方から見るとどうなんでしょう?
調べたら、今回の映画の元になったゲームタイトルがあるようで、YouTubeでプレイ動画とかみましたが、それなりに似てるかなぁ〜って思いました。
ゲーム『トゥームレイダー(2015)』PV
ストーリーは許容範囲内
物語の内容と展開構成については若干の文句を言いたいですが、個人的には概ね良い評価です。
文句としては「冒険映画じゃない!」って部分ですかね。
冒険する舞台の無人島に行くまでが長いんですよ。行く動機とか主人公ララの説明とか人物像を描いたりする部分が多かったり、島に着いても謎解きはお預けだったり。
観客の私としては古代の遺跡で走り回り活躍するララの姿が見たかったので、その点についてはとても残念でした。
でも、つまらなかったかというと、そうでもないです。
というのも、冒険出発前の市街地でも爽快な見せ場があるし、島に着いてもアドベンチャー要素はしっかり詰め込んでいるので。
若干の妥協気分はあるものの、別にそこまで酷いと感じるほどではなかったです。
設定&時代考証が気になる
本作の舞台は日本。まぁ、だからこそ日本人として気になったのかもしれませんが(笑)
でも、少しくらいは目をつぶらないと観てられませんがね(笑)
具体的には、まず日本がほぼ出てこないんですよ(笑)
映される資料とか台詞の中に日本は登場するんですが、日本の町並みが描かれるかというと、あまりそうでもない。
ここはやっぱり、しっかり舞台と設定とを一致させて欲しかったですね……。
一番気になったのは歴史考証。
例えば謎解きパズルのピースとなる資料に描かれているのは日本語というより中国の漢字とナニカを合わせた別のもの。
また、遺跡の壁画に描かれているのは明らかに「卑弥呼時代の日本」ではあり得ないような服装や建築物などなど。
ここはめちゃくちゃ気になって、映画に集中出来なかったです……………。
あと、字幕と英語台詞とのズレも気になりました……。
英語台詞でも日本語の単語を言っているから分かるんですよね……。
ネタバレあり感想
以降、映画本編のネタバレあり
ネタバレあらすじ&感想
序盤
制作企業のロゴが映される中、『スクエア・エニックス』のロゴが。
ゲームが原作だから、スクエニのロゴも登場するんですね。
そしてイントロダクションは謎の紹介。
時は古代の日本。人々から尊敬されていた女王ヒミコは、魔術によって死者を生き返らせる呪いを使い、「悪の女王」として民を恐怖に陥れた。
しかし、将軍ら部下の反乱によって彼女は失脚し、魔の海に浮かぶ島《ヤマタイ》に生き埋めにされた。
そして、ララの父親は彼女の眠る島の地図を手に入れた。
舞台は現代のロンドンへ。
ボクシングジムでトレーニングするのは主人公のララ。
自転車宅配便のバイトをしているが金欠でジム費も払えない。
そんな時に耳にしたのは賞金600ポンドが掛かった自転車での鬼ごっこ「キツネ狩り」。
すぐさまキツネ役を買って出るララは、自転車に乗ると追ってから逃げるためロンドンの町中を走り回る。
調子に乗って走るララは、パトカーに激突する事故に。
警察署で彼女を釈放させたのは、クロフト家の秘書(?)をするアナ。彼女は父親リチャード・クロフトの死亡書類や相続書類へのサインを求める。
ララの父は7年前に家を出たっきり戻っておらず、捜索は打ち切られていた。
考えた末、ララは書類にサインする事を決意し、ロンドンにあるクロフト社の本社を訪れる。
弁護士とアナを前に、リチャード・クロフトの死亡書類にサインしようとするララ。その寸前で弁護士が取り出した箱に興味を奪われる。
その箱は父が遺した遺品で、日本のカラクリ箱だった。ララは難なく箱を開き、中には写真と鍵、そしてメッセージ「終着点にして最初の手紙《レター》」が入っていた。
前半
屋敷に戻ったララは先祖が眠る墓地へ。
そして父の墓に刻まれた名前の最初の文字《レター》を押す。
すると現れたのは地下に設けられた研究室。遺されたビデオに父がララに当てたメッセージが残されていた。
そこには、彼が冒険をする理由が。
ララの母の死の後、死の神秘を感じたいがために冒険を始めた事。そしてヒミコの謎を追っていた事と、資料の焼却を頼むものだった。
父がヒミコの眠る島に行く為に雇った船と船長ルー・レンに会うため、ララは資金を集めると香港に飛んだ。
港でバックを盗まれるアクシデントが発生するも、無事探していた船を発見。
しかし、そこにいたルー・レンは同姓同名の別人。だが、話すと彼の父親も同じ名で、しかも7年前に消息を断っていた。
ララは互いの父を探すため、船を買い取り、ルーと2人で魔の島《ヤマタイ》を目指す。
ヤマタイへの航海は困難を極め、島の周辺に位置する「魔の海」は大時化となり、船は岩礁に乗り上げて大破してしまう。
ララとルーは海に投げ出され、なんとか海岸の砂浜へ辿り着くのだった。
浜に辿り着いたララは、背後から突如として襲われる。
目を覚ますと、テントの中にいて目の前には一人の男性が。彼はマサイアス・ヴォーゲルと名乗り、雇い主からの命で働いていると話す。
しかし彼はララの鞄から父のノートを盗み、さらに父や彼女を知っている口ぶりだった。
外から爆発音が聞こえてくる中、ララは父親の言葉を思い出す。「トリニティ」という秘密組織がヒミコの神秘の力を狙っていると。
テントの外に出ると、そこには島にあるヒミコの墓を発掘するために強制的に働かされる人々の姿と、銃で武装した傭兵が見えた。
そしてララはルーと共に働かされる。
ヴォーゲルはララの持っていた資料を基に発掘場所を変え、キャンプを移動させた。
そのすきに、ルーのルーの助けを借りてララは逃げるも、高い崖から落ちて川に流されてしまう。
追手からは逃れたものの、目の前には巨大な滝が迫る。落ちる寸前でララは古びて錆びた飛行機が引っ掛かっているのに気がつくと、ギリギリのタイミングで掴まることに成功。
しかし、ボロボロになった飛行機は崩れ、傾き始めて滝壺へ向かって落下し始める。なんとか操縦席にあったパラシュートを使って脱出し、ララは森に着陸した。
中盤
森に落下した際、ララのは脇腹に木の枝が刺さってしまう。激しい痛みを我慢して抜くも、なお痛みは残る。
そして夜、休んでいるララを襲ったのは ヴォーゲルの部下。脇腹に傷を抱えながらもララは戦い、なんとか相手を倒す。
そしてふと振り向くと、そこには人影が。影を追って岩場を登ると、そこには洞窟の中に人が。髭や髪が伸びているが、それはララの父親のリチャード・クロフトだった。
親子で再会を喜ぶが、父はララが資料を焼却しなかった事を嘆く。「トリニティ」の手から世界を守る為に父は自ら犠牲になりながらも秘密を守ろうとしたのだ。
ララは島からの脱出をしようとするが、父は残ると言う。意見が合わない中、ララは置いてあった弓と矢を持って洞窟を後にする。
ララはヴォーゲルから衛星電話を奪って救助を要請する為、キャンプへ戻る。
そこでヴォーゲルや傭兵達と銃撃戦になるが、ルーの助けを借りながら弓で戦うララ。強制労働させられていた人々は解放できた。
だが、父がヴォーゲルによって人質となってしまう。父親の死か、墓の扉を開ける謎を解くかの2択を迫られたララは後者を選ぶ。
後半
扉の謎を解いて墓への入り口を開けたララ。ヴォーゲルや彼の部下とともに中へ入り進んでいくが、トラップに引っ掛かって床から飛び出した針によって傭兵の一人が死んでしまう。
そして現れたのは道を遮る大きな谷。谷底には沢山の白骨化した死者の亡骸が積まれていた。その「魂の眠る裂け目」を簡易型の梯子をかけて渡りきる。
続いて一向に降り掛かったのは足場が崩れ落ちるトラップ。
次々と足場のタイルがなくなる中、ララは壁に装飾に隠された様々な色の宝石による「色のパズル」を解き、無事に脱出する。
そして左右に殉職した女王の侍女が納められた長い廊下を通り、遂にヒミコの棺を見つける。
棺の蓋をこじ開けると、中に横たわるヒミコの遺体が姿を現した。
そこでララが壁に描かれた壁画を見て違和感の正体に気がつく。
ヒミコは無理矢理島流しに合ったのではなく、自ら望んで島に来たということ。
その結論に達した直後、遺体を運び出そうとしていた傭兵の一人が悲鳴を上げ、手を押さえた。見ると、どんどんと黒ずんでいく腕と、みるみる血管が浮き出していった。
叫び狂う傭兵は、持っていた銃を乱射。ヴォーゲルにより射殺された。
ヒミコは呪いを扱う悪い女王なのでは無く、疫病の感染を防ぐため、自らを犠牲にしてこの島に籠もったのだった。
ヴォーゲルに疫病のウイルスを渡さないため、ララと父は必死の抵抗をする。そんな時、傭兵の死体が起き上がった。
その疫病は「死者を蘇らせる」ようだった。
ララは遺体の破片を持って逃げるヴォーゲルを「魂の眠る裂け目」で追い詰め、逃げ道を立つため梯子を落とし、ヴォーゲルとの死闘の末に彼を谷底へ突き落とす。
一方、父は蘇ったゾンビ傭兵を倒す事に成功したが、自身も感染してしまった。この疫病を永遠に葬るため、彼は爆弾によって墓ごと吹き飛ばした。
終盤
無事に墓から脱出したララは、ヴォーゲルの呼んだ輸送ヘリを奪って島を後にした。
ロンドンに戻った彼女は、正式に父親の死亡証明書類にサインをし、会社の経営や財産運営はこれまで通りアナに任せる事にした。
そして弁護士から渡された財産リストに何気なく目を通していたララはある会社の名前を見つける。
それは『パトナ社』。
ヒミコの島で活動していた組織の物資に刻印されていたロゴも、パトナ社のものだった。
『パトナ社』と秘密組織『トリニティ』の関係を疑い、その背後にはアナがいると睨むララ。
そして彼女は父親の言っていた「クロフト家には責任がある」という言葉を思い出す。
再び質店を訪れた彼女は、形見として売った首飾りを買い戻し、さらに拳銃を2丁購入するのだった。
最後まで読んでくださり、
本当にありがとうございました!!