こんにちは!
お元気ですか?
ノーラン監督最新作『TENET』。
めっちゃ面白いけど、脳内リソースを超消費。久々に150分と長い映画を観て純粋に楽しめたし、エンドロールの時間をずっと脳内整理に費やしたのも久しぶり!
2020年9月24日鑑賞
テネット
TENET
4.5 / 5.0
- 未来の第三次世界大戦を阻止する「時間逆行」アクション映画!
- ノーラン節炸裂の映画愛溢れる本物志向の映像&音響最高!
- スパイ映画 × SF映画 のアクションを映画館で存分に楽しむ!
- 「時間逆行」の思考が難しいけど興味深い!
- ただ、説明を省いた物語はテンポ良いけど、情報不足の物足りなさが否めない。
昏睡状態から目覚めた名もなき男は、フェイと名乗る男から“あるミッション”を命じられる。それは、未来からやってきた敵と戦い、世界を救うというもの。未来では、“時間の逆行”と呼ばれる装置が開発され、人や物が過去へと移動できるようになっていた。
ミッションのキーワードは〈TENETテネット〉。
「その言葉の使い方次第で、未来が決まる」。
謎のキーワード、TENETテネットを使い、第三次世界大戦を防ぐのだ。突然、巨大な任務に巻き込まれた名もなき男。彼は任務を遂行する事が出来るのか?
映画公式サイト
映画『TENET テネット』予告
脚本:クリストファー・ノーラン
制作:Syncopy Films
音楽:ルドウィグ・ゴランソン
キャスト:ジョン・デヴィッド・ワシントン, ロバート・パティンソン and more.
上映時間:151分
日本公開:2020年9月18日
配給:ワーナー・ブラザース
「時間」に関わるアクションSF映画。
もう凄いとしか言葉が出てこないくらい。
どれくらい理解できたのか怪しいところ……。
でも大丈夫、映画のモットーは「考えるな、感じろ」だから!
ノーラン映画の醍醐味は、劇場の大画面と大音響で観て、映画というものを楽しむことだと思うから!!!!
相変わらず、映画として凄い!
劇場で観てこそ価値のあるアクション映画!
お決まりの銃撃戦や爆発、カーチェイス等のアクションシーンは映像に迫力があるし、効果音にも迫力があるからもう最高!
加えて本作は「逆行」というアクセントが、面白さを増していました!
ノーラン映画には珍しく、「概要の説明」が少ないから、矢継ぎ早なアクションに集中することができる!
SFの理論や世界観がまた最高!
映画の表層の部分で明示的に描かれていた部分になんとか追いつこうとするので必死で、その奥にある理論とか理解が至らなかった部分はありますが、それでもSF好きにはたまらない!
でも、頭の処理が追いつかないほどのSF世界観を浴びたのは最高に楽しかったし、「時間」や「世界の見方」に関する問いかけがとても好き!
映画だから台詞がどんどんと流れていってしまうし、特にこの『TENET』はガジェットや機械の説明が少なかったので、じっくり考えたいです。
とはいえ個人的に、物語は「う~ん」という感じ。
なんか、焦点がブレてしまった感が否めないです。
「第3次世界大戦を止める」なのか、「時間逆行がメイン」なのか、もしくはラブストーリー的な部分に重点があるのか、はたまたスパイ映画的な諜報行動に軸を置くのか、いまいち煩雑な印象を受けました。
スパイ映画からブリーフィングを排除した感じ。良い意味では無駄がなく、悪い意味では物足りなさを感じました。
映画の価値を最大限に活かす
クリストファー・ノーラン監督。
凄い映画ばかり。
確かに、世界観がどうとか、設定がどうとか、物語がどうとか、色々なことを考えちゃいます。 特に本作は「時間の逆行」という難しそうなテーマを扱うだけに、観ながら自然に頭で考えようとしてしまいました。
でも、ある登場人物が言うのです。
考えないで、感じるのよ
TENET
とても勇気が出ますね。
分からなくても良い、と。
まずは「映画を楽しむ」ということを全力でしてほしいと言ってくれているようで、肩の力が一気に抜けたように思います。
映画が大好きなノーラン監督。
よく言われるように、映画館の大スクリーンと大音響で観てこそ楽しめる映画を追求する監督。映画体験を大切にする監督。映画が大好きな監督です。
その点は当然本作でも健在で、最初のシーンからもう「あっ映画館で観て良かった!!!」と感激の興奮ですね!
全体的な構成が、アクション映画やスパイ映画、戦争映画の迫力ある場面をいいとこ取りをしたようなシーンばかり詰め込まれていて、最高でした!
あと、やっぱ「音」が凄い。
アクションの効果音はもちろん腹に響く重低音が効いた音で作られていて、とにかく興奮して格好いいです!
また、劇伴が最強でした!
よくアクション映画の予告編で流れるようなビートの効いたスリルある音楽が至る所で流れていて、そういう部分も存分に楽しめました!
サウンドトラックがYoutubeで全曲公開されているので、ぜひ第1曲目だけでも聴くと、言いたいことが分かるのではないかな、と!!!
TENET Official Soundtrack | FULL ALBUM
そもそも、ノーラン監督が映画大好き。
このメイキング映像を見ると、それが本当によく分かります。
「本物」を志向する監督だからこそ、撮影も演技も本当に大変だと思うし、だけど、だからこそ「凄い映画」になるのでしょうね!
映画『TENET テネット』メイキング特別映像
やっぱりアクションが凄い!
「映画を楽しむ」のノーラン監督。
やっぱり、凄いなぁと思います!
本当に、色々な映画を全部混ぜたような感じ!
まず、アクション映画的な要素。
特殊部隊による突入作戦や銃撃戦など、洗練された動きが超キビキビしていて格好良すぎる!! 銃の振り方とか行動が格好良くて、それを撮る映像がまた臨場感あるカメラワークで格好いい!!
他にも、カーチェイスや、話題の「飛行機爆破」など見どころは山盛り。色々なアクション映画の良い要素を寄せ集めて繋げた感じで、まさに”映画館用”でした。
それから、スパイ映画っぽさも。
ノーラン監督がずっと「007を撮りたい」と言っているのは有名ですが、この『TENET』にはスパイ映画要素も混ざっていて、それが印象的でした。
まず、主人公はスーツ!!
英国の仕立て屋で買ったというところからも、スパイ映画らしさが臭うなぁ~と(笑)
そもそも、物語の展開がスパイ映画。
「世界大戦を止めるために敵を倒す」という構図はまさに『007』や『MI:』そのもので、その最終目的に向かって様々なミッションをこなしていきます。
各国のエージェントに会ったり、高層ビルの垂直な壁を登って潜入したり、発信機で追跡したりと、スパイ映画らしいアクションも含まれています!
その他のジャンルからも。
第三次世界大戦を止めるための大規模作戦は、そのロケーションや部隊の様子などから、SF映画よりも戦争映画を思わせる雰囲気でした。
また、『MI:』シリーズ並に、一歩間違えば死亡に直結するような緊迫感ある、息を止めて見つめるような場面も用意されていて、本当に凄いです!
そして、肝である「逆行アクション」
個人的には、面白いけど、微妙……。
映像的にも物語的にも今までにない要素が足されたので良いアクセントになって楽しめました。逆行ならではのアクションや描き方も楽しめました!
一方で、「謎解き」とか「つながり」を頭の中で考えぎてしまった感があります。『ワイルド・スピード』みたいに頭を空っぽにしてアクションを楽しむことが出来なかったのは少し残念でした。
時間逆行とSFの話
『TENET』のメインテーマ「時間逆行」
これは色々な意味で面白かったです!
全てを理解したわけではないけれども。
ほとんどが「あとちょっとで繋がりそう」という段階で訳わからない状態のまま宙ぶらりん。でも一度観てポイントが分かったので、2回目はもっと分かりそう!!!!
時間の逆行の話。
これが『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『シュタインズ・ゲート』のような「タイムトラベル」の物語ではなく、もっと深い部分に足を踏み入れているところが最高に好きです!
世界の認識の話です。
「時間の流れ」をどう捉えるか、「過去と未来の接続」をどう考えるか、「原因と結果の因果関係」の齟齬を受け止められるのか、そういった点にフォーカスしています。
どちらかというと、テッド・チャン『あなたの人生の物語』や、J.P.ホーガン『未来からのホットライン』に近い感じですかね。
「考えないで、感じるのよ」
最初にも説明した通り、この映画では頭で理解するのではなくて、むしろ目の前で起こっている現実を受け入れることに本質があるような気がしました。
その上で、SF作品らしく「世界の見方を変える」という点に主張が置かれてていたところが大好きでした!
タイムトラベル的な作品のメインでもある、接続や伏線回収についても、初見でもある程度分かることができたので、2回目以降が楽しみです!
時系列に関する部分は、初見でもかなり分かりました。まぁこういうのが大好きだし、そんなに難しくなかった気がします。
全体を通して見ると大きな環状に繋がった、とても興味深い内容でした!
一方で、腑に落ちない点も多々あったり……。
やはり一番は、あまり理論や説明が語られないこと。
理論武装をすると話が面倒くさくなるし、本作ではそれがメインでは無いことが明白なので、強く訴えることが出来ないのは分かります。でも、ハードSF好きとしては少し物足りなかったです。
また、登場するアイテムやガジェットに関する説明が少ないのも気になりました。解説がない分、むしろ陳腐に感じてしまったのが勿体ないな~と思いました。
”テンポの良さ”がアダとなる?
この『TENET』という映画、とにかくテンポが良いんです。 それはもう、恐ろしいくらいにテンポ抜群。
ただ私にとっては、それがむしろ逆に「う~ん…」と首をかしげる原因になってしまったというか、物語に入りきれない要因になってしまっていたと感じました。
映画の全体的な構成は超シンプル。
特殊部隊の主人公が第三次世界大戦を防ぐため、「時間逆行」の武器を狙う敵を倒すために世界各地を飛び回る、という物語。
規模の大きさといい、登場する兵器の性質といい、まさに『007』と思わずにはいられない感じ! 構成がシンプルなので、観る時に脳内リソースを割かなくて良いのが助かります(笑)
ここまでは良いんですよ。
「世界大戦の阻止」という骨子に従って物語が展開していく訳ですが、それがとてもテンポ良いんです。
なぜかといば、「説明を省いている」から。
ノーラン監督映画には珍しく、言葉や台詞で世界観や科学理論を説明したり、敵や状況についての説明がほぼありません。なんなら登場人物紹介もなく、主人公は最後まで名前の明かされない「名もなき男」という設定です。
なんというか、スパイ映画から「今回の任務」を説明するブリーフィングをカットしているような状態です。
良い点も悪い点もあります。
良い点で言えば、面倒くさい説明台詞がなく、矢継ぎ早にアクションを楽しめます。実際、この『TENET』は物語全体像や人物相関がシンプルなのでそれで十分楽しむことができます。
あと、外国人の名前を覚えるのが苦手な人からすると、かなり助かったりする点ですね。
一方で、物足りなさも感じます。
『007』ならMやQから説明があるし、『MI:』なら焼却処分されるデータで説明されるので、最初に基本情報を頭の中に入れて楽しむことができます。他方で『TENET』は必要な情報を観ながら探り、考えるので、本質的に集中できない点が勿体ないです。
それに、全部の情報が与えられないというのは、物足りなさもありますよね。
また、焦点がブレてしまった感が否めないです。
説明を省き、テンポよく色々な場面を映し出した結果、映画全体がパッチワーク的になったというか、繋がりが煩雑になってしまいました。
目的は「第三次世界大戦を止める」だけど、物語の重点は「時間逆行」にあるように思えるし、スパイ映画的な諜報活動に時間が割かれたかと思いきや、唐突なラブストーリーが始まるし……。
一応、補足というか、援護?も。
本作は「時間逆行アクション」ということで、その他のタイムトラベル系作品と同様に、前半の伏線を後半で回収するような構成になっています。
そう考えると、例えパッチワーク的であったとしても、最後に脳内で繋がるよう再構築することが出来るという観点からフォローすることも出来ます。
以降、映画本編のネタバレあり
時系列の整理
とりあえず、私が覚えている内容をメモしておきます。
かなり曖昧かつテキトーですけどね。
あと、主人公の名前がないと不便なので、主演のジョン・デヴィッド・ワシントンから「J.D.W」と表記します。
だいたい、こんな感じでしょうか。
私もイマイチ全体像が把握できていないのですが、映画全体を見ると大きなひとつの環状になっている、というような認識で大丈夫ですかね。
上の「Timeline1:オペラハウス」に3つの内容が集結している感じですよね。
- 時系列的に順行な、CIA特殊部隊による協力者の救出作戦
→ここでJ.D.Wが逆行弾を使用する人物に遭遇しています。
→順当に考えればニールでしょう - スタルスク12の最終決戦が同日
→劇中で「テロと同日に露スタルスク12で爆発」というような発言がありました。 - キャサリンが自分の姿を目撃
→夫セイターと不仲な彼女が、「自由に飛び込む女性を目撃して羨ましかった」と言ったのは、このTimeline1の日付ということですよね。
この『TENET』は、現在地は表示されるものの、時刻や日付があまり明示されないので、余計に混乱してしまうんです……。映画を最後まで観た上で、もう一度最初から見ればよく分かりますかね。
で、これを考えるのが本当に楽しい!
「時間逆行」の疑問
「時間逆行」は難しいですね。
なかなか理解できないし、疑問がいっぱいです。
一番良くわからないのは、時間の順行と逆行が同時に存在して動作している点です。
例えば、最初の女性研究員バーバラが説明した場面。
机の上の銃弾をイジりながら、「弾丸は前に進むけど、後ろにも進む」と言って手のひらに弾丸を収めた場面。あるいは、そこで初めて触れた主人公が逆行弾を扱った場面。
これが分からない。
単なる「逆再生」ではないですよね。逆再生だとしたら、その元となる動作や原因が未来の時点で行われている必要がありますが、初見の主人公がそれを行っている様子はありませんでした。
かといって「運命」なんてものではないでしょう。ただ、見た目だけだと、逆行している時の様子は、予め定められたルートをなぞっているようにも見えるんですよね。
科学者ではないので、エントロピー云々の部分はほぼさっぱり意味不明だったのですが、実際に物理学的な説明が成立するんでしょうね。
素人としては、やっぱり「原因と結果」はひとセットだと考えてしまうので、この『TENET』では結果を逆行で追っているだけのような気がして……。原因となる部分があまり描かれていないように思ったので、ひたすら悩んでいました。
この辺の疑問は、主人公とかニールとかも触れていましたよね。
「時間逆行」の見せ方と感想
「時間の逆行」を映像で分かりやすく視覚的に描いてくれていた点がとても良かったというか、有り難かったです。
大きくは2つですかね。
まず、「酸素マスク」
逆行した世界では、肺が酸素を吸収できなくなるので、酸素マスクが必要になるという設定。これのお陰で、誰が逆行者なのかが明白になったので観やすかったし、後で思い出す時にも重要なポイントになりました。
それから、「青と赤」の色。
最後のスタルスク12の部隊編成でレッド・ブルーの組分けが説明されていましたが、回転ドアのガラスとか、赤青の色分けがされていた場面はありましたよね。これも、2回目に観た時に着目したい点です。
一方で、あまり「逆行」がアクションに用いられていたシーンって多くなかったですよね。
「実は裏で逆行部隊が動いていた」とかは後々に明らかになりますが、それ以外は普通のアクションだったし、逆行アクションもそこまで派手ではなかったような……。
スタルスク12の最終決戦は良かったです!
時計をあわせて順行・逆行が同時にスタートし、それぞれの特性を活かして敵の弾幕をかいくぐりながらミッションをクリアしようとしているところが見応えありました。
そもそも、あの大人数で逆行の演技をするところが凄いと思いますよ。
中でも、同じタイミングでビルをRPGで破壊するシーンとか最高でしたね。起点となる時間/原因となる時間をあわせて、同時に爆発することで過程がとても分かりやすかったです。
色々な考察とかは、検索すればたんまり。
私は、普段はあまり考察記事とか動画は観ませんが、この『TENET』は色々な感想や考察を読むのがとても面白いので、感想を書いた後にちょこちょこ追っています。
公式HPのコンテンツでも色々と解説されています。これだけでも十分かも。
あと、感想を書きながらサントラを聞いていました。
記事内でも書きましたが、『TENET』のサントラはとても良かった! ぜひ1曲目だけでも聴いてくださいな!
読んでくださり、
ありがとうございます!
これからもよろしくお願いします!