※ネタバレなし。
※画像は予告映像のキャプチャです。
2018年9月27日鑑賞
若おかみは小学生!
【評価:3.8/5.0】
【一言】
「成長の物語」ではチープな気がする。
「気持ちの整理する物語」の方がしっくり。
予想外の展開が多くて、でもそれが素晴らしい物語になっていた!
スタッフもキャストも豪華で見事な、良いお話でした……!!
【Twitter140文字感想】
【 #若おかみは小学生 !】
祖母の旅館で若女将となった「おっこ(織子)」が、“幽霊”やお客との交流を通し成長する姿を描く。
喜怒哀楽が元気に溢れる温かい物語、
堅実な制作陣による映画の組み立て、
豪華俳優陣を凌ぐ主演子役の演技力。「気持ちの整理」という成長が生き活きと素晴らしかった! pic.twitter.com/FH7gYdoEC6
— ArA-1 (@1_ARA_1) 2018年9月27日
感想
感想外観
元々映画を観る予定無かったし、TVアニメがつい先日2018年9月末まで放送されていましたが、それも未見。
でも、あまりにもいい評判が飛び込んでくるので、我慢できずに観てきちゃいました(笑)
本当に、とてもいいお話でした!
推奨は「児童向け」だそうですが、全くそんな事なく!
主人公はタイトル通り小学生だし、幽霊と話したり、物語の方も成長を描く内容と言って間違いないです。
でも、その内容は結構濃く重く深い内容でもありました。多分、大人でも子供でも感じる部分がそれぞれある作品じゃないかなぁ〜と。
物語の作り方、構成や展開などは本格的な大人向けアニメ作品そのものです。
感動的でした。
と言っても物語は「お涙頂戴」的なストーリーでないし、下手したら泣かせる気もないような。
純粋に、主人公の若おかみ・おっこの、色々な行動や心の内に触れて、感動しました!
物語を一口で言えば「成長を描く」でしょう。
でも、そんなに単純なものでは無かったです。
というのも、“何の”成長かというと、それは「気持ち」の成長だったかと。
若おかみとして旅館業の担う面での技術的&礼儀的な意味での成長以上に、「気持ちの整理」が印象的でした。
どこか「ジブリの絵」に似てるなぁ〜と思ってエンドロール見たら、美術設計や美術監督がジブリの方!
脇役の声優陣も豪華で、キャストの名前を見て驚きました! それに、主役を演じた子役さんが本当に演技上手でした!
本当にいい作品だったし、主題歌も最高でした!
主題歌:藤原さくら「また明日」
子どもと大人が違う部分をそれぞれ“感じる”
副題に「子供と大人が」なんてテキトーに書きましたが、ほとんど私の感想か想像なんですが。(スイマセン)
児童向けで、大人でも楽しめるアニメ作品と言われればいくつか浮かぶ作品あると思います。
でも本作を語る上では一旦「アニメ作品」という部分を無視する必要があると思います。というのも、『ジブリ作品』とか『プリキュア』とかそういうアニメ映画とは根本的に違う気がしました。
本作『若おかみは小学生!』は元々の原作は小説らしくて、「あぁ、なるほどな」と。2時間の映画にまとまっていた影響も少なからずあるでしょうが、「物語と内容」が大切だと感じました。
つまり、アニメ映画である必要はないし、だから他のアニメ映画作品と比べるのも違うなと。それに「(見せかけだけでは騙されない)大人でも感動する」というのは、それ相応の中身が必要ではないでしょうか。
私が感じた感想になりますけど、
物語を全体的に観れば「全年齢向け」の、大人でも子供でも物語にそれぞれ思う部分がある作品なのかと。
でも分解してみると、いくつかあるエピソードがそれぞれ子供に向けたもの、大人が感じられるものとあった気がします。
勝手な想像ですけど、例えば、
子供なら、一生懸命頑張る姿とか、友達との関係とか、幽霊と遊ぶシーンとか。
大人なら、精神的な面での成長と整理の過程、伏線に似た物語の内容とかに没入するかもしれません。
私が感じたことを例に挙げるなら、「ピンフリ」のことを書きましょう。
「ピンフリ」とは、主人公の若おかみ・おっこのクラスメートで、温泉街一の大きさの旅館の跡取り娘です。勉強熱心で頭が良い娘。ただ、普段来ているのがピンク色のフリフリがついた洋服なので、周囲からは「ピンフリ」と呼ばれているわけです。
主人公のライバルという立ち位置上仕方ないことでしょうが、「ピンフリ」は少し感じの悪い嫌なタイプの女の子と描かれています。
でも、「本当は一番苦労しているのかも」と感じました。勉強熱心な上に、跡取り娘となれば周囲からの期待やプレッシャーもあるでしょうし。
その部分は触れられていませんが、こういう内容が何箇所かあって、そういう部分こそ大人(私)が感じ入る部分なのかなぁ~と思いました。
原作は児童向け小説なので考えすぎかもしれませんが、少なくとも映画は、両者とも楽しめ、考えられる素晴らしい内容になっていました!
物語の作り方は本格的!
ネタバレになっちゃうんですが…。
「伏線」に似た、少し違うけど「物語の積み重ね」が効果を生み出すような、本格的な大人向けの展開構成で驚きました。
それに、核心を直接的に突かずに、その核心を台詞の言葉やニュアンス、些細な行動で映し出したりという演出にも驚きました。
私は観ていて「あぁ!」とか「そうくるか〜」とか思いながら、その演出の上手さに感嘆してました。
よく映画や深夜アニメでは使われる手法ではあっても、下手したら子供には理解できないレベルでの、高度な演出です。
こういう部分と、大人が楽しめる理由のひとつなのかもしれません。
感動しました!
観て、感動しました!
ウルッと涙ぐむような、そんな内容でした。
隣の席の方はハンカチで涙を拭いていたようでしたし。
とは言いつつも、その感動は「お涙頂戴」の所謂『感動作品』を謳うような内容でもないから気持ち良かったです。
物語の内容で感動させるのでもなかったし、音楽と映像でなんとなく雰囲気盛り上げるとかでもなかったし。
純粋に、主人公の若おかみ・おっこの、お客様想いの行動とか、気持ちの籠もった台詞とか、「大人でも難しい」ような行為とか。
彼女自身に、感動しました!
どんな内容だったかはほぼネタバレに触れるので、書けないのが残念です……。
“気持ち”の成長を描く
描かれるメインテーマは「気持ちの整理」だと私は感じました。
主人公のおっこは、元気いいおてんば娘で、そんな彼女が温泉旅館の若おかみになるのですから、「成長」は必要です。
旅館を営む上での掃除や料理、お客様への作法や礼儀、その他にも色々とやったり覚えたりする事は山積み。
そういう意味でも、確かに彼女は成長します。
でも一番は「気持ちの整理」であって、「精神的な成長」だと感じました。
これまたネタバレなので詳しくは書けませんが…。
誰かに話したり、同じ状況の人と語ったり、乗り越えたり、手を引いたり。涙を流すし、ちゃんと笑顔も見せるし。
「気持ちの成長」が本当に良かったです。
豪華な作品!!
エンドロールを見て、色々と驚きました。
まず、アニメの方から。
映画を見ながら、「背景とかジブリっぽいな〜」と思っていました。水の描き方とか、自然の風景とかがジブリっぽかったです。
で、エンドロールのスタッフを見ていたら、作画監督や美術監督の名前が見覚えあるような、無いような。 帰宅後に調べたら、「ジブリ」のスタッフとして働いていた方達でした!
その他のスタッフさんも凄い!(名前省略、作品経歴の概略だけ)
◆監督:『ナウシカ』『ラピュタ』等ジブリ作品の原画参加
◆脚本:『猫の恩返し』『ガルパン』等の脚本担当
◆作画監督:『アリエッティ』『コクリコ坂』等の作監担当
◆美術設定:『思い出のマーニー』場面設定を担当
◆美術監督:『ポニョ』『おおかみこどもの雨と雪』背景担当
◆色彩設計:『電脳コイル』『パトレイバーREBOOT』色彩設計
それから、脇を固める俳優陣がすごい!
主人公のおっことかは全く知らない方。
でも、脇役というか、サブ登場人物的なポジションの俳優陣・声優陣が凄すぎ!
◆水樹奈々
◆薬丸裕英
◆山寺宏一
◆ホラン千秋
◆設楽統(バナナマン)
◆鈴木杏樹(相棒:月本幸子)
◆小松未可子(凪のあすから:潮留美海)
◆小桜エツコ(妖怪ウォッチ:ジバニャン)
他にも深夜アニメとかの主役級で出演されていて名前知っている方が何人も! 本当に豪華!!
なかなか衝撃的な内容!
以降、映画本編のネタバレあり
ネタバレあらすじ&感想
序盤
「花の湯温泉」という温泉街を訪れたのは、関織子とその両親。彼女は「おっこ」というあだ名で呼ばれている。
3人が花の湯温泉を訪れた理由は、おっこの祖母が営む旅館があること、そして大切な行事の御神楽を見る為だった。
その帰り道、いつも通り楽しくお喋りしながら高速道路で帰る3人。
しかしそこに、対向車線を走るトラックが突っ込んできて、交通事故にあった家族。
両親は共に亡くなるも、無傷だったおっこは一瞬「少年」の姿を見たような気がした。
おっこは、花の湯温泉で祖母が営む旅館「春の屋」で暮らすことになった。
タイトルバック。
「春の屋」の離れで暮らす事になったおっこは、早速荷物を運び込むのだが、ヤモリやクモに驚きを隠せない。
そんな所に現れたのは、ここにずっと住んでいるという男の子の幽霊「ウリ坊」だった。
ウリ坊はおっこにしか見えないようで、祖母や仲居さんには見えない。
祖母の部屋で今後を話す中、ウリ坊のイタズラ(?)によって、おっこは花の屋のあとを継ぐ「若おかみ」になる事に!
前半
「若おかみになる」と宣言してしまったの翌日、おっこは桐のタンスの中で妙な音を立てる、鬼の模様の鈴を見つけた。
お祖母ちゃんに聞くと、祖父のものだという。そして同じタンスの中に入っていた写真アルバムを眺めると、そこにはウリ坊が映っていた。
彼は、お祖母ちゃんが小さい頃一緒に遊んだ近所の友達、ウリ坊こと立売誠くんだった。
自分の部屋に戻ったおっこは、ウリ坊に死因をきく。
彼は、おっこのお祖母ちゃんの関峰子ちゃんが引っ越したあと寂しくなり、屋根に登っていた時、瓦が崩れ落ちて死んでしまったという。
段々と旅館の仕事を覚えていく、稽古をしていくおっこ。
そんな中でも、おっこは夢の中で両親と会い、2人が生きているような錯覚を捨てられなかった。
翌日から、花の湯温泉街の小学校に転入したおっこ。
そこで、同じクラスのピンク色のフリフリ服を着る“嫌な感じ”の女子「ピンフリ」こと真月と会う。彼女花の湯温泉の中で一番大きな旅館「秋好旅館」の跡取り娘だった。
おっこは、さっそくそこでケンカをしてしまう。
とある学校からの帰り道、おっこは神社の石段に座るボロボロの身なりの親子に出会う。
ウリ坊の後押しで声をかけ、息子が熱を出したという2人に、「春の屋にきませんか?」と声をかけるのだった。
春の屋に来た親子の接客をする中で、あかねは自身の母親が先日亡くなってしまった事を話し、「僕の気持ちは分からない」と機嫌を悪くしてしまう。
そんな彼を見たおっこは、「私の両親も死んだからその気持ち分かる」と強く言い、二人はケンカしてしまう。
その夜、祖母に叱られ謝りに行ったおっこ。そこであかねは「オムライスとケーキが食べたい」という我儘を口に出す。
彼の気持ちが分かるおっこは「ケーキを買ってくる」と旅館を飛び出すもお菓子屋は何処も閉店。
そこで、彼女は自ら台所に立つと、「温泉プリン」のスペシャル版を作り客間へ取る運ぶのだった。
翌朝、あかねは、おっこに「プリンは母さんと食べた。美味しかった」と伝え、二人は握手すると、旅館を後にするのだった。
中盤
あかね達を見送ったあと、祖母からお使いを頼まれたおっこは、ウリ坊と共に道を歩いていた。
その2人の目に飛び込んできたのは、谷に広がるたくさんの「鯉のぼり」だった。
そんな鯉のぼりを設置していたのは、秋好旅館の“ピンフリ”だった。
そこに、以前からおっこに姿を見せていた白い服と白い髪の女の子の幽霊が現れ、鯉のぼりを1匹外してイタズラを仕掛けてくのだった。
お使いの用事をすっかり忘れて春の屋に戻ったおっこは、祖母に怒られたあと、白い女の子の幽霊と話をした。
彼女は「美陽」という名前で、なんと7歳で死んでしまった“ピンフリ”の姉だった。
さらに、お菓子を勝手に食べる小鬼「鈴鬼くん」まで旅館に現れる。
彼は、前におっこが桐のタンスの中で見つけた鈴に封印されていたという。
おっこは、美陽ちゃんや鈴鬼くんを旅館に置く代わりに、仕事を手伝ってもらう事にした。
学校が夏休みになり、より一層気合を入れるおっこ。そんな中、旅館に宿泊する水領さんというお客さんが食欲が無いのか、部屋に籠りっぱなしという状況に。
様子を見に行ったおっこは、水領さんが占い師である事に驚き、体調を心配したおっこは、宿の板前に「シャンパンとそれに合う軽い料理」を作って貰った。
それに喜んだ水領さん。おっこは浴衣の着替えを手伝ったり、温泉にお酒を運んだりと水領さんをもてなす。
元気を取り戻した水領さんは「明日一日私に付き合って」とおっこを誘うと、気分転換に車でショッピングモールへ行くことに。
しかし水領さんのオープンカーで向かう途中、高速道路でおっこは事故の記憶がフラッシュバックして、過呼吸になってしまう。ウリ坊や美陽ちゃんの姿も見えず、パニック状態に。
車を停め、心配する水領さんに、おっこは事故の事を話すのだった。そして、ウリ坊と美陽ちゃんの姿も現れ、再びショッピングモールへ行く事に。
水領さんは「私のことはグローリーと呼んで」とおっこに言い、2人はショッピングモールへ。
ショッピングモールで沢山の洋服を見て、おっこはグローリーさんから洋服のブレゼントまで受け取るのだった。
後半
夏休みが終わり学校が始まった頃、「春の屋」が雑誌に紹介された。
以前にお客さんとして泊まったあかね君のお父さんが作家さんで、記事に載った。
これをキッカケに、春の屋にお客さんが沢山訪れるようになる。
一方、おっこは時々、幽霊であるウリ坊や美陽ちゃんの姿が見えなくなっていた。
鈴鬼くんは、「遂に別れの時が近づいた」とウリ坊と美陽に明かすのだった。
その頃、おっこは“ピンフリ”と一緒に御神楽の練習に励んでいたが、なかなか上手く踊れない。そんな彼女に、“ピンフリ”はキツイ言葉を投げかけ、2人はケンカしてしまう。
秋も深くなり、段々と気温が下がっていく頃。
春の屋に「翔太くんとその両親」が泊まりに来た。
翔太くんのお父さんは退院したばかりで、医者から減塩や油を抑えるなど食事制限を受けており、宿の料理も食べられなかった。
そんな彼を見たおっこは、ケンカ中であるものの、料理の勉強をしていた“ピンフリ”の協力を仰ぐため、秋好旅館に行く。
「いい知恵を教えて」と頼むおっこに対し、「プライドはないのか?」と聞く“ピンフリ”。
おっこは「プライドあるけど、お客様が大切」と力強く訴え、“ピンフリ”は協力する事にしたのだった。
そして、“ピンフリ”の助けを得て、工夫を凝らして減塩などをした料理を出すと、翔太くんのお父さんは美味しいと言って食べてくれたのだった。
次の晩、おっこが3人の部屋で夕食の支度をしていると、翔太くんのお父さんが「こうして美味いものを食べられて、生きてて良かった」とこぼす。
翔太くんの母親が、お父さんが事故にあった事を話、お父さん自身も事故の内容を話す。
しかし、それを聞いていたおっこは、激しい動機に襲われる。
翔太くんのお父さんが話す事故の内容は、おっこの両親が亡くなった事故と全く同じものだった。
おっこは、話を聞く中で「両親の死」が確定したような気になり、泣きながら宿を飛び出してしまった。
終盤
宿から飛び出したおっこに駆け寄ったのは、グローリーさんだった。おっこは、グローリーさんに全てを話すのだった。
そして、宿に戻ろうとする中、宿から出てくる翔太くん一家と鉢合わせしてしまう。さらに、秋好旅館の“ピンフリ”までいた。
事情を察したおっこの祖母が、一家を秋好旅館に移すよう取り計らったのだ。
ところが、子供の翔太くんは「ここに残る、おっこと居たい」と泣き駄々をこねる。
そんな彼を、おっこは抱きしめると「ここにいていいよ」と囁く。
そして、おっこは両親や祖母から言われていた「花の湯温泉のお湯は神のお湯、誰も拒まず受け入れる」と話す。
しかし、翔太くんのお父さんは「俺が辛い。だって俺が死なせてしまった関さんの娘だろ」と苦しそうに訴える。
しかしおっこは、「私は、春の屋の若おかみ」と言って翔太くん一家やグローリーさんと共に、宿へと戻っていった。
しばらく経ち、御神楽の日。
禊のため温泉に浸かる中、“ピンフリ”は「私、幽霊の声だけ聞いたことが有る」とおっこに話した。
“ピンフリ”は、「多分、私が生まれる前に死んだ姉だと思う」と口にし、そばでは美陽ちゃんが微笑んでいた。
御神楽を踊る中、遂にウリ坊と美陽ちゃんとの別れの時が来た。2人は踊りながらフッと姿を消してしまった。
エンディング。
エンドロール。
主題歌:藤原さくら「また明日」
最後まで読んでくださり、
本当にありがとうございました!!