※ネタバレなし。
※画像は予告映像のキャプチャです。
2017年8月10日
ムカデ人間
(原題:The Human Centipede)
【評価:3.1/5.0】
【一言】
正気の沙汰じゃない。寒気と鳥肌が襲ってくる感覚は、“怖い”ではなく“痛々しい”。
好奇のままに行為を行う、その狂気さに興奮。
「ムカデ人間」は各個人の意識が残っているのが素晴らしい。
orz−orz−orz
目次
ストーリー
天才的な外科医として知られるドイツのヨーゼフ・ハイター博士にはある野望があった。それは、複数の人間の個体を繋ぎ合わせて一つの生命体にする「ムカデ人間」の作成であった。
ある日、2人のアメリカ人女性の旅行が道に迷って家へ辿り着く──そこはヨーゼフ博士の自宅だった。薬物を飲まされて意識が遠のき、目が覚めると拘束されていた。
目の前に立つ白衣を着た博士による「ムカデ人間」の手術の説明を聞き────
予告動画
作品データメモ
監督:トム・シックス
製作:シックス・エンターテイメント
キャスト:ディーター・ラーザー,北村昭博 and more.
上映時間:90分
日本公開:2011年7月2日
配給:トランスフォーマー
公式サイト⇩
https://web.archive.org/web/20160215081025/http://mukade-ningen.com/
作品の感想
全体感想
ヤバかった。これは確かに「正気の人がみる作品」ではない。
ただ、過度に現実離れしてる訳でもなく、淡々と進んでいく物語と、感情喪失かのようなヨーゼフ・ハイター博士が素晴らしかった。
最初は怖かったけど、段々とワクワクしてきて、物語が盛り上がりに差し掛かる辺りに関しては若干の興奮すら感じました。『殺す』じゃなくて『生かして改造する』が良いですねぇ〜。
素晴らしい狂気
「怖い」じゃなくて『痛い』。
「酷い」じゃなくて『凄い』。
「狂気」じゃなくて『正気』。
ヨーゼフ博士が正気なのが何よりも狂気。感情をほとんど出さず、淡々と、黙々と誘拐し、監禁し、作業するのが本当に好き。喜んだり、怒ったりしても表情を一切変えないところが最高にクール!
ただ監禁して殺すだけなら別に普通のホラーだけど、今作は改造するって言うところがミソ。実験体に恐怖を与え、痛みを与え、改造後も苦痛が待っている。そこが描かれたからこそ、狂気で怖い映画になったんだろうな〜と。
最高なのは、『ムカデ人間にはそれぞれの人間の意識が残っている』と言う事。だから悲鳴をあげるし、痛がるし怖がるし。逃げようとするし。このアイデアは本当に最高ですよね〜。
興奮を誘う実験
興奮した。
身の毛がよだつような改造で、それを実際に施して。しかも調教したり、回復具合を確かめたりと。ヨーゼフ博士が彼らを本物の「一つの生命体」として見ている狂気さがとても良かった!
「本当に作るのかよ……」って恐怖と、「本気で作り上げやがった!」って興奮が凄かったです。作り上げたビジュアルがまた、何とも言えない感じで………。
高鳴る期待感
ムカデ人間を作る際の手順についてヨーゼフ博士がOHPを使って説明する場面は、正直言ってわくわくしました。やってる事は単純でも、「なんか少し医学的かも」みたいな謎の納得感(?)みたいなのがあって。
自分が自身を持って説明しているのがまた説得力(?)あって良い!
ヨーゼフ博士は最高に最狂
何が良いって、やっぱりヨーゼフ博士が最強に最高で最狂だったのが一番。始めにも書きましたが、ターミネーター並の無表情さと、子供みたいに純粋な喜びを溢れさせるのが最高!
あとは、日本人もなかなか悪くなかったです。ずっと日本語で喚いていましたが、潔いところもあって。
ムカデ人間の作り方
・シャム双生児の分離手術で世界的に知られており、ムカデ人間の第一人者である、あのヨーゼフ・ハイター博士監修!!
・夏休みの自由研究はこれで決まり!
・今日からできる、ムカデ人間の作り方を大公開!
・たったの7ステップであなたもムカデ人間が作れる!!
制作するもの
ムカデ人間(3体ver.)
準備するもの
・人間(※1)
・レイプドラッグ
・麻酔薬
・手術道具と設備(※2)
・拘束具・檻(※3)
・医薬品類(※4)
※1:出来るだけ生命力の強い個体を選びましょう
※2:メス等の他に、縫合用の糸など
※3:確保した被験体が暴れる可能性があります
※4:縫い目の化膿や、容体の急変の可能性を考慮しましょう
事前準備
まずはムカデ人間の素材となる人間を3体確保しましょう。可能であれば、予備として数体多く確保できるとなお良いです。
その際、強力な麻酔薬やレイプドラッグなどを用いて意識を奪ってから速やかに自宅へ運び、暴れないように拘束しておきましょう。
また、医者にはインフォームド・コンセントと呼ばれる説明義務があります。これから行う事柄につて丁寧に説明しましょう。
制作の手順
前 orz−orz−orz 後
(上記の図をムカデ人間の模式図とし、前から順にA体,B体,C体と呼ぶ)
①
ヒザのじん帯を切除し、ヒザの収縮を不可能とする。この作業により、ムカデ人間の体勢を維持できます。
②
B体及びC体から中切歯,側切歯と犬歯を上下両方のアゴから抜きます。
③
B体とC体の口唇部、A体とB体の肛門部は、皮膚と粘膜の境界に沿って丸く切除します。
④
それぞれの個体を繋げるための有茎の移植片は、皮膚を一定の形にめくることで用意しましょう。
⑤
B体とC体のアゴから頬にかけて、V字切開部を施します。
⑥
接合は肛門及び口の粘膜と皮膚の円形部で行います。先程の有茎の移植片を頬の切開部に接合しましょう。
⑦
手術の傷跡や縫合痕が完治すれば「ムカデ人間」の完成です。回復途中は化膿の危険などがあるため、しっかりと経過観察を怠らないようにしましょう。
※ワンポイントアドバイス
完成したムカデ人間が騒ぐいだり、悲鳴をあげたりして夜眠れない場合があります。それが気になる方は、あらかじめ声帯を摘出しておくと、夜中も静かに寝る事ができます。
以降、映画本編のネタバレあり
ネタバレあり感想
冒頭~序盤
一番良かったのは3匹の犬のエピソードですかね。何も詳細は語られないのに、「博士はムカデ人間を作る」という事前知識があるが故に、「この犬たちは実験台になったんだろうな〜」って想像出来たのが良かったです。
あとは、人を入れ替えるのも上手い手法だと思いました。最初はトラック運転手のデブを確保したけれど、より生命力の強そうな素材に交換するという描写は、それだけ結合の際にリスクがあるというリアリティを出していました。
それに、最後には犯人の証拠になるっていう伏線(?)にもなってましたし。
中盤
ムカデ人間制作の手順説明については割愛します。上で語っているので。
ここでは逃避について。結構長く逃げてましたよね、あのアメリカ人女性。敵(ヨーゼフ博士)が強すぎるわけではなく、わざとらしい隙があったわけでもなく、同程度での追いかけっこだったのが良かったです。(ただ、見てないけど、ホラー映画で歯お約束なのかな?)
個人的にベストショットは、カーテンを開けたら窓の外に銃を持った博士が仁王立ちしているシーンが最高でした。
手術のシーン。
荒々しすぎますw 歯の抜き方とか雑すぎませんか?ペンチで思いっきり引っ張るだけって……。本当に外科医なんですか?(笑)
でも、膝を切開して切るシーンとか痛々しすぎてした………。
けれども、全部が描かれるわけじゃないんですね。少しホッとしましたよ(笑) 描かれるのはほんの1,2分だけでしたね。
後半
ムカデ人間完成!
想像以上にグロいですね。グロいというか、繋がっている女の子たちが可哀想になってきて辛かったです。
でも博士は優しいですね! 鏡を出して、自分たちの姿を一人ひとりに確認させてあげるなんて!
でも、それからの調教は鬼でしたね。新聞を持ってくるように調教するシーンとか狂気w
何がいいって、ムカデ人間には各々の人間の感情や感覚、意識がしっかりと残っているということ。だから反抗もするし、感情も移入できますし。
そして、待ちに待った(?)大便シーン。どうなるのかと思ってたら、先頭の日本人が大便する時に手を合わせながら、「ごめんよ、ごめんよ」って……。自分は糞を出すだけだけど、後ろの女の子はそれを“食べる”んだもんな……。
手術した部分が膿はじめてたりするのが、リアルで良かったです!
終盤
逃げるシーン。
日本人が、自分の口を使って博士の喉を噛み切るシーンには寒気がしました……。なんだか、この逃げる場面が一番「ムカデ人間」として動いていましたよね(笑)
あと、とことん対等に描くって言うのも良かったです。最初に女性が逃げた時は博士も歩いて追うし、ムカデ人間として這いつくばって逃げる時には博士も匍匐前進的な感じで追いかける。
博士の死亡は、眉間に一発食らって。気持ちよかったですね〜。
でも、結構、ムカデ人間たちの結末ってどうなったんでしょう…………。
なんだかんだ言って、怖かったし、グロかったけど、ワクワクもしたし、興奮もしました!!
次は、『ムカデ人間2』を見ます!!
シリーズの感想記事です⇩
似たような作品の感想です。