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【展覧会】『YouFab 2018 Exhibition Polemica! 』:“デジタル”と“フィジカル”の融合で常識に抗え!

2019年2月28日訪問

YouFab 2018 Exhibition Polemica! 

 

 
【一言】

現実をアートで描き出し、未来への道筋を創造する。

既に”現実の一部”になっているテクノロジー・アートの作品は、「常識に挑む」というモットーをそのまま体現したようで本当に面白い!

 
【Twitter140文字感想】

 

 

 

 

概要&作品紹介

 

展覧会説明

数々の世界中のクリエイターによるデジタルとフィジカルの融合を世の中へと紹介してきたYouFab Global Creative Awards。
今年は32カ国158作品の応募があり、審査を経て選ばれたグランプリ、準グランプリ、一般部門賞、学生部門賞、ライオン賞、一部ファイナリストの作品、全9作品を展示する、YouFab2018 Exhibition Polemica !をkudan house (東京・九段下)にて行います。
YouFab

会場:kudan house B1F
会期:2019年2月17日~3月3日
料金:無料
公式サイト:こちら

 

 

「YouFab」について

「デジタルとフィジカルを横断し、結合する創造性 = Fab (ファブ)」。
YouFabは、デジタルとフィジカルなものづくりの高度な連携によって生まれるクリエーション・発明を評価し、贈賞するアワードです。
常識に挑む。常識に抗する。常識をHackする。
そんなスピリットに溢れた挑戦に、YouFabは強く期待します。
YouFab

YouFab Global Creative award 2014-16 Winners

 

 

 

 

展覧会の感想

 

 この「YouFabアワード」の受賞作品展は、東京都心を中心に開催されたテクノロジー・アートの祭典「Media Ambition Tokyo 2019」の一環です。

 現実をアートで描き出し、未来への道筋を創造するという点で、どちらも本当に面白い展覧会です!

 2018年は東京丸の内の「GOOD DESIGN MARUNOUCHI」で開催だったのですが、今年は九段下の「kudan house」で開催されました。

 展示よりなにより、まず会場がお洒落過ぎます!

 飯田橋駅から歩いたのですが、オフィスビル街を抜け、学校や区施設が集まる地区を抜けた先に急に現れた、静かで落ち着いた空間がこの「kudan house」でした。緑が沢山で、日本庭園のようなものもあり、洋館の雰囲気が重々しい素晴らしいところ!
 館内もすごくて、刑事ドラマの舞台になりそうな洒落た洋風の室内、絨毯が敷かれた廊下、そして地下に設けられた展示スペースはコンクリ打ちっ放しで、なんだか誘拐犯が使いそう(笑)

 調べたら、山口萬吉という人物の屋敷だったらしく、スパニッシュ様式の建築で、日本を代表する建築家が手掛けたものだそう!

 作品よりもまず、会場の雰囲気が凄すぎて、初っ端の第一印象から最高でした!
 そしてもちろん、作品も素晴らしかったです!

 昨年2017年アワード受賞作はどちらかというと「バイオアート」に近い印象だったのですが、今年は「環境問題」とかをテーマにした作品が多い気がしました。どちらも好きですが、後者の方がテーマ的には内容が分かりやすいと思います。(個人的に観てて楽しいのはバイオアートの方なんですが)

 この賞の特徴は、企画やプロット段階では駄目で、既に実用可能な段階になった作品が審査対象であるという点です。
 なので、実際に形が出来上がっている作品しか並べられていないので観やすいし、「常識に抗う」というモットーを体現している作品が並んでいるという点で、鑑賞していて楽しいですね。

 「どう抗うか?」という部分が”既に実現されている”というのが、嬉しいです。

 全体的な感想はこのくらいでしょうか。
 9作品が展示してあるものの、なかなか共通点を見出すのは難しいし、あとは個々の作品の紹介にて感想を書いていきます。

 

 

 

 

 

展示作品の紹介

 

 展示されていた作品の紹介です!
 受賞した賞と写真らとともに、感想もちょこっと書いていきます! できるだけ、公式のプレスリリースやPR動画等を探せればいいのですが……。

 

 

 賞 GROUND PRIZE
作品名Fish Hammer
作 家Neil Mendoza
YouFab作品ページ:こちら

金魚が水槽の中を動き回り、その金魚の動きに合わせ、ハンマーがミニチュア家具に振り降ろされる。人間の生活が生態系に与える影響を問題提起・風刺した作品。
YouFab2018

 「人間の生活が生態系に与える影響」と、果ては「人間の生活へのしっぺ返し」がシンプルに描き出された作品で、とても気に入りました!

 ハンマーがずっと金魚を追っていて、唐突にハンマーが振り下ろされ、人間の生活が破壊されていきます。しかし我々は「考えることが出来る猿」です。ハンマーが落ちるメカニズムはすぐに分かり、鹿威しのような構造だと把握。つまり、「我々人間は理由を解明することは出来るのだから、対策を行え」と言われている気がしました。

 

 

 

 賞 FIRST PRIZE
作品名Mind in the Machine
作 家Ani Liu
YouFab作品ページ:こちら

工場で働く労働者の脳波を計測し、彼らの知覚・認知状態を反映したニットを編んだ作品。機械製造主流の現代における「人間の手作業」を象徴すると同時に、自動化に支えられた経済への無名の人々の貢献を反映している。
YouFab2018

 会場には、この「布」のシワや歪みと労働者の精神状態がどう反映されているのか分からなかったのが残念でした。

 それでも、大量生産&消費社会の背景を支える労働者たちの存在を、こうして彼ら自身が作る品物で代弁しようとしているように感じられて、非常に意義深い作品だと感じました。
 あとは、もっと細かい「説明」がやっぱり欲しいです。でないと、分からない。

 

 

 

 賞 LION AWARD
作品名Hack the Natural Objects.
作 家 GADARA
YouFab作品ページ:こちら

石や枝などの”自然物”にセンサーなどの機能を組み込み、傾きによって音量や明量などのアウトプットをコントロールするデバイス。自然物がテクノロジーとともに日常に溶け込む風景を模索する。
YouFab2018

 作品の「形」それ自体は、Bluetoothマウス等のデバイスに「石」のような装飾を施しただけのもの。でも大切なのは「コンセプト」!

 「自然物がテクノロジーとともに日常に溶け込む風景」とは逆な気がしました。むしろ「テクノロジーが自然物に溶け込む」という方向の方が重要なのではないでしょうか? 
 例えば、風力発電や太陽光パネルクリーンエネルギーであると同時に、景観破壊に繋がっているということは大きく指摘されています。その部分を、自然物に溶け込むように出来るというのが、1つテクノロジーの向かうべき役割のようにも思いました。

 

 

 

 賞 GENERAL AWARD
作品名Typhoon I
作 家Michael Koehle
YouFab作品ページ:こちら

小型の台風によって紙の波が起こり、最終的には紙片でできたレリーフが完成する。紙の波の力は釘や紙片に作用する。
YouFab2018

 「水の性質」を研究する中で示した作品だそう。

 正直、コンセプトも内容もよく分からないものの、作品の見た目がとてもインパクトあって凄まじく、遠目から見れば大きな波のように見え、しかし近づけばより細かな波と凹凸によって構成されているような作品。
 この凹凸感はなかなか写真では再現できず、本物のインパクトは凄かったです。

 

 

 

 賞 FINALIST
作品名 Museum for a future
作 家Olivia Guigue
YouFab作品ページ:こちら

本作品は20世紀から21世紀のテクノロジーを含んでいる遺物を集めた考古学コレクションであり、「未来への博物館」である。オブジェクトはロンドンのテムズ川前浜の潮が引いた時に発見された。テムズ川の前浜は考古学的に見て重要であり自然と都市の中間ともいうべき場所で、潮の影響で遺物の劣化が早く、川に生息する動植物との接触で状態が変わってしまうケースも少なくない。今後こうした場所で収集したコレクションを科学博物館やメディア博物館で展示することも検討中だ。
YouFab2018

 こういうの大好き!
 見た目的には荒廃した近未来SF感が凄くて、こうして収集箱にいれるだけで格好いい! そのうち、こういう電子回路とかも「オールドメディア」みたいな呼ばれ方をする日がくるのでしょうか。

 そして、コンセプトの部分もしっかりと。
 テムズ川の浜の重要性なんて考えたことがなかったけれど、人類の史跡って大体が川岸にあるから、埋没した遺物の回収とかは急がないと劣化が激しいんですね。

 

 

 

 賞 FINALIST
作品名かつて風景の一部だったものに、風景をプリントする
作 家岩崎広大
YouFab作品ページ:こちら

土地の記憶をモチーフに、昆虫の身体に昆虫のいた土地の風景写真をプリントした、新しい風景写真を作りました。 浮かび上がる写真(銀塩写真)から、メディアの特性に関係なく塗布される写真(インクジェット写真)が発明され、写真がメディアから開放された時代でありながら、次なる写真表現が目指した時代が、写真から物質性を無くしたディスプレイで鑑賞される写真となった現代に対するアンチテーゼにもなる作品です。
YouFab2018

 これもめっちゃ好き!
 「採取した昆虫の羽に、採取場所の風景をプリントする」なんて、魅力的なバイオアートです! セミの羽とかは大きいし透明だから綺麗に映っているので、トンボとかは上手くいきそうですね!

 コンセプトは、「デジタルに移行した写真への反発」ですね。
 こうして、生き物という100%アナログ媒体に写真をプリントするとか、マッドサイエンティストも顔負けの発想です!

 

 

 

 賞 FINALIST
作品名Textile Story
作 家Witaya Junma
YouFab作品ページ:こちら

この作品は、フィルムの代わりに織物を使用する映写機に触発された。 この作品では、美しい伝統的なタイの織物模様を使用している。その模様は整然とデザインされて縫われており複雑で、それぞれのラインで模様のサイズが対称に、すべて同じ間隔で配置されている。このようなパターンの対称性はアニメーションの作成に使われる。視覚の永続性により、脳が動画として認識するまで高速で静止画像を入れ替えるという技術だ。 観客はこの作品を、アニメーションか、織物を作る過程でうまれた映画を見ているかのように認識し、伝統的なタイの織物模様の裏側に物語が織り込まれているように思うだろう。
YouFab2016

 これは動かさないと分からない作品ですね。
 正直、展示されていたときは意味不明でしたが、動画を見れば「あぁ、そういうことか」と理解できました。

 模様の連続性がアニメーションと同じであるという点は確かに同意。さらに言えば、こういう模様には必ず「物語」が含まれているわけで、その部分もアニメ作品と共通ですね。

 

 

 

 賞 FINALIST
作品名TRUSTLESS LIFE
作 家加藤 明洋
YouFab作品ページ:こちら

この作品は、近未来にブロックチェーン技術が実現するであろう未来の社会を、人と人とが対面でプレイするボードゲームとして表現することにより、多くの人々がその可能性と課題を想像できるゲームである。プレーヤーは、現在の社会においては大きな要素であるにも関わらず目に見えない「信用」が、コミュニティの中で決めたルールに従って数値化され、その変化を記録される社会における「人生ゲーム」を体験する。 この社会においては、主に仕事をベースに信用度が上下するようになっており、信用度が上がればゲーム中のさまざまな行動がしやすくなる。また、過去に失敗をしたとしても、地道に信用度を取り返えせば再チャレンジすることができ、きちんと仕事をしていさえいれば、引きこもっていても虐げられない。このように、ブロックチェーンによって個人の信用が担保されることにより、それぞれの目的に応じた多様な生き方が自然に実現する社会なのである。
YouFab2016

 「信用度」を基にした社会を舞台にした「人生ゲーム」。
 これは、作者は「近未来」と想定していますが、もうその世界は目と鼻の先であるような気がします。

 もう既に、現在の中国ではIT企業「アリババグループ」が運営するSNS「ALIPAY」に関連付けられた「芝麻信用」というものが浸透しつつあります。SNS上の交友関係や金銭支払等の様々なユーザーデータを基に「信用度」を数値化するというもの。公共料金の支払い等もこれに含まれ始めているとか。

 SFとかゲームとかいって笑っていられない世界に突入してしまっているのかもしれません。

 

 

 


 

 

 

 展示内容の紹介は以上です!
 とても素敵な展示会場だったので、次もここが良いな~と!

 以下は、今年の「MAT」と、昨年の「YouFab」の感想記事です!

 

 

 

 最後まで読んでくださり、
 本当にありがとうございました!!

 

 

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